そこは海辺の町とはいえ、行けども行けども目的地は遠く、高速道路を三本も乗り換え、国道をひたすら走り、その所要時間の合計が4時間という、まさに日本の片田舎・・・でした。

話は複雑で、四人兄弟の梨本家の長男は、よく言う「長男の甚六」とやらで、いいように言えば優しい。
はっきりいえば、優柔不断な正真正銘の「長男」といえるタイプの方のようです。
20才年下の三度目の妻、まつ子さんは、陰気で暗く、いつも下を向いているような正確で、もごもごと何を言っているか判らず、年上の義兄弟たちにも軽んじられているようでした。

その、長男夫婦の一粒種の翔馬君(5才)が、交通事故で亡くなったことが今回のご相談の発端でした。
それは、未成年の運転する家族所有の車で、事故自体は気の毒ではありますがごく普通の交通事故でした。
ただ交通事故ですから、それに伴う賠償金や、保険金は当然おりるはずで、翔馬君には金額は不明ですが三つの保険がかけられていたそうです。

長男さんは年がいって産まれた翔馬君をことの外可愛がり、その葬儀の時は立っておれない有様だったそうです。
それが原因か要因かは不明ですが、彼はぐっと塞ぎこむようになり、顔から表情が失せました。仕事にも出られなくなり、食事も取れない。
そのうち外出もできない・・・・そんな日々が続きました。

心配した妹さんたちが、無理やり自宅に招くと、そこでは出されたものは全部たいらげます。
不審に思った妹さんが問い質すと
「うちのがなぁ、めし作ってくれんのぎゃあ。わしもそんならそれでええかっちゅうておもーて。」
「ご飯作ってくれんてなんで?」
「判らんけど、毎日、出ていっとるわ。帰りも遅えし、何しとるかも言わんし、そりゃしょがねぇわな。」
「しょうがねえって、旦那のご飯も作らんで、主婦がなにしとろーが?」
「さぁ??なんやてな。。。」
「なんやてなって、兄さん、あんな叱らんのかな?」
「叱ったってどうなることもないぎゃぁ?」


もくもくと、出された食事を取る長男さんの背中は痩せて、シャツの上からもその脊髄の形がわかります。よく見ると、シャッの袖や首周りは薄汚れた黒いわっかがとりまいています。


「そいで賠償金や保険の話はついたん?」
「んや。それはまつ子がしょる。けんど、なんやら難しいことになって、今停止されとるそうやわ。」長男さんはこともなげに言います。

「停止ってなんで?」
「いや、わしにはよう判らんて。あいつは前に○○生命行きよったから、そこんとこはよー知っとろうが・・」
「それにしたって・・・・」

妹さんはこの頃、まつ子さんの嫌な噂をあちこちから聞いていました。
男ぐせが悪い。死んだ子だって、誰の子かわからん・・・とか
表と裏との顔が違いすぎる。ジキルとハイドみたい・・・・とか。
保険会社に行っていたのは、保険金詐欺するつもりじゃいか・・・とまで言われていました。

そんな中で、とうとう長男さんが「強度のうつ病」で入院することとなりました。
長男さんにも、入院給付が二つ。生命保険が二つかけられているそうです。

その入院に付き添った妹さんに長男さんは苦しげに訴えます。
「まつ子がのう、翔馬が死んだのはわしんせいじゃ、言いよるんよぉ。わしが、連れ出さんやったら、あんなことにはならんかったんじゃと・・」

確かに事故は深夜のコンビニ前で起きました。
夜中に起きてぐすぐず言う翔馬君を連れて、長男さんがコンビニに来て、買って、店を出てすぐの事故でした。

しかし、それにしても・・・この言葉は強烈です。。。
溺愛していたわが子の死に、心が壊れかけている父親に向かって、母親が、「あの子が死んだのはあなたのせいよ」と、囁き続けるなんて・・・・想像しただけでも、オカルトチックなシーンではありませんか?

しかも、この翔馬君・・・・ご近所では長男さんの子供ではない・・との噂が充満しているのです。
もちろん、長男さん自身はこのことを知りませんが・・・・。

長男さんは即入院となりました。。。


そこで残されたご兄弟が相談して、まずまつ子さんの行動を見てみょうか・・・ということになった
らしいのです。
兄夫婦が離婚するにせよ(まつ子さんからはもうそんな話も出ているらしいのです)、このままでは長男さんは裸一貫で放り出されます。
病弱の兄を扶養するのは、誰にとってもなかなかに難しいことです。


そして、それが決まって、調査が始まりました。
費用が入金されま・・・・・・・せんでした(ーー;)

ここからが本日のメインテーマです(笑)
妹さんは、近くの簡易郵便局から振り込みました。
中年の局長が確認して受付ました。

でも、入金がありません・・・・・・・
当然、問い合わせます・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「昨日、××さまからこちらに入金いただいた件についてなんですけど」
「どーいうことでしょうか?」
「まだ、こちらに入金されてないんですけど?」
「え!・・ち、ちょっとお待ちくださいね。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・待つこと30分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ、あれは普通振込みですから三日か、一週間くらいかかります。」
「一週間もですか?」
「ええ。ここから地区の局に行って、地域事務センターに回って、照合してそれからですからね」
「一週間か三日かではずいぶん違いますので、どれくらいかかるのか確認くださいますか?」
「えぇぇ。ほんとは今日入金なんですね。そしたら、相手さんが書類間違えたんですわ。送った
書類返してもらって改めて書いてもらわないといけないから、あと一週間かかりますね。」

ぎぇぇ・・・・そんなばかな・・・

「じゃ、書き直さなくていいですからこのまま処理していただいたら一週間ですか?」

ここで待たされること一時間。。。


「あのですね。電信ですから一度依頼者さんに連絡して書き直してもらいます。依頼者さんが
用紙間違えたので。」
「いや、だからそのままの用紙でいいです。昨日送ったものでいいですから、それで処理してください。そしたら一週間ですね?」
「いや、間違えたのは依頼者さんなんです。だから書き直して」
「そのままでいいです。そのまま処理してください。」
「お、落ち着いてください。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って落ち着いてないのは誰よ???・・・・・・

「もういいです。直接私から、センターに問い合わせしますから、センターの番号と担当者名を教えてください。」
「いゃ、あ、あのこれは今。。別室からかけているので、番号を取りに戻らないといけないので、
・・・がちゃん・・・ツー・ツー・ツー」

