すっきりと鼻筋の通った小顔の眉根がぎゅっと寄せられて、神経質そうな細い指がカタカタとテーブルを叩いています。
中澤小夜子さん(44才・仮名)の二女のまなかさん(仮名・19才)が家出したのは一週間前です。夏休みを本当に目前にしたある朝、自転車で短大に向かったまま、彼女は帰ってきませんでした。

小夜子さんには心あたりがあります。
二ヶ月ほど前から、まなかさんの交際相手、下平直人(24才・仮名)のことで娘との仲は最悪でした。
突然、まなかさんが付き合っている人がいる。紹介したいと言い出したとき、小夜子さんは一蹴しました。
「何言ってるのよ。あなたはまだ学生でしょ。それに紹介ってどういう意味よ?」
10年前に夫を亡くして、女手ひとつで育てた娘二人です。
後ろ指を指されまい。甘やかしはしないと、毅然と育てたつもりでした。
もともと、融通が利かないと自分のことは自分でも判っています。
夫の死がその性格に輪をかけて、より窮屈にしたようでした。


「付き合っているから紹介したいって言ってるのに、なんでお母さんはそうなの?私が隠れて
コソコソしたほうがいいの?」
「そんなことは言ってないでしょ。あなたはまだ学生だし未成年だと言ってるのよ。」
「だから、お母さんに紹介して付き合いたいって言ってるんじゃない!。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まなかさんと小夜子さんの言い争いはエスカレートするばかです。
その日は収まらないままに、夜を迎え何日かたった深夜のこと・・・

遠くで車のブレーキ音を聞いた小夜子さんが寝床をでて、窓から外を窺うと、表の通りに停まった車からまなかさんが降りてきます。そして運転席のまどごしに誰かと話をしています。
小夜子さんの頭からすーっと血が抜けていくようでした。
目の前が真っ白になりました。
厳しく育て、躾に関して後ろ指さされないようにと、それを思い続けて育てたわが娘がこんな深夜に男に送られて、しかもまだベタベタと・・・・。

気付いたときにはもうその車の前にいました。
「こんなところでやめてちょうだい。」
「あ。お母さん、ちょうどよかった。下平直人君よ。」
まなかさんに悪びれた様子はありません。
「いやですよ。こんな夜中に、こんなところで。」
「じゃ、どこならいいのよ?いつならいいの?いつも、いつも世間体ばっかり。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・途中で同じように起きだした長女の提案で二人はともかく自宅に入りました。
座敷に座って改めて彼をみると、ライオンのたてがみのような金色の髪に、三個も四個もピアスをぶら下げた耳。ベージュの作業着には、赤や白のペンキがあちこちに付着しています。
そして、真っ黒に日焼けした顔とあごひげが、今流行りとでも言うように、小夜子さんを見つめ返します。
女所帯に、彼の存在は大きな脅威です。
小夜子さんは体が震えてくるのを止められませんでした。

かろうじてそこで聞いた事によれば
彼は父親と二人暮らし。仕事は看板やなのだそうです。
母は10数年前に、男を作って、有り金全部もちだし家出。その後、一度復縁したのだけれど
今度は祖母の金をもって、また別の男と逃げたと言います。
そして、今はまた別の男と暮らしているのだそうです。
彼は姉と二人姉弟で、姉は「札付きのワル」で、警察のお世話になりっぱなし。彼自身も少年院や鑑別所とも無縁でなかったと、自慢げ(小夜子さんいわく・・です)iに、語ります。

あまりの家庭環境に、小夜子さんの言葉はありません。それでも、力を振り絞って
「で、でもね、こんな時間まで遊びに連れまわしてもらったら困ります。」と、抗議すると

「なんでですか?オレらなんも悪いことしてませんよ。ホテル行ってるわけじゃないし、アオカン
してるわけでもないし。」
「・・・・・こ、こんな時間ですよ。常識にはずれてるでしょ?!」
「常識ってなんですか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・思いがけない反論に小夜子さんは詰まりました。
「世間ってことでしょ?」
「世間ってなんですか?」
小夜子さんは下平に遊ばれていると思いました。


「じょーしきなんて人それぞれでしょうが。オレは今から、ねーちゃん迎えに、○○警察署に行かんといかんのです。帰りますわ。ほな、さいなら。」

下平の人を馬鹿にしたようなもの言いは、小夜子さんを逆上させました。


その後は、まなかさんが何をどういおうと、一切交際は認めないの一点張りです。
そして、下平を呼びつけて、一方的に別れの宣言をしてしまいました。

その二日後です。
まなかさんが家を出たのは・・・・・・。


憔悴の小夜子さんとの距離を測りながら、調査はすすみました。
そして、下平との何度かの接触で、意外か事実が判りました。

下平の姉、みゆきは「男のような女」・・・・性同一性障害・・なのかどうかは定かではないのですが、ともかくみゆきには「彼女」がいます。もちろん女です。
そして、恐喝・暴行・事務所荒らしと、やることは荒事ばかりです。
警察でも有名人らしく、みゆきが逮捕されると「まぁた、あの男女、何やらかしんただぁ?」と
言われるほどなのだそうです。

このみゆきのことで、直人は何度もいやな思いをしています。
近所も親戚も、みゆきがこうなったのは、母のせいだと思っていますし、父や自分はそのことで
随分肩身の狭い思いもしてきました。
直人にとって母も姉も、「優しい女性」とは程遠かったようです。

家出調査には欠かせないスペシャルS氏が、直人に逢っていろいろ事情を聞きました。


直人は仕事帰りらしく頭に巻いたタオルを取ると、そのままそれで顔の汗を拭って、ぼそぼそと
話し始めました。
「まなかとは別れましたよ。まなかのオカンがあれでは、オレと付き合うことなんてできんでしょ?。続けたら、あいつがつらいだけやし。まなかのオカンには、どうやったったって判ってもらえるはずないし。」
「そらそーやけど、お前なぁ、初対面の人に、ねーちゃん警察に迎えに行くじゃの、前科があるじゃの言うたら、たいがいの人はひくぞ。」
こういう、いわゆる「おにーちゃん系」の男の子と話して本音を引き出すS氏の技は、ホレボレするばかりです。

「そやけど、あとから判ったほうがつらいがな。それに嘘言うのもいややし。いままでねーちゃんのことで何回も、女とはダメになってるから、もう慣れとるけど、それでもやっぱり本気になる前に言うとったほうがいいかなって・・・」
「・・・・そうか・・・」


