今年も、もう12月に入りました。
本当に、月日は年を経るが毎に「光陰矢のごとし」という言葉を実感する
ように速度を増していくようです。


なんて、したり顔で言いつつも、現実の中ではいろいろな事に巻き込まれたりして
右往左往しているのも、私なのですよ(笑)



先日の夜遅くの相談電話に、いや~な予感を抱きつつ、相手の中尾さん(52才)の
指定した喫茶店に辿りついた途端、私はそのまま引き返したくなりました(泣)

だいたい場所からして、公営ギャンブルの雄「競輪場」の裏手。
喫茶店の名前は「まくり」・・・・はぁぁぁ~~



私は人間界で何が嫌いといって、ギャンブルほど嫌いなものはありません。
子供時代のトラウマと家族は言いますが、もちろんそれもあるでしょうが
現在の私の中には「ギャンブル免疫拒否症候群」とでも名づけたい位の
アレルゲンが育っています。

仕事柄、それが三度のメシよりも・・という方には何度もお逢いしていますが
それは仕事と割り切っているからできる芸当です。

・・・・・正直、ギャンブルにのめり込む人は「人間として生きる資格が
ない」とさえ言い切れます。



そんな私がなんの因果か(もちろん仕事故ですが・・)こんなところに、
しかもこんなところを指定するくらいですから、かの中尾さんも、きっと
そういうご趣味なんだろうなと思うと、心は落ち込むばかりです。

そうして辿りついた「まくり」
午前10時がすぐというのに、外から見れば灯りが付いているかいないか
判らないくらいの外ガラスの曇り。
外観見ただけで、中が想像できそうな、どんよりと汚れた外壁とドア。
触りたくないけれど、押さないと開かないドアノブを指先で押すのは、却って
力が入ります。


薄暗い店内を見回して、めまいがしそうでした・・・・・

案外広い店内にある12~3個のガラステーブルは「いつ拭いた?」と
突っ込みたくなるような汚れ加減。
そして椅子の殆どは、布が破れスプリングが飛び出しています。
全体にくらーい室内に流れているのは、テレビに映った競輪中継。

どこに座ろうか・・・・見回してもテーブルに面した椅子で無傷の
ものは・・・ない。
ないって・・ないって・・・ど、どーしょう????

仕方なく、比較的傷の浅い椅子のへりにちょんとお尻を落として、
手にしたバッグをどこへ置こうかと・・・
すると、マスターらしい大柄の男性がお冷をもってどん。

「ほ、ホットを。」
マスターの指の跡がついたウォータカップが目の前に。



もう、面談どころではありません。
私は一刻も早くここから出たい・・・・
油と埃にテカテカと光った床は、元の色が何色かすでに想像もつきません。

そして覆いかぶさるような全体に暗くておもーーーい空気。

長い一分がすぎようとした頃、中尾さんが見えました。
しかも、彼・・・なんともまぁ、この店に見事に溶け込んでいます・・・

自己紹介も気もそぞろ・・・
そして運ばれてきたコーヒーがふたつ。
お約束のように、真っ黒に爪をしたマスターの太っとい親指がカップの
内側でコーヒーの中に沈んでいます。

そのコーヒーに砂糖とミルクをたっぷり入れてかき回して、ずずっと
すすりこむ中尾さん・・・・


いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~


もう、これは十分「怪奇」・・・・ホラーです。




叫びだしたい自分を、職業倫理がようやく抑えて「判りました。でも
そうなると調査は難しいですね。申し訳ありませんが・・」

「いや、前のところでもそう言われたんよ。でも、隣の女とおばが、うちの
家をじっと見てるのは間違いないんよ。」

「でも、そういう証明はとても難しいです。」
「それはお金がかかるということ?」
「それもあります。」
「ボク、今、無職やしな・・」
「そうですね。また、何かの折に・・・」
もう二度と会いたくないと言わなかったのは、私の職業意識です(笑)