これで、私のクレーマー魂(そんなものあるんかいな?)に火がつきました。。。。


結局、そもそもは依頼者が用紙を間違えて書いたことは事実ですが、それをそのまま簡易郵便局が通してしまっていたのです。
ということは、今日、私が問い合わせしなかったら、このミスはまだ気付かれずに、もっと後日の処理になっていた・・・・ということですね。

「これは、どなたのミスですか?依頼者さんですか?そちらですか?」
センターは答えません。
「依頼者さんが用紙を間違えるのは仕方ありませんよね。シロウトさんなんですから。でも、局がそれをそのまま受付てしまったら、責任はどこにあるんでしょう?
それでも、依頼者さんですか?
受け取るうちですか?」
「い、いえ・・・・受け付けた、簡易郵便局です。」
「そうですよねぇ。でも、それを簡易局の局長さんは、相手方のミスとおっしゃったんですけど・・
そちらですよね?」
「は、はい・・」
「じゃ、今日中に入金していただけますよね?こちらは会社ですし、そうでないと困るんです。」
「ち、ちょっと待ってください。私はまだペーペーで、一存では決めれませんから、上司と諮って
ご迷惑のかからないようにいたします。」
「判りました。ご連絡お待ちしています。それと、依頼者さんのほうにも、わざわざまた簡易局まで足を運ばなければならないような、そんなお手数はおかけしないようにお願いしますね。
ミスは、そ・ち・ら・ですから」


さらに二時間後・・・・
お客様相談窓口係りという、たいへん丁寧な口調の男性から電話がかかりました。
「たいへんご迷惑をおかけしましたが、只今、そちらさまに入金終了いたしました。依頼者さまにも、こちらから事情をお話し、ご足労はおかけしませんので。」
「そうですか。ありがとうございます。では、入金を確認させていただきますが、入金があってもお知らせしたほうがいいですか?」
「いえ、それは結構でございます。もしも、ない場合のみ、相談窓口のわたくし■■までご連絡いただけますでしょうか。電話は・・・・」

やればやれるんじゃん!

やっと民営化らしくなりましたね。「ゆうちょ」さん・・・・(^^;)

それにしても、簡易郵便局の女性局長さんはひどかった・・・
こちらが、ちょっと言うと
「落ち着いてください。興奮しないでください」ってこればっかり・・・・
落ち着きがなくて、興奮していたのは、どーみても「あなた」なんだけど・・・・(苦笑)


・・・・・まぁ、うちのクレーマーは頼りになるよなぁ・・・・・
一件落着後のこのOリーダーの言葉が、私の心にグサリと突き刺さりました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私は・・・私は、クレーマーぢゃありませんっ!!
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by sala729 | 2007-10-31 14:51

中澤まなかさんの居場所が判りましたという第一報は、週末の帰社寸前にもたらされました。
彼女はここから遠く離れた、おそらく今までのまなかさんとはなんの交わりもない街の片隅の
プレハブのアパートの一室に、女性と一緒に住んでいた。
これが第一報でした。

交際していた、下平直人との交際を母親の小夜子さんに反対され引き裂かれ、捜しても、捜しても見つからなかった彼女の足跡にやっと追いついた・・と、いうことです。

もちろん、小夜子さんには第一報をいれています。
嗚咽でとぎれとぎれの声で何度も「ありがとうこざいます」を繰り返す小夜子さんに、調査はまだ
終わっていないと告げて、その後の情報をまちました。
そのまま、まなかさんを迎えにいって引き連れて帰るのがよいか、曲がりなりにも仕事をしている彼女の様子をもう少し確認したほうがよいかということになって、後者の判断になりました。


そして、二日たって、いろいろな事実が判明してきました。
まなかさんと一緒の女性は、崎田和子・・・姓は違いますが、まなかさんの交際相手、下平直人の実母でした。

姑のお金を取って、男と逃げたと彼が嘯いていた実母と、まなかさんはこうして一緒に暮らしているという事実・・・・・。
これがすべて発端でした。

まなかさんは派遣会社に登録して、近くの電子部品の工場に勤めています。
8時前に、近くのコンビニに、和子と行くとそこに工場のマイクロバスが来ます。
二人をひろって、バスはそのまま工場の通用門をくぐっていきます。
17時半になると再びバスがでて、同じコンビニで二人を降ろします。
二人はその店で弁当を買い、そのままアパートに帰ります。
そんな生活を繰り返していることが判りました。
和子は、大声で笑いながら、まなかさんに話しかけるシーンも何度かありましたが、彼女は
表情に乏しい顔をして頷いたり、聞こえぬふりしてたりするだけで、笑って返すところは見たことがないと担当調査員がつぶやいています。


でも、なぜここに下平の姿がないのか・・・
近くの駐車場には彼の車が停められていることも確認しています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なぜだ??

さらに調査は進みます。

そして、判ったことは、衝撃的でした。
下平は、「服役中」だったのです。。。。。


この事実は小夜子さんを打ちのめしました。
まなかさんの様子を写した数枚の写真・・・一枚一枚と手にとり潤んだ目で見つめていた小夜子さんが、突然
「ひいぃ~」と、声をあげたまま硬直してしまいました。
それは、コンビニの一隅で、いわゆる「ウンコ座り」をして、背中を丸出しにしたまなかさんがタバコをゆっくりとくゆらせている一枚の写真でした。

長い時間、小夜子さんはその写真を待ったまま、口を開きませんでした。
唇がわなわなと震え、言葉を探しているのでしょうがそれが見つからず、途方に暮れている・・
そんなかんじがしました。


ようやく・・・
「前にいただいた写真をお姉ちゃんに見せたら、この娘ヤンキーになっとるなっなって言われました。・・・・でもね。でも、Aさん、それでも私、まなかが可愛いんです。親ばかと言われても
まなかが可愛くて、可愛くて仕方ないんです。。。。」
落ちる涙を拭おうともせず、小夜子さんは訴えます。

「私、下平君とのこと、彼が真面目に仕事さえしてるなら、いやだけど半分くらいは、いえ6割くらいは認めようと思ってました。
でも、でも、今はもうだめです。服役なんて・・・・・そんな怖ろしいこと考えたこともありませんでした。認めることなんて絶対にできません。」

それはそうでしょう。。。娘の結婚相手が「前科持ち」になって、それでも結婚を許す親はいないでしょう。
下平の罪状がなんであるかは今はまだ判りませんが、何ヶ月かは服役することは確認済みです。初犯ならば、実刑は免れるはずですから、再犯であることは間違いないでしょう。
もともと、彼は何度も少年院や鑑別所にはお世話になっとると嘯いていましたから、それは満更
ハッタリではなかった・・と、言うことでしょうね。


