033.gif 9月になりましたね。。


これはこれで「母の愛」と納得させられることはこの仕事をしていると多々あります。
他人から見れば???マーク一杯の言動も、母の行動原理からすれば、至極当然で自らに恥じることも、問いかけけることもないと、きっぱりと言い切るお母様は多いでしょう。
それが、誰の目にも多少、「奇異」に、映ったとしても・・(苦笑)

野上美保子さんからの電話は、延々1時間は続いていました。
もともと、相談電話から始まる仕事ですから、ご相談については対応しますが、最初から1時間は、なかなかのものです。

そして、私が野上さん宅を訪問したのは翌日の午後。
前日の雨が朝まで残って、どんよりと重たい雲と、湿った風がなんとも居心地の悪い時間を作り出しているような、そんな午後でした。

周りは綺麗に整地された大きな区画の瀟洒な家が立ち並び、こじんまりとはしているけれど、これもお洒落なハイツや、小さな公園が絵に描いたような「素敵な一角」を作り上げている、そのど真ん中に、突然広がる青田。
そしてそり青田に向かい合って、築70年はゆうに越えているだろうと思われる東西にながい、古びた農家。
それが、目的の野上家でした。
それは、なんとも場違いで、そこだけがセピア色の時代を遡った空間でした。
舗装路から青田づたいに、雑草の生い茂る庭先を入ると、茶色のちっちゃな蛙たちが、おおあわてで、ピョンピョンと飛び跳ねて、突然の闖入者である私を威嚇します。

本当に何年ぶりかでこんなに数多くの蛙を見ました。というより、踏んずけては大変とあちこちに交わしながらヒョコヒョコと進む自分の姿が滑稽なような、情けないような・・(笑)
・ ・ちなみに私・蛙大っキライです。虫も嫌いです。
ヘビもトカゲも、ミミズもカタツムリも、ナメクジも、セミもスズムシでさえも「虫」と名の付くものはぜーーんぶ「キライ」ですっ。


そうやってやっと辿り着いた、落ちかけた土塀に並ぶ、建てつけのわるそーな玄関。
絶対に電池切れだろうと確信できる壊れかけのブザーを二度、三度・・
奥のほうからパタパタと人の気配はします。
そして、おもむろに玄関戸をかかえあげるかのようにして、ガタピシと動かして、ぬうっと顔をだしてきました。

それが・・野上美保子さんとの初対面でした。
野上さんには二人の娘がいましたが、姉のほうは夭折していて、今は35才の二女と、
半身不随の夫。そして美保子さんの三人暮らしです。
その、二女早苗さんの様子が最近おかしいというのです。

去年から三回あったお見合い話をことごとく断り、(そのうちの二回は結納まで進んでいたというのに・・です)
毎夜、毎夜の深夜帰宅。
これでは、どんな母親でも不審に思います。

しかし、美保子さんのちょっと変わっているのはこれからです。ことが
彼女は早苗さんの帰宅が何度言っても遅いので、待ちきれなくなって、早々に寝てしまいます。
そしてそのとき、何箇所かの出入り口の鍵をしっかり施錠して、外からは開かなくするのです。早苗さんが合鍵を持っている正面玄関と車に至っては、キー自体を取り替えてしまいました。

そうすると・・どーなるか・・
中に入れない早苗さんは、そのまま裏口に回って、納屋の広縁で寝たり、車庫の車の横でパーカーにくるまって震えていたりということが続いていたようです。

「だって、そーでしょう。親ですからね。子供に躾するのは当たり前で、門限決めるのは、どこの親でもするでしょうぉぉ。」
はい。します。
でも、外から一歩も入れなくしたり、鍵を取り替えたりまでする親は、なかなかありませんよね。

でも、早苗さんもさる者です。朝になると、目を擦りながら母屋に入り、そ知らぬ顔して朝ごはんを食べ、仕事にでるのだそうです。

そして、それにも業を煮やした美保子さん・・今度は
「自分の朝ごはんは自分で作りなさい。それがいやなら食べんで行って。」と宣言したそうです。
すると、案の定、早苗さんは朝食抜きで仕事にでるようになったと言うのです。

その美保子さんの相談ですから、当然仕事は早苗さんの素行調査ということになります。
そして、調査ははじまりました。
彼女が仕事を終えて、どこで何をしているのか??

調べてみると、早苗さんはパチンコ店で知り合ったと思われる夫婦の「パシリ」のような毎日を送っていました。
その「パシリ生活」をお伝えするために、再び野上家に・・。

この日は、まだまだ夏の陽射しが照りつける日で、当然蛙たちは影も形も見えません。
向き合った美保子さんは固く唇を閉じています。
そして、一連の私の話を聞き終わると、やにわに話はじめました。
そう・・まさに口角泡を飛ばして・・
私に、一言一句も嘴をいれさせはしません。
とうとうと、もう何十回もお聞きした、三回のお見合いの顛末(彼女の中にはルールがあるみたいで、二回目の見合いから必ず始まります。そして三回目に行き、一回目に戻り、再び二回目。それが1クール。そのクールが一回の面談で何度も繰り返されます・・ふぅぅぅ)

「私はね、この野上の家と土地を早苗の子供に残したいんですよぉ。だから誰でもいい。50歳でも、60歳でもいいから、早く相手作って子供作って欲しいんです。
そしたら、離婚しても、捨てられてもいいんですよぉ。」

…なんと、また、大胆な・・(^^;)


こんな母の大胆な願いを知ってか知らずか、今夜も早苗さんはパチンコ夫婦と一緒です。サラ金にまで手をだして…。

さてと、この母娘、どうやってお互いの立場がわかるようにすればいいものか・・
思案して野上家を辞した私の目の前を、ピョコンと、蛙が・・

案の定、帰りの高速道路はどしゃぶりで、ワイパーなんか役に立たない有様・・
これって、私のせいで「蛙さまの祟り」???
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by sala729 | 2008-09-06 15:19 | Comments(0)