私事なのですが、昨夜遅く離れている古い友人からの電話で、お友達が亡くなったとしらされました。本当に突然のことで、聞いたまま絶句してしまったのですが、人の世の無常や、生のはかなさは、もう知りすぎたと、斜に構えてはいるものの、身近な方の訃報を聞くと、心は波立つものを感じます。
こんな夜は、すでに黄泉の国に旅立った人や、今発とうとする彼女のことが、いろいろと思い出されて、なかなか寝付けない夜を迎えました。
残されたご主人や、三人の娘さんたちとも、もちろんお付き合いをしていましたから、本当なら
最期のお別れに行くべきであることは重々判っています。

ですが・・・たいへん申し訳ないとは思うのですが、私は、ある時を境にそういう場は、すべてご遠慮させていただいています。
これをトラウマというのかなにか判りませんが、とにもかくにも、そういう場で、なにをしてよいか
どんな言葉を発したらよいのか、戸惑うばかりで自分自身が判らなくなるのです。
声をかけることの虚しさや、かけられることの喪失感の方が、先立ってそういう場にいられなくなるのです。

自分で「不義理に生きる」と、嘯いて生きておりますから、そういう私にどんな非難があびぜられようとも、それは承知の上ではあるのですが、そんな私のことを理解してなお、こうして友人の訃報を知らせてくれる友は、有難いものです。

もう少し時間が経過したら、私流のお別れを彼女に捧げに行こうと思っています。
そして、「私が行くまで待っててね。うちのによろしく伝えてね」と、こっそり囁いてこようと思っています(微笑)



そんなこんなの一夜が明けて、また私の日常が戻ってきました。足音も高く(笑)・・

この仕事をしていたら、のけぞるようなことや、呆れ果てること、むかつくことなどは日常茶飯事で、むしろこんな感覚がいつまでも、自分の中に残っていることが、意外なような、ちょっと嬉しいような、気持ちになります。


お逢いした、笹口まりえさん(47才・仮名)は、そんな私に踏み絵をさせるかのように、目の前で
白檀の香りのきつすぎる扇子の手を休めずパタパタと顔を仰ぎまくっています。
目鼻立ちのくっきりとした顔は、確かに美人系だとは思います。
しかし・・・それにしても・・・・

胸の谷間がくっきりと見えるほどのキャミソールで正面に座られたら、男性の方は目のやり場に困るんじゃないと思われるほどです。
両手の指には、大小10個ほどのリング。中には消しゴムくらいの大きさのオパールや、麦粒寄せ集めたようなガーネット。ねずみの心臓くらいはありそうなダイヤもどきもありました。
そして、その指を駆使して、喉仏をのけぞらせ、パタパタ仰ぎを繰り返すのです。

その間の機関銃のようなおしゃべりには、さすがに合いの手の入れようもありません(^^;)

「うちゃあな、このへんでは有名人だから、格好の悪いことはできんのよ。ま、立場っちゅーもんがあるけぇのぉ。」と、ガハハ・・・・

立場ったって・・・・はっきり言わせてもらうと、看板も出ていない民家の一階に、スチール机ひとつと、いかにも中古の応接セットだけで、社員19人。年商数千万といわれてもねぇぇ・・・。
第一、まだ一年にもなっていない、登記もあげていない会社で、なんで「年商」が判るの???

「主人・・・おるよ。誰でもしっとる会社の重役みたいなもんよ。社会的地位が高いから、名前は言えん。そいでも、これ、これにはさっぱりよ。」と、親指と人差し指で円を作ってガハハ・・・

・・・・・な、なんと下品な、アクション・・・・・・・(--;)


「ようするに、付きあっとった男がおるんじゃけど、別の女がのぉ、その男に惚れたんよ。そいで
その男がバカやけん。自分がおらにゃーってその女の言いなりなんよ。そいでも、男はまだ
うちに金せびりに来よるんよ。えーよ。貸したっても・・・いくらでも貸したらぁ。そやけど、どーすんねん。うちに金ださせて、お前はそいでも男かって言うたら、ぐじぐじ言い腐って、帰りかけに
うちのベンツ蹴飛ばしやがったんよ。ほんまに、恥ずかしいでよ。大の男がゲームセンターで大声だして、車蹴飛ばして帰るなんざぁ、格好の悪いことや。」

