降り続いた雨がやっとあがって、ようやく青空が・・と、思ったのも束の間、雲はすぐに重たく暗い色に染まって、空一面に張り出してきました。
薄明かりの彼方に見える丘には、葉っぱを落とした一本の木がその枯れた枝を、痩せさらばえた死人の腕のように四方に広げ、雲間の太陽がその残光で照らす周囲は、気味悪い濁った白色に仄めいています。

「なんだか、いやーなかんじだよね。」
「ですね。」
ハンドルを握るOリーダーの声も密やかなら、応える私の声も地の底から響くような気がします。

お嬢さんの結婚相手のことを知りたいとのお電話で、ご自宅に向かったのですが、このお宅・・・なんと地図にその存在がないのです・・・。
もちろん、ナビに言われたままの住所を打ち込んでも「目的地に該当する番地はありません」と
繰り返すばかり・・・。ご自宅がマークできなくても、その近くに行けばなんとかなるだろうと、向こう見ずにも出発して、頼りない地図から、その周辺の番地を片っ端からマーキングしていきますが、どれも「・・・その番地にに該当する目的地はありません」とナビは繰り返すだけです。

ナビをよくご利用の方はご存知と思いますが、目的地がマーキングできなかったときは、近くの
お店や建物を一応マークしますよね。
でも、このお宅の場合、近所周辺のどの番地も、ナビに入らないのです。

・・・・・・こんなことって・・・こんなことって、あるでしょうか???

私もOリーダーも、よく言えば「大胆」。言い換えれば「無謀」ですから、それでもなんとかなるさと、出かけたのですが、高速を降りて10分もたたぬまに、左手には白い波をさざめかした清流が流れ、ところどころの浅瀬には、苔むした石がゴロゴロと無造作に転がり、水草と岸辺の草むらはヌラヌラと濡れそぼって
カッパでも、いそーうだよね?」と、問いかけたOリーダーにただただ黙って頷く私でした。。。

右手の黄土色した段々畑は、なんの作物もなく、ただ粘土色した土が赤剥けたままになっていますし、田んぼに点在する古家は、屋根瓦が何枚も落ちていたり、土壁がぞろりと剥けていたりで、なんとまぁ本当にこれぞ「横溝正史の世界」と、納得する風景がつながっていました。


県道を右手に折れると、左はすぐに山肌で、右は背丈よりずっと高い草が生い茂っています。
さらに進むと、古い青色に塗られた2トントラックが4.5台、無造作に停められ、その先は、
真新しい墓石が林立しています。
「無明の碑」などと彫り込まれた黒曜石の横には、細道が山肌に向かって伸びておりその両側は、またびっしりと古いお墓が聳えています。

それでも、私たちはまだまだ、周囲の異常さより、お宅探しのことで気持ちが一杯でした。
行けども、行けども、該当の苗字のお宅はありません。。

言っちゃあなんですけど、私たちは「探偵」ですよ。しかも、Oリーダーに至ってはその「親玉」
なんです。対象物や、人を捜すのは「生業」なんです。
もちろん、相談者宅を訪問するのに、見つからなかったなんてことは・・・一度もありません。。。

新旧のお墓の並ぶ前の道に車を停めて、携帯で相談者にかけます。


「あーあ。それは、霊命苑ですね。そう書いてませんか?」
よく首を凝らすと、確かにトラックのドアに白字で「霊命苑」と金釘流の文字が踊っています。
「はい。書いてます。このあたりではないんですか?」

「ええ。違うんですよ。その道を県道まで下って、右折したら坂又という酒屋があります。その手前の細道を川にそって登ってくだされば、道なりに光雲閣が左にあってその三軒先です。」

・・・・・霊命苑に光雲閣・・・なんなのよ??中国の山奥みたいなその名前は???

ともかく、道を下るにはバックで進路を変えなければなりません。
鮮やかにハンドルを切り返すOリーダーの肩越しに見える黒曜石の碑が、ユラッと揺らめいて
見えたような気がして、目を凝らすと奥に続く竹やぶの先がザワザワとはためいているのが見えます。
「あれ・・風?」と、周りを見てもなのも微動だにしません。
私の気のせい???と、もう一度竹やぶを見やると、黒い影がざわざわと奥に向かって走っていったような気が・・・・・。

でも、言えません。
それでなくても、Oリーダーも私も、「その手の話」には厭きるほどの体験談があります。
ここでは言わないほうがいい・・・と、黙って奥に消えた影のことは胸に畳んでおくことにしました。

そして、相談者さんの言葉通り、酒屋があって手前の右折の道は、建物と橋が重なり合って
道と判っている人だけが通るような細い頼りない未舗道です。
少し進むと、左が崖肌になって切り立っています。
見上げるとその上に、色あせた朱色と、はげかけた緑、黄色がわびしく残る六角堂がちんまりと
鎮座していました。
そしてその周囲は、黒っぽい小さな、同じ形の石が無数に転がっています。そしてその周囲は
お決まりのように・・・竹林です。。。。


捜し続けて、もう何十分たったことでしょう・・・・
やっと、やっと、相談者のお宅に着きました。

周囲のどこよりも新しいそのお宅に入ると、居間に通されました。
白木の匂いも芳しいお宅なのですが・・・・・ですが・・・・
なぜか、次の間と押入れの襖の6枚だけが、古くすすけて所々には黄ばんだものが垂れた跡が残っています。
この異物感はなに???
しかも、6枚ともが全く同じ墨絵なのです。
ふつー、家を建て替えたりするとき、古家の襖を嵌めこむことはありますが、それはその襖絵に
お値打ちがあるとき・・・・ですよね?
でないと、わざわざ、新築の家に襖だけ煤けて黄ばんだ物を使うなんてことは・・・しませんよね?

なのに、この家の襖絵は何の変哲もなく、個性もなく、シミと汚れだけが残っているのです。


ごくふつーの相談者さんの奥さんとご主人は、娘の結婚相手への不満をたらたらと述べています。
私にはごく普通の風景ですが、何か落ち着きません。
それでも、なんとか面談を終えて、帰りのご挨拶を済ませると、ちょっと気になっていたので
「あの、光雲閣というのはなんですか?」と、聞いてみました。

「あ、あれですか?。あれは納骨堂ですよ。周りは無縁仏をそのままにしていのを集めているんです。」と、奥さんはさりげなく言います。
「じゃあの、霊命堂というのは?」
「あれは墓石やさんですよ。竹やぶの上が昔、風葬になっていたところで、あの下で墓石屋をやっとなさった人がいたんですけど、突然おらんよーになりまして、トラックもあのまま、家もそのまま、作りかけの墓石もそのままで、もう何年にもなりますかいね。ほんとに、あそこん人はどこに行ったんやら・・・」

奥さんはかるーく言いますけど、これって事件ですよね?・・・・
そう言われて、気付きましたが、酒屋を曲がってからこの家に着くまでの間の道に広がる田圃に点在するのは墓、墓、墓・・・
そう思って見回すと、この周囲は墓だらけ・・・です。(^^;)
しかも、この家の上に広がるのは、無縁仏の小さな無数の墓石と、何千体か何万体かは判りませんが、数え切れない「お骨」を収めている納骨堂なのです。
しかも、納骨堂という以上、まずは平素誰にも来てもらえず、誰からも顧みられない、無数の「お骨体たち」なのです。