ボクが払いますと言った言葉をそのまま有難く頂戴して、息を止めて
店を出た私は、外の空気を美味しいと心から思いましたね。

5分ほど歩いて、潮風の届くあたりまでくると、バッグを足元において
本当に久しぶり深い、ふかーーい深呼吸を繰り返して、こんな体を張った
面談はいつ以来かと思い返していました。

たしかに、死ぬほどの強烈な匂いと黴に覆われたような場所ではありましたが、
10年ほど前までは、そういうところでの面談、ちっとも珍しくなかったはず。
自分の誕生日に、現場帰りの作業員さんと狭いスペースで隣り合わせてその
強烈な体臭にヨロヨロと帰りの電車に乗り込み、我慢しきれず下車まで嘔吐を
繰り返したこともありました。
さんざんな誕生日に、自宅に帰り着いて家族に当り散らしたものでした(笑)

ネズミの屍骸の隣で面談したこともありました。

ゴキブリなんて、仕事と思えば声も出さずに耐えられました。


そんなこんなを思えば、最近は軟弱にすぎたのかもしれません。
口だけが激烈になって、行動は守りに入っていたのかもしれません。。。


とは思うものの・・・・や、やっぱり体は正直です。(^^:)
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# by sala729 | 2013-12-03 12:27 | Comments(0)

先週までは、厨子のストーカー殺人に、探偵が絡んでと毎日のように
ニュースが流れて、業界の末端に身を置くものとして、心が痛んだり、
憂いたりの時間をすごしていましたが、ここでブログを開いて、もう10年
近くになります。
いまここで、私がこの問題に触れなかったら、これは「逃げ」ですから
避けて通ることはできないかなと・・・とは思いました。


私は皆様ご存知のように、血も涙もない「冷血な女」ですから、
なるだけ冷静に、静かに(うーん、これはちょっと無理かもしれません。
過去に何度も、口害で失敗してきました・・笑)お話したいと思います。


そもそも、あの事件で、警察が被害者女性の新しい住所を、犯人にぽろりと
零したことが、発端であることは確かなのです。
いえ、これは言い訳でもなんでもありませんが、氏名だけで、日本の
どこにいるか判らない人を探すことは出来ません。

ある程度のその他の資料と情報を得なければ、不可能なのです。
私達は、その「ある程度」を、依頼者さんから見つけるために
お逢いして、お話をお聞きしているのです。

あの、調査会社のHPを開いてみると判りますが、あの会社はメール相談だけで
仕事を受けます。
これは、こちら側にとっても、とても怖いことで、特に昨今のこんなストーカー
事件流行のときに、そんな形で依頼を受けることができる神経が、私には理解
できません。

深刻に、悩みぬいている方は、そんな形での依頼は決してしません。
そして、テレビや物語の中の探偵は決してしませんが、依頼者さんにからは
得た情報を、決して不正には使わないという書類をいただきます。
これは、双方の誠意の形としてのあり方です。

私達、相談員は伊達にいるのではありません。お逢いして、その方の真意や、大切に
しておきたいものが何であるか、それを探り、確認している最前線の人間で
あると私は自負しております。


業界の末端の私などが、声高に言うことではありませんが、こういう一部の
しかも、正規でない方法の手法が、全体に紗をかけ、誤解を生じさせ、
本当に困っている方達に、二の足を踏ませているならば、とても残念なことだと
心から思います。
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# by sala729 | 2013-11-20 12:03 | Comments(0)

夕闇の迫る商店街を、ぷらりぷらりと人間ウオッチングしながら歩いて
いると、スタバの前に差し掛かりました。

ここは、以前はとても混みあっていて、オーダーした飲み物が出来上がっても
座れないことがあったりして、ちよっと私には不向きと敬遠していたのですが
最近改装して、一人シートや、二人シート。大勢シートなどを上手に
配置して座席を増やしたので、使いやすくなりました。