聞いてみると、小夜子さんの言い分ばかりの子ではないようです。
家庭環境は、決してよくはありませんが、これは直人のせいではありません。

しかも、あと三日もしたら、そのねーちゃんは「彼女」を連れて、実家に引越してくると言うのです。その手伝いに、今から行かんといかんと言って、直人は汚れたパンツをパタパタとはたいて
立ち上がりました。
ちょっと「ワルっぽい」その仕草と外見が、ちょっとだけ、素直に見えたのは気のせいではないでしょう。


この直人のことをそのまま小夜子さんに話して、受け入れられるかどうかは不明です。
でも、自分と違う世界で生きている人もいることを、彼女も知らない年ではないはずです。
それでも受け入れられない母と、その母の思惑の外を彷徨う娘と・・・
この二人の邂逅は、いつになるのでしょうか・・・・。
まだまだ、調査は続きそうです。。。。
[PR]

by sala729 | 2007-07-30 20:16 | Comments(0)

理恵さんが小学校三年の娘を連れて、八雲家の敷居を跨いだとき、夫は娘に「萌ちゃんのパパにならせてもらってありがとう」と微笑みかけたあの顔を、今も忘れませんと理恵さんはうつむきます。

三歳で父親を亡くした娘は、それまで父と呼ぶ人を知らず、初めて会った夫の優しい笑顔に、母子とも感激のあまり言葉もでなかったと言います。



そして月日は流れて、萌ちゃんは小学6年になり、二才の弟もできました。
家族の生活は変わらないように思いましたが、パパとママの様子が、ちょっと変だな・・とは感じていました。でも、ママにどうしたの?と聞くことは、しないほうがいいような気がして、時々廊下やドアの前で、パパやママに判らないように二人の話しを立ち聞きしたりしていました。

そんなある日
ママの泣声が洩れて、パパがなにかに怒るような声。パタパタとスリッパの音がしたかと思うと
萌ちゃんの目の前のドアがさっと開かれました。
驚いたのは開いたパパと、萌ちゃんです。
言葉もなく立ち尽くす萌ちゃんに
「なにやってるんだ。部屋に帰りなさい」
それは、今まで聞いた事のないような、冷たいパパの声でした。

言葉もなく立ち尽くす萌ちゃんの肩を邪魔物をどけるように振り払ったパパは、そのままどこかに出かけていきました。
遠くで、何度か萌ちゃんも乗せてもらったことのある、パパの大きなオートバイの音が響いて
そのまま、パパがどこかに行ってしまったことが判りました。



その三日後です。
夫はやり直そうと言ってきました。と、理恵さんは話続けます。
それまで、合コンで知り合ったという人妻と、浮気をしていたことがばれて、理恵さんに追求され続けていた夫が、頑としてそれを認めず、諍いが続いていたことは事実です。
それが、今日になって、「あれはメールだけの関係だった。もう二度とメールはしない。だから
忘れてくれ。オレも忘れる」と、言って来たのです。

理恵さんはもちろん受け入れました。
もう一度彼を信じてみることにしました。
もちろん、「ただのメル友」というのが嘘とは判っています。
合コンで逢ったこと、何度かホテルに行ったことも、かわしたメールに残っていました。
でも、彼がそういうからには、それを信じてみようと思いました。
なにより、あれ以来塞ぎこんでいる萌ちゃんに、パパとママは仲良しに戻ったと告げてやりたかった・・・・のです。


でも、二日後の夜
飲んでかえった夫の上着のポケットの中で、ピロピロと携帯がなります。
やってはいけない・・・と、シグナルが心の奥で鳴り響いています。指が震え、心臓がパクパクと
音をたてて、理恵さんの脳に危険信号を送っています。
でも・・・・理恵さんは止められませんでした。
震える指で、携帯を開くと、メールの受信が知らされています。
もう、止まりませんでした。
そのまま、開いて見ると・・・・
「私だって逢いたいよ。逢いたい。逢いたい。逢いたい。でも、もうすぐだもんね。我慢我慢って
言い聞かせているから、なおちゃんだって、我慢しなよ。
その代わり、今度あったときは、うーーんと、サービスしちゃうもんね~」と、最後にはハートマークが無数に並んでいます。
理恵さんの頭の中が真っ白になりました。

あの二日前の夫の言葉はなんだったのか・・・・

それでも気を取り直し、携帯を夫のポケットに戻します。
なにくわぬ顔を装って
「パパ、もう浮気はしてないわよね?女とはメールもしてないよね?」と聞くと
夫はたちまち顔色を変えて
「うるさいなぁ。お前、何度もしつこいよ。もういいかげんにしろよ。そんなにオレのこと信じられないなら、いいよ。いつでも離婚してやるよ。」と、突然の逆ギレ・・・・。
「そんなこと言ってない。ただ聞いただけなのに・・・」
「そのしつこさが、もういやなんだよ。オレはいいんだよ。もう、お前とはうんざりだよ。」
言葉を吐きつけると夫は一人で寝室に向かっていきました。


迷いに迷って、理恵さんは親友と二人で相談に現れました。
「もうしてないって夫は言うんです。」と、自分に確かめるように言う理恵さん。
「でも、今度会いましょうメールが届いたんでしょ?」
「え、ええ・・・それはそうなんですけど・・・でも、今度がいつなのか判らないし、逢わないって
言うのを私が信じればいいだけなんですけど・・」
「それは違うでしょ。それは信じるというのじゃなくて、信じるふりをする・・・ってことよね。ふりをして、お嬢ちゃんの前で、演技続けられる?これからもずっと。」

理恵さんは下を向いてしまいました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夫を信じたい気持ちはよく判ります。夫婦ですから
信頼関係がなくて、どうして夫婦でいられるでしょう?

でも、これは私が相談者さんにいつも言う言葉ですが「浮気をしている人はうそつきです。
浮気をするには嘘をつかないとできないのです。そこのところをよーく考えてみてくださいね。」と・・・。
相手の嘘を信じるか、事実を知るか・・・・・連れ合いに浮気されたとき、選択するのはこのどちらかです。

夫を信じたいという気持ちの奥に、初めてパパに疎ましがられた萌ちゃんの茫然とした姿が忘れられないと理恵さんは言います。

疑えとは言いませんが、事実知る努力をしなければ、理恵さんに対処策はないでしょう。

何度も迷って、迷って・・・とうとう理恵さんは調査を決心しました。
そして今現在・・・・
夫の行動は、私たちが監視しています。
もうすぐお昼・・・・
彼が動くのはこれからでしょう・・・・・・・。
[PR]

by sala729 | 2007-07-27 11:24 | Comments(10)

もうすぐ、誕生日がやってきます。
な、何回目って?・・29回目ですよっ!と、叫んで「あんたねぇ・・・いいかげんにせんといかんよ」と、毎年Oリーダーにたしなめられてはおりますが・・・(^^;)(^^;)