小夜子さんは早々にまなかさんを連れ戻しに行くことになりました。
もちろん、こちらからはN係長が同伴します。
現地では、二人を引き合わせる準備にとりかかりました。

いろいろな場合を想定して、小夜子さんにも考えをまとめておいて欲しい旨は伝えています。

まなかさんが帰らないと言い張ったとき・・・・
そのまま素直であっても、不承不承であっても帰るといったとき・・・・・
もちろん、下平とはこちらで話をしないとならないでしょう。
私たちの取材に嘘をついていたこと。
今回の服役についてのこと。
まなかさんとの今後についてのこと。。。。


でも、まなかさんの生気の感じられないこの写真の瞳を見ていると、彼女が決してこの環境に満足しているとは思えません。
もともと、福祉の仕事に自己を捧げたいとの志を持ち続けていた人です。
それが、流れ作業の工場勤務で一日が終わり、親をも捨てて飛び込んだ愛する人とは一緒に暮らせず、その母という人と狭い1DKでの生活・・・・・
これで、不満や失望が溜まらぬはずがありません。


あとは、小夜子さんにかかっています。
私たちは、あらゆるシーンを想定して、できる限りのサポートをしますが、まなかさんが小夜子さんの胸の中に帰ってくるかどうかは、小夜子さん次第です。

小夜子さんとまなかさんが少しでも、たった一歩でもいいから、歩み寄れますように・・・と、祈らずにはおれません。
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by sala729 | 2007-10-24 11:27

もう、二日間にわたって、その電話は何度も何度もかかってきました。
最初は代理の者だと・・・次からは本人と言うのですが、そのどちらも横柄なこと、このうえない口調なのに、内容は・・・というと(微苦笑)

「聞こえるんだよ。天井からよぉ。」
「何がです?」
「音よ。音。ザザっ・・・とか、ガタガタとかいう音。それから、ガーッていうのもあったなぁ。」
「それはいつごろから聞こえてるんですか?」
「ここには四日前にきたから。それからだな。あ、だけどこの家はもともと、おれのもんだから、その前までは人に貸してやってたんだよ。そいつもなんか、そんなこと言ってたなぁ。。」

これだけではさっぱり要領を得ません。
こういが二日間で6回。・・・それを要約して再現しますと、こうなります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


中西さんは40才です。
ご自分名義の一軒家を、先週まで人に貸していました。
・・・・と、これは表向きで、どうやらもともとはその借主の家で、それを借金のカタかなにかで
中西さんがこの家の所有者になったようです。

その元の主が家をでて一週間後、中西さんは奥様とふたりでここに越してきました。
二階建の上下5部屋。築10年のなかなかのおうちです。
家具もそのままに、その夜、二階の真ん中の部屋で寝ていると・・・・・

突然、天井が、ガタンと大きな音をたてて、そのあと、カ゜カ゜・・・・ジーーーッという音が続きます。驚いて飛び起きた奥様と、耳を澄ませていると、カタン、カタンとか、ザザ・・・とかいう音も混じっています。
でも、天井が揺れるわけでもなく、照明器具が動くわけでもなく、ただ、なんともいえない煩雑音が響くだけです。中西さんは、階下から脚立を持ってくると、部屋の隅の天井の羽目板をはずして懐中電灯を差込みました。

「や、やめなさいよ。何があるかわからないし・・・」
奥様は震える声で止めましたが、ここで怯むわけにはいきません。
体を乗り出して、懐中電灯に照らされた天井裏に目を凝らしましたが、何もありません。何も見えません。10年間にしては少ない埃がうっすらと所々に堆積しているだけです。

でも、そうやって覗いていると音はやまっているのです。
静まり返った寝室に、がさがさと響くのは、中西さんの動いた音だけです。
しかたなく、その日はそのまま、寝むことにしました。
不思議なことに、そのあとは、何の音も聞こえてきませんでした。

翌朝は、二人ともそのことには触れず、一日を過ごしました。
そしてその夜・・・・
就寝の遅い二人が寝付くのは、もう真夜中をとっくにすぎています。

ザザッーーー。ザザッーーザーザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はじめは耳を澄まさなければ、聞こえないほどの音でした。
でも、昨日の今日です。こんな音にも、二人の耳は敏感に反応して、どちらともなく目覚めていました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・ガタガタガタ・・・・ガタ・・・・・
二人は同時に飛び起きました。
・・・・・やっぱり、何かいる・・・
奥様は蒼ざめて、指が震えるのを止められませんでした。
でも、どうせ天井裏を見ても何もないことは判っています。

しかたなく二人は隣の部屋に移って布団を敷きました。
しばらくは張り詰めた神経が、睡魔を寄せ付けませんでしたが、それでもその部屋は静かで
いつしか眠りについていました。

翌日は、もう最初から隣の部屋で寝ることにしました。
隣の部屋はあくまで静かで、なんのもの音もせず、奥様は安心して眠りにつきました。

それにしても・・・です。
隣の部屋なら安眠できる・・・とはいえ、我が家の一角にそんな場所があるということは、心安らかなはずはありません。

中西さんは元の借主に電話をしてみました。
「うーむ。あったような、なかったような・・・」
惚けているのか、本当に忘れているのか、元の借主の反応は曖昧でした。

四日目の夜は奥様を隣の部屋に寝かせて、中西さんは寝室で寝ることにしました。
すると・・・・
バタ~ン・・・バターン。バタバタ・・・・・ガガガガ・・・・・・・・・

音は一層大きくなったようでした。
これではとても眠れないと、中西さんは奥様の部屋に移動しました。


中西さんは音の正体を考えに考えました。
そして、どこをどう辿ったのかこの音は、盗聴のノイズではないかと考えました。
そして、うちに相談電話をかけてきたのです。



「お調べすることはできますけど、必ずしもそれが原因とはいえないと思いますね。」
「電気屋にはもう来てもらった。なにも問題ないと言ってるんや。そしたら、あとは盗聴器のノイズか、霊的にラップ音しかないんだよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ないんだよって言われてもねぇ。。。。

「盗聴器の有無をお調べすることはできますけど?」
「それは絶対判るんだろうな?」
「は?。絶対ってなにがです?」
「だから、盗聴器がよ。」
「付いていれば判りますけど、お調べするからといってみなさんが必ずしも、付いているかどうかは判らないですよ。」
「そりゃそーだろうけど、付いてなけりゃ、霊現象ってことか?」
「さあ?。それは私には判りませんけど・・・」