なにしろ20年ほど前、新宿にスタバの日本第一号店ができたとき、
赴いて、あの座り心地の悪い丸太のような椅子に憤慨してから、この手の
コーヒーハウス・・・これも古い?・・・を、なんど行きつ戻りつした
ことでしょう。
私の世代は、やはり落ち着いてコーヒーの見ながら本をじっくり読める
喫茶店が懐かしいのです。。。


と、懐古はさておいて・・・


その改装されたスタバで、クリームパイラテを手に私は二人座りの
テーブルに着きました。
まもなく隣に20代前半かと思われる若い女性の二人連れがやってきました。
二人は飲み物を手に、椅子に座りながら

「いゃあ~えみちゃん綺麗やわぁ。ほんとに綺麗。」と、結構な声量で
片方が喋っています。
そう言われて思わず顔をあげると、えみちゃんと、ヒロミちゃん(あとで
名前が判りました)が、向かい合って座るところでしたが、正直、どう見ても
ヒロミちゃんのほうが美形です。
すべすべの白い肌に、寸分の隙のない化粧。まつげなどは瞬きする間に
落ちやしないかとハラハラするくらいです。


「なんか、すごく綺麗になったから、一緒に歩いたら恥ずかしいわぁ。」
どういうつもりがヒロミちゃんは、次から次へと、えみちゃんを褒めちぎります。
えみちゃんはといえば、テーブルに置いたコーヒーを手にするでもなく、
ヒロミちゃんの賛辞が続くたびに下を向いて、耳まで赤くしています。

誰がどう見たって、外見はヒロミちゃんの方が美形です。第三者的には・・
でも、いますよね。
どこにでも、どの時代にも・・・こういう、お・ん・な・・・



明らかに自分のほうが勝っていると、知りつつ、大袈裟に人前で相手を
褒めちぎる、姑息な手段で、自分の曲がった優越感を満足させるタイプの
女って・・何人も見てきました。もう何十年も生きていますもの・・。


「いや、ヒロミちゃんのほうが絶対綺麗やから。」やっとえみちゃんが
蚊の泣くような声で一言・・・

「そんなことないって。私なんかより、えみちゃんの方がずっと、ずっと
綺麗よ。かわいいしぃ。」
これ、そこそこ混みあったスタバで連発されたら、それはそれで、ちよっとした
拷問ですよ。

もう、えみちゃんは下を向いたままでコーヒーを手に取ろうともしません。

「永田君も、私なんかよりえみちゃんの方選べばよかったのに。」

・・・・・私は隣に居合わせただけの見ず知らずのおババですが、この会話の
成り行きにだんだん腹が立ってきました。



昔から、いましたよ。こういう女。

え?・・わたし?・・・・私はよく言われました。黙っていたら可愛い
かもしれんけど、それは無理でしょ?と(爆)


口は禍の元とは、私のためにある諺です(笑)
黙っていられなくなりました。
読んでいた本をパタンと派手に閉じて、飲みかけのカップを手にして
そこそこの声量でヒロミちゃんに向かって
「ファスナー開いてるわよ。」と、優しく微笑んで(自分ではそうした
つもりです)席を立ちました。


「えっ!!・・・いや。いや。いやっ。」
ヒロミちゃんは椅子から跳ね上がり、そのとたんテーブルのカップを
ひっくり返し、残念なことに彼女のカップにはコーヒーが残り少なかったのか
零れ落ちませんでしたけど、彼女は面白いようにうろたえて、手を背中に
回して暴れまわっています。


突然のことに、向かいのえみちゃんは呆然とその姿を見ていますし、周りの
人たちも怪訝そうに見ています。
私は悠然と、カップを捨てて、そのままお店を出ました。




・・・・いえ、嘘ではありません。

確かにファスナーは開いていました。ブーツの右足のね。上から三センチくらい。

誰も背中のファスナーとは言ってませんし、私のちよっとした「余計な
お世話」です。(笑)

店を出ると、初秋の風は冷たかったですが、なんだか気持ちはよかったです。
ただ、あのあと、えみちゃんが余計にヒロミちゃんのはけ口になっていなければと
それだけが気がかりです。

