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秋の日は釣瓶落とし・・とはよく言ったもので、暗くなるのがとても早くなりました。日暮れかなと、思ったらあっという間に、もう暗闇の中に沈んでいきそうです。でも、こんな「長い夜」、私は好きです。夜の長さは、思考の深さに比例しているような気がしませんか?
あっという間に陽のあがるぎらぎらした夏がすぎて、今までと、これからをゆっくりと考え直したり計画したりするには、この夜の長さ・・ぴったりじゃありませんか?

小畠さん(31才・仮名)の電話が入ったのは、窓の外がそん夕闇から一気に帳を降ろそうすとする頃でした。
奥さんが浮気をしている。毎夜、毎夜、帰らないと言うのです。一女の母としては、あるまじき行為です。聞けば、近所の居酒屋でアルバイトして、帰りは朝だというのです。・・・そんなはずはないでしょう・・・・
そう、相手はその居酒屋のアルバイトで19才の大学生なのだそうです。
そこまで判っていながら、小畠さんはそれでもなお、なかなか決心がつきません。
コーヒーが醒め、天井を仰いだり、かたかたと足鳴らしてもなかなか決心がつきません。
ご予算をオーバーしているとかで、腕を組んで空を仰いだり、頭を抱えたり、忙しいことです・
そして、ようやく決心して「やりますっ」と、男らしく答えた膝は笑っていました。

「相手は大学生ですよ。妻も狂っているとしかおもえない・・」頭を振りながら、小畠さんは、契約書にペンを置きかけました。
そのとき、彼の胸ポケットがリンリンリンと、秋の虫のようにかわいらしく、儚げに聞こえてきました。「あ、妻です。ちょっといいですか?」
小畠さんは、あわてて携帯をONしました。

「えぇぇ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そか・・うん、判った。すぐ帰るわ。」と、携帯を切ると私な向き直って
「あの、つ、妻が、相手と一緒に家にいるから、帰ってくれとゆーとるんです。すみませんが、このまま帰らせてくれませんか?」

あらららら・・・相手と一緒にねぇぇ。(奥さん、ひらきなおったかな?)


こーなるとなんといっても、彼の心はここにあらず・・です。


私の返事の終わりきらないうちに、彼は席を立っていました。そして、たまたま外にいたOリーダーの話では、脱兎のごとく飛び出してきた彼は、エンジンかけるのももどかしげに、ぶぁ~んと急発進したかと思うと、道を外れて盛り土に乗り上げ、慌ててハンドル切りまくりで消え去ったそーです。(・・・・・・はぁ・・・・・・)

そして2時間後・・・
彼から電話が入りました。
「あ、先ほどはすみませんでした。」
妙に、明るい声・・・・ではないですか。
「あのですね。帰ったら、妻と相手の男がふたり、揃って手をついて頭さげるんです。悪かったと、もう二度としないから、許して欲しいと二人で土下座するんですよね。」
(それでぇ??。それでなんなのよ??)

「で、ここはもう許してやろーかと。。そこまでするんですからねぇ」
・・・・・あなた、つい2時間前までは、絶対に許さん。離婚しますと息巻いてたのよ。それがなに?
なんのなよ???・・・・・・・・(男って、男って・・・・信じられない・・・)
「そうですか。それはあなたが決めることですもの、もうしないというなら、それもよいんじゃないですか?」

「そーですよね。そーですよね。僕がやらんというのだから、それでえーんですよね。」
同意してくれた嬉しさを隠そうともせず、彼は大喜びです。


ほんとに・・・・男はなんて甘いんでしょう・・・
簡単に女の手のうちに、騙されすぎ・・じゃないですか?
たぶん、これできれいな水に流してあげるんでしょうね。。。

そりゃあ、ご夫婦ですからね、情もあるでしょうよ・・・あなたにはね・・・
でも、ふたりして土下座したら、はい許しますって・・それはなんなの?
どこに、なんの解決があるの?
これは、ふつー・・・「丸め込まれた」と、大人の社会では言うような気がするんですけどぉ・・・。

て゜も、これを今、小畠さんに言っても、彼の耳には届かないでしょうね。
お気の毒だけれど、彼はもう一度、本当に手ひどい目に遭わないと、判らないでしょう。

でも、それが彼の甘さであり、優しさなのかもしれないのですけれどもね。
暗い高速道路の空に、落とし穴が開いたように見える月が、転がり落ちる獲物を待つように
微笑んで見えたのは、私の目の錯覚でしょうか・・・。

by sala729 | 2005-10-04 16:02

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