正面には水の流れる階段がしつらえて、ホテルのティルームは昼下がりの静寂のなかにありました。
二人かけテーブルなのですが、向き合う形ではなく、隣り合わせで同じ方向をみているように椅子は置かれています。

中里藍子さんは、42才というその年齢をずっと若く感じさせる、素顔に見えるナチュラルメイクはなかなかのものです(^^;)
人差し指を口元に当てながら、話し始める仕草は、なんとなく「男心をんすぐる」という言葉が
浮かんできそうな気がします。

「じつは、私、主人に内緒で5年前に、水商売してたんです。そのときのお客さんで、ジローさんって言うんですけど、その人とそれからもずっと、月に一回あってたんです。」
「お互いに本名を隠して?」
「ええ。私は源氏名で、かれはジローで・・ふふふ。で、私がお店をやめても、月に一回、彼から電話が入って、○○ホテルの1100号で待ってて・・・とか言われると、そこへ行く・・ってかんじですね。」

「はぁ・・・それで、その、いわゆるお金のやりとりとかは?」
「いいえ。ありません。ありません。お金なんて・・。でも、プレゼントはもらいましたよ。いろいろと。」
くすりと笑う、藍子さんは、なかなかに魅力的です。

「ブランドものとか?」
「ええ。そうです。それとか、洋服や、靴とかも。」
「じゃあ、外で会うこともあったんですね?」
「いいえ。それはありません。二人で歩くと目立つと言って、外で歩いたことは一度もありません。」
「では、どうやってプレゼントを?」
「カタログです。それで選んでおいて、次のときに彼が買って持ってきてくれるんです。」

話をしている藍子さんの頬は、ピンク色に染まっています。
きっと、彼女にとってそれは嬉しい思い出に違いないはずなのです。

「洋服もそのとき彼の前で着て、綺麗だよなんて。ふふふ」

・・・・・まったく、もう、純真なんだか、たんなるアホなんだか・・・・・・(溜息)

「それでよかったんですこのままで・・・それなのに、先週あったとき、ジローは、私に、ほんとは
42だったんだねって言ったんです。」
藍子さんは悔しそうに唇を噛みます。


「私、確かに年はサバよんでました。ジローが41と、知ってましたので、私は32と言ってました。でも、そんなことはどうでもいいんです。問題は、ジローが私のことを知ってるってことなんです。お互い、何も知らないことにしょうって言ってたのに、ジローは、いつのまにか私のこと調べてたんです。
これが、もう私にはショックで、ショックで・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うーむ。10歳サバ読まれていたジロー氏のほうが、ショックは大きかったかも・・・なんてことは、言いませんけどね(苦笑)


「それで、ジローが私のこと知っているのに、私は彼のこと何も知らないなんて、と、思ったら恐くて・・・・それでご相談したんです。
うちには年頃の娘もおりますし、主人にバレても困るんです。」
娘や主人と言う時だけ、藍子さんの瞳に戸惑いや、危惧が浮かびましたが、楽しげにジロー氏との不倫を語るときの藍子さんは、少しも悪びれた風もなく、堂々としてさえ見えました。

「ジローは堅い職種のサラリーマンと言ってました。いつも、びしっとスーツを着ていましたし。
時々電話で、なにか難しいことも喋っていました。
決してハンサムではないんですけど(笑)、うーん、なかなか素敵でしたよ。」
こんなことを話す藍子さんはちょっと誇らしげでさえありました。


5年間・・毎月の秘め事。
ジローの今回の行動がなければ、これはまだ続いていたのでしょうね。
夫も娘も知らないままで・・・・
ジロー氏は、あと10年くらいはこのままの関係続けたいねって言っていたそうですが・・・。

・・・・おぉぉブルブル・・・主婦は恐い。秘密・・・もちすぎ(苦笑)
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by sala729 | 2007-11-20 18:07 | Comments(2)

ゆみこさんは30才で小学4年と1年の子供がいますが、現在は実家に帰っており、新しい職場では人気者になっているようです。
彼女が実家に帰ったのは、そもそもが夫の浮気が原因です。
ゆみこさんと夫は中学の同級生で、その時代から付き合っていて、高校を出るとすぐに結婚しました。
中学の純愛を実らせたふたりは、友達うちではちょっとした「ヒーロー、ヒロイン」でした。
彼は、手作りの家具製作をしていましたが、なかなかに素質があったのでしょう。二年ほど前に独立して、社員1名とバイト2名をかかえる社長になりました。
仲間たちの羨望はますます高まり、二人は幸せの絶頂・・・・の、はずだったのです。

ところが、そう上手くいかないのが世の常・・というものですね。。あら、いやだ。いま「つくもがみ貸します(畠中恵・作)」読んでるものですから、なんだか口調が時代ががってきたみたいですわ(苦笑)

ともかく、彼は絶頂期で、こういうときは周りの女性たちもほおってはおきません。
そうです。お定まりの・・・「浮気」の虫が・・・・・(くっ、やっぱり時代調ですね)