正直言って、もう誕生日は楽しくはないですっ。目の前で「余命」を削られているようで、ちっとも嬉しくはありません。
プレゼントといっても、「ダイヤの指輪」や「エルメスのバッグ」が届くわけでなく、毎年増えていくのは、ルームランナー、ジョーバーなどの、アスレチックジムまがいばかり・・・です。
夢や美やロマンチシズムとは、どんどん遠ざかるばかりです。。。。

それでもくるのですよね。誕生日。
ほんとに、最強の「おせっかいババア」ですわ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?・・・・・・・・・・・自分の誕生日には自分をこの世に産んでくれた母親に感謝する日ですって??・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そうですね。そういう方もいらっしゃいますね。
でも、感謝するより後悔ばかりですわ。・・・・母もなくなって10年がすぎました。

と、ぐだぐだと愚痴を並べつつ、はっと気付いたんですね。私。
そう・・・・そういう日なのかもしれないと・・・・

もう既にない自分を取り囲んでいてくれた人たちを偲ぶ日なのか・・・・と。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぁぁぁぁぁぁ・・・なんだか年寄りくさっ!・・・・とも思いますが。
私が自分を振り返る日が誕生日。
こう考えると、なかなか「よい日」と思えるかもしれません。


あなたの一番楽しかった誕生日はいつですか?


あなたの大好きな人は誰ですか?


あなたの大好きな場所はどこですか?


あなたの大好きなものはなんですか?


最後の質問を前に、私は迷いに迷っています。
(あまりに物欲が強すぎて、ひとつに絞れない・・・・のです。苦笑)
[PR]

by sala729 | 2007-07-25 18:23 | Comments(4)

学生時代からの友人が数人おります。
この歳で「親友」などと称するのは、お互い「こっぱずかしい」(笑)ので、あえて「友」と表現しますが、この年代までの私たちの
付き合いの仕方を、わが家人たちは「羨ましい」と口にします。
付かずでもなく、離れるでもなく、長い空白もあれば、執拗に接近することもあり・・それでも
邂逅すると、いつも同じペースでの話が始まる。しかも、それぞれの伴侶もそれを心得ていて、
隣で会話を楽しんでいたり、自分の世界に入っていたりで、「無理をしない距離」をそれぞれが
知っている・・・と、言います。

もちろん、それぞれに同じ年月生きてきたのですから(同級生ですから当たり前なんですけど
^^)各々にいろんなことはありました。
相談したこともあれば、自分の胸だけに収めたこともあります。
四面楚歌の中で、力を借りたこともありました。
それでも、今まだこうしてつながっていられることの幸せは、月日を重ねるごとに実感してくるものです。(などと、私がこんな殊勝なことを書くと、もうすぐ死ぬんじゃないかとひやかしの電話が入ってきそーな気もするのですが・・・苦笑)


その友人たちと共通する一人に、杉浦真美子(もちろん仮名です。)がいます。
夫の転勤に伴って、全国を転々としていましたが、今は夫が本社勤務に戻ったため首都圏内に娘と息子をまじえて四人で暮らしています。
私とは当然家族ぐるみの付き合いですから、私も彼女の子供たちのことはよく知っていますし
東京でひとり暮らすわが息子がお世話になったこともあります。

その真美子の夫が浮気をしていると私が知ったのは半年前です。
実は、ほかの友人たちはずっと前から知っていたらしいのですが、私に知れると性格からも商売柄も「絶対に離婚しろって言うから、Aには知らせないで」と懇願していたらしいのです。

・・・・・たしかに、その推測は間違っていません(^^;)
この過激な性格ですから、浮気の事実を知りながら、夫と生活をするという現実が、自分に置き換えたとき我慢できるはずがありません。
でも・・でもです。
仕事となればそれは別です。
仕事は仕事ですから、自分がどうのこうのより、依頼者の利益、依頼者のやりたいこと、依頼者の気持ちが最優先ですから、それが自分の意に添わなくても、やらねばならないことは当然です。そして、そのために全力を尽くすことも当たり前です。


ですから、「商売柄」という言葉だけは、除いてもらいたいものだという抗議は、ひとまず心に呑みこんで、友人から真美子の実情、友人たちの意見、真美子との対応を聞き出しました。

正直、みんな「お手上げ状態」・・・・のようです。

なにしろ、真美子の夫、杉浦氏は浮気を隠していません。
真美子に公言していますし、真美子自身、相手の女と話もしているし、メールを送ったこともあると言うのです。
そして杉浦氏は「お前のことも愛している。でも、彼女も好きだ。別れるなんてことは考えてない。」と言い放ちます。
事実、杉浦氏は体の弱い真美子に代わって、炊事や洗濯、高校生の息子の弁当まで作ってくれるそうです。
真美子は経済的にも、精神的にも、体力的にも、夫と別れたら自分は生きていけないと訴えます。自分が健康で元気にバリバリ働けるなら、離婚も考えるけど体はこんなだし、娘は未婚で
仕事してないし、来年受験の息子のこと考えると、離婚はできないと泣きます。

そして夫に愛してると言われていることにすがっているのです。
でも、夫は「お前のことも・・」と、言っているのです。「お前を」ではないのです。
妻と同列に別に愛する女がいると妻に告げる夫がおりますか?

私はこの仕事に就いて以来「すべての男は浮気をする」と、認識しています。
自発的でないにせよ、そういう状況が揃ったら、浮気しない男はいないと思います
それをセーブするのは、今までの妻との生活の重みと、家族愛と、社会人としての今までの評価、世間の目・・・・などではないかと思うのです。

だから・・・だからせめて
もしも、浮気をしたなら、「絶対に妻にばれないように浮気して、ばれないうちに終わらせる」これが夫としての愛ではないかと思うのです。


それを、ぬけぬけと「お前も、女も好きだ」なんて告白するなんて、男として、夫として最低のランクですね。
しかも、愚かなことに、真美子は相手女に、別れてくださいとメールを打って、女から
「私が決めることではありません。杉浦様と話し合って決めたことです。ご夫婦の話し合いがないようですが、わたしがその時間を作るお手伝いをしましょうか?」などという、呆れ果てた
傲慢な返信を受けているのです。
もちろん、私は「余計なお世話です」と返しなさいと、言うに決まっているじゃないですか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・真美子のことを
仕事として考えることは簡単です。
でも、この仕事に携わる者として、できれば公私混同はしたくない・・・というのがホンネです。
この仕事に就くものの多くは、大抵が同じ気持ちです。

結果が出たときに、愛憎と、感情と、真情がもろに出てしまうことが判っているだけに、自分をその外に置きたいのです。
でも、友人や身内の場合は、そうはいきません。自分が手がけてしまった以上、外から見ている
訳にはいかないのです。

