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さて、お話は6月4日の午後へと続きます。

汗みどろになって、お昼過ぎまでがんばりましたが、もう「限界」。
年齢・体力ともに、ぎりぎり・・
それにしても、外国人親子たちはすごかった。
どう見ても、荷物運搬用としか見えないプラスチックのカートに、子供を二人入れて、牽くわ
牽くわ・・・やっぱり何代も続いた肉食系人種の底力なのでしょうか・・・。

私たちも、朝ごはんが終わって、トラムに乗ったころまではまだ、暑いと言いながらも、
今度は、ちびギャングを連れて三人で来ようね。。。なんて言っていたのですが、帰る頃には
もうそんな思いは微塵もなく、二人して顔見合わせて
「これで、ちびギャング連れてきてたら、私たち、きっと死ぬね。」と、確認しあったのでした。


動物園を出て、バスで市内に戻ろうと家人。
本当に、なんでここに来てバス??・・・(だいたい、日本でも知らない土地でバスに乗れない
私が、言葉の通じないここで、なんでバスに乗らないといけないのよっ。)

案の定、バスの路線番号間違え(これは、私がドライバーさんにお聞きして事なきを得ました。
エッヘン)
やっぱり、タクシーでホテルに帰ろうということになりました。

道を尋ねた、立派な体格の女性警察官さんに、ウィンクしながら家人は手を振っています。
(ほんとにもう、何を考えているのでしょうね。このノーテンキ男は・・)

タクシーはすぐにつかまりました。
本当にシンガポールのタクシー事情は快適です。
ドライバーさんが、英語さえ話ができれば・・私たちもなんとか意志を伝えられます。
困るのは、タイ人とか、まるっきりの中国系さんがドライバーの場合は、英語が聞き取りにくい。
話せないという人もいるのです。
地図を見せても、読めない。
・・・・・・・・・・・・・・・・あぁぁ、もうめんどくさい。どこでも行って・・

今回の運転手さんがそうでした。
タイの方とかで、「チェン」さん。なぜか名前だけは判るのです。
私たちはホテルに帰るつもりで
「mandarin.oriental」
もちろん、自分的には「r」を効かせたつもりで・・・
彼も「OK.ok」と、いい調子です。

そして車中で家人とドライバーさんの訳のわからない世間話が続いています。
「言ってること判るの?」と、私。
「いや、判らん。けどなんとなく、雰囲気で・・判るような気もする」と、相変わらずの
無責任発言。

そして、車はシンガポール一番の繁華街、オーチャードに・・・
「あ、ヴィトンだ。プラダだ。」と、指差すと
「オーケー。オーケー」と、車を停めようとするのです。
街中がバーゲンに入っているこの時期は、どこもかしこもoffの文字が躍っています。

そして行きかがり上、なぜかここでタクシーストップ。
ニコニコ顔のドライバーさんに、やはり満面笑顔の家人が料金を支払い、「by.by~」
って、なんでよ??

ホテルに帰るんでしょ??と、詰め寄ると、
「まぁ、いいんじゃない。これはこれで・・街中歩けるし・・」

・・・・・そうかもね。バーゲンだし・・・・と、口車に乗ってしまった私。
要するに、言葉が通じていなかったということなんですよね。これって・・

でも、待ち歩きは楽しかったです。
いたるところにショッピングモールがあって、すごいにぎわい。
そこのフードコートで「ラクサ」と「カヤトースト」「ジャスミン茶」をオーダー。
後から、チキンライスも追加しました。

カヤトーストは、とても美味しかったです。
軽くトーストしてバターを塗ったパンにカヤジャムという茶色のペーストを重ね塗りして
挟んで食べます。バタートーストにお砂糖振り掛けたようなかんじですが、それよりも
美味しいです。

チキンライスは、チキンベースのご飯に、茹でたチキンを一口大に切って乗せ、三種類の
ソースをチキンに付けながら、ご飯を食べるというもので、日本のチキンライスとは
ちよっと違いますが、あっさり系でこれも美味しかったです。

でも、ラクサはだめ。私的には・・だめです。
麺と言っても、5センチくらいの短さで、もやしみたいな形と、コシなんて言葉があるの?
みたいな軟らかさ。もっと言えば、ヘナヘナ短麺・・
しかも、辛い。スープはまっ赤、赤・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これはパス・
しかし、家人はずるずると啜っています。
こ、こやつは、いったい何者??

