秋になったから・・・と、言う訳でもないのですが、先日映画を立て続けに
二本鑑賞してきました。


昔・・私が子供時代。いつも言っておりますがそれはれっきとした昭和の時代で
明治や大正、ましてや天保年間などということは決してありませんので、
お間違えなさらないように・・。

その時代は、映画の二本立てというのは当たり前で、二番館(いわゆる封切館の
次ですね。え?・・封切館が判らない。むむっ、それは困りました。そういう
方から見れば、やっぱり私は歴史の遺物なのでしょうね。。)

・・注釈・・
 封切館というのは、昔の映画会社の専属の映画館で、その会社で製作された映画を
 その地域で一番に上映する映画館です。
 もちろん、一番目の上映だからと言って、こんな田舎の映画館に主役の俳優さんや
 女優さんが封切り挨拶に来た・・なんてことは私にも全く記憶がございません。


 二番館というのは、製作映画会社に関係なく二本、または三本上映していました。
 料金も格安で、一日遊べました。子供は時々無料で入れてくれたりしていました。
 今から思うと、ホントに古きよき時代・・だったのですね。
 でも、私はその時代に還りたいとは決して思いませんけどね。この時代はそういって
 懐かしむだけでいいのです。


・・すみません。いつもながらの長い注釈でした(笑)
しかし、今のシステムに体が慣れたのか、重ね行く年月のせいか、同日二本というのは
ちよっと自信がなく、連続二本ということで落ち着きました。


そして一本目。「夢売るふたり」
主演は、松たか子さんと、阿部サダヲさんです。
まっとうに生きてきてきた夫婦がお店が全焼したのをきっかけに、再建資金を
結婚詐欺で稼ぐというお話です。

こう書くと、コメディ風ですが、それがなかなかのシリアスなのです。
監督が西川美和さんということもあるからでしょうが、細かいディテールが
とても際立っていて、むしろそれが目立ちすぎて、あざとい感があると
思うのは、私の素直さが足りない?

聡明な妻(松さん)指示通りに、次々と女性を騙していく夫(阿部さん)

でも、彼女らには借用書を書いて、それを長押に貼り付けて、「返すんだから」と
誓い合う夫婦。
これは、詐欺師夫婦の中の善意?・・と思えるものの、ちよっと見方変えれば
返済意志ありってことで、犯意を否定できる証拠を作ったの?・・

一番初めに騙される女性は、私も好きな女優さんの田中麗奈さん。
私は、彼女のあのきりりとした目元が好きなんです。
それが、手もなくコロリと純真だけが取り得のような、阿部さんに騙される。
有閑マダムたちも騙される。
容貌に自信のないウェイトリフティングの女子選手は、阿部さんのみせかけの
誠意に騙され、子持ちの公務員はその人のよさに騙される。

これはいいですよ。騙される女たちが多すぎて、もう少し絞ったほうが見やすい
とは思いましたが、これらのシーンは時にコミカルに、シリアスにと変化自在の
松さんと阿部さんの演技で面白かったです。

でも、リアリティの演出のためか、松さんのトイレシーンや、ナプキン取り出し
シーンは、自慰シーンはいりませんね。
あってもいいけど、ひとつでいいですよ。こんなシーンを何度も見せられて、
「うん。これがリアリズムだ」なんていうのは、一世代前の批評家ではないかと
思います。
初めのほうのシーンで、夫婦が自転車の二人乗りしていて、交番前になると
妻がピョンと飛び降り、そこをすぎるとまた乗って走るシーンがありました。
それは、仄々として可愛らしくも思えましたリアリティでしたが、
火事で店が焼け、妻はラーメン屋に手伝い。夫は仕事先を失敗して・・

のはずが、突然高級料亭に二人で勤めていたり、県人会で、ウェイトリフティングの
女子選手と出会ったり、ハローワークの女性と奇跡的な再会したり、
板前の誇りで、前職辞めたはずの夫の包丁の扱いが妙に雑になっていて、
しかも、何度もその包丁を画面で見せれば、誰もが、あぁ、これで何かあると
思うのは必然。これはリアリティと言うのかな?
拘る監督なら、一回だけ見せて、「ああ」と思わせてくれないかな・・と
望むのは私の我儘でしょうか?

