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電話のタイミングとしては悪くありません。
これが、アクアガーデンのショーの前なら、私・・キレてます(笑)

「はい。」
「あ、先ほどお電話いただきました。飯田JAのTです。先ほどは大変
失礼を致しました。」と、まるで打って変わった丁寧な物言いです。

「いいえ。こちらこそ。それで責任者さんにお話聞いていただけましたか?」
「あ、は、はい。こちらで確認いたしました。それで、いろいろ調べましたら、
 間違いは宅配業者だったみたいです。」

「は?・・・そんなことはないでしょう。だってあれから手元の送状見てみましたら
クール便にも冷凍便にもまる印入ってませんし、このまま荷物に貼り付けられたら、
宅配さんも、そのまま送るわよねぇって、家の者とも話してたところです。」

「いやいや。それがですね。JAではこれをクールでと言って渡したんですが、
その車から次の車に渡すときに、クールでって伝えなかったから、普通便に乗せた
そうなんです。」

アホかいな・・と、いう言葉を口から出る寸前で飲み込んで

「そりゃあ、何の印も付いてないんですから、運転手さんが判るはずないですよね。」

「いやいや。ともかくうちは、きちんと送ったんですよ。それで、宅配業者の方から
Aさんにお詫びの電話入れたいというんですが、電話番号お教えしていいですかね?」

「それはかまいませんよ。では業者の方とまずお話します。」

「いや、ほんとに失礼なこと言いまして、申し訳ありませんでした。なにしろ
田舎なもんですから・・」と、訳のわからない言い訳を最期に電話が切れました。


そして、すぐに再び電話がなりました。

「Aさまの携帯でしょうか?」
第一声からびくびくとした細い声の女性です。
「はい。そうですけど。」
「わたくし、〇〇便のDと申します。このたびは飯田JAさんの件で大変
申し訳ないことをいたしました。すべて、当方の不手際で、ほんとに申し訳
ありません。」と、最初から超低姿勢です。

私、こういうタイプの人間ですが、いや、だからこそこういう無条件低姿勢に
弱いのです。

「いえいえ。私はむしろ、宅配さんはお気の毒と思っているんですよ。クールの
表示のない品物を、普通便で送るのは、当たり前のことですもの。」

「いえ。あの、それは・・・ほんとにわたし共の不手際で・・それであの、
どのようにすれば・・・」語尾はもう聞こえません。


私ははこの時、前に息子が言っていた、宅配業者との力関係という話を思い出して
おりました。
息子は某百貨店に勤務しておりますが、当然そこでも宅配業者はおります。
提携しているところなのですが、百貨店ともなると、宅配さんの方も、その
お店だけの専用支店みたいな部署もあるのだそうです。

でも、専用ですから料金は当然特別枠ですし、対応時間もいろいろ無理を
聞いてもらっているそうです。
そして、何より、配達時にとてもこれは無理・・みたいなことも、立場を
利用して(悪徳代官めっ!)引き受けてもらうことも多いので、宅配業者さんとは
いい関係を持って置かないと、いざという時困るんだよなぁと、言っていたことを
思い出したのです。


ここもそうなのではないか・・と。
JAのT氏は、飯田高原の責任者に話を聞くと、彼はあの調子ですから、普通の
上司なら、彼の対応がいいにせよ、悪いにせよ、問題があることは判ったはずです。
それで、あのうるさい顧客を丸め込むには、宅配のせいにしちゃえ!・・と、
いうことになったのでは?


ともかく、ここでDさんにそんなこと言っても仕方ありませんので、どうしたら
いいかと泣きそうな声で聞く彼女に
「では、商品はそのまま箱に入れて娘の家にありますから、そちらでそれを
取りに行ってください。そしてその中身を確認したら、同じものを送って
いただけませんか?」と、言うと

「はい。ありがとうございます。すぐにこちらから連絡して明日、取りにお伺い
するように致します。ほんとに申し訳ありませんでした。」

「いいえ。で、このことは私の方から、JAのTさんにお伝えしておいたほうが
いいですか?」と聞くと

「あ、いえ、私の方でまずは報告させていただきますから。」との回答。

「判りました。では、よろしくお願いします。」


ことの顛末を家人と娘に伝え、心置きなく第二夜の夕食にいそいそと出かけました。

今夜は部屋全体をブラックで統一した方の部屋が食事会場です。
ここも、もちろん満席。人・人・人です。
しかも、老若男女。車椅子もあれば、杖もあり。入り口にはベビーカーも
何台か停めてあります。

ここって、ほんとに日本の縮図みたい・・・

でも、見渡すかぎりの家族連れは、みんな親孝行だし、家族思いです。
もっとも、家族でここに来ようかという時点で、もはや「仲良しファミリー」に
違いないのですけれどね。