そして、ここが終わるとオーチャードの真ん中に・・
そこには高島屋と伊勢丹が並んであります。
じつは、うちの息子は後者に勤務しております。もちろん日本で・
しかし、ガイドブックには、おみやげは高島屋でと書いてあったので、私たちは迷わず高島屋に。
義理立てするようなことはなにもないし・・・

地下二階のフードセンターには、果物や現地の食べ物がぎっしり・・
そこで迷わずカヤジャムと、ブラウンロールを買い込み、ドライマンゴーも数袋。
「瓶詰は重たいよ。」と、つぶやく家人を無視して、カートに入れる私。


そして、ついでに、折角だから覗いておこうかと、伊勢丹に・・
すると今週の催し物には「日本のたべものまつり」と、日本語が・・
何が悲しゅうて、シンガポールに来てまで、ミニたい焼きや、辛子明太子の実演販売見にゃ
ならんのよ・・・


伊勢丹を出ると、もう3時です。
あらら・・・3時半から、ラッフルズホテルの「ハイティー」の予約入れていたのです。
ここで、また家人が「MRTで行こうよ。」と。
これは地下鉄ですね。ほんとに懲りないというか、こういうことの好きな男です。
「一度体験してみたかったのよ。お願いだから付き合って」と、懇願されてしぶしぶと・・

・・・まず、チケットの買い方が判らない。
自販機にお金を入れても、戻るばかり・・誰かのを見ていようとするけれど、みんな
クオカードみたいなものばかりで現金で買っている人がいない。・・・いない??

そこで、駅員さんに聞きいてみるとここでまずカードを購入する。そしてチケット販売機を
通してから、改札口にぴっと当てる・・・と、書くと何のことやら判らないでしょうが
そうなっているのですよ。(笑)


ただ救いは、ラッフルズホテルと駅が同じ位置にあることです。
地下鉄の階段登りきったら、目の前に見覚えのある真っ白い壁に黄土色の屋根のエキゾチックな
建物。
そう、このホテルの交差点を渡ったところに、昨夜の晩餐、レイガーデンがあるのです。
だから、この建物にはもちろん見覚えがあります。

チョコレート色の肌に真っ白いターバンと白いアーミールックみたいな制服を着た、ドアマンの
おじさんは厳しい雰囲気です。
ドアマンのくせに愛想笑いというものをしません。・・・

中庭に沿って歩くと、予約を取りにくいと書いてあったハイティーの場所。ティファイン
ルームの白い窓とドアが続きます。
10分くらい待たされている間に、私たちのうしろにはずらりと予約客が並んでいます。
こ、これはすごい・・期待感に胸がどきどき



静かにドアが開かれ、恭しいお出迎えを受け、一組づつテーブルに案内されます。
私たちは廊下側の窓際。
すぐ隣で、上品な白人系の女性がハープを奏でています。
とても、シックで大人の雰囲気。・・・・ただ、私たちは、動物園からそのまま来たものだから
とっくに化粧の落ちきった顔を、除菌シートで拭いただけで、私はダンガリーの
チュニックシャツに、スパッツ。家人も汗の染込んだTシャツに綿パン。両手に動物園の
おみやげと高島屋でのおみやげをぶらさげての、ハイティーです。

ドレスコードがあるとはいえ、そう厳格ではないし、周りも殆どが旅行客ですから、
似たり寄ったりとはいえ、少し恥ずかしい思いはしました。
予定では、動物園から一旦ホテルに帰り、シャワーを浴びて、着替えてここにくる予定
だったのです。

それが、お調子者の家人の世間話のおかげで・・・
本人は、「予定は未定ってやつよね。予定が狂うと、楽しいよね。」なんて、ちっとも
懲りた様子も反省の色もなく、笑いかけてきます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私は、無視。

真っ白のテーブルクロスに真っ白のティーポット。三段のアフタヌーンティーセットと
ナイフ、フォーク類はピカピカに磨かれた銀製です。

部屋の後ろに、サンドウィッチや軽めの点心。タルトやムース系のお菓子。そして果物が
整然とそれは、それは綺麗に並べられています。

ただ、正直にいうと、お味は、とりたてて褒めるほどのものではありません。
セットされたサンドイツチは角が少しパサっいていましたし、紅茶も香りが思ったほど
たってなかった。それに、ミルクティって、私のなかでは温めたミルクがパートナーと
思っていましたが、ここでは常温のミルクでした。
しかし、ホームメイドのジャムはさすが・・と、唸らせるお味でしたね。
それと、マドレーヌ。これが、ヨーロッパの上流階級のお味かとおもえるような、ねっとり
とした甘さが広がりました。