一瞬、背中にぶるると寒気が走り、お宅を出るとすぐにOリーダーに連絡を取り、迎えにきてもらいました。
いつもより長い時間が経過したような気がします。
やっと、赤い車体が見えて、私の横にすべり込んでくると、心なしかOリーダーの顔が蒼ざめているような気がします。

しばらく走って、やっと口を開いたOリーダーは
「ここはヘンだよ。だって周り全部お墓なのよ。田圃の真ん中にはお堂もあるんだけど、土壁がはがれてるみたいのばっかり。で、その前に車停めて、いたら、そのお堂の窓からね、女の人がじっとこちらを見てるのよ。首ひねったみたいな形して。何も言わないしだまーってこっち見てるのよ。でもね。」
そこでOリーダーが唾を飲み込む音がしたようでした。
「どうみても、その人、体と顔の間が開き過ぎてるのよね。。。。・・そう・・・首だけが異常にながーくて、こちらを向いてるようにしか見えないのよ。それであわてて、その場を離れたんだけど
なんだか、頭が痛くてねぇ。頭の中で、グルグル渦巻きがあちこちで巻いてるみたいな・・・そんな気がするのよ。」

「やっぱり、ここヘンですよね。私も聞きました。この光雲閣は納骨堂で、周りは無縁仏なんだそうですよ。さっき間違えた、霊命堂は墓石屋さんなんですけど、突然みんな、いなくなったそうですよ。」ついでに襖絵のことも話しました。

「それって、真ん中に小さな家が二軒と藁干しの小屋のやつ?」
「な、なんで、それ知ってるんです???」
「だって、それ・・・その首長女のお堂にも、あった襖絵だもの・・・・。」

 ぐ、ぐえっ 
な、なんと・・・(あ然・・)そんなことが・・・・(呆然)

「こんな場所にはもう一分もいたくない。」そう言うが早いか、Oリーダーは思いっきりアクセルを
踏み込みました。
「あの、墓石屋さんの上の道は、風もないのに竹がざわざわ言ってるし」
「えっ。Oリーダーもご存知だったんですか?」
「え?Aちゃんも知ってたの?。オレだけが感じてたなら、怖がらせたら可哀想と思って黙ってたんだけど・・・。」
「私も、言えば、そんなはずないよって笑われそうだったので言わなかったんです。」

理由は、まぁ、それぞれにそんなものですが、ともかく、二人とも、あやしい「ざわめき」は感じていた・・・ということは間違いないようです。。。


「もう二度と、ここには来たくないね」
Oリーダーはきっぱりと言いますが、私も決して来たいわけではありませんが、でも、それでも
呼ばれたら、私はきっとまた来るでしょうね。
懲りもせず・・・
畏れも忘れて・・・・おののきながら・・・(苦笑)
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by sala729 | 2006-11-28 14:56 | Comments(10)

世の中には、自分が一番不幸と思っている人は、案外多いものです・・(^^;)
とくに、こんな仕事をしていますと、そういう人たちと接触する機会は、フツーの方よりは多いような気がします。


中河綾子さん(36才・仮名)は、夫が部下のOLと不倫をしていると相談に来ました。
夫は、部下の真美(25才・仮名)のことを、綾子さんに隠そうともせず、「今、心の隅に大切な
人がいる」と、打ち明けていました。・・・妻に・・ですよ(呆れ・・)
調査の結果、夫と真美は、ほぼ毎日のようにデートしていることが判りましたが、男女の関係にまでは至っていません。
お酒を飲んで、お茶をして、バイバイと手を振りながら別れていくのです。自転車に跨ってさっそうと風を切る、若い愛人の後ろ姿を「アホづら」て゛、見送る夫の姿は何度も、捉えています。

そして、ときには路上てキスをする姿も撮っています。(なにも、好き好んで路上ですることはないでしょう・・と、思うことはたびたびありますが、この路上キス、案外多いんですよ。)

でも、この二人、それ以上のことはないのです。・・・・・
というより、私たちの見解では、夫と真美の関係には温度差があるよに思われます。
つまり、夫はのめりこんでいますが、真美は、どこか醒めているのです。

真美の誕生日に、夫が時間のやりくりして逢瀬を望んでも、いろいろな理由をつけて逢わなかったり、自分の都合では時間を決めても、夫の時間には無条件で従うということはない・・・のも
二人のメールから、判っています。

つまり、私たちは、夫は真美の「不倫ごっこ」の相手にすぎないのでは・・と、いう見解が主流を
占めています。
それでも、妻とは弱いものです。
「肉体関係を持たないのは、それだけ夫が彼女を大切にしているからではないですか?」と、
綾子さんは言います。
「それは浮気じゃなく、本気なんじゃないですか?」と、さらに迫ります。


36才の妻子ある男と、25才の女が、そんな純粋な恋愛しているなら、万難を排して相手の誕生日に時間を作った男の気持ちに、一分でも一秒でもこたえるのが女の真心でしょう。
僅かの時間しか自分たちに許されないのなら、その時間のために、すべてを犠牲にするのが
「本気の愛」ですよ。
真美にはその本気さは、感じられません。。。


綾子さんには離婚の意志は全くありません。
でも、「心に大切な人がいる」と、夫に打ち明けられたからにはいずれ「離婚」を迫られるのではないかという怖れが、彼女の心を支配しています。
そして、とうとう彼女は、真美の両親に手紙を書きました。もちろん匿名で・・・。


当然それは夫の知るところにもなり、夫に激しく問い質されました。
もちろん私は、知らないと言い張りなさいと、何度も何度も綾子さんには念を押しています。
ここで、綾子さんのしたことが夫にバレても、何もいいことはありません。
「純愛おバカ」の夫には、かえって逆効果ですから、ここはなんとしても綾子さんは知らないで
通さないとなりません。

両親から責められた真美は、夫に今までのようには逢えないと、メールをしてきました。
ある意味真美にとっては好都合のはずです。
しかし、夫には心を引きちぎられる思いだったのでしょう・・・
彼は綾子さんを毎晩のように問い詰め、ただ黙っていただけの綾子さんが
「社内不倫なんて、誰が見てるか判らないんだもの。会社でもばれてるんじゃないの?。女の人たちは、不倫の噂が大好きだもの。」
綾子さん自身、夫と同じ会社のOLだった頃に、給茶室でそんな噂を何度も聞いたことがあります。

すると、夫は憎悪に燃えた目を綾子さんにむけて
 「不倫、不倫、言うなぁ。オレたちのは恋愛だぁあ」 と、叫んだそうです。

・・・・バカ・・・もうおバカとしか言いようがありません。・・・・・・
いいですよ。純愛でも、恋愛でもね。。。でもね、言うにことかいて、妻の前で、他の女との色恋を「恋愛」なんて叫ぶ、おバカ夫には、もうあきれてしまうばかりです・・・・。

「私、もうAさんの言ったこと、本気で考えて見ます。」
そういって電話ほ切った淋しげな声に、綾子さんの目が覚めたことがよーく判りました。

私は、離婚をすすめる訳ではありませんが、やり直したいと思うあまりに、すべての理不尽な彼の言動を受け入れてしまったり、理解するふりしてしまったら、これから後の夫婦生活が大変よ。離婚もあり・・・という選択も入れて、これからを考えてみたら?と、何度も言っていたのです。
そのたび、「いいえ。夫とは別れたくないのです」と、言っていた綾子さんでしたが、少しだけ選択の幅を広げることを考えたようです。。。
いいか悪いかは、私が決めることではありません。
でも、「これもできる」「あれもできる」と、見えない壁の向こうを教えてあげることはできます。
綾子さんがこれ以上傷つかないように・・・・。