聞いてるこちらのほうが恥ずかしくなるような言い草です。。。

「それで、何をお調べになりたいんです?」
イライラする気持ちを理性(・・・あったかな?笑)で、押さえて聞いてみました。

「女よ。おんな。女の仕事先が知りたいんよ。名前はわかっとる。バツイチで子供もおるんよ。
仕事は美容師言うとった。ま、美容師やったら、うちの仕事関係で判らんことはないんやけどな。ツレもようけおるし、調べられんことはないんやけど」

「じゃ、そうなさったらどうです?」

こういう手合いは、苦手・・というよりキライ・・です。(笑)
わざと突き放したような言い方をすると、まりえさんは眼をまん丸にしています。
今までこんな突き放したような言い方はされたことがないようです。

「それは格好が悪いじゃろ。立場があるけん、できんのよ」と、またパタパタ・・・ほんとに忙しい人です。

「調べてうちは得することはなーんもないんよ。」と、ガハハ・・・
「損得だったら、なにもお得なことはないです。おやめになりますか?」

まりえさんは眼を剥いています・・・彼女のプライドがびりびりと音をたてているのがわかります。

「損得やないんよ。意地やね。」と、余裕を取り戻したふりをしています。

「そうですね。」・・・淡々と見積もりをお出しすると・・・
「うーん。高いともいえんし、安いとも言えんなぁ・・」と、言うところに、まりえさんの妹の夫という人が帰ってきました。

「な、な、洋二。この人たんてーさんやと。どうしょうか思うとるんやけどなぁ」と、顎で私のこと示します。
「栄子(相手女性の名前)のことかいな。ねーちゃんがしたけりゃしーぃや。」と、ニタニタと笑っています。
「ほんでも、これしたって、うちにゃなーんの得もないけんねぇ。」


私を無視して、会話しています。
ぶちっ・・・・ぶちぶち・・・ ぶちっつん!! 

「損得なら、なんのお得もありません。おやめになったらいかがですか?」

二人は揃って私を見ました。まるで「異星人」を見るかのように・・・。
「金じゃないんじゃ。こんなくそっトロイ女にと思うたら、むかつくんよぉ。」

それからは、女に対する悪口雑言・・・とてもここにはかけません・・・(**)


くどくどと、義姉弟で続ける会話に、もううんざり・・・です。
いくらなんでも程度低すぎ・・・・・

じつはこのまりえさん・・・一年ほど前にRさんが面談して、契約しながら翌日、訳のわからない理由でキャンセルしたいわく付きの女性でした。
でも、なかにはいるのです。前回やめたけど、やっぱりまたしたい・・・と、思い詰める人は・・。
でも、、、
でも・・・・・まりえさんは、少なくともそんな繊細な人ではなかったようです。。。。

「はい。やめましょーね。」
口をあんぐりと開けたままの義姉弟を尻目に、夜も更けた田舎の町にでると、いつしか夜はもう
秋の気配に満々ているようでした。。。

こんな夜もあるさ・・・・。
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by sala729 | 2006-08-31 17:25 | Comments(7)

先日来、調査に入っていました晴子さんの長男、直人さんの居場所が判明いたしました。
住所は、判ったものの、ご本人を確認するのに時間がかかって、やっと本人と断定。晴子さんにお知らせしました。

晴子さんは、義母の為の看護人を早急に手配し、お父さんと一緒に現地に向かいました。
現地の調査員が、張り込みを続けている現場には、すでにこちらからもN係長と、K主任が向かっています。
朝一番の飛行機のチケットが取れたと、連絡を受け、現場に通達。
「家出」の場合は、お引渡しするのが一番緊張もし、困難な場面でもあるのです。
居場所が判ったからといって、ドアをトントン・・・で、開けてくれるはずはありません。
ましてや、直人さんのように、相手がいる場合は特に用心しています。
突然の訪問者・・・しかも肉親となれば、まずドアは開けず、籠もってしまうことが殆どです。
そうなったら、もう泥沼のようなながーーい時間との戦いがあったり、通報されて警察、三つ巴だったりで、現場は混乱を極めます。