でも、雰囲気。ムードはとても素敵です。
食べ物を取りに立つと、ウェイターさんがすかさず、ナフキンを三角に折りたたみ直してくれ
お皿はもちろん、シルバー類も見る間に取り替えてくれ、食べ物は何度みても、一糸の乱れも
無くきれいに並べられ、その行き届いたサービスと清潔には驚かされます。

各テーブルのお客様たちも、みな楽しげにお話はしていますが、大きな声や、ばか笑いは
聞こえてはきません。
その中でちよっと気になったのは、近くのテーブルに座る日本人男性の一人客。
みんなお話に来るので、一人というのは彼だけです。
しかも、黙々と食べ、黙々と取りに立ち、また黙々と食べる。
あ、なぜ日本人と判ったかといいますとね私たちと同じガイドブック(るるぶ・・ですが)
持っていたので、そう決めました。


ハイティーが終わると、ホテル内ショップでお買い物です。
ここでは、ホテルメイドの紅茶を何種類か。ちびギャングにポロシャツ。胸にラッフルズ
おじさんの刺繍が入っています。
スーツケースに貼り付けるための、ラッフルズシール。
息子には、ホテルメイドの重厚なボールペンと、ストラップ。

なんやかやとしているうちに、外は黄昏はじめました。
そして一旦、ホテルに帰ります。


じっくりとシャワーを浴びて、バスタブにお湯を満たしてゆったりと浸かって・・・


しかし、それでもなんだか、足がかったるい・・・
そこで、またまたコンシェルジュへ、電話して「足つぼマッサージ」のお店を尋ねてみると
これがすぐ近くにあるとのこと。

・・・・近くったって、結局回り込んで行ったので、倍ほど時間はかかりましたが、
辿り着いたのが、中国マッサージ「kenko」・・・健康・・なかなかシャレたネーミング
です。ここは、あとで気づいたのですが、シンガポールのあちこちにありました。

「足だけでいい」と、言うと30分で30ドル。
受付部屋は混んでいたのですが、別室に連れて行かれ、そこはかなりゴージャス。
足を洗って待っていると、20才くらいのつるつる肌の美人が微笑んで待っていました。


「いたっ!・・・いたたた・・・・いたいぃぃ。」
美人は指も柔らかで冷たくて、いい気持ちなのに、私の足の親指の腹に力を込めると、
その指が悪魔的パワーを放ちます。
痛いと言おうと、いたたとうめこうと、彼女はそしらぬ顔です。

隣のベッドの家人が、なぜか嬉しげにクスクスと笑う声が耳障りです。

それでも、我慢しているうちに、足がぽかぽかと温かくなっていき、痛いけれど止められない
状態に自分が陥っていくのが判ります。
足指から甲、そして脹脛と血液とリンパ液とが上り下りしているのが感じられるような
そんな感覚です。


30分は、あっという間でした。
終わると、確かに、足は軽い。熱とけだるい感じはあるのですが、でも、軽い。かるい。
かる~い。
彼女はニコニコと微笑みを絶やさず、少し時差で終わった家人と私に、ハーブティーを
持ってきてくれました。
あとで聞くと、家人のほうは、ものすごくハンサムな男性だったとか。
これって、よからぬ妄想を防ぐために、同性の施術者にしてるのかしら?と、考えたのは
職業病でしょうか?



さて、シンガポールの夜はまだまだ続きます。

さて、これからホテルの近くのシンガポールフライヤーに乗りに行きます。
黒川記章さんが設計したこの世界一の観覧車は一カプセルに30人乗れます。
特に夜景は最高とのこと。フライヤー自身が夜空にくっきり浮かぶ姿はとても幻想的です。
一周30分かかります。
この中で、ディナーも取れます。そのときは二周するそうですが・・。

私たちのカプセルも殆どがカップル。年の上下はあるにせよ。
しかし、ここでは日本のマナーは通用しませんでした。

まず乗り込んで、席に着きます。ぜんぶ相席ですが、一通りは座れます。
やがてフライヤーは動き始めると、目の前の景色がパノラマみたいに広がります。
なんたって360度視界なのですから。
すると、それぞれに席を立って、あちこちの位置に移動したりします。
もちろん、私たちもそうしました。
でも、そして席に戻ろうとすると、その席がありません。
隣のカップルが自分たちの荷物をそこに置いて、自分たちの席にはカバンを置いて、
立ったまま、顔が重なるほど近づけて話し込んでいるのです。

まわりを見ると、インド系のカップルも、アラブ系も同じようにしています。
中国系に至っては、イスに長々と寝そべって彼女の膝枕です。

なんたるマナーの悪さ。。。いや、まてよ。
これが、ここでは普通??
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・みたい
ですね。