この中で、鈴木砂羽さん・・よかったですね。
きりりとした女のだらしなさと、隙をみせる役っていったら、彼女は私の中で
ピカ一です。
あの、思いっきりのいい「嘔吐っぷり」・・・笑えます。でも、心の奥が痛みます。



・・・そして二本目「あなたへ」

これは言わずと知れた、日本映画界の至宝、高倉健さん主演の映画です。
失礼ながら、これが最期になるかもしれないという思いもあって、映画館に足を
運びました。
私は、子供時代から彼の映画を見てきました。
二番館では三本立ての二本までが彼の主演だったこともあります。
小学校の卒業式が終わって、その日に母と二人で「網走番外地」を見に行った
こともありました。

私の中では、高倉健さんという俳優さんはヒーローでした。

でも、それだけに前作の「鉄道員」は、期待はずれ。
それは、映画だ駄作というよりも、彼の老いを眼に感じたからです。
娘役の、広末涼子さんはとてもよかったです。
妻役の大竹しのぶさんも、まあ、彼女なりに・・・

でも、高倉健さんも、存在感はもちろん申し分なしでした。
スターのオーラも感じました。でも、やはり周りと比するとその「老い」は
ひしひしと感じられる気がしたものでした。
そして、それ以降もう映画で見るのは辞めようと秘かに思ったものでしたが、
彼も以降は、訳のわからぬ中国映画に出ただけで、ずっと沈黙を守っておりました。

もう、見に行かないと思っていたのです。本当に・・
でも、やはりこれが最期かもしれないと思うと、見ずにはいられませんでした。
・・最期、最期とすみません・・


それはもう豪華なキャストたちで、それ見るだけでも、楽しかったです。
その中に、三浦貴大君がいて、かれは「儲け役」でしたね。
私は、余貴美子さんがよかったと思っています。
ちよっと癖のある翳を引きずるような役がまたよく似合うんですよよね。
最近、テレビで明るくて一癖ある役をよくやっていらっしゃいますが、
私はあの恨みがましい上目の翳が見たいです。(笑)

田中裕子さんは、BSの「蒼穹の昴」以来、なんだか突き抜けたみたいで
「甦った田中絹代」さん的な雰囲気を感じました。
透明感のある綺麗な声で、染みとおるような童謡を歌うのですが、それだけで
薄幸感がビシバシ出ていて、さすがです。

健さん映画でお馴染の、大滝秀二さんも、石倉三郎さんも出てました。
長塚京三さんも、出世したものです(笑)


そして、肝腎の主役の高倉健さんです。
あの、鉄道員から何年たったのか・・・その年月ほどではないにせよ
当たり前ですが、やはり年は経ていました。
後姿の歩き方や、顔のアップ(これは多すぎ。ちょっと嫌味なくらい)

何より、如実に感じられたのはその手です。
手の甲から腕にかけての、老人汎と、濃茶に染まった皮膚に刻まれた皺。
これはいかんともしがたく、健さんの老いを曝されたような気がしました。

しかも、手ですからよく出るのです。
秋の風鈴を妻と持つ。妻の絵手紙を見る。ハンドルを握る。散骨のために
握った拳を海に入れる・・・そのとれもが、手のアップになって迫ります。

もちろん人は年を取ります。当たり前ですが・・
父親のような年齢の人に、それを指摘するのは酷かもしれませんが、彼は
「高倉健」として映画に出ることで、すでにもう何もいらないのです
ひたすら、雄々しく凛々しく映ればもうそれでいいのです。
それだけで、癒され勇気づけられ、励まされる人がこの日本の国には
沢山いるはずです。

どうせ撮るなら、そういう撮り方をして欲しかったと思う私は・・たいへん
失礼なこと言っていると思います。
でも、謎に包まれた最後の大スターという形容は、俳優さんにとって、決して
嫌なものでも、恥ずかしいものでもないはずです。


さて、次は演じたり、製作したりするほうでなく、見るほうの問題。

「夢売るふたり」は、家人と行きましたが、「あなたへ」は、私一人で
いきました。
それぞれ別のシネコンですが、「あなたへ」は、もう公開されて時間も
たっていますので、さほど混んでは居まいと高を括っていたのですが
なんのっ!
大スクリーンではないものの、座席はほぼ満席。
しかも、60代前後の夫婦連れか、女性二人組みばかり。

いつものように、入場前に、コーラを求めて売店に並ぶと、私の前には女性
ばかりが4.5人。
すると、私の前にいる女性に「おい。そのおばさんよりうちの方が先じゃが。」と、
もう一人分前に押し出そうとしています。
女性は恥ずかしげに、身を捩っていますが、男性はお構いなし。