ですから、こういう場合は、まず彼らの行動を見ておいて、状況をみてご家族をおよびします。
そして、しばらくは一緒に張り込んでいただいて、チャンスを待ってもらいます。

晴子さんも、実家の母が一緒に行きたい・・とのご希望でしたが、暑いさなかでもありますし、
おばあちゃんということを考えたら、健康上の問題もありますので、おひきとめしました。


そして、思ったとおり・・・・
7時間近い時間を待機して、やっと直人さんと対面したものの、彼は「帰らない」と、一言
いったままで、俯いたまま、以後は一言もしゃべりません。
対象者は、突然暴れたり、逃げ出したりすることもありますから、調査員たちは、周囲にも気を配ります。
そして、N係長は、晴子さんと一緒に、直人さんに向き合います。。。

長い、ながーーい、ながーーーーーーい、時間が流れました。。。
連絡を待つ私たちにも、長い時間ですが、炎天下、緊張のままに対峙している調査班は、仕事とはいえ、本当に大変です。

早朝から、張り込み続けて、ご両親を待って、さらに張り込んで、見つけて、話し合いに入って
、ようやく直人さんが「・・・かえる」と言ったのは、日付がとっくに変わって、午前三時もすぎようとしていました。

さてそれから、調査班は、晴子さんとお父さん、直人さんを乗せて、車で自宅までお送りします。晴子さんとお父さんの二人で、直人さんを飛行機は・・無理とN係長が判断しました。


もう、太陽は真上に上がる頃、やっと現場は解放されたようでした。


そして、夕方になって、私の携帯が鳴りました。
晴子さんからです。
「Aさん、ありがとうございました。ほんとにありがとう。Aさんところでお願いしてよかった。ほんとによかったです。」と、開口一番、興奮した口調です。
「いえいえ。そう言っていただけたら嬉しいです。ご子息さんは、今どうですか?」
「ええ。帰ったら、それはそれで納得したみたいで、おじーちゃんにも、ただいまって・・・。おじーちゃんもおばーちゃんも、それはそれは喜びましてね。ほんとにありがとうございます。
調査の人たちも、よくしていただきました。ご飯も食べんと、寝んとね。わたしらには、どうぞどうぞと、言うてくれまして・・・。ほんとに、そちらには足向けて寝れません。」


・・・・・ 嬉しいですっ 
お褒めいただくことは、もちろん嬉しいに決まっていますけれど、現実にこうして言葉で、調査の
現場を労っていただけると、心から嬉しく思います。

直人さんのケースは、まだまだやらなければならないことが残っています。
あの、野崎礼二のことです。このまま放置していたのでは、同じこと繰り返すだ゛けですから
それも、抑止しておかなければなりません。

それでも、晴子さんには、自分のもとに直人さんが戻ってきた・・・・これ以上のことはないのです。
おじーちゃんの前に座って、恥ずかしそうに下を向いた直人さんの姿は、子供のころのままで
それもまた、晴子さんにはなによりなのでした。


調査のみなさま、本当にご苦労様でした。
束の間の「眠り」でしょうが、どうぞ深く、深く、眠りの懐で抱かれていれますように・・・と、祈らずにはおれません。



そして、私は、三日坊主とのそしりを背中に、今日からはじめた「ルームランナー」に、再び向かっていったのでした・・(^^;)
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by sala729 | 2006-08-28 11:58 | Comments(4)

最近・・・でもないんですが、PC開いたりすると「逆援助交際」のメールが、見ず知らずの女性名で届いていたりすることはありませんか?
私のところにもよく届きます。どーやら、私・・その方面の方たちには、名実ともに「おっさん」と
認識されているよーですわ(^^;;)

