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私事なのですが、昨夜遅く離れている古い友人からの電話で、お友達が亡くなったとしらされました。本当に突然のことで、聞いたまま絶句してしまったのですが、人の世の無常や、生のはかなさは、もう知りすぎたと、斜に構えてはいるものの、身近な方の訃報を聞くと、心は波立つものを感じます。
こんな夜は、すでに黄泉の国に旅立った人や、今発とうとする彼女のことが、いろいろと思い出されて、なかなか寝付けない夜を迎えました。
残されたご主人や、三人の娘さんたちとも、もちろんお付き合いをしていましたから、本当なら
最期のお別れに行くべきであることは重々判っています。

ですが・・・たいへん申し訳ないとは思うのですが、私は、ある時を境にそういう場は、すべてご遠慮させていただいています。
これをトラウマというのかなにか判りませんが、とにもかくにも、そういう場で、なにをしてよいか
どんな言葉を発したらよいのか、戸惑うばかりで自分自身が判らなくなるのです。
声をかけることの虚しさや、かけられることの喪失感の方が、先立ってそういう場にいられなくなるのです。

自分で「不義理に生きる」と、嘯いて生きておりますから、そういう私にどんな非難があびぜられようとも、それは承知の上ではあるのですが、そんな私のことを理解してなお、こうして友人の訃報を知らせてくれる友は、有難いものです。

もう少し時間が経過したら、私流のお別れを彼女に捧げに行こうと思っています。
そして、「私が行くまで待っててね。うちのによろしく伝えてね」と、こっそり囁いてこようと思っています(微笑)



そんなこんなの一夜が明けて、また私の日常が戻ってきました。足音も高く(笑)・・

この仕事をしていたら、のけぞるようなことや、呆れ果てること、むかつくことなどは日常茶飯事で、むしろこんな感覚がいつまでも、自分の中に残っていることが、意外なような、ちょっと嬉しいような、気持ちになります。


お逢いした、笹口まりえさん(47才・仮名)は、そんな私に踏み絵をさせるかのように、目の前で
白檀の香りのきつすぎる扇子の手を休めずパタパタと顔を仰ぎまくっています。
目鼻立ちのくっきりとした顔は、確かに美人系だとは思います。
しかし・・・それにしても・・・・

胸の谷間がくっきりと見えるほどのキャミソールで正面に座られたら、男性の方は目のやり場に困るんじゃないと思われるほどです。
両手の指には、大小10個ほどのリング。中には消しゴムくらいの大きさのオパールや、麦粒寄せ集めたようなガーネット。ねずみの心臓くらいはありそうなダイヤもどきもありました。
そして、その指を駆使して、喉仏をのけぞらせ、パタパタ仰ぎを繰り返すのです。

その間の機関銃のようなおしゃべりには、さすがに合いの手の入れようもありません(^^;)

「うちゃあな、このへんでは有名人だから、格好の悪いことはできんのよ。ま、立場っちゅーもんがあるけぇのぉ。」と、ガハハ・・・・

立場ったって・・・・はっきり言わせてもらうと、看板も出ていない民家の一階に、スチール机ひとつと、いかにも中古の応接セットだけで、社員19人。年商数千万といわれてもねぇぇ・・・。
第一、まだ一年にもなっていない、登記もあげていない会社で、なんで「年商」が判るの???

「主人・・・おるよ。誰でもしっとる会社の重役みたいなもんよ。社会的地位が高いから、名前は言えん。そいでも、これ、これにはさっぱりよ。」と、親指と人差し指で円を作ってガハハ・・・

・・・・・な、なんと下品な、アクション・・・・・・・(--;)


「ようするに、付きあっとった男がおるんじゃけど、別の女がのぉ、その男に惚れたんよ。そいで
その男がバカやけん。自分がおらにゃーってその女の言いなりなんよ。そいでも、男はまだ
うちに金せびりに来よるんよ。えーよ。貸したっても・・・いくらでも貸したらぁ。そやけど、どーすんねん。うちに金ださせて、お前はそいでも男かって言うたら、ぐじぐじ言い腐って、帰りかけに
うちのベンツ蹴飛ばしやがったんよ。ほんまに、恥ずかしいでよ。大の男がゲームセンターで大声だして、車蹴飛ばして帰るなんざぁ、格好の悪いことや。」

聞いてるこちらのほうが恥ずかしくなるような言い草です。。。

「それで、何をお調べになりたいんです?」
イライラする気持ちを理性(・・・あったかな?笑)で、押さえて聞いてみました。

「女よ。おんな。女の仕事先が知りたいんよ。名前はわかっとる。バツイチで子供もおるんよ。
仕事は美容師言うとった。ま、美容師やったら、うちの仕事関係で判らんことはないんやけどな。ツレもようけおるし、調べられんことはないんやけど」

「じゃ、そうなさったらどうです?」

こういう手合いは、苦手・・というよりキライ・・です。(笑)
わざと突き放したような言い方をすると、まりえさんは眼をまん丸にしています。
今までこんな突き放したような言い方はされたことがないようです。

「それは格好が悪いじゃろ。立場があるけん、できんのよ」と、またパタパタ・・・ほんとに忙しい人です。

「調べてうちは得することはなーんもないんよ。」と、ガハハ・・・
「損得だったら、なにもお得なことはないです。おやめになりますか?」

まりえさんは眼を剥いています・・・彼女のプライドがびりびりと音をたてているのがわかります。

「損得やないんよ。意地やね。」と、余裕を取り戻したふりをしています。

「そうですね。」・・・淡々と見積もりをお出しすると・・・
「うーん。高いともいえんし、安いとも言えんなぁ・・」と、言うところに、まりえさんの妹の夫という人が帰ってきました。

「な、な、洋二。この人たんてーさんやと。どうしょうか思うとるんやけどなぁ」と、顎で私のこと示します。
「栄子(相手女性の名前)のことかいな。ねーちゃんがしたけりゃしーぃや。」と、ニタニタと笑っています。
「ほんでも、これしたって、うちにゃなーんの得もないけんねぇ。」


私を無視して、会話しています。
ぶちっ・・・・ぶちぶち・・・ ぶちっつん!! 

「損得なら、なんのお得もありません。おやめになったらいかがですか?」

二人は揃って私を見ました。まるで「異星人」を見るかのように・・・。
「金じゃないんじゃ。こんなくそっトロイ女にと思うたら、むかつくんよぉ。」

それからは、女に対する悪口雑言・・・とてもここにはかけません・・・(**)


くどくどと、義姉弟で続ける会話に、もううんざり・・・です。
いくらなんでも程度低すぎ・・・・・

じつはこのまりえさん・・・一年ほど前にRさんが面談して、契約しながら翌日、訳のわからない理由でキャンセルしたいわく付きの女性でした。
でも、なかにはいるのです。前回やめたけど、やっぱりまたしたい・・・と、思い詰める人は・・。
でも、、、
でも・・・・・まりえさんは、少なくともそんな繊細な人ではなかったようです。。。。

「はい。やめましょーね。」
口をあんぐりと開けたままの義姉弟を尻目に、夜も更けた田舎の町にでると、いつしか夜はもう
秋の気配に満々ているようでした。。。

こんな夜もあるさ・・・・。

by sala729 | 2006-08-31 17:25

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