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ここ連日「いじめ」や「虐待」のニュースが流れ続け、なんともやりきれない思いの日々が続いております。
そんな中で読んだ「心にナイフをしのばせて」。
これは、まさに、少年法とはなんぞやと、ナイフを胸元に突きつけられて、迫られている思いがします。ご存知の方も多いでしょうが、これは30年ほど前、東京のサレジオ高校というミッション系の男子校で起こった、一年生の同級生による「首切り落とし殺人」の被害者のその後と、
加害者のその後をルポしたものです。

4人家族の被害者の母は、息子の死が受け止められず、その事実を記憶から消し去ることを
選びました。睡眠薬で、昼となく夜となく眠り続けることで、現実からの逃避をこころみ、妹は
望まれた兄ではなく、自分が死んだほうがよかったのではないかと、模索し逃避し、リストカットに走り、そんな家族を精神的にも経済的にも支え続けた父は、すい臓がんに倒れ、不帰の人と
なる・・・という凄惨な被害者家族に比べ、中等少年院を出たあとの加害者少年は、父親の愛人と養子縁組を行い、苗字を変え、二つの大学を終え、ある地方都市の「弁護士」になっていました。

これは、ある意味では「更正の成功」と言えるかもしれません。
でも、30年たって、被害者が、慰謝料の未払いの話をすると

「金の話?。50万くらいなら貸してやるよ。だから印鑑証明と実印用意しておけ」

この言葉がすべてです。
民事訴訟で1000万という慰謝料を、加害者の父親は払えないと泣きつき、750万に減額したにも関わらず、払い込まれた期間は2年足らずと言います。

仮にこの事実がなかったとしても、加害者のこの言葉は、更正している人間の口から
心から出る言葉なのでしょうか?


ルポですから、すべては淡々と綴られてあります。
でも、だからこそ、真実は深々と重みを増していくようであり、赤剥けた素肌を曝けだしていくようでもありで・・・心が痛いです。

そしてまた、これと平行して読んでいるのが(・・私複数冊をいつも平行して読んでいるんです)
「空白の叫び」。
これは14才の犯罪少年側からの小説です。

こんな本に囲まれ、ニュースに浸され、ますます暗い淵を覗いているような気になってしまいますが、こんな世の中にした責任の一端は、今現在の大人である「わたし」にもあります。

非力で微力な、ただの一市井人が何ができるのか・・・・それを考えなければ、何も始まらないし
何も変わらないと、私は思うのですが・・・・・



などと、久々の感想文などを認めていますが、こんな日もある・・・のです(^^)/

by sala729 | 2006-10-24 14:58

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