隣のテーブルでは、私達より少し上世代の息子夫婦と、高齢の親世代が座っています。
「なんたっちゃ、ここは九州ナンバー1たい。」
日本酒が少し回っている、初老息子は得意げです。

車椅子から細い手首で、箸を操る老いた父親も満足気にうんうんと頷いています。

ここでこうしている家族の殆どは、幸せで穏やかな楽しい時間をすごしている
ことでしょう。自分が楽しいと人も楽しいですし、そのまた逆もしかり・・ですね。

それにしても、この広い食事会場をインカムをそれぞれが装着して、愛想笑いを
振りまきながら、軽やかに歩き回るホテルマンさんたちの立ち居振る舞いは
見事なものです。

外国人従業員さんも多いのですが、どの方もきちんと日本語を話せますし、
なにしろ笑顔の爽やかさは、群を抜いています。


昨夜に比べて、遅い夕食なので、お部屋に帰る時に、おみやげ売り場をぐるりと
一巡。
家人は、地元のお酒売り場に、死に損なった蛾のように、ぺったりと
貼り付いて、みっともないったら・・・(怒)
ここでは、「かぼすボディソープ」を購入。
棚湯に設備されているこの「かぼす」三セット。他はシャンプーとコンディショナー
なのですが、とても香り高いのです。

湯上りにふんわりとかぼすの香りが立ちのぼって、いい気持ちになります。
酸味といえば、すだちの方が上のような気がしますが、香りは断然かぼすが
好きです。
きつくない、ふんわりとした酸味の香りは、上質の紅茶に落としたレモンティーの
ようです。


そしてお部屋に帰って、ニュースで、大分の二才女児の行方不明を知りました。
ちびギャングと変わらぬ世代の、お子の災難を思うと心が痛みます。

「今夜は寝たら、起きられないかもしれない。」
「大丈夫・・起こしてあげるよ。」・・・・・これが間違いのもとでした。
そう、判っていたはずだったのです。
このヨッパライの、安請け合いに、何度騙されたことか・・・

しかし、昼間の疲れと、アクアガーデンと棚湯の、程よいエネルギー消化に
リラックスした体は、家人の甘言に、赤信号を点す、私の理性を押しやって、
深い眠りに落ちていったのでした。。。



あ、あっ明るい・・え??
明るいって・・・・

はい・・気持ちよく目覚めたとき、太陽はとっくに定位置に上がって、隣を
見ると、キングベッドの端っこに、なぜか丸るまったまま、眠りこけている見慣れた顔。

ン・・もおぉぉぉぉ~
怒りに燃えた私は、ベッドの頭に押しやっていた、小さめのソファーを立て続けてに
二個、その丸るまった頭の先に、投げつけてやりましたっ!!

なにが、起こしてあげるよ・・・もうとっくに夜は明けてるじゃん。。。


夜中にお部屋の露天風呂に入って、朝は棚湯で朝日を見て・・という私の
計画が・・・がらがらと音をたてて崩れていくぅぅぅ

「いーじゃないの。お湯入れてあげるから。ここで入ってもいい気持ちだよ。」
昨夜の自分の安請け合いなんて、「なんのこと?」みたいな雰囲気です。

だから、ヨッパライはキライだ・・と、毒づいても、上がった太陽を引き戻す
ことはできません。

それに、お部屋の露天風呂・・嫌いじゃありませんから。(^^)

遅めの朝ごはんを終えて、まったりして、ようやくチェックアウトに向かいます。
おなごり惜しいけれど、これでこのお部屋とはお別れです。
でも、きっとまた来ます。このお部屋に・・・
そういう遠大な、計画のもとに今回グレードアップしてくださったなら、杉の井さん
恐るべし・・です。
そう、私はそういうタイプの人間なのですよ。
執念深い・・とも言われておりますけどね。

今日はまず、ここ別府の定番。
「地獄めぐり」です。合計八箇所あるのですが、どうせ私たちは全部は回らない
でしょう。まずは「海地獄」
ここは、98℃はある源泉から立ち上がる湯気がもくもくと沸き立っています。
入り口には、なぜかアマゾンの「大オニバス」があって、子供が乗った写真も
飾られています。
蓮は蓮ですから、色とりどりのまあるい花弁は、艶やかな色を誇っていました。



しかし・・暑い。熱い。
海地獄も熱いけれど、Pからそこにいくまでが、もう灼熱地獄・・夏が帰ってきた??
水分補給しないと、保ちません・・・

そこで提案・・もう地獄は判った。(そうだ。それでなくとも、オレは毎日
地獄の中にいる・・と、家人。バキッ!!)