確かにその列は混んでいました。定員さんの捌きも下手そうではありました。

「ほら、先やが。」同じ言葉を繰り返して、妻であろう人の腕を掴む夫。

その目の前で、隣のレジが開きました。
若い男性店員が、お待ちのお客様どうぞと言うと、その夫は妻の肘を掴んだ
ままそこに向かいます。

・・・ちょっと、普通はここの二番目さんが行くんでしょ。と、思いましたが
一応は堪えました。


そして、何か妻が注文すると、男性店員さんは右往左往。
何種類かあったのでしょうね。

「あの、にーちゃん、何しとるんや。」と、いちいち煩い夫。
しかも、妻に叱りつけるように言ってます。
妻は困ったように、店員さんを見ています。

・・・なんだあの夫。そんなに言うなら、自分で並んで自分で買えよ。
私の中でもう一人の私が毒づきます。
で、あんな夫婦に限って「あなたへ」を見るんだよね。と、ひとりごちたのですが
確かに、買ったジュースやポップコーンを妻にすべて持たせて、夫婦は8番
スクリーンに消えていきました。私と一緒です。

私も買い終えてシートに座ると通路をひとつ隔てて、女性の二人連れ。
二人して、なにやらべちゃべちゃ。声は次第に大きくなって、息子や嫁の
悪口と不満がたらたら・・・スクリーンは予告編になりましたが、終わりそうに
ありません。

携帯電話切って・・の、注意画面もスルー。

さて、本編に入りました。
しかし、話は終わりそうにありません。さすがに言おうかとしたとき、
はるか後ろから女性の声で
「もう始まるから、静かにしてっ!」と、厳しい声。

はい、それからは黙りました。
でも、本編が終わって画面が黒くなった途端、彼女らの話はいの一番に
始まりましたけどね(笑)


ちよっと観客のマナー、悪すぎです。
話聞いてみると、普段映画見ないけど、高倉健さんのだから、ほんとに久しぶりに
という方は多いらしいです。
でも、それとこれとは別。

しかも、どれもいい年したた大人が・・・です。
これでは、子供にどのツラ下げて、躾けができるでしょうか。

これは、高倉健さんが私に暗示してくれた「反面教師」なのかもしれないと
思いました。
映画だけでなく、自分が年を経たときに、こんなにはならないように、
そう教え諭してくれるために、今日の観劇があったのだ・・・なんて
ことは思いませんけどね。(笑)

でも、戒めにはしておこうと思います。

大丈夫・・キミはポップコーンやコーラを抱えて入ることはないよ。それ
ボクの役目だから・・という家人の口は何で封じたらいいでしょうか?
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by sala729 | 2012-09-11 14:26 | Comments(2)

我が家には夫々を相手のお決まりの「言葉」があります。
それを例えるなら、合言葉というのかもしれませんが、傍らで聞いていると
「またか・・」と苦笑いする・・・そうですが本人たちは至って自然に
遣っているものですから、気になる、なんてことはありません。

尤も、私は大抵のことは気にならないタイプなのだそうです。
周りがそう言うのです(^^)


息子が私に何か頼み事がある時にかけてくる電話の初めのフレーズは
「わが親愛なる、聡明で美しく、かつ寛大な母上・・」

初めて聞いた方は、あまりの大仰な科白に、「こいつ、気は確かかっ!」と
思ったり、あまりの馬鹿ばかしさに、苦笑するしかない・・のだそうですが
これに応える私の科白も決まっていて

「聡明は悪知恵で、美しいは程々で、寛大は大雑把と置き換えて聞いて
おこう・・」
と、返すと打てば響くように彼からは
「ご明察!」と返ってくる。

なんともまぁ、家人いわく「ややこしい親子やなぁ」なのですが、
この最初の「合言葉」で、今回の電話の内容があらかた察することができると
いう点はなかなか便利ではあります。

そんなことする間があるなら、早く用件に入れ!・・という声もありますが、
親子のコミニュケーションということで・・(笑)


こんなことを認めると、Sがマザコンだって思われて、ますます結婚から
遠ざかるよと、家人は心配するのですが、そう思われるならそう思われなさい。
大体世の中に、マザコンでない男性などいない・・私は断言できますから
もしそういう認識を世の女性達から持たれたのなら、息子よ許せ。(高笑)


