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少子高齢化が、お題目のように謳われて久しいですが、今から20年くらい前までは、二人兄弟の四人家族というのはごく普通の家庭図でした。
ですから、現在20歳くらいの人たちには、まだなんらかの形で兄弟がおり、良くも悪しくも、家庭内での競争や権力争いはあったものです。
・・・・ま、私自身は「最悪のひとりっ子」と陰口を叩かれ、わがまま、身勝手をほしいままに生きてきましたが・・・(苦笑)

連れ立ってみえた、大島夫妻には年子の姉妹がおります。
姉のしずかさんは大学4年。妹のみぎわさんは3年ですが、この姉妹、姉は一年留年、妹は一ねん浪人していますから、実年齢はひとつづつ上ということになります。

しずかさんは芸術では日本一といわれる大学に在籍しており、国内ではいろいろなコンクールで入賞もしています。
私たちにはよく判りませんが、演奏家としてプロの道を目指していたのだそうです。
この、しずかさんが家をでました。家といっても、学校のために妹とシェアしていたアパートを出たのです。

みぎわさんの知らせで、二人のアパートに向かった大島さんご夫婦は、そこで思いもかけぬことを聞くことになりました。

しずかさんには交際中の男性がいたというのです。
その人はバツイチで子供は別れた妻がひきとっている。たぶん定職には就いておらず、今は
ピアノバーのひきがたりを時々しているようだ・・と。

頭がくらくらしましたと、妻の澄子さんは言います。
「あの子はいつもそうでした。・・・小心で臆病なくせに、いつも親を驚かせるようなことばかりしてきたんです。自分を守るためなら平気で嘘もつきました。だから、いつもいつもあの子のことは気にかけていたんです。。。」
澄子さんは泣き崩れますが、この言い方には、ちょっと心がひっかかるものがありました。

「では、今までにも男性関係でなにかあったんですか?」
「いいえ。それはありません。あんまり綺麗じゃないし、頭もよくなかったんです。だから、そんなことは今まではなかったんです。」
「頭がよくないって、ご立派な大学に通っていらっしゃるじゃないですか。それに、早くから将来を決めて、これはなろうと思っても、なれるものじゃないですよ。」

「いいえ。あの子にはそれだけしかないのです。」
澄子さんは、なぜかきっぱり言い切ります。
もしかして・・

「ちなみに妹さんはどちらの大学ですか?」
「○○(日本一の大学です)です。」
やっぱり・・・・ね。
しずかさんの写真を見せてもらったら、隣の同世代の女性が並んで微笑んでいます。
華やいだ顔が、美しく、しずかさんの写真のはずなのに、主役はその女性でした。

「こちらが妹さんですか?」
「はい。そうです。みぎわはなんにでも積極的で、本当に困らない子でした。一浪したものの、
目指す大学に入って、お姉ちゃんと一緒の部屋で、なんの心配もない子なんです。
二人は対照的でして、顔も随分違うでしょう?
私は、贔屓したつもりはないのですけど、子供たちが小さいころ、よく、お姉ちゃんのくせに、みきわを見習いなさいよっ!って叱っていました。
なんで、妹ができるのに、この子はできないんだろうって、いつも考えていました。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・お母さん・・・それを「贔屓」というのですよ・・・(--;)

「しずかは、どうしてかひっこみじあんな処があって、もじもじするばかりで、自分の意見が
いえないんです。その間に、みぎわがさっさとやってしまって、自分のすることがなくなったら、
嘘をついたり、わあってなっちゃうんです。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そりゃあそうでしょう。。傷つけられますよね。同じ子供として、姉として。。。。


「じつは、先週、しずかがその男性を連れてきたらしいんです。それで、彼が帰ったあと、みぎわに彼のこといろいろ話したらしいんです。
そしたら、みぎわが、それって、お父さんもお母さんもきっと許さないよ。お母さんなんて、パニックになるかもよ。と、言ったらしいんです。
確かにその通りなんです。みぎわなら、そう判ってくれるんですけど、しずかはそのあたりがダメなんですねぇ。もうそれだけでオロオロしちゃって、どうしょう。どうしょう・・・って。その翌日です。しずかが身の回りのもの持ち出して、アパート出たのは・・・。」


このお母さんには、判ってないようです。

確かに「可愛くないないわが子はいない」「子供を贔屓した覚えはない」と、殆どの親が言います。
でも、子供側にすれば、その多くが「贔屓」されたと感じています。
これは、主観の違い・・・だけのことでしょうか・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私は、澄子さんが
判らなかっただけで、「贔屓」は日常だったのではないかと思います。
悪意や他意があったかなかったかは、別にして。。。。

充分、優秀なしずかさんを、さらにみぎわさんと比べて、傷つけていることに気付かない母。


家庭内での、しずかさんの孤独が見えるようです。

きっと、何をしてもそつなく、明るく美しく聡明な妹と、いつも自分は比べられている
そんな重圧が、しずかさんの心に堆積していったに違いありません。


こんな親の勘違いや、思い込みは、案外多いと思います。
それを、敏感に受け止めるのは子供自身です。

子育てのとき、何度も自分を振り返って、問い質して、時には子供自身に、素直な気持ちで聞いてみることも必要なのかもしれません。

うなだれて帰る、大島夫妻の後姿を見ていると、お気の毒だとは思いますが、澄子さんが
この勘違いに気付かない限り、母と娘の距離が埋められることはないでしょう。。。。

by sala729 | 2007-10-15 11:11

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