本当はもう一言、えみちゃんに声をかけてあげたかったです。

「女の勝負は見かけでは決まらないのよ。ほんとにいい男は、いい女しか
見抜かないから安心しなさい。」って・・
・・・でも、これも余計なことですかね。

えみちゃんの白いうなじが、仄かに染まってぷるぷると震えている様は
とてもいじらしく可愛く見えたのだけど・・。
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# by sala729 | 2013-11-15 18:06 | Comments(0)

先日、墓参に行って参りました。
家族には内緒にしておりますが、毎月一回はこっそり参っております。
別に、こっそり行くようなことではないのですが、私のキャラと
墓参とが乖離しておりますので、いちいちそれを糾すのも煩わしく、
こっそり・・・と(笑)

いつものようにお花を取り替えようと、花挿しを取り出そうと、指を
入れようとして、動きが止まりました。
花挿しの中に、あの忌まわしいギラギラとした茶色の体を斜めにした
「ゴキブリ」が浮いているではありませんか。


なにを隠そう・・いや、別に隠すほどのことではないのですが、この私
昆虫の類が「大っ嫌い」なのです。
虫・・虫・・虫・・虫・・虫・・虫・・・
ゴキブリはもちろん、ダンゴ虫、蟻、蜂、みみず、蜘蛛・・・・

ですから、あの正義の味方と称えられる「仮面ライダー」にしても、もとが
バッタですから、もしも私に危機が迫っていても、助けるには及びません。
申し訳ないですが、バッタに命を救われるくらいなら、潔くショッカーの
手に墜ちます。


話は墓参に戻ります。
さて、私の指は宙に停まったまま、動きません。
いつもなら、指をいれてプラスチック製の花挿しだけを石の花挿しから取り出して
洗って水替えをするのですが、とてもそこに指を入れる勇気を絞ることが
できません。

ぷかーんと浮かんだ、ゴキブリの屍骸は、そんな私をあざ笑うかのように
漂っています。
・・・・・・母よ許せ。父よ諦めよ・・・と、心で詫びて、
私はプラスチックの花挿しを取り出すことを諦めて、近くの水場でいつものように
バケツに水を隆々とくみ上げてきました。
そして、柄杓にとった水を惜しげなく花挿しに何回も何回も、注ぎます。
当然、水は溢れ出し、ゴキブリの屍骸は私の手を汚すことなく、地面に
落ちていきました。
墓石の間に入ったのか、もう視界から消えたことで安心して、いつものように
花を替えて、母の好きだったビールと、父の好きだった日本酒。そして季節の
お菓子を添えて、ふと何の気なしに、自分の足元を見ると・・・・・

・・・・・・・・・・ひぇっっっっっっ~~~~~~~~~~・・・・・

な、なんと、あの件のゴキブリがヨロヨロと私の足先をかすめて、
隣の石段のかべにへばりつくではありませんか。

し、死んでたんじゃなかったの?????
そうですよね。死んでたのが生き返ったのな、そりゃ、そっちのほうが
よっぽど怖ろしい(笑)

ゴキブリの足元はヨロヨロと、まるで重病人か、過酷な戦地から帰還した
負傷兵のような足取りですが、死んだと思っていたその意外性と、
不気味さに、もっていた柄杓で叩き落すことも忘れて、私は石段に
へばりついて青息吐息のゴキブリを見て見ぬふりしました。

そして、そこに十分に意識をやりながらも、墓石に手を合わせ、枯れた前の
花を墓場の端のゴミ捨て場に持っていき、もういちど墓に帰って、
そっとかの石段を見てみましたがねそこにゴキブリはもうおりません
でした。

瀕死のあの体でどこにいったのか、周りを見回しましたが、私の視界の
中にはおりません。
・・・・うーん。天晴れな生命力ではあります。
こうして彼らは生き延びたのかと、如実に示す出来事でした。