さてもうひとつ・・・
我が家のちびですが、幼稚園の年中組になって、自分でトイレでオシッコも
出来るようにはなりました。

なりましたが、大好きなお絵描きや、遊びの最中に催すと、トイレに駆け込み
早く戻ろうと、力まかせにパンツとズボンを一緒に引き上げるので
パンツはズボンと体の間でよれよれになってしまっていました。
ゴムの部分などは、綺麗に折れ曲がってどうやったらこんなになるかと
思うようなはき方でした。

8月の終わりに、海亀水族館にみんなで行った時のことです。
やっぱり、オシッコ後でパンツとズボンがモコモコになっているのがポロシヤツの
上からでも判ります。
見かねて、手を出そうとした私を制して、娘が
「パンツの乱れはっ!?」

すると、ちびが間をおかず「心の乱れっ!!」と、応えたかと思うと、ささっと
ズボンとパンツを握りなおし、彼なりの美意識できちんとはき直したのです。

その返事の生きのいい響きと、機敏な動きにしばし見惚れてしまったほどの
きびきびしさです。

「いつも、パンツをきちんとはかないから、前にテレビで見た、自衛隊の
訓練の口調でやってみたら、これが効果抜群で・・」と、娘は笑っていましたが
いやはや、自衛隊の皆様、ありがとうございます。



娘家族は、婿殿が自衛隊フリークでして、海に自衛艦が来たと言っては乗船見学に
陸自の演習公開と言っては見学に行く家庭ですから、ちびも自然に自衛隊員さんの
きびきびした行動を見てはいたのでしょう。

それを逆手にとるとは・・・娘よ。なかなかやりますね。
親として、娘の親ぶりにはいろいろ注文も多く、まだまだと思っておりましたが
いつの間にか、初心者マークはきれいに取れていたようです。


しかも、これはちびと娘だけの間だけでなく、声をかけた者とかけられた者
(必然的にちびしかいないのですけどね。笑)に、発生するらしく、
私が「パンツの乱れはっ!?」と、言っても、即座に
「心の乱れっ!」と、パンツに手をやります。
家人がしても同じです。

本人は至って真面目にしているのですが、これがなんとも、面白い。
いやはや、子供は飽きませんなぁ・・(笑)

大きくなっても、小さくても、子供はいつまでも親を、大人を楽しませて
くれるものです。
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by sala729 | 2012-09-05 11:10 | Comments(2)

いつものように、あっという間に8月が終わり9月になりました。
今も、窓の外は雷鳴が響いて、夏が去り行く大きな足音を残しているようです。

さきほど、近くのデパートに行ってながーい昼休み(笑)を楽しんで来ました。
平日のデパートは閑散としており(ここは、平日でなくても・・なんですけどね。)

その日、そこでは古代紫を現代に甦らせたというデザイナー氏の作品展と
即売が催されていました。
上海の博覧会で展示されたものと仰々しい看板が出迎える中、展示場に入ると
先客は妙齢の女性客が二組。二人連れとお一人様です。

確かに、濃淡の段染め紫は、高貴で艶やかで匂い立つような美しさが
周りを圧倒しておりました。

芸術的なマネキンにその衣を着せたり、壁に展示したりしているものも
ありますが、その間にハンガーに吊るされた、何点もの販売作品が並べ
られています。

販売員の女性は自らも、紫のオーガンジー風の上着に、ゆったりとした
パンツといういでたちで、決して派手ではありませんが、その場の
雰囲気を壊さないような、慎みと品位を感じるものがありました。

彼女は二人組みの接客をしておりましたので、私ともう一人のお一人様客は
自由に作品を見せていただいておりました。

そこに、恰幅のいい体を白いジャケットに包んで、白髪気味の長髪を
後ろセンターでひとまとめにした60才前後かと思われる男性が
奥から出てきて、つかつかと私ではないほうのお一人様に向かっていくと

「どうこれ。いいでしょう。」と、親しげに薦めるのです。
そのお一人様は、60代と思われるのですが、私よりは気弱げ(あなたより
気の強い人は、まずいないっ!と、断言した家人にいつものアッパーを
お見舞いして・・)
で、作品をハンガーから出しては、戻し、また出しては戻しを繰り返して
いました。