相手はすぐに判りました。
なにしろ、仲間内の有名人です。ゆみこさんが友達に相談するやいなや、友達がそれとばかりに動き出して、少年探偵団さながらに、彼をつけまわし嗅ぎまわったのです。
女は20才のキャバ嬢です。

ゆみこさんは彼を問い詰めました。
そうすると、彼はいともあっさりと女とのことを認め「もうオレは離婚する」と、開き直ったのです。
ゆみこさんは、そんな彼を残して実家に帰りました。
友達の手前もあり、彼女には離婚の意思など皆無です。

なんとかやり直したい・・・と思い詰めるのに、ゆみこさんの行動は・・・
まず子供たちを転校させました。そして自分も新しい職場をみつけました。
そうなんです。彼との暮らしの拠点だった家を自ら捨てたのです。

それなのに、彼とは離婚したくないと言い、もとの家に戻る気はないというのです。
では、彼とよりを戻すには、どうするの?
彼にここにきてもらうの?と尋ねると、ここは実家だし自分の両親も彼のこと怒っているから
ここにはこれない。
じゃあ、新しく家を借りて再出発するのね?と聞くと
そんなことができるのでしょうか?と、マジで問いかけてくるのです。

証拠がとれたと言っても「見たくないですぅ」と拒否し、彼から離婚調停突きつけられても、逢いたくないですと逃げ出す。
私にもいろいろ相談事かけてくるのですが、ちょっと厳しいこと言うと「Aさん、怖いぃぃ」と絵文字メールが届く。

ようするに「子供」なんです。子供なのに子供がいる・・・そんなかんじですね。

ところがこのゆみこさん・・・・子供だったり女だったりするのです。
実家に帰って、再就職した先で、ある男性から声をかけられました。
ゆみこさんにしたら、彼以外の男性というのは初めてのことです。
ドライブ行こう。お茶のもうと誘われて、悪い気はしません。
そして、ずるずると・・・・・

ところがその男性は妻帯者で、しかも二人はもう肉体関係を結んでいました。

もちろん、私は絶句・・・ゆみこさんを責めました。
「だってぇ。旦那さんばっかり遊んで・・・私、淋しいし悔しいし、Aさん、なんとか仇とってくださいよ。早く。早く」

だってぇぇ・・・って(怒)

これではまるで子供です。
世間知らずの子供。
旦那さんが浮気したから、だから私もって・・・・
自分が親である自覚といものは欠落しています。
旦那さんとやり直したいといいながら、子供も転校させて家に戻るつもりはない。

これでは、駄々をこねるだけの子供と一緒です。
これで私が何か言おうことなら「Aさん、こわ~い」と、泣き顔の絵文字メールが届くのです。
・・・・・・・・もう、やだ・・・・・(**)


続いてもう一人・・・

中内光代さんは41才です。
最初の夫とは、夫の暴力が原因で離婚。二回目の彼には1000万も貢いで逃げられ、現在進行形の彼は妻子もちという典型的ダメンズウォーカーです。
その彼も×2の再婚で、子供が三人います。
上の二人は妻の連れ子で、上の子は借金まみれ。次の子は自閉症。下の子はまだ4才という
摩訶不思議な家族です。
光代さんは、彼夫婦が離婚さえすれば、自分は彼と結婚できると思い込んでいるのです。

その光代さんが一昨日、深刻な声で電話してきました。
「また、Aさんに叱られるかもしれないんですけど・・・(むむ・・・私ってそんなにあっちこっちで怒っているの???)」
「なんです?」
「や、やっぱり、怒ってるんですね。・・・じゃ、やめます」
じゃ、やめますってあなた・・・(呆れ・・)

「話たいから電話してこられたんでしょ?」
「そーなんですけど・・・・でも、怒るでしょ?怒りますよね?」

「そんなに何度も怒るかと聞かれても、話、聞いてもないのに答えられないでしょ?」

「そーですよねぇ。あの。。あの、私・・・妊娠しちゃったんです。」
「えっ!・・・それって彼のよね?」
「そうです。」
「・・・避妊とかしてなかったの?」
「・・そのときは・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そのときはって・・・・避妊ってそういうもんじゃないでしょうに・・・。

「でも、彼に認知してもらったら、あなたの立場としては、悪くないかもね。」
「だめです。だめです。前に冗談で、妊娠したらどうするって聞いたら、そんなら別れにゃならんだろっていわれました。」
「じゃ、どうするの?」
「黙って産みます・・ひとりで、誰も知らないところで・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ然・・・・

黙って産みますって・・・あなたには引篭もりの娘がいるけどその子はどうするの?
生活はどうするの??