でも、だからといって彼らに親近感も、好意も持つことはありませんし、
これからもお友達になりたいとは、絶対に思いませんけどね。
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# by sala729 | 2013-11-11 15:44 | Comments(4)

昨夜の「ケンミンショー」で、極太のうどんを果たして「うどん」と
称するのかどうかと、朝から家人と言い争いながら(はい。ノーテンキな
話題からで申し訳ありません・・)話の筋はいつしか、先日のみのもんた
さんの謝罪会見に及びました。

昨今はそれでなくても、食品偽装のお詫び会見が連発して、なにがなんなのか
結局ねどこで何食べても同じなのね・・という私なりの解釈がやっと
収まりかけたころの、論争なので、その煩わしさと、家人の半端な正義感に
私の怒りの「しっぽ」が、ぐぐっと力を込めました。


家人は、みのさんの次男は親の威光でテレビ局に入社したのだから、
みのさんが謝罪するのは、ある種「当たり前」ではないかと言うのです。

実際がどうかは判らないですが、マスコミからの情報だけで判断するなら
今回の次男の事件は「盗難」ですよね。
テレビ局の名前を騙って、女の子にいたずらしたり、誰かを騙したりした
わけではなさそうです。
それならば、いくら親の七光りで息子をごり押ししたとしても、30もすぎた
息子の行為を親として社会に対して謝罪する必要はないと私は思います。



ただ、社会人としては、そういう半端な人間を紹介した責任として、勤務先の
テレビ局に謝罪・・・これはありでしょう。
これは、たとえその人間が自分の子でなくても、紹介した以上、責任はあると
思います。

余談ですが、こう考えるからこそ、私は人を(身内であるなしに係わらず)
どこかに紹介することは、極力控えております。
自分があとあとまで、責任とれる人間というのは、自分以外にはおりません
ので・・・。


話は戻りますが、社会に対しては、子供といえどもう30もすぎています。
子供自身が取るもので、そして彼は誰よりもその親に対して、自分の
罪に対して傷つけたことを謝罪しなければなりません。

みのさんが謝罪するのは、被害者の方だけで十分でしょう。


ただ、報道番組に関しての辞退は、もっともであると思います。
というのも、私も朝のあの番組、よく見ておりましたが、彼は「あなた何様?」
と、いつも突っ込みたくなくほど、正義の味方をきどっているのが
鼻についておりました。

こういう事件があったら、もう彼はそのポジションにはいられないでしょう。
そういう意味では、報道番組辞退は、よい判断だったと思います。
そして、バラエティにはそのまま出ればいいじゃないですか?
「秘密のケンミンショー」私もよく見ています。
誰があの番組に正義や倫理を求めますか?
軽いトークや軽妙な話術でこそ、盛り上がり、各地の名産を楽しめる
のでしょう。
そして彼はそれを、駆使できる話術と技量があるのです。
子供の盗難で、親が自分の仕事のすべてを辞退する必要など、全くないと
私はおもいますね。


子供は親になりたい自分(私)が求め、天から授かったもの。大人になったら天に
返します。返った子供が同じ大人として自分(私)のこと愛でてくれたら、それで
よし。相手にしてくれなければ、それもまたよし・・・

私はもう成人したわが子の責任は取りません。
だから、子供も私の責任は取らなくてもいいんです。彼らは彼らが責任を
取るべき対象を持っている、またはこれから持つのですから・・・。
子を産んで育てるということは、輪廻ということは、こういうことだと
私は信じています。
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# by sala729 | 2013-11-01 12:21 | Comments(0)

世の中に「アホな男」は、数多おりますがこの仕事をしていると、そういう
類と遭遇する割合は世間様の何倍も多いわけで、若き頃にこの仕事をしていると
自分がどんな人間になっているかと思うと・・・怖いです(笑)


そんな、アホ男のお話を今日もひとつ・・・


長峰かすみさんは51歳とお聞きしていましたが、お逢いするととても若く
お綺麗な方で、ほんとに「名は体を現す」を実現しているようです。
そのかすみさんから開口一番出た言葉は・・