なんやかやのやりとりがあって翌日。。。

「おぉぉ。昨日の中西だけどな。夕べはうちの若いのをあの部屋に寝かせてみたんよ。」と、慣れなれしい電話。
「はい。それで?」
「そしたら、なんの音もしないと言うんだよ。静かすぎて気持ち悪いって言うんだ。」
「そうですか。」
「これってやっぱり、霊的現象か?」
「さあ?。わたくしにはそういうことは判りませんが?」(判るわけないじゃないのっ!)
「そうよなぁ。今、この家建てた工務店に家周り見てもらってるんだが、どうも役にたたんみたいだな。どうだ?盗聴器かな?やっぱり」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうだって言われても・・

もしも、霊現象だとしたら、それはあなたたちご夫婦に関係した霊ですよ。だから前の住人も
若いのにも、音はしなかったのよ。あなたたち、何人か埋めたり沈めたりしてんじゃないの???・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんてことは言えませんけどね(^^;;)

「やっぱり、きてくれよ。話、聞きたいから。今夜、会ってくれ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そりゃあ、逢いますよ。仕事ですから、はいはい。
夜おそい時間なので、駅前の喫茶店でお逢いします。
目印にお洋服をお聞きすると・・・

「ストライプのシャツに、白いズボン。靴も白だ。すぐに判るよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そ、そーですね。それなら、すぐに判りますよ。(^^;)
バカヤローここから行けるわけないだろうがっ!!・・・私との電話の間に、誰かを怒鳴りつけながら、中西氏は、まだ、霊がどうのこうの・・・と、言い募ります。

そして、約束の時間、一時間前・・・
「あ、わりぃな。今日、時間取れなくなったんだ。またにしてくれ。」と・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・む、むかぁぁぁ~~~~
な、なによ。その態度は・・・自分が霊だ、霊だと騒いでおいて・・・

ふん!
せいぜい、自分のやらかしたことに、苦しむがいいわよ。
今度あったら、囁いてあげるわ。

あなたたち夫婦に、しっかり取り付いている、黒い影は、一段と大きくなりましたねぇ。電話の向こうに、ほら、霊たちの声がノイズに重なって聞こえるでしょ?
あの家には、あなたたちへの恨み、つらみが、漂っていますね。ほら、あそこにも。ここにも。

ふふふ・・・そう言ってあげたら、中西氏はどんな顔するかしら?・・ちょっとた・の・し・み(笑)
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by sala729 | 2007-10-19 12:24

・・・・長い、長いメールが次々と届き、毎回その返信に追われているうちに、食卓のご飯からは
湯気が消え、うどんは二倍の太さになり、ラーメンのつゆは蒸発したかと思えるほど麺がたっぷりと吸い込み・・・途中で投げ出してしまいたくなるような、そんな食事を繰り返しながら、今夜も時間がすぎていきます。

それぞれの依頼者の中で、相手の時間は止まっています。
自分の思いの強さだけが、その心を支配し、いてもたってもおれない熱い思いだけが、私へのメールになったり、電話になったりして、届いてくるのです。

ま、いいんですけどね。。(苦笑)
それが仕事ですし、それが嫌いではありません。
でも・・・ひとつの電話が終わって、さぁとお箸を持ち直したとき、また電話が鳴ったりすると、むっ・・とするのは、許してください。煩悩多き人間です・・・エヘヘ

今日は、ちょっと閑話をひとつふたつ・・・

わが社の近くに、インド人・・・だろうと思うのですが・・・の、やっているカレー屋さんがあります。
ここのインド人オーナーは、店の前で呼び込みをやるんです。
それも、ひとり、ひとりにむかって・・・。
つい、入りでもしたら、それ以来そこを通るたびに呼び止められやしないかと思ったら、その煩雑さに、私は絶対に入ろうとは思いません。(苦笑)

私は、頑なな人間ですから、お店を決めたら、しばらくは通い続けます。同じ店の同じ席の同じオーダー・・(単なるめんどくさがり・・・と、人は言います)
しばらくは続くのですが、長くは続きません。
なぜなら、そうやっていると、自然に目につくらしく、お店のオーナーさんやウェイトレスさんが
気付いていろいろ声をかけてくるようになります。
私も適当に返しますが、じつは私・・・こういう空間が苦手なのです・・・。
ご飯たべながら、相手に気をつかうというのが。。。ちょっとね。
それに、昼食時は私いつも、本を持参していますから、ご飯たべながら本、読みたいんです。
だから・・静かにしておいて欲しい。そっとしておいて欲しいのです。。。。

でも、親しげに声かけてくる人に、いくら私でも、そうは言えないでしょ?(いや。あんたなら言える←カゲの声)


話を戻します・・・・・
そのインド人がいつものように、店の前で客引きをしていますと、その前を、10代と思える
少女がふたり、通りがかりました。
二人とも、小麦色の肌をした、あきらかにオーナーの近所の国(・・ってどこ????)の、子たちと思われます。
インド人は彼女にむかって、とてもフレンドリーに声をかけました。

「は~い。君たち、なにじん??」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この話、社内ではかなりウケたのですが
しょせんは「楽屋オチ」にすぎなかったでしょうか・・・・。


・ふたつめは・・・・・やっぱり、今日はやめます。
はい、本日のお題はこれまで・・・・・。
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by sala729 | 2007-10-18 12:53

奥さんに家出された中野さんのご依頼は、お母様も立会いのもとお受けすることになりました。曼受紗華の咲き乱れる崖っぷちの道を登りつめて、小川の反対側に数件ならんだ古い平屋のお宅の玄関先で、彼は私をまっていました。

お母様は、60代後半ということでしたが、介護の仕事をしているとかで、きりりとした印象で、落ち着いた話し振りをされる方でした。
「なっちゃんには苦労かけました。私にはそれがよーく判っているんです。だからなんとかあのこを探してやりたいんです。」そういって目頭を押さえる姿にも心打たれるものがありました。

お二人を前に契約書を交わし、費用のことになると、中野さんは改まった表情で私に向き直りました。
「じつは、Aさん、我が家には金がありません。」

「は??」(ないって言われても・・・・)

「それで、今から金策に走りますので、一週間ばかり待ってくれませんか?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うーむ。。。
これは、私の一存でき決められません。
しかし・・・・失礼ながら、お母様まで同席しておきながら、今さら金策に・・・とは(溜息)


Oリーダーに状況を説明して、了承を得てから、支払日を伸ばすことになりました。

でも、調査は始めます。家出の場合は特にそうですが、早いほど情報は生かされていますので
早ければ、早いほど結果がでるのも早いです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一週間たちました・・・