決して子供とはいえない年齢の光代さんのあまりの「少女」ぶりに、呆れ果てたまま、私には次の言葉が浮かびませんでした。

それにしても・・・この幼児性。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まわりの人たちを、迷惑坩堝でかきまわすような
彼女たちの幼児性に、暗澹として、次の言葉を探す私は、ほんとうに彼女たちが言うような
「怖い人」なのでしょうか??
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいえ。なんと言われてもいいです。
いいですよ。
彼女らから「優しい」と、指差されても、きっと決してなにも嬉しくないと思います。

私は私であるだけです。
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by sala729 | 2007-11-14 16:08 | Comments(4)

かわいらしい面差しが、ときにキリリと見えたりして、宮城由利子さん(49才・仮名)は、なかなかに魅力的な女性です。
お嬢さんの結婚調査とか、ご自身の年齢とかを、お聞きしていなかったら、とても40代後半には見えません。シャネルマークの黒のタンクトップも、羽織った白いカーディガンもおしゃれです。


「実際の調査はしなくていいんです。」
その、由利子さんから開口一番そう言い渡されました。
「は??」
「私には娘がおります。その娘が近々結婚をします。もちろん、相手のことを私たち夫婦はよく知っています。とてもいい子です。なんの不満も不足もありません。
でも・・親戚が、それではダメだと言うのです。
うちは一人っ子で、養子に来てもらうのですが、親戚が相手のこと調べておかなければダメだと
言い張るんです。
それで、そのままほうっておくわけにもいかず・・・・でも、実際問題、調べてなにかでると困るんです。私たちは、もう何があっても、二人を結婚させるつもりなんですから。」

「は、はァ・・・」

なんとも返事に困るような申し入れです。。。

「ようは、調査をしたという事実だけが欲しいということなんですか?」

「そうです。親戚に見せるためだけに調査したいのです。だから、悪いことが書かれていたら困るんです。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うーむ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「もちろん、相手の男の子はこのこと知ってます。今から、あちらのお父さんもここにきます。」

「えっ!」


結婚調査の面談に相手方の父親が同席するなんて・・・・馬鹿な・・・・

「お父さんから、いろいろ聞いてください。なんでも話しますと言ってくれています。わたしたちは、あの子のことが気に入ってるんです。なんとか二人を結婚させてやりたいんです。だから
親戚に、難癖つけられるようなことが報告書に書いてあると困るんです。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まぁ、大筋で由利子さんの言っていることが判らなくはありません。ありませんが・・・・・

調査という行為に対しての目的が、理解しがたいですね。


親戚云々とおっしゃるなら、若い二人にちゃんと説明するようにと親としてお話になればいいことではないでしょうか?

そうこう思いをめぐらせていると、お嬢さんの結婚相手のお父さんが現れました。

白髪の混じった髪をオールバックに流して後ろで一まとめに結んでいます。
白か生成りか判らないワークシャツに、ブリーチのジーパン。太ももあたり穴が開きかけています。
よく言えば「ちょい悪」。正直に言えば「胡散臭い」おぢさん・・・です。

「あ、おとーさん、ちょうどよかった。今来てもらったんですよ。全部、情報話してくださいね。」
「あ、どーも。」
どうみても年齢はお父さんが上ですし、古い考えかもしれませんが、男性側のお父さん・・・という立場にもかかわらず、主導権は由利子さんが握っているようです。


「では・・・」
私は淡々とお話を進めるだけです。。。
お父さんは、時々天井を見上げながら、思い出して訥々と話してくれます。

一応お聞きしたものの、ちょっと心に引っかかるのは、この家は男の子が三人いて、今回の子は三番目なのですが、上の二人もそれぞれ婿養子に入っているのです。
もちろん、そういう偶然もあるでしょうし、姓がキライとかいうこともあるでしょうが、三人が三人というところが、なぜかひっかかるのです。
しかも、長男も次男も、相手は自営業のひとり娘。そして、由利子さんのお嬢さんも・・・です。

その上、彼(お嬢さんの相手・・・三上君ということにしておきます)と、兄たちは両親の離婚に際して母親についていったにもかかわらず、父の姓を継いでいる・・・にもかかわらず・・です。
なんかひっかかるでしょ?
それに三上君のお父さんは、自然食品を扱う仕事をしているとは言いますが、会社に所属してるわけでもなく、グループがあるわけでもないのです。
そうなんです。早い話が「無職」と、一緒・・・なのですよ。


・・・・・・・・まあ、こんなことだから、本腰をいれた調査をしたならば、親戚の非難がボロボロでてきそうなことは確かです。
それが判っているからこその今回の依頼なのでしょう。

・・・・・問題なしと書いてくれと、由利子さんは言います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それを受け入れることはたやすいですし、なんの調査もなく、言われたままを書くほうが楽ですし、利益率も高いです。
でも・・・・・自社の名前を出した報告書を作成する以上、嘘は書けませんし、裏づけのないことはかけません。
そのことは由利子さんにご理解いただかないといけないのです。

それをご理解いただいたうえで、ご親戚の皆様に充分配慮した表現をするということで、ご納得いただいたのですが・・・・
それにしても・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんだか消化不良な一日でした。
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by sala729 | 2007-11-09 12:16 | Comments(2)