「ホントにアホな兄なんです。いつも、私と母はその尻拭いばっかりで、
もうすぐ60ですよ。いったい何時になったら、安心できることやら・・」

ため息交じりにぽつぽつと話すことをまとめると

今年58歳になる、実兄の野沢孝弘さんは、実家の繊維業を継いでいます。
もともとは現在82歳の母が、サラリーマンの父の反対を押し切って手がけた
事業で、細々とやっていたのですが、いつのまにか父も早期退職してまで
肩入れするようになってから、それなりに大きくなりました。


子供は孝弘さんとかすみさんの二人です。

二人とも手がかからず、問題のない子供時代を過ごしてきましたが、孝弘さんは
人のいいおぼっちゃんタイプの典型のような人でした。
学生時代は友達にお金を貸して、踏み倒されたり、交通事故の身代わりをしてあげて
警察沙汰寸前までいったり、水商売の女に騙されて、美人局にあったりと
さまざまなアクシデントを、自分ひとりの力では乗り切れず、その都度
父と母が始末をつける姿をかすみさんも目の当たりにしてきました。


その兄も結婚して少し気の強い兄嫁との間には子供が三人。最初は嫁姑の
ぎくしゃくした関係も、なんとなく落ち着いてきた頃、父があっけなく
亡くなりました。

そしてそれを機に、母も現役を引退して会社をすべて孝弘さんに譲ることに
したのです。
かすみさんは結婚しており、会社の役員に名は連ねているものの
実質、会社は孝弘さんのものです。


そんなこんなで父の一周忌を終えた頃、突然、孝弘さんが妻に「離婚して
くれ」と切り出しました。
理由を問いただすと
「もい一緒にいたくない。他に好きな女ができた。」
「は?」・・・妻としてはこういうリアクションしかないでしょうね。

結婚してから妻は、会社の経理や庶務の仕事をこなしてきましたから、
現実問題としても、ここで妻に去られたら会社経営自体が困ります。

「私が出たら会社、どうするのよ?」
「いや、それはいい。入ってくるのにやらす。」
・・・・・それはどういう意味?と、妻は聞かずに姑に事の次第を洗いざらい
話しました。


少し前から、夫婦の仲がおかしいなと母も感じていましたが、あまりのことに
びっくり。私に相談してきたのです。
母ももう80を越えています。しかも父が亡くなってすぐにこんなことに
なるなんて・・・

実は、兄が会社を継ぐとき、母は反対していたのです。でも、父が亡くなる時に
「あいつも責任もったらしっかりするはず」と、言い残していたので、母も
踏み切ったらしいのですが、全然しっかりしなくって・・・


やれやれ、亡きお父様も間際になって、とんだ見込み違いをしたものです。



調査の結果は簡単に出ました。
孝弘さんはなんと、自分の会社に技術研修に来ている中国人女性に手を出して
妊娠させていたのです。
調査結果を見たかすみさんの顔に、絶望と諦めが広がりました。

「ほんとに、アホです。アホとしか言いようがないです。相手のこの娘は
研修生の中でも一番年上で、確か34歳です。しかも中国に旦那さんも
子供もいるんですよ。もちろん、兄もそのこと知ってますよ。」

・・・・・・・暗闇の道を女のお尻を触りながら歩く孝弘さん。
産婦人科の玄関を女の肩を抱き寄せ、出てくる孝弘さん。

強く噛み締めたかすみさんの唇から、血が滴るのではないかと思いました。


このことは、孝弘さんの妻は知りません。
妻は離婚してもよいと言ってるのだそうです。長い結婚生活で孝弘さんが
どれほど無責任で頼りないかよく判っているのでしょう。
なんの未練もないとまで言っているらしいです。

ただ、母は違います。
いろいろあったけれど、ようやく気心の知れた嫁と今更別れて、しかも
孫は嫁が連れてでます。そして、中国人の連れ子ありの嫁と、今から一緒に
暮らすなんてできないとかすみさんの前で泣いたそうです。