自社の仕事能力を知っているだけに、証拠写真を真美子に見せたときの彼女の反応が容易に想像できて、私は怯みます。

今更ながら思うことは、真美子は私たちの中で、一番冷静で沈着な性格だったのです。
今はそのよすがはありません。
結婚以来、夫と子供だけの世界の中で、自分の立場や権利を見失ってしまったのでしょうか。
それとも、夫が彼女に目隠しをしてしまったのでしょうか。
[PR]

by sala729 | 2007-07-24 10:48 | Comments(4)

何を持って「浮気」と、するかはそれぞれの規範によって違うものです。(もちろん法的定義はありますよ。あくまで気持的定義です)


・・・真由美さんの場合
「あなた浮気してるわね?!」
「ばか!するわけないじゃないか。」
「そお?それなら調べるわよ。」
「おぉ。やれよ。浮気なんかしてないんだから、その金もオレがだしてやるよっ。」

こんな夫婦の会話は、よくあることです。
たいていの場合、飲み会で遅くなったり、飲み屋のオネーチャンからのメールが届いたりしたときに、こういう諍いになることが多いようです。
まさしく、真由美さんの場合もそうでした。

「前に飲み会の時、風俗に行ってたんです。私にはスナックと言いながら女の人のいるところに行ってたんですよ。それで、もう二度と行かないって言うんですけど、ホントかどうか判らないって言ったらそれなら調べてみろ。お金はオレが出してやるって言うんです。」
「・・はぁ」
「それで明日の夜、飲み会なんでそのとき、調査して欲しいんです。」
「・・・・・でも、それはご主人さまがご承知のことなんですよね?」
「ええ。調査費用も主人が出すと言ってます。」
「・・・・・*****************・・・・・」
・・・・・・・・・・・・自分でお金だして、自分の不貞取ろうかなんて人がいるわけないでしょ??
「そういう場合、ご主人さまは、そんな所には立ち寄らないと思いますけど?」
「ええ。でも、自分で費用出すって言ってますから。。」

不可思議ながら、調査をすることになりました。

そしてその夜の真由美さんの夫は予定どおり飲み会に行き、二次会はいわゆる「キャバクラ」に
向かいました。二次会の総勢は8,9人です。
飲み屋街のそのお店には当然女の子がいます。

「そこは、女の人が隣に座ったりするんですか?」
「それは座ると思いますよ。」
「触ったりもするんですよね?」
「あると思います。そういう場所ですから。」
「私にはスナックと言ったのに・・・」
真由美さんは悔しそうに唇を噛みます。

「でも、一次会の流れですし、大人数で行きますからそういうところに行こうって誘われて、行かないとは言えないでしょう?」
「でも、私にはスナックと言ったんですよ。」
それはそのまま言うと、奥さんが心配されるからでしょう?そこで争いになるのを避けたかったのかもしれないし。」
「でも、調査するならしてみろって言ったんですよ。」
「だから、彼の中ではこれは、お付き合いの一環と思ってらっしゃるのじゃありませんか?」
「でも、女の人が隣に座って、触ったりするんでしょ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そりゃそーですが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・報告に嘘を混ぜるわけにはいかないし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「奥さん・・これを不貞と言うには、無理があります。これでご主人を責めても、それは無駄です。二次会で飲みにいったと仰られるだけです。だから、どうしてもご主人のこと責めたいのなら、もうしばらく様子を見てください。」
「でも、こんなところに行っているし・・」

どうやら、真由美さんの耳に私の声は届いてないようです。
一点をまっすぐ見つめる真由美さんの視線は、今は職場にいる夫に注がれているようで、鬼気迫るものすら感じます。
真由美さんが夫を愛しているからなのか、ご自分の貞操規範があまりに狭く堅いのかは判りませんが、彼女の中で「夫=浮気」のスイッチは押されたようです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お気の毒・・・で・す


今月はじめの百子さんの場合

こちらも夫の飲み会の予定が入りました。
百子さんは先週、思い余って相手女のところに電話をしてしまったのです。
「もう、主人とはメールしないでください。二人だけでも会わないでください。」と、訴えると女は平然とした声で
「ご主人とは何の関係もありません。ただの客です。するなと言うならメールもしませんからご心配なく。」
小ばかにされたような言い草に、少し腹立ちを覚えたものの、女がメールもしないということで
百子さんは自分を押さえたのでした。

そして飲み会・・・・

あらら・・・・・・・
情報通り、女の勤めるスナックに向かいました。
ここは会社の人たちの溜まり場になっていて、何かあるとここに集まってくるのです。
それは百子さんの承知で、このスナックは女の姉が経営者です。
三々五々集まった男たちは、店が閉店したあとも、居続けて大声が飛び交っています。

そんななか、ふらっと出てきた一組の男女。
男は百子さんの夫で、女は相手女性です。
この季節だからか、白地の浴衣を涼しげに着崩している襟足がなまめかしく、闇夜に白く浮かんで見えます。
二人は手をつないで、川べりの道を歩き始め、キスこそしませんでしたが、もつれ合ったり、触れ合ったりしながら、少し離れたカラオケハウスに入りました。
20後には、もう一組の男女が合流して4人の男と女がそこにいたことは確かです。
そして二時間がすぎて出てきたときは、またもや二人は手をつないでいました。



電話の向こうの百子さんの声が聞こえません。
「百子さん?百子さん??」

「あ、は、はいっ。」
我にかえったかのような百子さん。
「昨日の行動は以上です。」
「・・・は、はい。・・・・・もう二人だけでは逢わない。メールもしないと言ったのに・・・」

茫然自失の百子さんに私は囁きます。

「前にも言ったでしょ?浮気している人は嘘つきだって。それに水商売の人は、あなたがしたような電話には慣れてます。いやな言い方で悪いけど、いわゆる、適当にあしらわれた・・と、いうことですね。これは、厳密には浮気とは言いませんが、でも、どうしてもあなたが我慢ならないのなら、ご主人に嘘をついたということを責めてみてはどうですか?
ご夫婦ですもの、お互いを信じあうということのためにも、それについては話し合われたほうがいいと思います。
あなたが納得するまで・・・。その時の資料として、昨夜のことは大至急報告書にまとめるように
いたします。」
「はい。」
もともと、まじめで賢い百子さんですから、理解は早いです。



この二人のケースを「浮気」と言うか、言わないかは、議論の分かれるところかもしれません。
でも、少なくとも、浮気されたと同等に彼女らの心は傷ついていることは確かです。
どうぞ、この二人のご主人が、彼女らの傷口を素手で触ったり、あまつさえ、塩を塗りこむような
ことをしないようにと、祈らずにはおれません。。。             (合掌)
[PR]

by sala729 | 2007-07-23 13:20 | Comments(2)