それまで、こんな情報があった。こんな話を思い出したと、連日情報をあげてきた中野さんからの連絡がパタッととまりました。
しかし、その日のご入金はありませんでした。

翌朝、私の携帯がなります。
「中野の母ですが・・・」
中野さんの携帯からですし、お母様ということは判りました。

「あのう、Aさん、誠に申し訳ないんですが、お金ができません。銀行にも断られました。いま、
あの子はまだほうぼう工面しておりますので、もう少し、お手間とらせますが、お待ちいただけませんか?」
「それは、仕方のないことですが、ご契約者は中野さんですので、申し訳ありませんがご本人さんから、ご連絡いただけまんでしょうか?。お母様ということはよく存じ上げております。でも、
これは契約ですから、しかも中野さんはご立派な男性ですから、代わりにお母様が・・というわけにはいかないと思いますが、?」

「はい。そうですね。その通りです。」

電話を切って2分後、中野さんから携帯でかかってきました。
ということは、すぐそばにいたんじゃないの・・・・・(--;)
「すみません。いろいろ工面してるんですが、なんともならんのですよ。もうちょっと待ってください。」
「どうしてもできないというのを、無理やりというわけにはいかないでしょうけど、こちらも会社ですので、ではいつなら大丈夫か目安を決めていだけませんか?」
「・・・え、ええ。じゃ、来週の火曜日に・・・」
「判りました。それと、ご連絡は中野さんご本人がくださいね。」
「はい。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そして、火曜日・・・

またまた早朝に携帯がなりました。
「中野です。あのぉAさん・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この声はまたしても、お母様です・・・・
・・・・・・・・・・ぶちっ!・・・・

「やっぱり、無理です。今日もあちこち金策に走っとりますけど、なかなか上手くいかないんです。」
「前回、私のお話したことは、お忘れですか?
ご本人から連絡いただきたいと申したはずですが・・・」

「いゃあ、それがですね。男ですから、なんとも言うのが・・・言うに言えないんですよ。そこのところをなんとか斟酌してやっていただけませんかねぇ。」
凛としていたはずのお母様の声が、急に下卑た響きに聞こえるような気がしてきました。
「男の意地というものですか?・・・・でも、それは違うものじゃありませんか?
大人の男性がご自分の意志で決めたことです。何かあったらご自分で連絡するのが筋じゃないかと思うんですけど。」
「そりゃそうです。だけど、男ですからねぇ。そう何度も何度も、金がないとはよう言いませんよ。
そこらあたりは、ねぇ。」

・・・・なにが、ねぇ。なのよっ!・・・・自分のしたことの責任は自分がとる・・・こんなことくらい
小学生でも知ってます。

それにしても、言いにくいことや、できないことを「おかーちゃん」に言ってもらうなんて、高校生を筆頭に三人の子をもつ父親のやることじゃないでしょ????
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このまま奈津子さんが帰らなくても、それはそれで仕方がないかもしれないと、そう思い至る
自分の心を制することができませんでした。

「契約した以上、お金を払っていただくのは、当然ですし、それができないならできないと契約者ご自身がお知らせくださるのが当然と私は思いますが。
できないなら、なおさらご自身で説明なさるのが本当でしょう?
お母様がご連絡してくださらないなら結構です。わたくしがしますから。」

「いや・・いや、今は仕事中で・・。あ、私が、私がしておきますから。すぐにするようにと。」

あわてて制するお母様の声が上ずっているのは、息子が不憫だからでしょうか・・・・。

「遅くなっても、早朝でも結構です。必ずご連絡ください。」というと、はいはいと繰り返し、お母様は電話を切りました。

でも・・・・・いまだ電話はかかっておりません・・・・(--;)
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by sala729 | 2007-10-17 15:51

少子高齢化が、お題目のように謳われて久しいですが、今から20年くらい前までは、二人兄弟の四人家族というのはごく普通の家庭図でした。
ですから、現在20歳くらいの人たちには、まだなんらかの形で兄弟がおり、良くも悪しくも、家庭内での競争や権力争いはあったものです。
・・・・ま、私自身は「最悪のひとりっ子」と陰口を叩かれ、わがまま、身勝手をほしいままに生きてきましたが・・・(苦笑)

連れ立ってみえた、大島夫妻には年子の姉妹がおります。
姉のしずかさんは大学4年。妹のみぎわさんは3年ですが、この姉妹、姉は一年留年、妹は一ねん浪人していますから、実年齢はひとつづつ上ということになります。

しずかさんは芸術では日本一といわれる大学に在籍しており、国内ではいろいろなコンクールで入賞もしています。
私たちにはよく判りませんが、演奏家としてプロの道を目指していたのだそうです。
この、しずかさんが家をでました。家といっても、学校のために妹とシェアしていたアパートを出たのです。

みぎわさんの知らせで、二人のアパートに向かった大島さんご夫婦は、そこで思いもかけぬことを聞くことになりました。

しずかさんには交際中の男性がいたというのです。
その人はバツイチで子供は別れた妻がひきとっている。たぶん定職には就いておらず、今は
ピアノバーのひきがたりを時々しているようだ・・と。

頭がくらくらしましたと、妻の澄子さんは言います。
「あの子はいつもそうでした。・・・小心で臆病なくせに、いつも親を驚かせるようなことばかりしてきたんです。自分を守るためなら平気で嘘もつきました。だから、いつもいつもあの子のことは気にかけていたんです。。。」
澄子さんは泣き崩れますが、この言い方には、ちょっと心がひっかかるものがありました。

「では、今までにも男性関係でなにかあったんですか?」
「いいえ。それはありません。あんまり綺麗じゃないし、頭もよくなかったんです。だから、そんなことは今まではなかったんです。」
「頭がよくないって、ご立派な大学に通っていらっしゃるじゃないですか。それに、早くから将来を決めて、これはなろうと思っても、なれるものじゃないですよ。」

「いいえ。あの子にはそれだけしかないのです。」
澄子さんは、なぜかきっぱり言い切ります。
もしかして・・

「ちなみに妹さんはどちらの大学ですか?」
「○○(日本一の大学です)です。」
やっぱり・・・・ね。
しずかさんの写真を見せてもらったら、隣の同世代の女性が並んで微笑んでいます。
華やいだ顔が、美しく、しずかさんの写真のはずなのに、主役はその女性でした。

