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今日は珍しく窓の外から見える街路樹の枝が揺れていません。
しんしんと冷たい空気は漂ってはいるものの、風は穏やかなようです。
昨日のニュースの中で、伯備線の特急電車が、保線作業員を撥ね飛ばしたというのがありましたが、あの路線は、何度も利用したものです。

「スーパーやくも」という電車は、藤色に近い紫で、私にはこの色のセンスがどうしても判りかねますが、一応は「きれい」と言われているらしい電車です。
この電車、岡山駅を出ますと、一目散に中国山地を駆け抜け米子、松江、出雲と向かいます。一時間に一本はありますし、田舎の特急電車としては、利用しやすいので何度も利用していますし、これからも利用します。

さて、事故が起こったのは、「根雨」という駅の近くです。
ここは、雪が深くて、特急は止まりますが、殆ど乗降客はなく、なんて゛ここに?と、思うような駅です。かつてお逢いする約束が急にキャンセルになってこの駅でずっと帰りの電車を待ったことがありました・・・あのときも、深い、深い雪でした・・・・。

雪は不思議です。線路の両側から垂れるように雪が覆いかぶさってくると、そのまわりは「深」とした静寂が広がるのです。
あの有名な「雪国」の冒頭シーンを思い出してください。蒸気機関車が長いトンネルを抜けていくというのに、あの背景に音はありません。

雪はその上辺の穢れない白に、全てを包み込んで周りを自分色に染め上げてしまう「魔性の白」なのかもしれません。だから、いつの時代にも、雪に迷わされ、騙されて、自分を見失ってしまう人たちがいるのです。

今回の事故も、もちろんお亡くなりになった方たちにはお気の毒なことであったと思います。心からお悔やみ申し上げます。
でも、その場を指揮していた若い責任者も、ショックで救急車で運ばれたと聞いた時、彼に待ち受けるこれからの長い長い、「後悔と自責」の時間の重さと暗さに、暗澹たる思いを禁じえないのです。

確かに雪は「白い魔物」かもしれないと、今、思います。
小さな頃、一緒に遊んでくれた、優しい綺麗な白い結晶は、その優しさの裏側に、同じだけの
厳しさと残酷さを併せ持っていたということを、大人になって気付きました。

そしてこんな穏やかな朝は、ひときわその「凄惨な美」に、心が惹かれていくのです・・・。


でも、そんな思いを振り切ってくれるのも「現実」の頼もしさです。
だからこそと、電話の鳴るのを待っているのに、こんな朝は、・・・それがなかなかに鳴らないのですね。。(苦笑)
PCを叩きながら、今日もし、「スーパーやくも」に乗ることがあっても、私は「雪の魔性」には惑わされない・・・と、心に決めながら・・・
・・・・・・・・・・・でも・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・電話が・・・鳴らないのです・・・(^^;;)

by sala729 | 2006-01-25 12:11

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