同じような趣旨の広告が、風俗誌や、成人漫画雑誌などにも掲載されています。
枝葉を省いて、ひじょーに簡単に説明すると・・・・

あなたと交際したいという、女性がおります。(多くは、女性社長であったり、セレブ妻とい自称しています)。女性たちは、社会的立場がありますから、お金を払っても割り切って付き合える
方を捜しています。

なーんていう広告文があって、申し込むと、女性からは3000万の会費を預かっています。
ご゛紹介するにあたって、あなたの方も、この20パーセントを、預託金として振り込んでください。関係が終了の後、この預託金と、一回のセッティング料金を、あなたの口座にお振込みします。


・・・・・・ま、バージョンはいろいろですが、だいたいこんなかんじで「お誘い」されるみたいです。


これに、まんまと乗せられちゃう方がいるですねぇ。。。それも、かなりの高額をつぎ込んでいる
パターンが、増えているような気がします。


でも、これって、ふつーに考えれば、どう考えても「おかしい」でしょ??
女性が誘って、関係もって女性にお金を払うのは、いわゆる「売春」ですよね。これなら
昨今の女の子たちが、罪の意識を紛らわせるために「援交」なんて言葉に替えていますが、
システムとしては判ります。
でも、でも、お金に余裕のある女性たちが、こんな秘密クラブみたいなものを介して、自分の
セックス相手を募集すると思いますか?
しかも、文字通りの女性たちなら、守らなければならないものは、山ほどあるはずです。
それが、こんな胡散臭い雑誌に広告載せるようなところに、加入すると思いますか?

なにより、、この呼びかけに応じる男性たちは、失礼ながら、いわゆる「男の魅力」に、溢れる
人たちは、私の知る限り、ひとりもおりません。(--)

しかるに・・・なのに・・・
ひっかかっちゃうんですよ・・・簡単に・・・(沈)


昨日、お逢いした、岡村さんは、81才です。2年前に奥様が他界しましたが、娘さんご家族と
同居していらっしゃるので、家事に支障をきたすということはありません。

向かい合って座ったときは、なかなかにダンディで、柔和なまなざしが、印象的でした。
その、岡村さんから、「これ」に、ひっかかったとお聞きしたときは、耳を疑いました。
しかも、総額は5000万くらいと言うではないですか・・・・(あ然・・)

いくらなんでもこれはおかしいと思って、振り込んだ会社と、担当の者について、調べたいとの
ご相談でした。
・・・・・もちろん、それは可能です。
そして、もう何件も同じような調査はしています。
そりどれもが、おとなしくて、なにか暗いイメージを背負っているような、そんな依頼者さんばかりでした。。。。


その中では、岡村さんは異色です。
すっきりと伸ばした背筋と、穏やかな話し振りが、品性すら感じさせました。

調査のあともどうするかということについて、お話しましょうと言うと、やっと相談できる相手ができたと喜んでいらしたのです。
そして、帰り際
「じつは、今夜、むこうから電話があるんです。私がこうやって向こうのこと不審に思っているものだから、私の出資金のうち4200万を返金すると言うのです。その打ち合わせというのですよ。もちろん、信じていませんけどね。でも、上手いんですよ。口が・・ね。笑」

その電話があったら、内容を必ず教えてくださいねと、堅く念を押して帰った夜中のことです。。

私の携帯が、鳴り響きました・・・岡村さんです。
「いゃあ・・あのですね。お願いしたあれ・・もう白紙にしてくださいや。ええ。ええ。理由は聞かんとってください。私の勝手ということですから・・」と、妙に明るい声です。

「もちろん、やめろと仰るなら、やめますけど、どういう経過で辞めることになったのか、お聞かせいただけませんか?」と、言っても
「いやいや。それはわたくし事ですから、もういいじゃないですか。ふぇふぇふふ」と、妙に濁すのです。

理由の想像はつきます。
たぶん、約束通り電話がかかっきて
「返金手続きに○○万お振込みいただけましたら、お約束通り、4200万の返金をいたします」
などの、あまーい言葉を囁かれたのではないかと思います。

あれほど言っておいたのに・・・・返金なんてあるはずがないのに・・。
まとめに領収書もないお金を、どうして返金があるなんて思えるのでしょう?

