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もう梅雨は開けたのかしら?と、思っていると、昨日ラジオで「今週は半分梅雨で、半分開けたような空模様」です・・なんてわけの判らない予報を出していましたが、とりあえず今日の空は
「輝くような夏空」です。

ここ数日は、ばたばた度が増して、なかなか落ち着く間もなく、私的には充分に満喫した仕事ライフを続けています(^^)
周りになにがあろうとも、環境がどうざわつこうとも、常にこのポジションを維持できているのは
私をとりまく皆様のおかげと心から感謝しております(礼)

さて、先日のことです。
品のよいご婦人が、わが社を訪れました。
坂口さんのお嬢さんは6年前、ある地方の旧家に嫁ぎました。
大学の同級生というふたりは、キャンパスでの出会いそのままの新生活を望む妻と、田舎の長男としての暮らしに戻るつもりの夫の間には、いつしか亀裂が走り、知らぬ間にそれは少しづつ
長く、深くなっていきました。

若夫婦はなかなか子供に恵まれせんでした。なにしろ田舎のことですから、周囲は口を揃えて「子供は?」「まだ?」とか、声をかけてきます。
不妊の原因は夫、妻双方にありました。しかし、若い夫婦は、治療に挑み、何回かの失敗を
乗り越えて、一人娘を授かったのが二年前です。

夫婦にとっても、双方の実家にとっても、ただひとりの子で孫で、まさしく「掌中の珠」「目に入れても・・」という大切な、大切な、宝物でした。
しかし、夫婦の亀裂はそれでも傷口を広げ、とうとう妻は娘を連れて実家に帰りました。

そして、離婚のための話し合いが始まりましたが、なんと言っても争点は「ひとり娘の親権」
です。
双方ともに、それだけは譲れない。ほかはなにもいらない・・・というところでは一致していました。しかし・・これは不幸の始まりでもあったのです。。。


夫の家は、旧家とはいえ没落していて、親戚は周囲に多いものの、「ちょっと変わった家」と
親戚からも一歩引かれているようなところがあります。しかも、本家ときていますから、まず
子供を手離すはずがありません。しかも、息子は、そう簡単には子供の作れない機能的疾患を
もっています。

そして妻の家も、未婚の姉ひとりの姉妹で、父親は三年前に他界しました。
妻のほうも、妊娠がしにくい体質で、次は望めないかもしれないと医者から言われています。
しかも、長時間のお産に耐えて、文字通り命がけで産んだ子です。
そうは、あきらめられるはずもありません。

両家は完全に対立しました。
調停も不成立。家裁では、妻に・・・。高裁でも妻に・・・
それでも夫側はあきらめません。あろうことか、妻が娘を預けている託児所に義父と義母と夫の
三人は乗り込んで、娘を奪い去ってしますました。


もう泥沼です。再三再四の勧告にも関わらず、夫は娘を妻に返そうとはしません。
夫の実家に弁護士とともに訪れても、亀が手足を甲羅に隠すように、娘を抱きこんだまま
動こうとはしません。

いくら権利があるとはいえ、そういう状態の夫から娘を奪おうとすると、娘の体が傷つきかねません。弁護士さんも「これ以上は無理でしょう」と、匙を投げてしまいました。
泣き喚き、娘を抱え込む夫の下で、圧迫された娘の赤い顔を見たとき、その場は、妻は泣く泣くあきらめるしかありませんでした。

しかし、それでも何度も交渉したり、裁判所からの命令書を何度もだし貰ったりしていたのですが、ある日、夫と娘がいなくなりました。
実家をでたという知らせが入り、駆けつけたときは「もぬけの殻」です。

妻は愕然として、義父や義母に詰め寄りましたが、ふたりはヘラヘラと笑うばかりで「なにも
知らない」と、繰り返します。

この、夫と娘を捜して欲しいと、妻(坂口さんのお嬢さん)は、訴えます。
「私は、どんなことをしても、なにをしても娘を取り返します。将来娘が大きくなったときに、ありと
あらゆる手段を使ったということを知って欲しいし、それだけの宝だと、あの子に判って欲しいんです。」
きっぱりと言い切る妻の目は、強く光っています。



2才の子供を連れて、たったひとりで父親が仕事と子育て両立できるとは思えません。
きっと、義父母がなんらかの協力はしていると思います。
妻も何度も張り込んだといいますが、ひとりでできるはずもありません。
もう任せてくださいと言いながら、この意志の強い母親に心からのエールを贈らずにはいられませんでした。

「子供は宝です」
今の時代に、なんと心地よく、温かく響く言葉でしょうか・・・。
親は子供を虐待し、手にかけ、子は成長して親に暴力と力で報復することが、珍しいことでは
なくなった最近の世相の中で、この言葉の重みと、輝きは、一層際立ちました。

なんとしてでも、その手に返してあげます。
その胸に抱かせてあげますと、心の中で、何度も呼びかけながら、会社を出て行く坂口さんと
お嬢さんの後姿を見送って、私は早急に調査に入るための、書類を書き上げるべく机に
向かいました。
一時間でも、一分でも早く・・・・・と。

by sala729 | 2006-07-11 13:13

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