どこに行ってもまず席取り。そして、そこを離れるときにはかならず何かを置いてキープ。
それが当たり前のようです。
キープしてないのは、放棄と同じことなのでしょう。



それにしても、この夜景の美しさといったらものすごい、ひと言に尽きます。

夜空から、星がぱらぱらと零れ落ちて、建物になったり、オブジェになったりして、
その進化がまだまだ続いていて、空からは星のかけらが毎晩、毎晩、舞い落ちてきている。
シンガポールの人たちはそれを拾い集めて、こんな綺麗な街を作ったんだって・・

そんなおとぎ話を聞かせてあげたくなるような、そんな夜でした。

ホテルに戻る前に、目の前にある小さなホーカーに・・
ご存知のとおり、街の至るところに、ホーカーと呼ばれる屋台があって夜中まで活気付いて
います。
ホテルの窓から見ているとねとても楽しそうなので、帰りがけにと・・


自身は、ほぼ現地人と思い込んでいる家人は、知ったげにまず席をキープ。
そしておもむろに屋台を見回します。

そして、念願のチリクラブ。海老巻き。揚げパン。タイガービール。ジャスミンティー。
チリクラブは美味しいですが、手がべとべと。
濡れおしぼり何枚あっても、不安になるくらいのべとべと加減です。(笑)
そこで私が考えたのが、ビールと一緒にくれるカップアイス。
この氷を握り締めて手のひらで溶かすと、水代わりになります。それを拭く。そうすれば
ティッシュの量はずいぶん節約されます。

このチリソースに、中国揚げパンをつけて食べると、ほんとに美味しい。すっごく美味しい。
私は、この蟹身よりも、こっちのほうがずっと好きです。

そして、ここで、いよいよねドリアン初体験いたしました。(笑)

かき氷にかけるシロップに「ドリアン入り」があったのです。
勇気を出して3ドル・・・

「ね。ねね。。。先に食べてみて。」
死ぬかもしれないものは、なんでもまず毒見役が試すと、決まっています。

「だって、まだビール飲んでるし。」
「何言ってるのよ。ビールなんていつでも飲めるわよ。ドリアン、ドリアン~」
「んなこと言うなら、自分が先にたべれば?」
「え?なに?・・何か言った?」
「い、いや、何も・・食べるよ。食べますっ。・・・・・ん・ごくっ・・えぇ~~。」
「どうよ?」
「あ、あんがい美味しいよ。これ。オレはへーき。」
と、にっこり笑うのです。

もちろん、あの独特の強烈な臭気は、まわりに漂いまくりです。
そうですね。あえて表現するなら「腐ったタマネギの匂い」・・・でしょうか。

「すっごーく、甘いよ。とろとろ。」
なんども頷いて、私をうながします。


ええぃっ!!
私も、ここまで生きてきた女よ!(それがどーした?)
ここで試さないで、なんとしょう?(そこまで言わなくても・・)
やるわよ。食べますわよ。(その調子っ。)
・・・・もう、死んでも悔いはない。後には一億円残るし・・(んなオーバーな・・)


・・・・・パクッ・・・・ご、ごくん・・・・・・・うげげげっ・・・・
だ、駄目です。私ダメです。
無理です。撃沈しました。。。。。。


口に入れるまでは息を止めていました。
そしてそっと口に放り込み、ごくん・・・と、飲み込むときに、人間は一緒に息も吸い込む
ようになっているのです。
その途端、口から鼻に抜けた臭気がぶわっと広がって、私の理性を霧散させました。。。

確かに、味は甘いです。
どろりとした、粘っこい甘さです。匂いがなければ、濃厚な熟女の舌触りといえるでしょう。
しかし、この匂い・・

たまねぎ畑の泥棒が、誤って腐ったタマネギの山を踏んづけて、足を取られたみたいな
臭気の中、この甘さを食べ続ける気力は・・・・ありません。ギブアップ・・です。


それでも、できない体験をしたことは間違いありません。なかなか楽しい夜でした。
もちろん、それからホテルに帰って、何度も、何度も、歯磨きを繰り返したことはいう
までもありません。


こうしてシンガポールの長い、長い第二日目が終わっていきました。
窓の外は、何度見ても、見ても見飽きることのない、光と煌きの中、湾を行きかう遊覧船
だけが、一日の終わりを告げるように、一艘、また一艘と船着場に帰って行くのが見えます。
こんな素敵な夜をひとりじめにできる、今夜に感謝・・です。おやすみなさい。

by sala729 | 2010-06-09 14:34

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