そして、そのあとは真っ暗な夜空にひときわ輝く冬の星座が間近な山陰の町です。
やはり、夫の浮気と相談にこられた、妙子さんは51才。
夫とは同級生だそうです。その夫の浮気は今回で4回目。
そのたび、妙子さんが尻拭いをしてきたという典型的「同級生夫婦」です。
「奥さんの方が成績よかったでしょ?」というと
「ええ。なんでそんなこと判るんです?」と、目を丸くしていらっしゃいましたが、それは判りますよ。だからこそ、彼はあなたの頼りっぱなしなんじゃありませんか?(苦笑)

妙子さんには20年来の友人という、厚子さんが付いてきていました。
ケーキセットを前に、もくもくと食べ続けていた厚子さんは、思い出したように
「いーじゃん。女の苦労ぐらい。なんたって、一番いけんのはお金の苦労よ。ねぇ」と、
突然私に話をふります。

よく聞けば、厚子さんは度重なる夫の借金に嫌気がさし、今年の春、離婚したばかりと言います。
女の苦労が辛いか、お金の苦労がつらいか・・・・うーん、難しい選択ですが、こんな苦労比べって・・・なんか、「さみしい」ですよねぇ(笑)

「ほんとよねぇ」
私の言葉に二人は顔を見合わせて笑っていました。
まだまだ、笑いがでるくらいですから、二人には余裕があります。

ところで、この「不幸比べ」・・・・どちらが、より不幸だと思います?????(^^;)
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by sala729 | 2006-11-25 13:01 | Comments(4)

少し時間が経過しすぎていますので、前回の続きは、「その2」としてここに記すことにします。

さて、杉村さん母子の「家出」は、もとの姿に戻る・・・という視点からなら、「成功」と言えるでしょう。もとの会話のない、母親だけの一方通行の生活が、杉村さんの求めている親子の生活なら
何もなかったのように、義明さんは暮らしています。
仕事こそ辞めましたが、すぐに生活に困るわけではありませんし、市内から少し離れた、高台の静かな古家で、二人の生活はもとのままに、戻っていきました。
でも、私には最後に杉村さんが、何度も何度も「おにーさんに、よう言っちゃってな。ありがとう。」と、繰り返した言葉が忘られません。

E調査員までも・・とは言いませんが、義明さんも、じっくりと考えるべきでしょう。
いくら自分探しの「歩き遍路」とはいえ、孤独な母親に何も告げず、彷徨う日々がどんなに残酷なことか。母親のおしゃべりが多少煩わしくても、たまにはそれに耳を傾けてあげる「大人の優しさ」が、もう母にも自分にも必要な年代になっていることを・・・・・。



さて、もうひとりの息子は・・・最高学府を終えながら、性転換の男性のもとに二回目の
家出を果たした、晴子さんの息子、直人さんです。

二回目の家出も、居場所は判りました。
今回も晴子さんとお父さん、わが社からはN係長とスペシャルS氏。それから現地の調査員数名が、落ち合って直人さんと相手、野崎礼二の「愛の巣」を急襲することになりました。

もう顔見知りになっている晴子さんは、S氏とN係長に、今回は絶対に野崎さんと話がしたいと
告げてありましたので、直人さんを確保する係りと、野崎と晴子さんの対立ガード係の二手が
必要ですから、現場の人数も増えています。

性転換しているとはいえ、もともとは男ですし、野崎は身長170センチくらいはあります。
150そこそこと晴子さんと対峙して、もしも晴子さんの身になにかあれば大変です。
晴子さんは「直人をつれて、お父さんと一緒に先に帰ってください。私はひとりで野崎さんと話をしますから」とは言いますが、そんなことできるはす゜がありません。

狭い2DKの部屋に、晴子さん夫婦と、直人さんと野崎。玄関口にS氏とN係長。そして、他のものは廊下に待機します

晴子さんは野崎に向かって開口一番
「うちにお嫁にきてください!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(あ然)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(呆然)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(--)


野崎自身も、返す言葉もなく、ぽかんと口を開けて、晴子さんを見たままです。

「直人がそんなに好きなら、どうぞ、うちにお嫁に来てください。生活の面倒は私がみます。」

正直言って、野崎の女装は「キモイ」て゜す「エグイ」です。
ロン毛に、白塗り、胸の開いたドレス風ワンピースに、カーディガン。
目鼻立ちは、しっかりと大きく、太い首には、一目でわかるおおきな喉仏が上下しています。
いわゆる、はっきりしっかり判る「女装」なのです。
その、野崎に向かって、晴子さんは、お嫁に来てくださいと、頭を下げたのです。

もちろん、その場の皆が、目の玉飛び出すように、晴子さんを見つめました。
我々はもちろんのこと、お父さんですら、その言葉は衝撃であったらしく、唇は、ワナワナと震えるばかりで言葉になりません。

対している野崎が一番衝撃を受けているのか、喉仏は上下するばかりで、一言も発しません。
直人さんは、電流に打たれたように動作が止まり、そのまま微動だにしません。


やがて・・・・

「お、お母さん、仰ってくださることは嬉しいですけど、わたしにはこちらに親も親戚もあります。
それを捨てて、遠い田舎に嫁ぐなんてことはできません。」と、体を斜めにした野崎が涙声で言います。

・・・・・・(よーやるわよ。^^;)

「愛里ちゃん(野崎の女名前です)」
直人さんが、野崎の手を握り締めて、涙の溜まった目を見つめています。
野崎の目からは、大きな涙がポタリ、ポタリ・・・それをくしゃくしゃのレースハンカチでふき取りながら、直人さんと目と目を合わせます。

・・・・・(いいかげんにしろっ!・・溜息)


「どーあっても嫁にはきてもらえませんか?」
「ええ。親を捨てるわけにはいきませんもの。」
・・・・・(あ~。頭痛くなってきた・・・ぶつぶつ・・・なんなの?これ???
オカマ版「悲恋物語」?????????)


さすが、荒事になれた、S氏もN係長も、あまりに意外な展開に言葉も忘れて、晴子さんと野崎のやりとりを眺めているばかりでした。



結局、二人は帰りませんでした。
ここで、仕事を見つけ(もう見つけているのですが)、ここで二人で生活したい。
もう黙って行方をくらますようなことはしないし、お金をせびるようなこともしない。いつも
連絡とってるからという直人さんの言葉に、晴子さんは折れました。

「それもしょうがないかとも思います。もう大人やし、野崎さんも、見た目はおかしいけんど
中身は案外よさそうな人やし・・・でも、話ができてよかったです。私もこれで一安心です」
電話の向こうの晴子さんの声は晴れ晴れしていました。

これから、二人がどうなるかは判りませんが、この生活が破れた時、彼には帰ってくる場所がある・・・・・それだけでも大きな精神的支えでしょう。。。
息子の幸せが、ふつーの女の人との結婚で得られるものか、そうでないのか・・・・
それを見限ることは「母親」には、死ぬほど難しいことです。
でも、それでも、そうしなければならないとき、相手に飛び込んでいった晴子さんの勇気(?)を
私は、賞賛したいと思うのです。
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by sala729 | 2006-11-17 14:20 | Comments(4)

テレビドラマというものを、殆ど見ることのない私ですが、先日某国営放送のドラマで「ウォーカーズ」(タイトル間違っていたら、ゴメンナサイ)という、「歩き遍路」をテーマにしたドラマを鑑賞いたしました。