自分の住んでいる地域の「水不足」は解消したからといって、反面豪雨の被害にあわれたり、地震にあわれた方のことを思えば、軽々しく喜んでばかりもいられない・・・とは思います。

それにしても・・・自分の故郷でありながら、毎年毎年のこの、「水対策の無策・無能」ぶりには呆れるばかりです。
この地は、日本で一番降雨量が少なく、一級河川がなく、古の賢者「弘法大師」をして、ため池をしつらえ続け、まさにその数日本一になったという、遠い昔から「札付きの水飢饉県」なのです。それだけの、情けない水事情がありながら、今から20年ほど前に、近隣の県の温情とご好意で(本当にそうだったかどうかは、あえて言及しないでください・・。地方政治の裏表です^^)
大規模ダムが作られました。

ところが、それも年々増え続ける住宅と、社会環境で水の使用量は増え続け、将来を見据えた政策であったはずの大規模ダムでも、水量が賄いきれなくなりました。
この地には、海を渡る「瀬戸大橋」がありますが、この橋を発案した地元の政治家、大久保甚之丞氏(この方は、高校野球で有名な尽誠高校の創立者です)の名言「百年の計」(政治に携わる者は百年先を見たビジョンを持たなくてはいけない)とは、ほど遠い「付け焼刃計画」・・・・と、私は思ってますけどね
(^^;)


水不足警報がでると、紙のお皿とサランラップが飛ぶように売れます。
洗い物ができないので、お皿にラップを巻いたり、使い捨てたりするためですね。
夜寝る前には、トイレの水を確保しておかなければなりません。(夜間断水から始まりますから)お風呂はお湯の継ぎ足しができませんから、最後の人はお気の毒です(笑)

夏がくると、こんな日々が普通にやってくるんです。。。
いいかげんにしてっ!!って言いたくなるでしょ??
毎年のことなんだから、もっと抜本的な「解決案」が、なぜ出来ないっ!!!
・・・・・・・・・って、叫びたくなるでしょ。
重い住民税に、溜息がこぼれる給料日には、こんな気持ちになりますわよ(^^;;)



ところで、いま社内では「脳内メーカー」が大流行中です。
「ばからしい」と笑いつつ、なぜか妙に納得してしまうところもあり、これを考案した方に、敬意を表しますね。世の中には、「楽しいこと、面白いこと」を発案する方がいるものです。
そんな人が近くにいればいいなぁ~~
なんて、まだ梅雨の明けない重たい空を見上げている金曜日の私です。
[PR]

by sala729 | 2007-07-20 11:50 | Comments(0)

台風のあけた日曜日のお昼前に、自宅の電話が鳴りました。
最近はどこのお宅もそうでしょうが、加入電話が鳴ることはそうはありません。
何かの勧誘か、お年寄りの親戚からか、この時季だと選挙がらみか・・・・たいていはこのあたり
ですよね。

「・・はい。」
私のテンションも低いままです。
「Aさん!。私!私!。判る?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・判るわけないでしょうが・・という言葉を飲み込み
「申し訳ありませんが、どちらさまでしょうか?」

「私よ。いゃあ、判らない?・・・そうやね。やっと苦労して探したんよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから、誰よ???・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「折口!。折口よ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え、折口さん・・・・・・・・・・・・・確か半年前にご主人が亡くなったと死亡記事に出てたっけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(いやーな予感・・)

「あら、お久しぶり。」
「私ね、主人が死んだんよ。知ってる??」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この流れで、知ってるとはちょっと言いにくいです(--;)

「えっ・・いつ?」
・・・・我ながら、なかなかの演技力・・・
「1月よ。えぇぇーーー知らんかったん?新聞にも載ったんよ。見んかったん?」

・・・・・だから、知らないって言ってるでしょうが・・・・
「去年の秋に倒れて、半年寝たきりで・・・。だから、もうお葬式の時は、落ち着いてられたけどね。」
「そうだったの。・・・・知らなかったわ。」
「それでね、Aさんのこと思い出したんよ。A君も早くに逝っちゃってねぇ。あなたがどーしてるかなぁって思ったんだけど、住所録がなくなって、それで電話もできなくて、そしたら今月の初めに
同窓会名簿が来たのよね。それで、ああ、これこれって思って」

話せは゛煩わしく長いのですが、この折口夫人と私は高校の同級生です。そして折口氏と私と亡夫は同じ職場で机を並べていました。
・・・・あの、悪名高き「社会保険事務所」の関連会社ですから、会社名は口をつぐんでおきますが、そこに出入りしていたのが折口夫人です。
折口氏が一方的に熱を上げ、押して押してやっと手に入れた「妻」でした。
私は、彼女と同級だったので、折口氏にいろいろ協力をしてあげたことは確かです。
彼も私のことを「自分らのキューピット」と呼んでいました(そこっ!笑わないっ!!)

でも、正直に言うと、私は彼女と特別親しいわけではなく、折口氏の懇願に仕方なく骨を折っていただけでしたから、お誘いも三回に一回程度にしていました。

月日は流れて、亡夫は、単身赴任がいやだと、信じられない理由でトラバーユし、彼はそのままずっと勤め上げていました。
亡夫は、転職したとはいえ、関連会社に引き抜かれた形だったので、彼の会社との縁は切れてはいなかったのです。
ですから、夫が亡くなったことも知っていますし、葬儀にも来ていただきました。


「ねぇ、ねぇ。Aさん、今なにしてるん?元気そうやね?遺族年金もらってる?いまひとり??」
矢継ぎ早の質問が続きます。
元気じゃ悪いかぁぁ???
遺族年金って、第一声でそんなこと聞くかぁぁ???
ひとりって???ひとりじゃわるいかぁぁぁぁぁぁああああ・・・・・・・・・・・

「もう10年だからね。」
「そっか。10年たったら、元気にもなるよね。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・あんたは今でも元気じゃん・・・・

「ね、、彼はいるん??一緒に暮らしてるん??」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、あなたいったい何のために電話してきたの???

