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それにしても、なんなんでしょう?。この季節の移り気なこと・・・。春まっしぐらと思っていたのに
突然の心変わりのように、雪や霙が降り注ぎ、見栄を張って季節の先取りしたつもりの、洋服が恨めしく、こんなことなら・・・なんて後悔してしまうのも、この頃ですね。

山室さん(39才・仮名)は、ショッピングセンターのフードコーナーに、まだ生後間もない三女を
抱いて現れました。長女は15才で次女は13才。離れてはいるものの、抱き方にはなにか余裕が感じられます。
「あ、待って。」
座った途端、彼女の携帯が騒がしく鳴って、彼女はまずそれを取ります。

「うん。うん。そ、でも、150じゃだめかもよ。うん。160があればそれにして。」
・・・・聞くは、なしにですが、どうも子供服のサイズの話らしいですね。。。。

「すみません。主人からで、長女の服で可愛いのがあったからって、電話なんです。」
「あら、いいお父さんじゃないですか。」
「そーですね。子供には優しいです。上二人は、前の主人の子で、この子だけが今の主人との間にできた子なんです。」

・・・・・・ならばなおさら、よくできたご主人では??・・・・・

「私たち結婚して一年七ヶ月なんです。その間に夫は四回転職しました。・・・・・・・

うーん。こんな時代ですから、転職云々は云う気もありませんが、新婚で、連れ子もいて、
しかも、また次が生まれるというのに、四回も転職できるでしょうか??


・・結婚当時は、中学の先生してました。でも、臨時で、結婚の時からあと一ヶ月というは決まっていたらしいです。その次は、お鍋の販売。リフォーム営業。害虫駆除。・・・そして今は
5種類もの仕事を掛け持ちアルバイトしています。
まず、市の不登校児童育成学校のアルバイト。テニススクールのコーチが週に二回。
無認可保育園の保父さんを週に二回。家庭教師を週に二回。自動車学校の指導員を週に二回。・・・」指折り数える山室さんすら、混乱しています。

そしてとにかく、その夫が浮気をしていると言うのです。
しかも、相手は複数と、妻は断言します。

「学校辞めてから、ずっと私の給料で生活してましたけど、私も出産を機に仕事辞めました。
今は、彼のお母さんの年金と、私の退職金食潰して生活しています。」


・・・・・・・そんな生活の中で、彼は長女に洋服を買うって・・どーいうこと??・・・・・・

「彼は、お金のことなんてなにも考えていません。これだけ働いていてなにが不足だと
怒ります。でも、わたし、彼のお給料がいくらなのか、お小遣いがいくらなのか、全く知りません。彼は、一円も家庭には入れないんですから・・。」

さすがにしっかりと涙は見せません。まっすぐに前を見て、淡々と話ます。

「夫の携帯には20以上女性の名前が登録されていて、夫はその人らと遊んでいます。」
「新婚なのに?」
「はい。関係ないそうです。夫はそういいました。」

冷静というのか、感情がないというのか、淡々と話す山室さんに、私は頷くばかりです。

「私は、子供二人つれて、父や母の反対押し切って、夫と結婚しました。夫は子供も、分け隔てなく可愛がってくれ、仕事も数だけは、人並以上です。私に帰る家はもうありません。でも
このまま夫といることができるかどうか、自分に自信がないのです。」

5才年下という夫は、童顔で優しいかんじがします。
この、顔と行動がアンバランスなことを知っているのは、妻だけなのでしょう。

・・・・すみません。時間です・・またあとで・・・・


・・・・・ただいま、帰りました。続けます・・・


もう、退路がないという山室さん。なにより、思春期の二人の娘の反応が怖いとおののく山室さん。娘に自分がどう映るのか。夫がどう見えるのか・・・。
「この子がいなかったら、とっくに離婚していますけど、この子は可愛いんです。なにより可愛い。あの人に逢わなかったら、この子がいないと思ったら、あの人のことも許せるような気もするんです。」
山室さんは初めて、にっこりと微笑んでくれました。

子は鎹とは、けだし名言です。
子供のために・・・そういう名目で自分の気持ちをすりかえる女性がいることは否定しませんが
こうして、ほんとの「鎹」になることもあるのです。
山室さんは続けます。
「生活は苦しいけど、子育てには余裕がありますね。上のふたりの時のほうが、よっぽど、一杯一杯でしたわ。歳ですかねぇ。」
淋しいカゲはつきまとうものの、心なしか悲壮感は、薄れているようです。


まるで大学生のような、掛け持ちアルバイトの彼は、調査対象としてはなかなか難しいですが
こーいうものこそ、わが社の得意中の得意(^^)
経済的にも崖っぷちに追い込まれた山室さんですが、それでも、母としての思いを賭けてやろう
と決心した勇気を、後押ししなくてどーします。

胸に抱いた娘を抱えながら、何度も振り返る山室さんの決心になんとか応えてあげたいと
思いながら、電車の待ち時間オーバーに、取るものもとりあえず、駅に向かった私でしたが、
・・・・・・・やっぱり、というか、そーだよねと納得するか・・・・・
電車は見事に私の鼻先を掠めるように、私をホームに置き去りにして、去っていってしまいました。。。

by sala729 | 2006-03-29 14:04

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