あとひとつ見りゃそれでよし!!

そこで検討の結果、最期は鰐がうじゃうじゃいる「焦土地獄」に決めました。
餌付けは終わっていましたが、頭からホースで水をかけられて、鰐さんは上機嫌。
大口あけて、周囲に媚売ってました・・・
あの巨体からなら、クロコバッグ何個作れるかな・・なんて、ゴメン鰐さん。
ちなみに、この鰐さん「一郎さん」って名前だそうですよ。
そういえば、なんだか半眼の顔は、小沢さんに・・・いえいえ違います。
そもそもは、漫画家の「富永一郎」さんに、ちなんで付けられたそうです。

動物園よりずっと活発に動く、鰐。鰐。鰐
そういえば、伊豆にも「バナナワニ園」があったような・・・
温泉と鰐は相性がいいのか・・

お昼は市内のお寿司屋さんで、家人はしつこく「関さば」を・・・


帰りはフェリーの予定ですから、一応港に行って、早いけどもう帰ろうかと
一旦は思ったのですが、折角だからもう一度アクアガーデンに入っておこうかと
Uターンです。
杉の井ホテルでは、チェックイン前もチャックアウト後も、その日のうちは
アクアガーデンも棚湯も入れます。


昼間のアクアガーデンは、人気は少ないですが、それでも小さなお子がヨチヨチと
可愛いです。
が・・暑い。なんたって、お湯ですから・・・(笑)
それでも、綺麗なプールサイドは、まるで外国のホテルのプールみたいな感覚に
なります。
やっぱり、ちびギャング連れてきてやればよかった・・小さな後悔に胸が疼きます。

棚湯はしっかり入って、体中がリフレッシュ!!

そして、いつもの家人の悪あがき・・今回の最後は「冷麺」
ここ、別府は「冷麺王国」なのだそうです。(アップルにそう書いていました)
フェリー乗り場から近いというので、行ってきました。

うーん・・うーん・・
私的には、受け入れられないかな。
一口で言うなら、「盛岡冷麺」に近いです。
でも、盛岡ほど、麺に弾力はない。コシと硬めとを間違えているかなと、うどんの
国の住人は思いました。

ま、そんなこともあろーかと。。。旅先ですもの。


ちゃんと定刻には、フェリー乗り場に到着。
二時間で、四国側に着きます。
晴れやかに思っていても、海は海ですね。じっとしているとそこそこ揺れは感じます。
一時間もすると、目の前に、佐多岬灯台がその真っ白な姿の全景を見せてくれます。
見とれているうちに、伊方の風車群が見え、もうすぐ着くようです。


四国に渡れば、もうこっちのものです。
慣れた道ですから、何にも囚われず、自宅にゴーです。

そして、無事帰途に着き、今回の旅は終わったのですが、補足がひとつ・・・



例のハムですが、結局宅配便さんからは翌日、回収させていただきました。
本日送付し直す予定でしたが、明日になりますと連絡をいただきましたが、JAからは
なにひとつ連絡はありませんでした。

そのまま、放置しておこうかとも思ったのですが、どうしても黙っていられなくて
(はい。どうせ私はそういう女ですよ。)「ぜんのう大分」のHPから、今回の
一連の出来事を伝えました。

JAというところは、接客ということをどう考えているのか、知りたいと思ったからです。

すると、翌日早朝。あのJA飯田の責任者さんから私の携帯に電話がかかりました。
「JA飯田の責任者です。あの折には大変失礼な言動をいたしました。申し訳
ありません。」と、あの時の電話が信じられないような丁寧な言葉づかい。

あまりの豹変にこちらが目をパチクリです。

「今後は、このようなことがないよう、心いたします。本当に申し訳ありませんでした。
商品は本日、送らせていただきました。」

「あ、それはどうも。お客様商売ですものね。そう言っていただけると、こちらも
気持ちがいいですわ。」
「はい。以後は気をつけます。」

なんだか子供みたいな口調ですが、反省して訂正している人間に、更に追い討ちかける
ようなことはしたくありません。

そしてその日の昼ごろ、届いたクール宅配便の中には、こちらが購入したハムと、
封筒に入ったお詫びのお手紙。そして、ペッパーソーセージが二本。追加で入れられて
おりました。

これって、やっぱり「クレーマー」ですかね?

私が一番嬉しかったのは、お詫びの電話と手紙だったんですが、ソーセージ狙いと
人は言うのでしょうか・・・
もっとも、そう陰口叩かれたとしても、それでめげるような、そんな柔なタマでは
ないですけどね。(笑)


はい。これで「阿蘇から別府への旅」の顛末の一部始終は終わりです。

by sala729 | 2011-09-21 16:04

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