・・・・・私は、こういう問いかけに正直に話す気持ちも説明する気持ちも全くありません。しかし
きちんと話をしておかなければ、こういう人は波状攻撃のように、繰り返してくるのは判っていますから、まず深呼吸して話ます。。。


「あのね。私はAが死んだとき、一緒に死んだのよ。それでまた生まれ変わったの。だから
今はもう自由に生きてるのよ。これはね、Aが私にくれたプレゼントだと思ってるの。
私の性格に合わなくても○○家の嫁だの、なんだのって言われて、舅や姑に心ならずも従ったりするのは、可哀想だから、何にも縛られない、本来の私のままに、これからはもう自由に生きていいよって・・・。
だから、私はあれ以降、冠婚葬祭は失礼ながらすべて欠礼させていただいてます。亡夫側の
不祝儀ごとは、息子が全部代わってくれてます。もうあちらでは、私の存在など無いに等しいし
私もそれでよいのです。」

「そーよね。あなたは昔っからそうだったわよ。自分の考えで生きるっていうか・・・。で、彼はいるん?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(--)判っとんかいな・・

「いますよ。それがなにか?Aのことも大切にしてくれるし、子供とも上手くいってるし、私のこと
自由にさせてくれてるし、そういう人が私にいておかしい?」

「い、いゃ・・・おかしくはないけど・・・けど、ほら、あなたって昔から、男がどうのこうのってタイプ
じゃなかったしぃ・・・だから・・・」

・・・・だから??びっくりしたって???・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんだこれって、この会話ってもう何十年も前のままの会話じゃないのよ。高校生時代ならともかく、あまたの風や波をくぐってきたはずなのに、なんなの?この会話の薄っぺらさ・・・・


「人にはね、どうしても癒しきれない傷はあるとおもう。その傷の痛みに塗る薬は時しかないと
私は思う。そしてその長さは人それぞれだから、傷を負ってすぐの人には私は声をかけないようにしている。というか、かけられない。
時間がたって、少しづつ探りながら、言葉を積み上げて行くのが、いい年した大人の思いやりと
私思うのね。
折口さんのことについては、まだ私には積み上げる言葉がない。ごめんね。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「いやぁ・・・やっぱり仕事してる人は違うわよね。もともと、自分の信じた道行く人だったけど、仕事してるとやっぱ違うわ。ずっと主婦してたらだめね。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・い、いや、そんなことではないと
思うのですが・・・・(--;)



・・・・・・とうとう彼女との会話は噛み合わないままに終りました。
このあと、彼女は、同窓会名簿を片手に、次々と電話を掛け捲り、話続けるのでしょうね。
それが彼女の「癒し」なのかもしれません。

でも、ごめんね。
自分の心を押しつぶしても、それに合わせていこうという「主婦の忍耐力」はもう、私にはない
のです。私は、私で生きることを許されてから、とてもわがままに生きてます。
今日も、明日も、明後日も・・・・・です (^^)/
[PR]

by sala729 | 2007-07-17 18:48 | Comments(2)

最初にお電話聞いた時には、よくある話でした。

中林里美さんは、所謂「未婚の母」です。生後8ヶ月という男の子は、本当に目も覚めるばかりの美男子です。里美さんがこの子をどれほど愛しているか、それはそのすべての動作から判ります。

子供の父親は、城下広樹といい、バツイチで14才と7才の子供がいるということは、初めから判っていました。もっとも、子供は前妻が引き取り、彼はきままな一人暮らし・・・・・なのだそうです。

彼と知り合ったの当時、里美さんはあるストーカーに悩まされていました。
当時付き合っていた男の暴力と過剰な嫉妬に、別れを告げたときからそれは始まりました。
毎日のようにつきまとい、職場にいやがらせの電話を入れ、マンション前での待ち伏せ。
里美さんはノイローゼ寸前でした。

そんな、自分の現状を話しても、現実的に前男の執拗な行為を目にすると、誰もがびびって里美さんの前から姿を消すか、へらへらと笑いながら何もなかったふりをするかのどちらかでした。
そんなときに知り合った城下は、「まかせとき」と、微笑むと、その場で前男に連絡をとり、話をつけに行くと言いました。
それは、前男のことを知らないからだと思った里美さんは、あわててそれを止め、二人はそのまま彼女のマンションに向かいました。
しかし、城下はそこでも、話をつけると言い、前男に電話しはじめました。

それから10数分後、前男から城下に電話が入りました。
「出てこいやぁ!。えぇぇ、えーかっこ言うてんやないぞぉ。出てこんかいやぁぁ。」
傍にいる者にも充分に聞こえるような大声で前男は喚き散らします。
「おぉ。行ったるわ。そこで待っとれや。」
城下は静かに言うと、止める里美さんを制して、出て行きました。


里美さんがベランダに飛び出して、下を覗き込むと、マンションの周囲を30人近くの男たちが取り囲んで、その中に対峙する二つの影が見えました。
何をどう話ているのかもちろん聞こえるはずもありませんが、里美さんは感動しました。
自分のために、ここまでしてくれる男性を前に、里美さんの恋心が燃え上がってもそれは不思議ではありません。
この日は、同じマンション内の住人が警察に連絡して、事なきを得ました。


そしてその日から、二人は「恋人」と呼ばれる関係になりました。


妊娠が判った時、城下は「堕してくれ」と言いましたが、里美さんはどうしてもこの子を産みたいと切望しました。たとえ、城下と結婚できなくても、自分ひとりでこの子は育てるからと、言い張り
子供を授けてくれた神様に感謝しました。


あれほど、堕してくれと言った城下も、日に日に大きくなるお腹を、いつしか目尻を下げています。もともとが優しい人なのです。
育児休暇をとって実家に帰った里美さんのもとに通う城下は、夫であり父親でした。
もちろん、里美さんの両親にも挨拶は済ませています。

・・・・でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

でも、城下は里美さんと入籍しょうとはしないし、子供の認知も、届出用紙を渡しているにもかかわらず、提出しょうとはしません。
里美さんは言います。
「私は、彼の都合が悪いなら、入籍しょうとは思いません。子供だけ認知してくれたらそれでいいんです。産むなと言ったのに産んだのは私ですし、体を張って助けてくれた彼に感謝こそすれ
彼の望まないことをしょうとは思いません。・・・・・でも、急にこなくなってもう二ヶ月です。連絡もとれません。これでは、この子に私、なんと言えばいいんでしょう。」
里美さんは決して泣いてはいません。
途方に暮れているのです。自分の置かれた状況が理解できなくて、彼にそれを説明して欲しいだけなのです。


城下のことを、よくある「無責任なやり逃げ男」(・・・はしたない言葉で、お恥ずかしいですわ。)
(^^;)と、決め付けることは簡単です。
でも、自分の窮地を体を張って助けてくれた現実を目の前にしている里美さんに、それを告げてはあまりに酷・・・というものです。

父親に酷似しているという男の子は、私の目には父親よりはずっとずっとハンサムに見えます。
でも、里美さんにはこの子が「城下」に見えるのかもしれません。
「私は一人でこの子を育てます。養育費も要りません。今までも、経済的援助は一切受けていません。でも、認知だけはして欲しいのです。
父親が誰か判らない・・・この子にそんな思いだけはさせたくないのです。」