「こちらが妹さんですか?」
「はい。そうです。みぎわはなんにでも積極的で、本当に困らない子でした。一浪したものの、
目指す大学に入って、お姉ちゃんと一緒の部屋で、なんの心配もない子なんです。
二人は対照的でして、顔も随分違うでしょう?
私は、贔屓したつもりはないのですけど、子供たちが小さいころ、よく、お姉ちゃんのくせに、みきわを見習いなさいよっ!って叱っていました。
なんで、妹ができるのに、この子はできないんだろうって、いつも考えていました。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・お母さん・・・それを「贔屓」というのですよ・・・(--;)

「しずかは、どうしてかひっこみじあんな処があって、もじもじするばかりで、自分の意見が
いえないんです。その間に、みぎわがさっさとやってしまって、自分のすることがなくなったら、
嘘をついたり、わあってなっちゃうんです。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そりゃあそうでしょう。。傷つけられますよね。同じ子供として、姉として。。。。


「じつは、先週、しずかがその男性を連れてきたらしいんです。それで、彼が帰ったあと、みぎわに彼のこといろいろ話したらしいんです。
そしたら、みぎわが、それって、お父さんもお母さんもきっと許さないよ。お母さんなんて、パニックになるかもよ。と、言ったらしいんです。
確かにその通りなんです。みぎわなら、そう判ってくれるんですけど、しずかはそのあたりがダメなんですねぇ。もうそれだけでオロオロしちゃって、どうしょう。どうしょう・・・って。その翌日です。しずかが身の回りのもの持ち出して、アパート出たのは・・・。」


このお母さんには、判ってないようです。

確かに「可愛くないないわが子はいない」「子供を贔屓した覚えはない」と、殆どの親が言います。
でも、子供側にすれば、その多くが「贔屓」されたと感じています。
これは、主観の違い・・・だけのことでしょうか・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私は、澄子さんが
判らなかっただけで、「贔屓」は日常だったのではないかと思います。
悪意や他意があったかなかったかは、別にして。。。。

充分、優秀なしずかさんを、さらにみぎわさんと比べて、傷つけていることに気付かない母。


家庭内での、しずかさんの孤独が見えるようです。

きっと、何をしてもそつなく、明るく美しく聡明な妹と、いつも自分は比べられている
そんな重圧が、しずかさんの心に堆積していったに違いありません。


こんな親の勘違いや、思い込みは、案外多いと思います。
それを、敏感に受け止めるのは子供自身です。

子育てのとき、何度も自分を振り返って、問い質して、時には子供自身に、素直な気持ちで聞いてみることも必要なのかもしれません。

うなだれて帰る、大島夫妻の後姿を見ていると、お気の毒だとは思いますが、澄子さんが
この勘違いに気付かない限り、母と娘の距離が埋められることはないでしょう。。。。
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by sala729 | 2007-10-15 11:11

土曜の午後のまったる~い時間が、ゆったりぼんやりと私の上を過ぎていきます。
こんな日には、かっての依頼者さんたちのことが、思い浮かびます。
みなさん、お幸せに暮らしていらっしゃるでしょうか・・・・。

お話をお聞きするために対峙するとよく「こんなこと初めてで・・」と、言われます。
そりゃあその通りでしょう。
「いやぁもう8回目ですわ!」とか「回数券ありません??」なんて豪語されたら、こちらがひいちゃいますよ(^^;)
でも、2回目、3回目さんは案外多いんですよ。

ま、困ったときに思い出してくださるのはいいことです(笑)

たぶん、一般の方にはこの「調査会社」という箱物の敷居はかなり高いのでしょうね。
初対面のとき、死にそうな顔してらっしゃる方は多いですもの(笑)
でもね、私たちもふつーの「オバサン」ですし、「人間」ですから、そう緊張しなくても、怖がらなくてもいいのですよ。
それに、私たちは押しかけるわけではなく、あくまで「相談したい」と、仰るから伺うのです。
そんなにびびられても困りますし、尊大になられても困ります。

 ごくごくふつーに・・・ふつーに・・・

ではまず電話での応対について・・・

固有名詞などお聞きしたりはしません。お電話でお話できる範囲だけのものを、お話くださればいいのです。
もちろんこの時点での、逆探知もありませんし、身元の詮索もありません。
・・・・・・・・・・・・・・ですから、いたずら電話だけはやめてくださいね(苦笑)・・・・・

こんなこと・・・なんて一人で結論付けなくて、なんでも一応聞いてみてください。
電話口の相談員が、気に入らなかったり、相性が悪いなとおもったら、それも仰ってみてください。(代わるかどうかは、判りませんが。笑)
いろんな質問投げかけて、それにきちんと対応できるな・・と、あなたが判断したら、逢ってみてください。
けっして、美人ではありません(自爆)が、誠実に優しく(・・・た、たぶん)お話をお聞きします。
あなたも、私たちのこと、審査してみてください。
信頼に足るかどうか・・・・・
審美眼には足りないと思いますが・・・(これも自虐ネタでした・・苦笑)

でも、ここから話は佳境に入るのです。
電話だけで、応対して「はい、いくら」なんて、私たちには信じられない世界です。
個人情報は、山よりも高く、鋼鉄金庫よりも厚く守られるべきものです。
それを、わきまえながら、仕事をしていかねばなりませんので、どこよりもなお、秘密は厳守
されるのです。


さあ、一度相談してみてください。あなたのお悩みごとを・・・・
でも、声が綺麗だからといって、やさしい声だと言って、姿かたちとそれが結びつくかどうかの
責任は持ちかねますので、そこんところは、ヨ・ロ・シ・ク・!!
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by sala729 | 2007-10-13 16:00

お断りしておきますが、私は「男性」が嫌いなわけでもありませんし、軽蔑しているわけでもありません。
一応は結婚もしておりましたし、現在は幾多の素敵な男性たち(^^;)に囲まれて、好きな仕事に励んでおります。
でも、この2.3日の間に出会った、男性たちのこの「不甲斐なさ」に、怒りと諦念がないまぜになって心の中を吹きすさんでいることは確かです。
あぁぁ、日本はどうなるのだろう・・

と、まぁ多少はオーバーであることは、認めます・・ハイ

さて、本題ですが・・・

白いシャツに紺のスーツ。
七三にわけて撫で付けた髪に、やや大ぶりの黒いポーチ。
一目見たときから、なんだか中身が透けて見えるような、そんないでたちで現れたのが、野上正雄さんです。

「嫁とは見合いです。見合いですが、僕は結婚しとうなかったがです。」
キョロキョロと周りを見回しながら、彼は開口一番話はじめました。
「彼女が積極的だったということですか?」
「いいんや。親父が気に入ったがですよ。あれがいいんじゃ。あれにせいと・・」

・・・あれにせいったって、あなたの結婚でしょうが・・・・・・(--)