思い切って
「ご返金のお話があったのですね?」と、聞いてみました。
「え・。いや、あの。・・・・うーん。まぁ・・・」
嘘の下手な方です(笑)・・・・・やっぱりね・・・・でも、もうなにを言っても今はだめですね。

「調査の中止処置はすぐに取ります。でも、岡村さん、何かありましたら、相談してくださいね。
約束が、守られないときは、迷わず相談してくださいね。」と、付け加えると
「ええ。そのときにはお願いします。」と、妙にはっきりした口調で、答えていたのが、なぜか
物悲しく聞こえたのは、私の気の回しすぎなのでしょうか・・・。


結果が見えていることなのに、説得ができなかった自分の非力を、しみじみと噛み締めて
ベランダのカーテンを開けると、夏の夜空がいっぱいに広がっていました。
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by sala729 | 2006-08-26 11:53 | Comments(3)

山また山に囲まれて、どこを見渡しても、稜線と尾根しか見えない盆地にその家はありました。
急斜面の敷地の奥にある玄関を入ると、真っ白な総髪の老女が端然と出迎えてくれました。
そして、私と前後して車でやってきたのが、今日のご相談者の、山田晴子さん(47才・仮名)でした。

晴子さんの長男である、直人さん(25才・仮名)が、勤務先を辞めて、ここに帰ってくると言い残したまま、姿を消してもう20日になろうとしています。
直人さんは、幼い頃から優秀で、日本で一番優秀な大学を出て、さらに大学院に進み、新進の
コンピューター技術者として、前途洋々・・・・の、はずでした。。。

話は二年前に遡ります。
直人さんは、どんなきっかけかは判りませんが、野崎礼二という32才の男と知り合いました。
野崎は、名古屋に住んでおり、それ以来、直人さんと野崎は、東京と名古屋を往復して、親密度を増していたようです。
でも、そのころから、晴子さんのもとに、いろいろな口実をつけて、直人さんからお金の無心が入るようになりました。
最初は、10万。30万。50万・・・・・100万
あっという間に、総額は1000万近くになりました。

直人さんは、昔から手のかからない子供で、晴子さんは「あの子に捨てられるとは思わんかった・・」と、涙ながらに話していました。
その、息子が言うことなのだからと、きっとどうしてもいるに違いないと、晴子さんは思ったのです。


しかし、さすがに、これはおかしいと、晴子さんは夫ともども、上京して直人さんを訪ねました。
すると、直人さんの口から、野崎の名前が出てきて、お金の大半は、野崎に送金していると言うのです。しかも、野崎は、女性になるための手術を受け、豊胸や、性器も女性のものにしている
というのです。

晴子さんも夫も、腰を抜かさんばかりに驚きました。
 ま、まさか、うちの子が・・・

その、野崎の手術の結果が思わしくなく、面倒みるために、会社を辞めて、名古屋に行く・・と、いうのです。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@



やっとの思いで気を取り直した、晴子さんは
「えーよ。あんたがそれでええなら。でも、そんなら二人で田舎に帰らんね?。近場で夫婦で暮らしてもええやないの?」

・・・・・・・・・・・穏やかな、山里で生きてきた晴子さんの、子を思うが故の決心でした。

「そーやね。」
一言だけ言って、頷く直人さんに、ほっと一息ついて、明日は、一緒に帰ると約束を取り付けました。
翌日の朝になって、ちょっと会社に忘れ物取りに行くと言った、直人さんと約束した上野駅で
晴子さんは待ち続けましたが、とうとう・・・・彼は現れませんでした。


そのまま、直人さんは野崎のもとに向かったと思われます。
たったひとりで帰った、晴子さんを義父は激しく責め立て「なんでひとりで帰ったんじゃあ!お前なんかいらん嫁じゃあぁぁ。でていけ~ 」と、家を追われました。

一時的に実家に、身を寄せたものの、義母は10年来の寝たっきりで、晴子さんがいなければ
食事も排泄もできません。
その義母が、枯れ果てた手を出して
「うちにおってくれよぉ。里には帰らんでくれよぉ」と、泣く姿を見ると、むげに実家には帰れないと晴子さんも涙を溜めています。