里美さんはもしかしたら、城下のもうひとつの顔を知っているのかもしれません。
でも、里美さんに見せている顔があまりに格好がよすぎて、素敵すぎたから、見ないふりしているのかもしれません。

このハンサムな男の子が、自分の父親を知り、その人を尊敬するかどうかは、母親にかかっているでしょう。
里美さんなら、それができる・・・と、私は信じたいのですが・・・・・。
[PR]

by sala729 | 2007-07-14 11:38 | Comments(3)

舞阪しづさんはもう90才に手が届こうかという年齢です。
三人の子供を産み育て、長男は12才で事故死。長女は結婚して間もなく、クモ膜下出血で倒れ、子供もいないまま寝たきりの生活を続けています。

しづさんの頼りは、現在59才の次男、信弘さんだけです。
信弘さんは、銀行員として15年ほど勤めましたが、しづさんいわく何の理由かわからないまま退職。その後は、アルバイトやパートでつないで、しづさんと二人で暮らしてきました。
もともと、やさしい性格なのでしょう。
年々老いてくるしづさんを労わって、食事の支度や、洗濯、お掃除などは彼がすべてこなしていました。・・・・そうなんです。信弘さんには結婚歴がありません。

バツイチでも、バツ2でもなく、彼は一度の婚歴もないのです。
それが、母親のせいなのか、彼自身のせいなのかは、誰にも判りませんが、今の二人のつつましやかな生活は、決して幸せそうではありません。彩りも、華やかさも皆無の、セピア色の毎日のようです。

それでも、静かだった二人の生活に変化が訪れたのは、最近のことです。
突然、信弘さんが仕事をやめたと宣言し、それから毎日のように、千円、三千円、一万円とせびり始めたのです。
59才の息子が90になろうかという母親に、毎日、毎日お小遣いをせびるのです。
そして、そのお金をもったまま、どこに行くのか自転車にまたがって出て行きます。

しばらくすると帰ってきて、しづさんの食事の用意をすると、日の落ちた夜の街にまたでかけていきます。そして、帰ってくるのはもう夜も明けた頃です。
それが毎日続くようになると、しづさんの不安はだんだんと膨らんできました。
信弘さんに聞いても、言葉を濁してはぐらかされます。
それに、気のせいか、信弘さんの態度が日々粗雑になっていくような気がします。
千円、一万円と言っても、年金暮らしの身です。しかも、それが毎日となると、しづさんの不安は
膨らむばかりです。


思い余って、しづさんは相談電話に手を伸ばしました。
担当はRさんです。
しづさんの話を充分に聞いてあげて、相槌をうっていると、しづさんが頭脳明晰で、しっかりした
性格であることはよく判ります。



そして調査に入りました。
折からの梅雨空は晴れそうにもありません。
ビニールカッパを着込んだ、信弘さんは、今日も自転車にまたがると、さっそうと街をかけぬけていきます。
でも、それは午後11時のことでした。
ふらふらと街をさまよいながら、深夜の公園を抜けると、住宅街です。
泥に汚れた自転車には防犯シールは貼られていませんから、警察に見つかったら、すぐに挙動不審で、職務質問を受け、拘束されるかもしれません。

そんなこともお構いなしに、信弘さんはふらりふらりと自転車を走らせます。
そして、公園のベンチに腰を下ろしたり、立ったりしたかと思うと、24時間営業のファミレスに立ち寄り、ドリンクバーを利用したかと思えば、それも30分足らずで、出てまた自転車にまたがり
ます。そして街を疾走するのです。

深夜とはいえ、まだまばらに家路に急ぐ人もいます。
その人が女性と判ると、ゆっくりと追い越しながら、じっと女性を見つめています。
女性も多少はお酒も入っていますから、そんな信弘さんを無遠慮に見返したり、何か雑言を投げかけたりしているようです。

次にむかう先は、駅です。
長距離バスの発着口で、時刻表を眺めては、この時間に決して来ることのないバスの時間を確認しては、うんうんとひとり頷きます。
それでも、駅には人はいるものですね。
待合室の椅子にもたれて眠っている人。階段のカゲで横になっているいつものホームレスおじさん。
しずかなはずの駅も、なにかしらざわめいているようです。
そんな風景を横目に、あっちをふらふら、こっちをふらふら。
信弘さんはひと時もじっとしていることがありません。

そうこうするうちに、夏の日の出は早いですから、空が白みかけてきました。
すると、彼はまた自転車にまたがって、走り出します。

信弘さんよりも、ずっとずっと若いはずの調査員が、その走行距離に顎をだしかけています。
(ちなみにこの時間内の総走行距離は47キロだったのです。驚!)
それでも、こんな「オヤジ」に負けてたまるかと、若い調査員の意地が炸裂します。


朝焼けの舗道を、タッタッタと小気味よい足音を立てて、背の高いきりりとした表情の女性が走り抜けていきます。ショートカットの髪がサラサラと揺れて、長いストロークが、まるで映画の一シーンのようです。
その、女性が信弘さんの横を駆け抜けると、それを目で追った彼は、猛然と自転車をこぎ始め
彼女を追い抜くと、ずっとその先の、歩道にしつらえた石のベンチに座り込みました。
やがて彼女がやってきて、目の前を通り過ぎるのを、じっと目で追って、何かを納得したように
うんうんと頷いています。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・う~んこれって・・・・
見ようによっては、犯罪の一歩手前ですね・・・・(苦笑)
まだ、何をしているとは断定できないですが、あの視線を女性に絡めたら、これは誤解の素です。
しかも、防犯登録のない自転車ですから・・・・何もなくても、警察官に見つかったら、言い訳は
聞いてはもらえないでしょう。


翌日、信弘さんはしづさんに、定期預金を解約しろと迫り、「もう、老人ホームに行けや」と、迫ったそうです。
「長生きなんてしても、なんもいいことはなかった。なんで、こんな歳まで生きてきたんやろ。」
誰に言うでなく、ぽつりともらしたしづさんの背中は一段と小さくなって、かける言葉もありません。

でも、正直な話、しづさんは信弘さんと離れていたほうが幸せかもしれません。このままでは
もしかしたら、もっと不幸なことに巻き込まれるかもしれないとさえ思います。
たったひとり残った大事な息子だけれど、その子が自分に幸せくれるとは限らないのです。
いいえ、むしろその逆の方が多いのです。

しづさんを見ていたら、今まで袖擦り合った、数々の「親不孝息子たち」の顔が、次々と浮かんできます。そして、そんな息子たちでも、愛しかばい、慈しんできた母たちの、悲しいけれど
優しく美しい横顔も、走馬灯のように回り続けるのです。
[PR]

by sala729 | 2007-07-12 16:36 | Comments(5)