近年とくに「四国八十八ケ所・歩き遍路」というのはクローズアップされているようです。、若い人から、熟年夫婦、訳あり老人から、外国人まで、非舗装の昔ながらの遍路路を、孤独に歩いている姿は確かによく見かけます。
孤独というのは、厳密には間違いで、すげ笠に書かれてある「同行二人」は、常に「お大師さまと
一緒」という意味だそうで、決してひとりではない・・・のですが(^^)

この歩き遍路、全路歩き通すとやく二ヶ月かかるそうです。もちろん、バスや自家用車で回る人も多く、そのごりゃくに心の広い弘法大師さまが、手心を加えるはずがないと、無信心な私などは思うのですが(^^;)歩きとおすと、 自分の何かが変わる そうです。。。
そういえば、「自閉症児」の治療や「ひきこもり」の治療にも使われているなんて、情報があった
ような気がします。

そうそう、ちょっと前、「猫殺し」とネットを騒然とさせた、坂東真砂子さんの「死国」も、モチーフが確かこの「歩き遍路」でしたね。「逆打ち(さかうち)」といって、八十八ケ所を逆周りに88回回ると
「黄泉の国から死人が還る」というお話でした。


と、まぁ、ながーい前置きがなぜかというと・・・
二ヶ月前に、家出の調査をお預かりした、あの「拝み屋さん頼み」のおかーさん、杉村さんの息子さんが、見つかりました。
ええ・・・その通り。この「歩き遍路」を続けていたのです。

杉村さんは、あれからも幾度となく、私に電話してきては
「おねーさん(彼女は私のことこう呼ぶのです)。上の拝みやのねーさんが、青森によう当たる
拝み屋さんがいるいうんやけど、どーおもう?」とか
「青森まできてくれ言うやけど、あのおにーさん(お気に入りのE調査員のこと)に、連れていって
もらえんかのぉ?」
と、どうしても「拝み屋さん」を断ち切れません。

一度、その青森の拝み屋さんに私も電話したことがあります。
何度かのコールがあって40代と思われる女性がでました。
「牧村道場(仮名)ですか?」と私。
「はい。そうです。探し人なら直接こちらにおいでください。」標準語に近い言葉づかいです。
「あの、そちらの先生は、口寄せで居場所を教えてくださるのでしょうか?」
「そうですね。そんなこともあります。テレビにも出ましたし、よく当たるので、全国からたくさん来ますよ。ここに。」
「では、ご予約が必要ですか?」
「いいえ。それはいりません。でも、ここまでは直接きてください。駅でタクシーのって、牧村道場といえばすぐ判ります。有名ですから。料金はご相談10分で5000円です。」
「は・・・はい。で、先生は毎日そこにはいらっしゃるのですね?」
「いますよ。私ですから。」
「へ??」

・・・・・・ね(笑)。これってぜーったい「あやしぃぃ」でしょ?
テレビにも出てよく当たると全国から来るのに、予約はいらない。占い師本人が電話にすぐに
出て長々応対するわって・・・これって、ほんとに「忙しいの??」って思いません??
しかも、料金は、10分で5000円ですって。じぃちゃん、ばあちゃんの話聞いてたら、二時間くらいすぐですよね。話聞くだけで、ですよ。


そんなこんなの中でも、地道な調査は進んで、息子さんの義明さん見つけました。
そのときの義明が、まさしく「歩き遍路姿」だったのです。
赤茶色に変色した菅笠に、汚れた白衣。金剛杖はぼろぼろ疵だらけ・・・。もちろん本人も髭だらけの垢だらけ(しつれい・・・)
情報通りだと、まだ回りはじめてそんなに日数はたってはいないはずなのですが、日がな歩くということは、こういう様変わりを見せるのかもしれません。

聞けば、遍路宿に泊まることもなく、路傍で野宿して、警察官に職質されたことも何度もあると
言ってました。
遍路宿は、一泊1000円や500円。または無料で、その代わり労働で代謝するというところですが、そこにすら泊まっていません。
なにより、彼は4500万以上の預貯金を持っており、その全通帳と印鑑を背中の薄汚れたデパックに入れて持ち歩いており、そのまま道端に寝ていたというのです。

母とふたりきりの生活の中で、ギャンブルもせず、酒も飲まず女遊びもせず、ひたすら勤めて
休日の暇つぶしに、株や外資預金で遊んで、蓄えた4500万です。
もちろん、お母さんは知りませんでした。
「郵便貯金が300万くらいあろーから、それがのーなったら帰るかもしれん」と、言っていた杉村さんは、総額を聞いて「ビックリ」・・・・は、しなかったのです。(^^)

「へー。そげんあるん?」・・・・と、たったこれだけです。
家事は母親任せによ、経済的にはきちんと独立した母子だったのではないかと窺えます。

それにしても、無防備でしょ。
4500万背負ったまま、野宿とはね・・・。

しばらくして、杉村さんに電話を入れてみました。

「あ、おねーさんね。ありがとね。うんうん。えろー世話になったけど、もう前の生活に戻ってるんよ。義明は仕事やめて、今は家におるんやけどね。」
「家出中のお話はしました?」
「いいんや。なーんも。もともと、なーんも言わん子やからのぉ。えーんや。帰ったら、そいでええ。うちだけが、バタバタ言うとります。わははは。・・・・そやけど、おにーさんみたいに明るく
なんでんしゃべってくれる子がおったら、えーけんど他所の子やしねぇ。あっはは」

最後は笑いで誤魔化していましたが、杉村さんは、やはり淋しいのでしょう。
杉村さんの言う「おにーさん」とは、この調査を担当したE調査員です。最初の聞き取りから
そのあとの、伝達なども杉村さんの希望で彼が担当していました。

わが社のムードーメーカー、E調査員は確かに、気配りもできるし、杉村さん世代の人たちの
「ウケ」は、抜群です。無口でどちらかというと陰気な義明さんと、息を詰めるような日々の中で
たまにはE調査員のあの「明るさ」がなつかしい・・・という気持ちはよく判ります。

それでも、杉村さんは帰ってきた義明さんに安堵して、またあの静かな、ふたりだけの生活に
戻っていくのでしょう。

こんなに心配してくれた母親の気持ちを少しは汲んであげなさいよ!と、義明さんにハッパを
かけたい自分を、どーにも押さえません(^^;)



すみません。時間切れです。。。このつづきはあとで・・・(^^;;)
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by sala729 | 2006-11-14 15:51 | Comments(4)

ほんとにのどかで静かすぎる時間のなかで、身も心もぼろぼろと腐っていきそうな毎日が続いています。(世間的には、これを穏やか・・と、言うのでしょうが、哀しいかな、私はそういう、まったりとしたたおやかな時間には生きられない、《仕事アンドロイド》だったのです・・苦笑)

そんな中でも、調査は日々動いていますから、素行調査の結果や、家出人の発見という「成果」は、あがっているのです。(ありがとうございます。調査部のみなさま・・・深謝)

もうずいぶん前になりますが、40年も連れ添った奥様に「DV夫」と、罵られて家出をされた
畑中さん(68才・仮名)の、奥様、よしのさん(64才・仮名)が、やっと見つかりました。
よしのさんはこれで4回目の家出。前3回は自主帰宅(家出した人が自分の意志で自分で
帰宅することを言います)でしたが、今回は長いこと帰らないと、調査に入ったのですが、家出の経緯が、なんともはや・・・