かすみさんにはどうしてあげることも出来ません。
中国人女性との始末はなんとかできても、これを妻に隠しとおせるかどうか。

「ほんとに、なんでいつまでも私や母はあのアホの後始末しなければ
ならないんでしょう。」
美しい顔には、ため息ばかりが浮かんでいます。


「あほボンはいつまでたってもあほボンやなぁ」なんて吉本新喜劇の科白の
一こまが聞こえてくるようです。
かすみさんの憂鬱は濃く長く広がっているようです。
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# by sala729 | 2013-10-21 14:31 | Comments(2)

それは端正な男女の「結婚写真」から始まりました。

向かい合った相談者は、河野典子さん(70才)。今も現役でエステテックサロンを
経営しておいでだからか、失礼ながら今流行りの「美魔女」とやらの括りに
十分に入る資格をお持ちの美貌と物腰です。

その典子さんの娘さんですからこの結婚写真の新婦が、美しくないはずが
ありません。それは当然とはいえ、隣に並ぶ夫という男性もまた、長身の
イケメン。すっと立った姿は、古い表現をすれば銀幕のスターの趣があります。


結婚して7年。なんと子供は4人。
それでも、妻の裕美さんは、所帯じみた「かあさん」ではありません。
いつも綺麗に化粧は欠かしませんし、動作にがさつなところはありません。

もっとも、夫の中原氏は父の会社に入社して10年目。
出身大学は日本の最高学府ですから、当然次期社長は決定しています。
中原氏の両親は、早々と現役をリタイアして、都心にマンションを持ち、
悠々自適の毎日を送っているのだそうです。

絵に描いたような幸せな生活・・・の、はずでした。

そんな美男美女の夫婦であっても、年月は心変わりを促すものなのですね。



ある日のこと、買い物を終えた裕美さんが自分の車に戻ると、目の前を
一台の見慣れた車が・・・
あ・・と、思って注視すると、ハンドルを握る夫の隣に長い髪の見慣れない
女が座っています。

前後を忘れた裕美さんが自分の車であとを追いましたが、もちろん間に合う
はずもなく、見失ってしまいましたが、その日のことを夫に問い詰めました。


もちろん夫は否定しましたが、それが契機のように夫から「そんな風に
見境なく問い詰められて一緒に暮らす気にはなれない。別れたい。」と
言ってきました。
それはまるで、裕美さんがそう言い出すのを待っていたかのようなタイミング
でした。
裕美さんは、夫を愛し、子供を愛し、今の生活を大切にしたいと思っていました
ので、夫を裏切ったことを泣いて謝りましたが、夫はもう何も聞き入れては
くれませんでした。


翌日から夫は自宅に帰ってこなくなりました。
たまに帰っても、一時間ほど子供たちと話しては帰ります。
話し合いをしょうと会社に電話を入れても、「今は出張です」とか「不在です」と
事務員が言うばかりで取り次いでもくれません。

もともと、お嬢様育ちで線の細い裕美さんがこんな生活に長く耐えられる
はずがなく、ある日倒れてしまい、現状を実家の母である典子さんが知ることに
なりました。


精神的に弱い、裕美さんに調査を打ち明けると、夫に判るかもしれないという
典子さんと私の判断で、彼女には黙って実行することにしました。

しかし、中原氏の行動を掴むのは、それは大変でした。
なにしろ、各地にある支店・支社・営業所の統括管理をしているらしく
月の殆どを出張しています。

しかも、予定を本社にも向かう支店にも知らせないのです。
それが「奥様対策」なのか、次期社長ゆえのわがままなのかは
判りませんが、ともかく神出鬼没・・足跡も軌跡も残さないのです。