河野真知子さん(58才)は、地方の団体職員として定年まであと一年を残すだけになりました。
三人の子供さんもそれぞれに独立して、同じ敷地内に二世帯同居の別棟をたてて、長男夫婦と
暮らしています。

夫の和成氏は、素封家の農家の跡取り息子で、自身もひとりで切り盛りするとはいえ自営で仕事をしています。
この和成氏の、趣味が「旅行」。それも「一人旅」というやつです。
国内外を問わず、三日お休みすれば機上の人という日々で、ギャンブルもせず、酒・煙草もたしなまず、趣味らしいものが他には何もない、和成氏の唯一の楽しみが、一人旅なのです。

ま、経済的に困るわけでもなく、まだ元気に和成氏の母親の面倒を見る必要があるでもなく、真知子さんはこの夫の趣味を、邪魔にしたり、止めたりする気持ちは全くありませんでした。


ところが、先月の初め、和成氏がいつものようにふらりと、旅立った後で、急に母親の具合が悪くなって緊急に知らせなくてはならない事態が発生しました。
真知子さんは、大慌てで携帯を鳴らしますが、つながりません。
思い余って、彼の机をかき回しましたが、なにも出てきません。
本棚の日記帳をパラパラとめくっていくと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

0月某日
小川のほとりで、抹茶を飲む。
こんな経験は初めてだ。落ち着いた気持ちになる。一緒にいると今まで知っていたことが、また
新しい発見のような気がしてくる。

○月某日
Hにいく。何度きても落ち着かない。
相手も同じようだ。もう少し、時間があればいいと思うが、自分も午後からの時間はとれない。
今度は、もう少し朝早くでようか。

○月某日
やはり、一緒に行くのは無理だという。
本当はどうしても行きたいが、これ以上勧めても、苦しいだけだろう。残念だ。



真知子さんの頭に血が駆け上がり、沸騰した脳内がぐらぐらと音をたてているような気がしました。母親の病気など、もう吹っ飛んで、ノートをめくる指だけが生き物のように動いていました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どれくらいの時間がたったのか、
ふと我に返ったのは、まだまだあかるかった窓の外の日がすっかりおちて、ノートの字がかすんで読めなくなったからでした。

遡ってみればもう二年くらいの間は、この関係が続いているようです。
無趣味の無骨者としか思っていなかった夫がこんなことをしていた。
しかも、35年も共にしている自分にさえ、こんな心遣いをしてくれたことは一度もない。
仕事と、農作業と育児と家事と、嫁姑との気苦労と、今でこそ経済的に安定し穏やかな日々をすごしているけれども、それはすべてこの35年の苦労の成果だと真知子さんは思っていました。
その私を裏切りとおしていた夫・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私に一度としてかけなかった優しい言葉をこの女にかけているのかと思うと、真知子さんの中に
今までにない猛烈な「怒り」がこみあげてきました。




幸いなことに母親の急病は、たいしたこともなく、和成氏に連絡を入れることもなく終わったのですが、真知子さんの憎悪は、日増しに膨らんでいくばかりです。
そして、相談にこられました。

調査の結果、和成氏の相手は、中川富子(64才)。和成氏より2才年上の人妻でした。
未婚とはいえ成人した子供二人と夫の四人暮らしです。
本当に平凡な主婦で、早朝、近くの鶏卵会社に「卵の仕分け」パートに行き、その後和成氏と
待ち合わせ、ドライブしたり、農協の朝市を覗いたりしています。
もちろん、そんなときの和成氏は、車の中でじっと待っていて彼女が買い物を終えたら、一緒に帰るという・・・・まぁ、傍目には「普通の夫婦」に見えることでしょう。


この報告に真知子さんは激怒しました。(何回もの激怒ですから、今に血管が切れないかと
心配です・・・)
もう黙っていられないと、和成氏を責めました。
「私がこの家で何年我慢してきたと思ってるのよ!。私が一生懸命働いているときにあんな女と
浮気してたなんて、絶対に許さないからねっ。あんたもあの女も!!」
隣の部屋の、姑がオロオロと止めに入りますが、真知子さんの怒りは収まりそうにありません。

「女のことは全部判ってるんだから、女の旦那に全部、ぶちまけてやる。女の家もメチャメチャにしてやるからねっ!!」

心に溜まりきった鬱憤を、思い切り和成氏に投げつけて、少し落ち着いた真知子さんに、彼が
言いました。

「判った。オレが悪かった。もう女とは別れる。・・・オレの全財産はお前にやる。だから、女の家にだけは行かんといてくれ。女の亭主は、働きのないやつなんや。こんなことがばれたら、
オレの全財産取られてしまうが。その前にお前に全部やる。」

河野家は、二人で働いていますから別会計なのです。
彼の財産は、別収入も多く、家作からも定期的に入っています。推定でも何億・・・・だと思いますと、真知子さんは軽く言います。

「お金ではないのです。主人が困る顔が見たいのです。」
真知子さんは、さっそく弁護士に相談して、彼の財産目録と、税金のかからない相続方法を検討することになりました。
もちろん、離婚する気はありません。できるなら、真知子さんも、夫婦でいたいのです。

「ねぇ、Aさん。今まで彼らが、何処に行ったか。何をしてたか。何を買ったか。どっちがお金払ったかわかりますか?。」
真知子さんの突然の問いかけに
「なんで知りたいんです?過去のことは証明のしょうがないんですよ。」と受けると

「いいえ。それで女からお金を取ろうなんて思っているわけじゃないんです。何時、何処で、女と逢って、どうしてたが判ったら、私も同じことしてやりたいんです。
いいえ。浮気するわけじゃありませんよ(笑)。主人つれて同じ所に行って、同じもの食べて、同じようにして、前にもここ来たみたいやねぇって、ネチネチ言ってやりたいんです。」
「??」
「子供っぽいと思われるかもしれませんけど、そうやってジワジワ苛めてやりたいんです。
私って、意地悪でしょ?」と、真知子さんは、今までにない笑いを浮かべています。

・・・・・・・なかなか可愛いじゃありませんか。
確かに、合理的ではないし、法的にはなんの意味もないことでしょうが、真知子さんの気持ちは
よく判ります。

そう・・・なんだかんだ言っても、夫の気持ちが別の女にあることが悔しいのです。
夫を愛しているのでしょう。

世の浮気夫の皆々様
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お金だけで済むと
思ったら大間違いですよ。
心のケアをしていないと、女の人はとんでもない報復手段を用意していますよ。
ご用心、ご用心・・・・

私も、もちろん個人的には全面協力したいと思っておりますわ(^^)(^^)(^^)
[PR]

by sala729 | 2007-07-07 11:35 | Comments(3)