ささいな口喧嘩の果てによしのさんは突然、自宅を走り出ると警察に駆け込むなり「夫が暴力を
ふるっています。助けてください。」と、訴えてなんとパトカーで帰宅したかと思うと、見る間に荷作りをして出て行ってしまった・・・・と、畑中さんは言うのです。
話をお聞きしたたけでは、そんなバカな・・・と、思うでしょ?
でも、確かに世の中には「DV夫」に泣かされている妻は多いですが、それを利用して有利に離婚を進めようとする「打算妻」がいることも現実なのです。

よしのさんが、打算妻なのかどうか真実は判りませんが、「絶対に暴力はしていない」という
畑中さんを信じて、調査に入りました。

そして、やっと見つかったのです。
よしのさんは隣の県で、清掃会社の派遣社員をしていました。
勤務先のホテルの前に張り込んで、帰宅時を待ち構えて、N係長が声をかけます。
振り返ったよしのさんは、畑中さんを見て「あっ!」と、声をあげ走り去ろうとしますが、その前に
は、調査員が立っています。

それからのよしのさんは罵り放題。
「あんたらはね、この人のこと知らんけんよ。私が殺されたらどーしてくれるんよっ!」
「おまえら、なにしょんじゃあぁぁ。訴えてやるけん。お前らも。お前らの会社も!」
「じゃかましいわ。人、ばかにすんなっ!!」

と、まぁ、失礼ながら60過ぎた女性とは思えぬ罵詈雑言(苦笑)
さすが百戦錬磨のN係長も、呆れ果てておりました。
畑中さんが一言いえばその10倍くらいの言葉で返して、話し合いというより、よしのさんの
一人舞台。

それでも、数時間が経過して、もうこれでいいですからと申し出た畑中さんに心を残して、調査員は帰社したのでした。
N係長は、畑中さんを案じていましたが、今朝になって嬉しそうに畑中さんから私に電話があって、お互いに納得の上で別居をしばらく続けて、私が向こうに家を借りてやったら、あれはそこに引っ越すと言うてますから・・・と、連絡をくださいました。
そのことを、N係長に告げると、ようやく安心したような笑顔を見せて
「それにしても、すさまじい罵りばーさんでしたよ。」と、ようやく肩の荷を降ろしたようでした。



すさまじいといえば・・・先日のこと。
仕事の帰りで、JRの乗り換えた私は前から4列目。反対側の先頭に乗っているのは白いパンツスーツに真っ赤なハイヒール。テラテラと光るシャネルバッグの見た目も派手な女性が足を組んでひとり座していました。・・・・・うーん、見た目派手だけど、あれは50すぎてるかな。。なんて
密に思っていると、やおら彼女の携帯がなり始めました。
そして、案の定、彼女はその場でそのまま携帯を耳に当てました。

私の通路を挟んだ隣には、これまた極彩プリントスーツの60代後半と思われる女性がひとり。
座るやいなや、弁当を広げて一心不乱に食べ始めました。

その間もハイヒールさんのおしゃべりは続きます。
「・・・それでね。うんうん。そうそう。気分を高揚させるには、なんと言ってもオペラよ。オペラ。あーん。だめだめ、クラッシックじゃだめよ。ほら、あのエリザベートなんとかってCD、あれはね・・・」と、延々と続きます。
(なにが、オペラよ。あんたは小泉さんの回し者?)とか、私もだんだん不快になってきました。
でも、誰も立ち上がろうとはしません。そのときです・・・

隣のプリントおばが立ち上がると、すたすたとハイヒールさんに近づいてなにか言葉を交わしています。よく聞き取れませんが注意していたことは間違いありません。プリントおばが、くるりと
身を翻して座席な戻りかけたとき、ハイヒールさんが
「怒られちゃった。」と、言うのが聞こえました。心密かに、プリントおばに喝采しているとなんと、
そのハイヒールさん・・・

「うるさいから、もう切るわね。だから、最期に一曲だけ、あなたのために・・・」と、言うと
携帯をもったまま、なんと・・・・朗々と謳いはじめたのです。・・・・きっと、た、だふん、オペラの
一節なのでしょう・・・(すみません。判りません。^^;)

とっさに隣を見ると、プリントおばは、ただ黙々とお弁当を食べています。あきらめたのでしょうか・・(ちょっと残念)
こうして、ハイヒールさんは朗々と謳い終わり、プリントおばは、なんと電車が終着駅に着くまでの一時間、ただ黙々とお弁当を食べ続けていたのです。

本当に、日本の国には、雑多な多くの人がいますよ。
(オペラ歌手には変人が多いというOリーダーの言葉がまざまざと蘇ってきました・・・多くの普通のオペラ歌手のみなさん、偏見でごめんなさい。一相談員の戯言と見逃してください。)



そして、三人目の女は昨日です。。。
「夫が浮気したので離婚したい。相手の女も判っているから、住所だけ知りたい」という相談電話ですというRさんの連絡に待ち合わせ場所に行きました。
早朝9時です。
ファミレスに入って、見回すとそれらしい人は見当たりません。
5分前になっても、ちょうどになってもいません。電話をかけてみると
「あ、わたし店にいます」と、甲高い声(ここでいやーな予感)
禁煙席の一番後ろといわれて、そこに出向くと・・・・・・

居ましたよ。ええ。ひとり居ました。
目の前に ミートドリア を食べ散らかしている真っ白い女。
朝からミートドリア・・・ですよ。しかも、大事な相談しょうかという時に、食べますか? ミートドリア (@@)(@@)(@@)
「朝ごはんが早かったものだから」と、にこにこと笑いながら、真っ白い顔一面の笑顔。
指の先までがまん丸く、ドリア皿に覆いかぶさって食べる姿は・・・・ドリア皿に浮かぶ白い風船・・・。

「女には500万、慰謝料要求してるんです。ネットでは150くらいって書いてたけど、始めは
たくさんふっかけとかないとね。笑。相手は200万は出すっていうから、それでもいいんですけどね。でも、できたら、まあ多いほうがいいかなと・・・笑。
え?・・主人?。。。うんうん。主人とはもう話つけてますよ。公正証書も書いてます。だからいいんです。でも、ま、念のため住所も知っといたほうがいいかなって思って・・・。
自分でもできるんですけど、ほら、探偵さんに頼んだほうがラクでしょ?安いんなら、そのほうがいいかなって・・・笑」
ひとりで喋り続けます。。。

そこまでしてるなら、もういいじゃないと言いかけた私よりさきに、彼女は
「私、もうお金一銭もないんです。結婚して7年。子供もふたりですし、貯金ないし。だから
お金かかったら調べられないんですけど、相談無料って言うから、聞いといてもいーかなって思って。笑」
・・・・・むっ・・・・・な、なんだこの、風船女!!・・・・・・・・・

ドリアを綺麗に平らげた、風船女は、威風堂々とお店を出て行きました・・・
 あっ! チョット!チョット! あなた見積もりは?? 