調査が難しいことは典子さんもよくご理解くださっていて、十分な時間を
いただきました。
そして、ようやく女の存在が判明しました。
そこで、夫と女は実質「夫婦生活」しています。
しかも、このことは夫の両親もすでに知っていたらしく、先日裕美さんの
もとに姑から電話が入り
「あなたも次期社長夫人の座を狙っていたんだったら、これくらいのことは
我慢できるでしょ。」と、言われたそうです。
この時点の、これくらいは別居のことと、裕美さんは受け取っています。
彼女はまだ、女の存在を知らないのです。

そして典子さんに
「私がパパ(夫のこと)を問い詰めたから、いけないの?パパには
女なんていなかったのに、私が邪推したから出ていっちゃったのね。
ねぇ、お母さん、私はどうしたらいいの?
パパに謝りたいけど、私には口も聞いてくれないの。」と電話をかけてきます。

一度、典子さんが
「そんなこというけど、パパだってホントに浮気してるかもしれないじゃない?」と
言うと
「そうかもしれない。でも、してないって言うんだから、してないことに
しないとね・・・」
そう答える娘は病んでますと典子さんは言います。

中原氏の女と、一緒に暮らす家は判っていますが、これを今、裕美さんに告げるか
どうかは微妙です。

このままでいくと、中原氏はきっと離婚に対して強硬手段を取ってくると思われます。
そのとき、こんな状態の裕美さんでは、とても太刀打ちはできないでしょう。

この証拠は典子さんの手元で保管し、その時にはすべてを弁護士さんに委ねるのが
一番でしょう。
その時はじめて、裕美さんは母の愛に感謝するはずです。

こんなに何拍子も揃った、男女なのに壊れる愛もある。
男女の間を繋ぐものは、愛なのか、お金なのか・・・究極の選択は今も昔も
誰も知らない。誰にも判らない・・・・。
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# by sala729 | 2013-10-15 14:47 | Comments(2)

山崎豊子さんの訃報は、ほんとに残念です。
仕事をし終えて・・・というよりは戦いの最中の死ですから、これはまさしく
戦死です。
しかし、そうやって振り返ってみると、山崎さんには終戦がなかったことに
なります。
こうして、戦後の時代を自分の中で戦い続けた人もいらしたのだなぁと
中途半端な戦後生まれの私は思います。



私の世代は両親が戦争体験者で、父は最後の召集兵で満州に行っておりました。
もっとも終戦時には高知に帰っており、戦闘経験はないと本人も語っては
おりましたが・・

母は地元におりましたが、空襲を受けて逃げまくった夜のことは、私はもちろん
私の息子らも何度となく語り続けておりました。
時には、記憶が曖昧で「うそつきババァ」とカゲ口叩いたこともありますが
今にして思えば、体験者からじかに話を聞けたのは、私の財産のひとつです。


そして、そんな身近な戦争体験とは別に、国家的に、世界観のある戦争を語って
くださったのが山崎豊子さんだと私は敬愛しております。
私の戦争感はこの山崎豊子さんと、五味川純平氏の小説で幹が作られていると
思っています。
また、「白い巨塔」は、文庫本でその続編を読んでいるうちに産気づいて、このまま
出産したら一ヶ月読めなくなると(産後一ヶ月は本を読んではダメと言われて
いました)思って、陣痛の中読み終えたことも思い出します。あの時の子が
息子です(笑)



未完の作品があるとはいえ、これからの作品がここで途切れることは残念の
極みではありますが、反面このお年まで自分の仕事に囲まれて、促されて、
そして惜しまれて現役を終えた、山崎豊子さんの生涯は、私の憧れるところで
あります。

もちろん、あんなに偉くもなく、賢くもない、ただの市井の若いおばば(若いと
付けるくらいの色気はお許しください。笑)ですが、いつか私もこんな風に
自分の人生を終え、誰か一人に「あー楽しそうな人生だったね」と、言われたい
ものだとしみじみ思いました。


今年の長い秋の夜にもし一番に読み返すなら「大地の子」かなと、今は思って
います。                    合掌
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# by sala729 | 2013-10-02 14:47 | Comments(0)