「え・えぇ。いいですね。だけど・・」気弱夫人は小さな声で応じています。
突然に現れた、ドン小西風の男性にたじろいている様子はありありです。

「いやぁ。これだけの作品お目にかかれませんよ。ほんとなら、美術館で展示して
入場料がいるんです。それをタダで見れるなんて、幸せでしょ。」

なんたる、押し付けがましい言い分。その時には、私はそのドン小西風が、この
作品のデザイナー氏だと判りました。

「え、ええ。そうですね。でも、ちょっとお高い・・」

「何言ってるんです。高いなんて。タダで見られて、高い安いで決められる
ような作品じゃないんですよ。ほんとに何言ってるのか、見る目がないにも
ほどがある。ほんとにこんなじゃやってられないよ。
それに、そうやって何度も 入れたり取ったりするんじゃないよ。
ほんとにもぅ、商品のことなんにも判ってないん゛から・・」

・・・・・・私はこの会話を聞いていて、胸がムカムカしてきました。
(よく、あることだけど・・BY家人)

・・・・何言ってるのとは、あなたのことよ。美術館で入場料ですって。
あなただって、ここで出展していたら、即売も出来るからって言うんで
決めたんでしょ?。得したのはどっちよ。
それになに?・・・高い安いの問題じゃないって?・・一理はあるけど、道理は
ないわよね。お金を出す人が高いといえばそれは高いのよ。
作った人間が、高い安いを判断するなんて、作品が泣くわよ。
しかも、お客に向かって、見る目がないってどういうこと?
売る気がないんなら、初めからこんな田舎のデパートで作品展なんかしなきゃ
いいでしょ?
上海や中国で売ればよかったのに?・・・もっともっとシビアーな高い安いの
ご婦人たちが押し寄せてくるかもね。・・・・・・・・・・・・・・・・

その上、商品を出し入れするなぁ?
出し入れしないでどうやって見るというのよ?あなたの洋服は遠くから眺めるため
だけに作られているの?


私は、デザイナー氏が私の方に来るのを待っていました。これだけの反論を用意
して・・(笑)

私がよほど挑戦的な目をしていのか、それとも気弱夫人をいたぶるのがそんなに
面白いのか、デザイナー氏は、なかなかこちらには来ません。
ちらちらと、こちらは見るのですが・・(笑)
もちろん、「敵対ビーム」一杯の視線を投げておりましたけどね。





さすがに上品な売り子さんも、デザイナー氏のあまりの傲慢な態度と物言いに
眉を顰めてチラチラと見ていました。
そして、同じように見ている私と目があうと、困ったように視線を落としました。


なかなか獲物を手放さない、デザイナー氏と、手の内から逃げられない哀れな
気弱夫人を見かねて、私が一踏み出したその時、彼はさっと踵を返して、
フンフンと鼻歌を鳴らしながら奥に消えていきました。
それは、突然のことだったのでしょう。置き去りにされた気弱夫人も呆然として
おりました。

しかしその時、彼女の肩がほっとして落ちたことを私は見逃しませんでした。

私は去り行くデザイナー氏を引きとめようかとも一瞬は思いましたが、それを
するほどの「若気」はありません。(^^)



私はこういう傲慢な商売人が大キライです。
お客様の中にも、もちろん傲慢で我儘で偏執的な人間はおります。
しかし、買っていただく側が傲慢でどうしますか?
しかも、相手はこんな田舎で平日で閑散とした昼日中に来ていただいた貴重な
お客様ですよ。

そんなときこそ、心をこめてより大切に接客するのがプロとしてのあり方ではない
ですか?

自分の作品に自信があり、愛おしいものならば、なおさらのこと、大切に
してくださるように、愛してくださるように、お客様に思っていただけるように
お伝えして、受け止めていただくの、生み出した者の務めではないですか?

それが、今蔓延している、大量商品激安商品との違いではないですか?


もちろん気弱夫人は、デザイナー氏が離れた途端、そそくさと会場を後にしました。
私ももう購買意欲も、見学意志もなくして、ここを去ることにしました。
もう一度、会場を見回すと、上品売り子さんとまたまた視線が合いました。

(あなたも大変ねぇ。)
(ええ。ホントにそうなんです。デザイナー氏が来ないほうがよかったんですけど・・)
(そうよねぇ。あと二日。頑張ってね。
(はい。頑張ります。)

・・・・と、現実の言葉を交わした訳ではありませんが、こんな心の会話をして
いつものように、地下のお魚売り場に向かったのでした。
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by sala729 | 2012-09-03 16:05 | Comments(0)