なーんて「バカおち」みたいな日々のこのごろ、自分の精神力の耐性検査と思って頑張りますっ。(くっくく・・・早く普通の日々を取り戻したい・・・)
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by sala729 | 2006-11-09 11:42 | Comments(5)

「もういいかげんにしたらっ。」と、毒づいて、携帯の通話ボタンを押すと
「いつも、すみません。」と、情けない福山雅治の声・・あ、ちがった、一見福山似の西田さんの声です。
今月の初日に、「一ヶ月様子をみましょうね」と、本人と話をして、さあ、一ヶ月が待てるでしょうか?と、ここに記したのもつい先日のことです。
純情な「文房具やさん」は、くるしいと言い、老練な(・・おっと、失礼・・)大人の一銭五厘さんには
「蹴飛ばしたい」という私の案を支持していただきましたが、あの西田さんはあれから、毎日、毎日私に電話をかけてきます。時として、一日二回も三回も・・・(ふぅぅぅ)

ここを見ていただいている皆様は、重々ご承知でしょうが、私は決して優しい「相談員」ではありません。
相談者さんにも、かなりはっきり言います。
時としてOリーダーから、「もう少し、優しくしてやりーよ。」と、苦笑まじりに言われることもしばしばです。(もっとも、自分ではそこそこ優しいと密には、思っているのですけれどもね。)

そんな私でも、(うーん、この場合、そんな私が・・と、言い換えるべきかなぁ)
連日の西田さんの電話には、ブチブチと切れた血管つなぎ合せながら応対している気がします。(苦笑)
Oリーダーでさえ、「またぁ西田さん?」と、言うぐらいです。そして(こりゃあ怒ってもしかたないわ。いいよ。言え。言えと、アイコンタクトで送ってきています。)

(え?・・そんなの送ってないって??)・・・・そ、そんな、、、今更そんな・・・(><)


***********************************************************

「Aさん、女房の仕事の伝票の裏に、こんどはいつ?とか、昨日はどこ行っとったん?とか走り書きのメモがでてきたんです。」
「それで?」
「これ、仕事場の奴が相手じゃないんかと思うんですよ。」
「だから?」
「だからって、聞いてみてもいいですかね?」
「誰に?奥さんに?」
「え、ええ。そーですよ。」
「聞いて、誰々さんって奥さんが答えたら、あなたどうする気です?」
「どうするって・・・それが男でしょ?」
「どうして言い切れるんです?それってただのメモ書きでしょ?書いた人がわかっても、ただそれだけだし、それになぜあなたがそれ持ってるんです?奥さんの部屋、物色したんでしょ?」
「そ、それは、まぁ・・」

「サイテー。一旦実家に帰った奥さんとやり直すって話しておいて、毎晩奥さんのこと問い詰めて、留守に奥さんの部屋物色して、置いていたメモをかたに問い詰めるなんて、それ夫として
最低ですよ。」
「・・・・・・う・・そ、そーですか。オレって最低ですか・・」
「ええ。」・・・・(私っていじめっ子気質??)

「でも、このメモってなんだかへんでしょ。それに電話番号がふたつ書いてあるんです。これ調べてみてくれませんかね?」
「調べてどうするんです?。黙っていられないでしょ?。それでまたネチネチと奥さん問い詰めるんですね?。
あのね、西田さん、私の言うこと聞いていてくださってますか?
私、もう百回くらい言ってますよね。一ヶ月待ちましょうって。あなただってそうしますって言った
じゃないですか?その間はもうなにもしないと・・・。あれってその場限りのうそ?」

「いや、そーじゃないんです。でも、いろいろ考えていたら、黙っていられなくなって・・・」
「あなたが、奥様とやり直したいと仰るから、私も協力しています。いいですよ。仰るとおりに調べても。そして、奥様問い質せはいいじゃないですか?」
「そしたら、あいつはオレに愛想つかして・・・と、いうことなんですね?」
「(おっ・・満更おバカじゃないようです・・)そーですね。西田さんがそれをお望みなら、いいですよ。そうしましょう。はい。番号言ってください。何番ですか?」

「ちょ、ちょっ、ちょっと待って下さいっ。」
「なんです?」
「・・・・やり直したいんだけど、でも結果がでたらどうなるんだろうって思うと・・・(その結果を出すまでに辿り着くかどうか・・・というのが先なんですけどぉ)なんていえばいいんですね?」

「それは結果がでてからのあなたのお気持ち次第です。そのときに考えましょう。今考えたってこの一ヶ月が待てるか待てないかで、大きく違ってきますもの。そんなことばっかり毎日、毎日考えてるから、奥様のこと責めまくっているんですよ。奥様よく我慢してらっしゃると思いますよ。」(これ実感)


「Aさん、オレのこと張り飛ばしてください。」
「へ?」(な、なんなんだぁ・・・そーいう趣味??)
「オレのこと不甲斐ないと思うでしょ?」
「ええ。思います。」
「情けないとおもうでしょ?」
「はい。」
「オレもそー思うんです。だから、オレのこと張り飛ばしてくださいっ。」
・・・・・・・・・ やだよ~

「いやです。その役目は、何もなかったとき(調べて)の、奥様に取っといてください。
西田さん・・私は決して気が長い方でも、優しい方でもないんです。でも、相談者さんの不利益
なるようなことはしない。言わないと、それは決めています。でも、それもこれもお互いの信頼関係があってこそです・・・よね? 私の言うことが聞けないなら、いいです。あなたの言うとおりしますから、そう仰ってください。
番号は何番ですか?」

「そんなこと言わんでくださいよ。頼るのはAさんしかいないんですから。」
「都合のいいときだけ頼らないでください。私の提案を呑んだのならそうしてください。昨日の今日で迷われたり、変わられたりして、頼っていますと言われても、お応えできません。」
「オレみたいな男いないですかね?」
「ええ。いません。」(・・・ごめんなさい。ホントはいますよ。何人も知ってます。笑)

「すみません。もうちょっとだけ考えてみます。なんとか、Aさんの言ったとおりできるように・。
あ、それからあの・・・調査が終わっても、相談の電話かけてもいいですかね?」

「いやですっ」 と、出かかった言葉を無理やり口の中に押し戻して
深呼吸のあと・・・ゆっくりと、
「・・・もちろんいいですよ。でも、私に何度も同じこと言わさないで下さいね。そのうち、キレる
かもしれませんよ。」と、微笑みながら、携帯電話を切って溜息をひとつ・・・・。

・・・・・・あぁぁぁぁぁあぁぁぁいくじなしっ!!・・・・と、罵ってやりたいと思いつつ、また少し
血圧が上がる音を聞いたような、朝の始まりでした・・・・。
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by sala729 | 2006-11-08 16:36 | Comments(5)

なんとのどかな、でもなんと退屈な三連休であったことでしょう・・(--;)
毎度のことながら、私ってほんとに「仕事に追われて忙しい自分」が、大好きなんだなぁと、実感
した三日間でありました。。。

家人は、佐賀県で催されている「バルーン大会」なるものに出かけ、佐賀牛と呼子の烏賊を、
堪能すると豪語しておりましたが、連日の海幸、山幸に「胃袋」が、ギブアップしたらしく、
佐賀牛の翌日の呼子の烏賊には、どうしてもチャレンジできず、泣く泣く帰って参りました(フン!ざまーみろって・・・あら、最近の私、はしたないですわ。ごめんあそばせ。)


でも、私は佐賀牛よりも、バルーンよりも「仕事が好き」なんていう、重症ワーカホリックですから
そんなのは実はなんともないのですが(^^)相談電話がないのが、なにより辛い・・のです。
(もちろん、人様の不幸を願っているわけではありませんよ。仕事がしたいのです。)

そんな、私を見かねてか、Oリーダーが土曜日の夜(そうなんです。わが社は実は三連休では
なかったのです・・)食事会に誘ってくれました。
Rさんや、N係長、K主任も一緒です。・・・(別名、飲み食いカンパニーと・・・呼ばれてはいませんが。。。笑)