「付き合っとるときから、ほんまに金に汚い女でした。」
顔をしかめる野上さんも、男らしくは見えませよねぇ。。。。

「コーヒー代も二回しかだしたことがないですよ。そいで、一度、わざと財布忘れたから、コーヒー出しといてと言うたことがあるがです。
そしたら、自分の財布あけて、ないと言うがですよ。僕が覗いたら一万円札が見えとったがですよ。そいたら、これは自分の金じゃないと言うがです。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・罠にかけようと言うほうも、言うほうだし、財布、覗き込むって言うのもねぇ・・・・(溜息)

「僕の家は、古いけど、まぁ、大きな家なんですわ。嫁の実家は、農家なんで、うちよりもっと
家は大きいんですけどね。そいで、結婚するとき、お前、うちの金をあてにしてもいかんぞ。家は
まだまだ親父のもんやし。と、言うと、うちのほうが大きいやないかと、笑うがですよ。」

・・・・・・・・・・・そりゃ、笑うでしょう(笑)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「新婚旅行先で、小銭がなくて煙草が買えんから小銭くれ、言うたらいやじゃと言い寄るんですわ。ほんまに・・・金に汚い女ですわ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22年も前の、煙草の小銭のことを
ずっと恨み続けているあなたはなんなのぉ??


この奥さんが、とうとう先週、家を出たというのです。
20歳の娘を連れて・・・。
奥さんには、男がいると、野上さんは言い張ります。それも、何人も・・・。
彼いわく、奥さんはパートを7回変えている、少なくともその中の三人とは、そういう関係にあったに違いないと、力をいれて訴えます。

「嫁には未練はないがです。でも、娘はほんまにええ子なんですわ。純粋で無垢で、世間知らずで・・・それがあんな嫁と一緒におったんでは、汚されてしまいます。なんとしても、娘を取り返したいんですわ。」

「でも、最近の子ですから、携帯とかお持ちでしょ?携帯で連絡はとれないんですか?」

「かけよります。けんど出ません。来週はうちに服ば、取りに帰るというてます。たいがい、僕の
おらんときに帰るんでしょうけど・・・」

それは、帰りたくないという、お嬢さんの意志ではありませんか。
でも、それもまた、嫁の洗脳と、野上さんは言い張ります。

まぁ、話は双方で聞いてみないと判らないものですが、この野上さん、奥さんのこと悪し様に
言い募りますが、それは自分にとって返す「両刃の剣」ということが、お判りになってはないようです。

調査をするかしないかは、家族会議で決めると仰る野上さんですが、妻子が家を出たいま、誰と家族会議するのでしょう?
そしてまた、その結果を「○○が言うたけん。そーしたんじゃ」と、誰かのせいにするのでしょうね。
自分のことを自分で決めるという、子供にもわかることが判らないままに・・・・。

野上正雄。・・・・・・・・はぁ・・救い難い50才です。
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by sala729 | 2007-10-12 12:40

憔悴した中野さんの頬から顎にかけては、みっちりと濃い髭が一面に浮かび上がり、着たままと思われるトレーナーの袖口は、薄汚れたわっかが浮き上がっていました。

妻の、奈津子さんが家を出て、僅か二日目というのに、もうずいぶんと「くたびれ」ています。
状況をお聞きすると・・・

・・・・・・・奈津子とは結婚してもうすぐ20年になります。子供は二人。
ふたりとも、サッカーをしていまして、なかなかの素質があります。それで、私学の高校に通わせています。これが、なかなかに授業料と、サッカーにお金がかかります。
遠征や、試合や、交流会なんかが目白押しで、それも二人分ともなれば、学費だけで毎月10万はかかるんですわ。

奈津子は家計のために、保険の外交をやってます。
と言っても、子供の送り迎えや、父兄会なんかがありますから、休みがちでそんなに給料貰っていたわけではないのです。
それでも、私だけの稼ぎではとても生活ができず、奈津子の仕事をあてにしていたのは事実です。
去年のことです。
奈津子が浮気していたことが判りました。相手は保険の客で11も年下の独身男です。
ええ。ぼくが携帯から見つけました。
奈津子を追及するとあっさりと認めました。

相手の名前も、住所も言いました。保険のお客だったとも言いました。
転勤でこちらに来ているので、相手は遊びかもしれないけど、あなたがしたいようにすればいいと、奈津子は全部、私に任せてくれましたので、私は一度その男に電話しました。
もちろん、男はとぼけてましたよ。
「中野だけど・・」というと「はァ?」みたいなかんじです。

じつはそのころ、私は仕事のことでオヤジとうまくいってなくて、毎晩飲み歩いていたんです。
奈津子は、それにもイライラしてたんでしょうね。
よく喧嘩もしました。あれも気が強いですから
「あんたはそうやって酒に逃げればいいけど、私はどうするんよ。子供もいるし、生活もあるし」と
よく叫んでいましたね。。。
それもあったんで、私は、奈津子の浮気を許したんです。
ほんとに、そのときは、悪かったと思ったんですよ。
これで、やり直そうと・・・・。

でも・・・できんかったんです。
いいえ。奈津子じゃありません。私です。
私が、できんかったんです。「浮気」したことを、忘れることができんかったんです。


まず、仕事に出る意欲がなくなりました。
そして、家族が出払ったら、そろそろと起き出して、飲み屋に向かう。
そして、奈津子の携帯に
「ホンマに仕事いっとんか?」
「今頃、また男と寝とんのか?」
「そこはどこや?ホテルか?」
と、メールを送り続けました。
もちろん、奈津子から「そんなはずないやないの!」とか、いつも返信がありましたが、それが
信じられない・・というより、今思えば否定してくれたら、安心・・みたいなところがあったんでしょうね。

私からは毎日何十通ものそんなメールがくるわ、私は仕事いかないわ。生活費に困るわと、奈津子も身動きとれなくなったんでしょうね。
いろんなところから借金していたようです。
犬猿の仲のオヤジの所にまで行ったらしいんですが、けんもホロホロに断られて、さすがに
気の強い奈津子もそのときは、泣いてましたわ。

それで゛も私は、奈津子にメールを送り続けました。
研修で一泊したあの夜もです。
「ホンマに仕事なんか?今頃男とホテルなんやろ?」
「そんなはずないやないの。仕事ってことは知ってるはずでしょ。」
そんなメールが5.6回続いて、突然返事がこなくなりました。
私はあせって
「やっぱり、男か!」
「いまどこでやってるんや!」とか打ち続けました。
でも、それっきり奈津子からはなんの返信も来ませんでした。
そして翌日、研修が終わって、他の人たちは駅に着きましたが、奈津子は帰って来ませんでした。会社の人には、実家に寄ると言っていたらしいのですが、もちろん実家には帰っていません。
そして、携帯の電源も切られています。



