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台風のあけた日曜日のお昼前に、自宅の電話が鳴りました。
最近はどこのお宅もそうでしょうが、加入電話が鳴ることはそうはありません。
何かの勧誘か、お年寄りの親戚からか、この時季だと選挙がらみか・・・・たいていはこのあたり
ですよね。

「・・はい。」
私のテンションも低いままです。
「Aさん!。私!私!。判る?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・判るわけないでしょうが・・という言葉を飲み込み
「申し訳ありませんが、どちらさまでしょうか?」

「私よ。いゃあ、判らない?・・・そうやね。やっと苦労して探したんよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから、誰よ???・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「折口!。折口よ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え、折口さん・・・・・・・・・・・・・確か半年前にご主人が亡くなったと死亡記事に出てたっけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(いやーな予感・・)

「あら、お久しぶり。」
「私ね、主人が死んだんよ。知ってる??」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この流れで、知ってるとはちょっと言いにくいです(--;)

「えっ・・いつ?」
・・・・我ながら、なかなかの演技力・・・
「1月よ。えぇぇーーー知らんかったん?新聞にも載ったんよ。見んかったん?」

・・・・・だから、知らないって言ってるでしょうが・・・・
「去年の秋に倒れて、半年寝たきりで・・・。だから、もうお葬式の時は、落ち着いてられたけどね。」
「そうだったの。・・・・知らなかったわ。」
「それでね、Aさんのこと思い出したんよ。A君も早くに逝っちゃってねぇ。あなたがどーしてるかなぁって思ったんだけど、住所録がなくなって、それで電話もできなくて、そしたら今月の初めに
同窓会名簿が来たのよね。それで、ああ、これこれって思って」

話せは゛煩わしく長いのですが、この折口夫人と私は高校の同級生です。そして折口氏と私と亡夫は同じ職場で机を並べていました。
・・・・あの、悪名高き「社会保険事務所」の関連会社ですから、会社名は口をつぐんでおきますが、そこに出入りしていたのが折口夫人です。
折口氏が一方的に熱を上げ、押して押してやっと手に入れた「妻」でした。
私は、彼女と同級だったので、折口氏にいろいろ協力をしてあげたことは確かです。
彼も私のことを「自分らのキューピット」と呼んでいました(そこっ!笑わないっ!!)

でも、正直に言うと、私は彼女と特別親しいわけではなく、折口氏の懇願に仕方なく骨を折っていただけでしたから、お誘いも三回に一回程度にしていました。

月日は流れて、亡夫は、単身赴任がいやだと、信じられない理由でトラバーユし、彼はそのままずっと勤め上げていました。
亡夫は、転職したとはいえ、関連会社に引き抜かれた形だったので、彼の会社との縁は切れてはいなかったのです。
ですから、夫が亡くなったことも知っていますし、葬儀にも来ていただきました。


「ねぇ、ねぇ。Aさん、今なにしてるん?元気そうやね?遺族年金もらってる?いまひとり??」
矢継ぎ早の質問が続きます。
元気じゃ悪いかぁぁ???
遺族年金って、第一声でそんなこと聞くかぁぁ???
ひとりって???ひとりじゃわるいかぁぁぁぁぁぁああああ・・・・・・・・・・・

「もう10年だからね。」
「そっか。10年たったら、元気にもなるよね。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・あんたは今でも元気じゃん・・・・

「ね、、彼はいるん??一緒に暮らしてるん??」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、あなたいったい何のために電話してきたの???

・・・・・私は、こういう問いかけに正直に話す気持ちも説明する気持ちも全くありません。しかし
きちんと話をしておかなければ、こういう人は波状攻撃のように、繰り返してくるのは判っていますから、まず深呼吸して話ます。。。


「あのね。私はAが死んだとき、一緒に死んだのよ。それでまた生まれ変わったの。だから
今はもう自由に生きてるのよ。これはね、Aが私にくれたプレゼントだと思ってるの。
私の性格に合わなくても○○家の嫁だの、なんだのって言われて、舅や姑に心ならずも従ったりするのは、可哀想だから、何にも縛られない、本来の私のままに、これからはもう自由に生きていいよって・・・。
だから、私はあれ以降、冠婚葬祭は失礼ながらすべて欠礼させていただいてます。亡夫側の
不祝儀ごとは、息子が全部代わってくれてます。もうあちらでは、私の存在など無いに等しいし
私もそれでよいのです。」

「そーよね。あなたは昔っからそうだったわよ。自分の考えで生きるっていうか・・・。で、彼はいるん?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(--)判っとんかいな・・

「いますよ。それがなにか?Aのことも大切にしてくれるし、子供とも上手くいってるし、私のこと
自由にさせてくれてるし、そういう人が私にいておかしい?」

「い、いゃ・・・おかしくはないけど・・・けど、ほら、あなたって昔から、男がどうのこうのってタイプ
じゃなかったしぃ・・・だから・・・」

・・・・だから??びっくりしたって???・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんだこれって、この会話ってもう何十年も前のままの会話じゃないのよ。高校生時代ならともかく、あまたの風や波をくぐってきたはずなのに、なんなの?この会話の薄っぺらさ・・・・


「人にはね、どうしても癒しきれない傷はあるとおもう。その傷の痛みに塗る薬は時しかないと
私は思う。そしてその長さは人それぞれだから、傷を負ってすぐの人には私は声をかけないようにしている。というか、かけられない。
時間がたって、少しづつ探りながら、言葉を積み上げて行くのが、いい年した大人の思いやりと
私思うのね。
折口さんのことについては、まだ私には積み上げる言葉がない。ごめんね。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「いやぁ・・・やっぱり仕事してる人は違うわよね。もともと、自分の信じた道行く人だったけど、仕事してるとやっぱ違うわ。ずっと主婦してたらだめね。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・い、いや、そんなことではないと
思うのですが・・・・(--;)



・・・・・・とうとう彼女との会話は噛み合わないままに終りました。
このあと、彼女は、同窓会名簿を片手に、次々と電話を掛け捲り、話続けるのでしょうね。
それが彼女の「癒し」なのかもしれません。

でも、ごめんね。
自分の心を押しつぶしても、それに合わせていこうという「主婦の忍耐力」はもう、私にはない
のです。私は、私で生きることを許されてから、とてもわがままに生きてます。
今日も、明日も、明後日も・・・・・です (^^)/

by sala729 | 2007-07-17 18:48

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