男性陣いきつけの「○つ」というのは、破綻した銀行の跡を居酒屋にしたという、なかなかのいわくのある建物で、私たちが入った部屋は、「元金庫室」らしく、分厚い金属製の壁と引き戸、格子の入った窓枠、真っ黒の鉄製ドアとに囲まれた一室でした。

もちろん私は初めてですからもの珍しげに周りを見回し、(ふーん。なかなかこんなところには入れないから、銀行破綻も、いろんな経験するためには、いいかも・・・なーんて思ってしまったりした、不謹慎な大人です。)

Oリーダーお薦めの「赤ワイン入り豚しゃぶ・そばづくり」は、「粋な味」というのが、ぴったりの
大人のしゃぶしゃぶです。ゴマダレの代わりに、そばつゆにたっぷりの白髪葱と、柚子胡椒を
いれてあっさりといただきます。そのあとは、日本蕎麦をお鍋に入れていただくのですが、これがまた美味でございますぅ~。


じつは・・・わたくし
いまだかって告白しても誰ひとり信じてくれる人はいなかったのですが 下戸 です。(^^;)
たいていこれを聞くと「うっそぉ。一升酒というなら信じるけどねぇ」と、大笑いされるか、疑われるかのどちらかなのですが、ほんとに「正真正銘の下戸」です(なにもこんなこと自慢するような
ことではないのですけどれどもね。。笑)


「今まで飲んでみたことないの?」
「ない。」
「若いとき、薦められてチャレンジしたことは?」
「ない。」
「一滴も?飲めないの?飲まないの?」
「飲めないか飲まないは判りません。飲んだことがないんですもの。」
「飲んだらどうなるの?・・あ、それもわかんないか・・」
「そ・」

こんな会話のあとでの、この場ですから、
「ちょっ飲んでみなよ。」という、一見優しげなOリーダーの笑顔に騙されて・・では・・と・・・・。

 おぉぉ、、案外美味しいじゃん (^^)(^^)(^^)

もっとも、私のためにN係長が選んでくれたのが「ピーチグレープフルーツなんとかかんとか・・」
これが、また口あたりがいいんです・・・。
ほんの5センチ(グラスの頭からね)飲んで、会話に入る自分が、ふわふわとマシュマロになったような気になっているのが判ります(^^)/

「おぉ・・酔ってんじゃない?」
なぜか嬉しげなOリーダーの声
「ホント。声が楽しそうですよ」とRさん
(ちなみに彼女はいくら飲んでも、何を飲んでもぜーんぜん変わりませんっ。いつもと一緒です)
「顔が、、、熱い・・れす」
・・・・・・って、私酔ってるの??
これが「酔う」って感覚??????

テーブルの上には、焼酎のボトル、生ビールのジョッキ、ウイスキーのボトル、カクテルのグラスが数本・・・
隣のK主任は、いつものおとなしキャラはすっかり身を潜めて、120パーセントパワー炸裂!
話は盛り上げるわ、おんなの子にはなるわ(?)、で、大活躍・・・。


おぉぉぉ・・・お酒を飲むってことは、こーいうことなんだ(確信)

熱く、ぽかぽかと燃え続ける頬を、氷がいっぱいのグラスで冷やしながら、なんだかふんわり
とてもいー気持ちです。
そして、周りもみーんないーきもちで一杯です。
・・・・お酒って、結構いいじゃん・・・・

なーんて思いながら、空き皿を下げにきたオネーチャンに「パンナコッタひとつね」と、オーダーして、しめくくりにデザートいただいたのは、わ・た・し・です。   ごちそーさまでした(合掌)
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by sala729 | 2006-11-06 12:14 | Comments(4)

怒りは抑えきれずに、ふつふつと音をたてて、胸の奥で煮えたぎっています。
そりゃあ、こういう仕事ですから、怒りに燃える日もあります。不条理に、茫然自失の刻もあります。でも、でもね・・・これはあんまりじゃないですか?(・・・むっ)

雑音の入った電話は携帯からでしょう。
「おたくに相談したいちゃ、お客さんなんやけど、どこに行ったらえーかのぉ?」

こんな突然の電話に、まず誰から、何処からかかってきたのか確かめなければなりません。
「お客さんと言いますと、あなたさまはどちらさまですか?」
「え??え。。わし??わしかいね。わしゃタクシーの運転手よ。いまおばーちゃんがやね、
わしのタクシー乗っとるんよ。そいて゛おたくに相談に行くいいよるんやけど、そこはどこいね?」

・・・どこいね?・・・と、言われてもですね、そちらさまこそ「どこいね?」で、ゴザーマスわよ(笑)

「ご相談のお客様とお電話代わっていただけませんか?」
「えーよ。まちいや。」
ごそごそと音がして
「もしもし??。。。。はい、もしもしもし?。。。あれれれ・・・聞こえんよ。これ」

って、私なにも言ってないんでけど・・・(^^;)

「もしもし~~。聞こえますかぁ~。」と、ヒマラヤとでも交信しているかのような、遠い響きを聞きながら、ようやく聞き出せたのは、85才のおじーちゃんが家出をして捜して欲しいという72才の
おばーちゃんからの相談電話でした。

いますぐ来るというのを押し留めて、まずお約束を・・・・と、お話して、その日の午後14時から14時30分の間に、市内のジュリアーノという喫茶店で待ち合わせることにしました。
約束の地は、ここから300キロ以上はあります。
もちろん、Oリーダーの運転で、わが愛車はスーパーカーに変身して、信じられない短時間で
到着しました。
(これ、正確に何時間何十分とは言えないんです。・・・・だって明らかに、速度大オーバーなん
ですものぉぉ・・・)
たぶん、この真っ赤な愛車は、このあたりの高速パトの眼の仇になっているのでは?と思います。きっと、「目をつけられてる」ことは確かです。。。(振り切れるOリーダーはいいですけど
私が捕まっちゃったらどーしてくれるんですかぁぁ???)


ま、ともかく、私たちは14時ちょうどにお約束のジュリアーノに着きました。
古臭い外観は地方の駅前によくあるパターンの喫茶店です。
お店に入ると、正面がカウンター。左がボックスですが、お客は誰ひとりおりません。
視線をぐるっとまわすと、二階に続く木の階段が見えました。

「どうぞ」
躊躇する私に笑顔で、二階を指し示してくれるママさん。
会釈して二階に上がると、ボックスが15ほども並んでいます。

お冷もってきてくれたママさんに
「ここで、72才くらいのおばあちゃんと待ち合わせしています。もし、見えられたらすみませんが
二階だと言っていただけませんか?」
と、言うと、ママさんは困ったような顔で私を見ます。

「72才って・・・違うかもしれませんが、さっきおばあちゃんいましたけど、帰りましたよ。あなたと入れ違いで・・」
「ええっ!」

「でもずいぶん腰の曲がったおばあちゃんで、手押し車おしてましたよ。72才ではないような・・私はコーヒー淹れてたんでよく知りませんが、主人が応対してましたから、主人に聞いてみたらどうでしょう?」

ばたばたとまた下に下りて、マスターに話ほ聞きます。

「ええ。おりんさったですよ。いんま、あなたと入れ違いに帰りましたよ。○ぎタクシー呼んでくれ
言いますからよびました。
「そ、その、なにかお話とかされました?」
「おじーちゃんがどうのこうのとか・・・。もう帰らんやったら、うちもお墓なんか見てやらんのよとか怒ってましたよ。」
・・・・・・・・・・・・・そ、それだ。そのばーちゃんだわ・・・・・・・・・。

親切にタクシー会社で電話まで入れてくださって、配送係りさんに事情をお聞きすると

「あー。松島のばーちゃんね。13時半に来いっていわれて、ジュリアーノまで送りましたが、すぐにまた電話がかかってきて、迎えに来てくれいいましたから、また行きました。」

 な、なぜ???