ながいため息を吐く、中野さんは、いっそう身を縮めているようでした。
後悔はしているのでしょう。
でも、字のごとく「後悔先に立たず」というやつですね。

浮気の原因の一端が自分にもあることを自覚して、それを許したのなら、それ以降の彼の行為は「最低」です。
それなら、むしろ許さないと、罵り、暴れたほうがよかったと、私は思いますし、奈津子さんも
きっとそうだったに違いないとも思います。

気の強い人間は、なかなか人を頼れません(ふむふむ、自分もそうだからよーく判るのね←
カゲの声)
全部、自分の中に溜め込んじゃうので、爆発したときまパワーには、何倍もの力が加わります。


「奈津子のこと、愛してるんですわ。私が悪いんです。あんなメール送らなかったら・・・」
うなだれる中野さんは殊勝に見えます。

「奈津子も浮気したこと全部言ってくれたんです。だから、許したのに・・・」
あらら・・・それは許してないって!・・・それって、檻なき牢獄に閉じ込めただけよ。しかも、「嫉妬」という、重たい鎖でかんじがらめにして・・・・。


「なんとか、探してください。奈津子がいないと、私は、私はだめなんです。。家はバラバラなんです。」
深々と頭を下げる中野さんを見ている、冷ややかな自分がいます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・奈津子さんが帰ってきて、この人は同じ過ちを繰り返さないだろうか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そんな、私を職業意識が制します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今の依頼者を信じてみよう・・・って、今月は優しい路線で行くんでしょっ!(^^)(^^)
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by sala729 | 2007-10-10 10:42

少し流行遅れだけれど、それがまたかえって落ち着いて清楚に見えるというのは、本人の美貌と立ち居振る舞いにあるのかもしれない・・・・それが最初の印象でした。

扇谷美也子さんは、前に落ちてくる髪を指でかきあげながら、ひそやかな声で話はじめました。

「彼は、前川と言います。団体職員で身元は確かです。・・・ええ、きっかけは出会い系サイトでした。」
その美しい横顔と「出会いサイト」がすぐに結びつかなくて、ペンを持つ手が一瞬、宙で止まり、
え?と、彼女の顔を見返していました。

「ばかでしょ?」自嘲気味に笑う美也子に
「いや、そういうことじゃなくて、なんだか不似合いだなと思ってしまって・・」
私は正直に感想を言うと
「私も、初めからそういうところをアクセスしたわけじゃないんです。タレントのブログを見つけて
ごちゃごちゃやっていると、自然とそういうところに、行き着いちゃったんです。」

・・・・これは嘘ではないでしょう。
最近の出会い系サイトは、いくら無料とはいえ、少ない女性アクセスを増やすために、こういう
操作をしているらしいです。


「それで前川と知り合ったと・・」
「ええ。最初はお互い独身と嘘を言い張り、初めて寝た日に、彼は妻も子もいると、告白しました
。」
「あなたは?」
「私はバツイチだと・・。子供はいないと言い張りました。」
美也子さんは顔をそむけて話します。

じつは、美也子さんには警察官の夫があり、子供も二人います。

魔がさしたというのか、淋しかったというのか、毎夜帰宅は遅い、泊まり勤務はある、堅物で融通のきかない夫に、不満を募らせていた美也子さんは、前川との、情事に溺れました。
前川はスマートでした。
細身の長身にいつもスーツをばりっと着こなし、食事に行っても、ドライブに行っても、
美也子さんをエスコートし、楽しませてくれました。
そんな関係が三ヶ月続きました。

しかし、美也子さんも馬鹿ではありません。
こんな関係が永遠に続くはずはないし、何より、自分にはこの家庭を捨て去る気持ちなど微塵もありません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・潮時・・・・なのかもしれない・・・・と、美也子さんのカラータイマーが点滅して、危険を知らせていました。


「もう、これで最後にしましょう。」
ある昼下がり、着替えを終えた美也子さんが切り出すと
「そうだね」と、低い声で前川も答えます。
「・・・・ええ。そのときは判らなかったんですが、彼はすごくプライドが高くて、女から別れようなんて言われいたことは、いまだかってないのだそうです。
そういえば、あのときの彼は、一度も私のほうを見ませんでした。」

「そして、三日たって、これがきたんです。」
美也子さんがバッグから取り出した、三通の封筒。
パソコン打ちした大きな文字が躍っています。

「読んでいいですか?」
うなづく美也子さんを確認してから、私は次々に三通を読み始めました。


三通とも、差出人は同じのようでした。
某調査会社と名乗って、浮気をやめなさい。そうでないと、警察官のご主人にも迷惑がかかりますよという内容です。

「私は怖くなって、彼に電話をして相談しました。そして、また、私たちは逢うようになったのです。」
「結婚してることも言って?」
「はい」
「彼は怒った?」
「いいえ。そーなのってかんじで・・・」
「でも、別れ話はなくなった・・と。」
「はい。そうなんです。何度か相談しているうちに、またもとのように・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
決め付けるわけではありませんが、この話から見えてくるのは、差出人は前川・・・という構図
ですよね。

前川は、美也子さんいわく、こんな田舎ではまずいないタイプの美形なのだそうです。
ですから、もちろん女性にふられたことなどは皆無です。
こうと決めた女性は必ず落とす・・・そして落としたら、もうそれで満足・・・というタイプなのだそうです。



それにしても・・・・
ご相談者が、警察官の奥様というのは、統計的にかなり多いです。
強制ではないらしいのですが、奥様方はたいていが専業主婦です。
いまどき、専業主婦で子供が二人ほどいて・・・楽な生活しているサラリーマンはそう多くはないでしょう?
それでも、妻の副業をやんわりと止められている以上、子供が学齢期になっても、彼女らは
ぼんやりと時間を過ごさなくてはならないのです。
時間だけがたっぷりあって、お金の余裕のない自由・・・・これはある意味「檻なき牢獄」です。
だから、無料サイトやPCに嵌りこんで、そこにいるウノ目タカの目の、悪い奴らに利用されやすいのではないかと、私は思います。

その綺麗な横顔を見つめていると、この人を離したくないと、心で叫びながら、格好つけている前川の顔が浮かび上がってくるようです。
夫も家庭も失くしたくないと願う美也子さんにとって、最上の解決策とは、なんなんでしょう??
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by sala729 | 2007-10-06 14:25