それでも一応、ご自宅のオ電話はお聞きしていますから、当然かけてみました。
すると・・・

「あんたなぁ、しょーばい人やったら、先きて待っとるのがふつーやろうがぁ。ああん。」

 むかっ
な、何よこの態度。人生何倍も生きてるくせに、口の効き方も知らんおばばじゃのぉ。。。

「私は、前のお約束があるので14時から14時半までには行きますと言っておいたはずです。
そして、14時ちょうどに到着したかと思いますが・・・」
おぉぉ・・・・よー言うた~

「フン。商売人なら、はよう来とくもんじゃ。それともなんかい?。儲けにならんやったから
文句言い寄るのかぁ??」

「そーいうことじゃないでしょ?。お約束はお守りくださいといってます。」

「そーか。そーか。やっぱり金儲けにならんから、言いよるんやな。金、金と言い腐って・・・」
「そんなこと言ってないでしょ。お約束なんだから、守ってくださいと言ってるだけです。
こうして、ここにいる間も、相談電話は入ってるんです。」
「ほなら、そっちいけばえーじゃろ?・・・ほんまに今頃の若いモンは、金、金言い寄って・・・
どいつもこいつも・・・・しょもないのぉぉ」

・・・・・・く、くそばばぁ~~ (品がなくてごめんなさい。でも、今日だけ許してください。もちろん、叫んだのは心の中だけでです。絶叫しましたが・・ペコリ)

逢いたいと言ったのはあなたでしょ?
お金、お金というけど、いくらかかるかも判らず、いくらいるとも言った覚えもなく、おじいさんが
家出したというので、お気の毒にと、命知らずの疾走で辿り着いたというのに・・・なに?
なに?この台詞。

私たちのこと、「悪代官」ぐらいに思ってるわけ?
「越後や、そなたもワルじゃのぉ」って、袖の下もらっているとでも思ってるの?!


Oリーダーは、苦笑いしながら
「まぁまぁ、おばーちゃんなんだから、しょーかせないじゃない。許してあげなさいよ。」とは
おっしゃいますが・・・・

確かに、時間がたつにつれ、気の毒さがじわじわとこみ上げてはきますが・・・・それでも
ここで(ブログ上)で、せめて叫ばないと、明日がきませんっ!(きっぱり)

と、いうことで、怒りにまかせての、品性のない数々の発言、お許しくださいまし。(深謝)
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by sala729 | 2006-11-04 16:44 | Comments(1)

上着を着ていると、汗ばむような11月の始まりですが、北の支社では雪が舞ったり、コートの襟が立ったりしてるそーな・・・(こうなると日本も広いなぁとしみじみ感じ入りますよねぇ)

先月末ごろから、それまでの慌しさが何処にいったの?と、思えるような「まった~り」した、ぬるさが、今日も続いている月初です(^^;)

そんな折にななってきたのが西田さんからの電話です。
二ヶ月前に、奥様の浮気を疑って、調査に入ったものの、夜だけ別居の奥様が一旦帰ってきたことから、もう動きません。調査はやめますと言ってきたかとおもうと、やっぱりやりますと訂正したり、支離滅裂の「愛妻家・西田」です。

狂おしいまでに妻の珠美さんを愛している西田さんは、帰ってきた珠美さんを事ある毎に問い詰めました。
食事中に携帯がぷるんとでも鳴ると「誰や?」
「由美子さんよ」と、言うと「嘘言うな、見せてみろ?」と、携帯をとりあげ、ついでとばかりにスクロールしてそれまでの履歴を食い入るように見つめます。
「非通知」や「通知不可」「公衆電話」「見知らぬ番号」があれば、それを今度は問い詰めます。

主婦の携帯ですから何日も前の履歴から残っていますので、前の非通知が誰からでどんな電話なんて、すぐに思い出せるはずもありません。しばらくして、思い出して言うと
「なんで嘘つくんや。ほんとのことなら、すぐに言えるやろ!」と、責めます。

これでは、珠美さんもやりきれないでしょう。
一週間前も同じような喧嘩になって、とうとう珠美さんが
「あんたみたいに言うなら、なに言っても無駄やないの!」と、叫ぶや否や自分の携帯をパキンと二つ折りにしたそうです。

そして、次の日、次男の少年野球の練習についていった珠美さんの帰りがいつもより少し遅くなったので、西田さんはまた彼女を責めました。
「なんで連絡せんのや!」
「携帯ないんやから、連絡なんてできん!」
珠美さんは女友達のところにいたと言います。



そんな話を、綿々と続ける西田さんは自己反省はしているようです。
でも、言われている珠美さんにしたら「針の莚に石畳の重し」を乗せられているようでしょう。

西田さんは珠美さんを愛してると言います。
「恥ずかしいから誰にも言えんのやけど、Aさんやから言いますけど、愛してますよ。」と
ぶっきら棒に言います。
「だったら、奥さんのこと信じてあげなさいよ。というより、あなたは離婚したくないんでしょ?」
「・・・ええ・・」
「それなら、今から一ヶ月、何もしない。なにも言わないで、珠美さんに接してみなさいよ。一ヶ月たったら、調査してみましょう。
それで、接触がなかったら奥さんは浮気してないわよ。」
「その前にやめたら?」
「それなら、それでいいでしょ?。やめたなら、それに超したことはないでしょ?」
「もし、相手がいたら?」
「それはそのときに考えましょう。だって今考えても、今度はあなたはそればっかり考えて、また
珠美さんを責めるでしょ?あなたみたいに、四六時中責めていたら、めちゃめちゃ用心するか
開き直るかのどっちかよ。
それって、あなた自分で自分の首絞めてるようなものよ。」


「うーむ」
渋めの福山雅治が苦悶の表情を浮かべている様が眼に見えるようです(苦笑)
「オレみたいなのは、どーにもならんですかねぇ?」自嘲気味に西田さんは言います。

「なりませんねぇ。(笑)。もう、西田さんにかかってるんです。あなたがこの一ヶ月、いっさい
奥さんを責めないでいられるかどうか・・・。
もし、それができないのなら、調査してもムダです。もしも、浮気していたら奥さんは、用心に用心を重ねるだけでしょうし、浮気してなかったら、あたなに愛想を尽かすだけです。そしたら、
彼女があたなから去るだけですよ。あなたがいくら愛してると言ってもね。」

「でも8月のときにはメールでね・・」
「そうやって過去のことをほじくりだして何度も何度も、責めてるんでしょ?」
「・・・・・・・」

決して悪い人間ではないのです。むしろ一本気で、生真面目な職人気質の人なのです。
でも、いかんせん、奥さんのこと愛しすぎているのです。しかも、とても不器用に・・・。

「・・・・・・・」
しばらくの沈黙ののち・・・・

「判りました。Aさんの言うとおりです。我慢します。そやから、たまには元気しとんかって電話くださいね。」
「はぁ??・・・・(なんて゜私が??とは、思いましたが・・・^^:)そうですね。」


さあ、西田さんはこの一ヶ月が守りきれるでしょうか・・・。
自分の中の猜疑心と嫉妬は、あなたが思っているよりも、ずっと手強いのは確かなのですけれども・・・(苦笑)
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by sala729 | 2006-11-01 15:48 | Comments(4)