そして、思い余って、相談に来られたのです。

名古屋にいるはずの、直人さんを連れ戻したい・・・その一心で。

「野崎礼二」というその男(女?)と、一緒にいるのではないかとは考えられますが、母の心子知らず・・なのか、もっと他に深いわけがあるのか・・・それは
直人さんを探し出さなくては判らないことなのですが、野崎とどんな生活をしているのか、本当はどんな関係なのか・・・知ることは晴子さんにとっては「怖ろしいこと」かもしれません。
でも、それを知らなければ、直人さんは晴子さんのもとに帰ることはないでしょう。

これを、母の盲愛と片付けることに、異議を申し立てるものではありませんが、狭い地域の
古い家の、因習と家族のしがらみに、がんじがらめにされてきた晴子さんへの、これが
天の仕打ちなら、あまりに気の毒・・・と、私は思うのですが・・・。
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by sala729 | 2006-08-25 16:07 | Comments(5)

槙原さん(48才・仮名)は、白いTシャツにオレンジのハーフパンツ。
さらさらの金髪に、それはみごとな褐色の肌と、対照的な白い歯を見せて笑いました。
もちろん、お約束のように、首には首輪のような金のネックレスと、ブレスレット。・・・・・(うーん)

「それがよぉ。六本木のディスコで知り合った彼女と、三回ばぁ、逢うたんよ。うんうん。月イチでね。いや、東京に友達がおりよるで、よーいくんよ。」
外見とはうらうらに、方言そのままで話す、槙原さんにちょっと高感度は上がった・・かもしれません。(苦笑)

「そいで、次はディズニーシーに行こかということになっちょるんやけど、一週間前に彼女で電話したら、男が出たんよ。もぉ、ビックリしたがよぉ。で、そん男が、さや(女の名前)とは、どんな関係?って聞くがよ。びっくりしてよぉ、そのまま電話切ったんよ。そしたら、二日後とその次の二回。うちに無言電話がかかったがよ。それも、オレが買い物帰るのを見計らったようにじゃよ。
そいで、昨日、これ見てよ。」と、差し出した、携帯には・・・

さやとは別れてください。そうでないと、あなたのどんなことがあっても責任もてませんよ。
今度の、ハイアットでも・・です。・・・・・・・・と、記されていました。
しかも、アドレスは、彼女と同じ。@マーク以下の電話会社名が違うだけです。


槙原さんは急に、怖ろしくなりました。

「どーいうことや?」と、彼女に確かめました。

「そいたら、彼女は、おとろしがってパニックになりよりましたがや。おとろし、おとろし言うて、
娘のボーイフレンドたらいうのに電話代わって、そいつが、なにかあったら力になりますよ。
ボクいろんな方面の人知ってますからって言うがや。」

「お嬢さんのボーイフレンドに電話代わるというのも、おかしな話ですよね。普通はそんなこと
しないでしょ?。無言電話や、あやしいメールは、彼女もご存知のことではないですか?」
私がそういうと、槙原さんは、首も折れよとばかりに、勢いよく横に振り続けます。

「いんや。それはないですろ。ほんまに、おとろしおとろし言うとります。あれは、演技やないがや
ですよ。」と、あくまで、彼女をかばいます。


「じつは、彼女に嘘言うとりました。ボクはバツイチ言うたんです。ほやけど、ボクには嫁がおります。このこと、何度も彼女に言おうか思う取ったんですが、なかなか言えんで・・」

・・・・・そんなことは、たぶん彼女もお見通しだったと思いますよ。・・と、いう言葉は胸に畳んで

「あらら・・でも、それならこのこと奥様には言えませんわよね。」と言うと

「いんや。もう言うちょります。嫁はぜーんぶしっとります。そいで、あんたの好きなようにしいやと言うてくれとりますがよ。」
「それはまた、ご理解のある奥様ですこと。」
「そーながや。ほんまに嫁はよう理解してくれちょります」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


つまり、槙原さんは、彼に連絡しているのが「誰」であるかが知りたいのです。
そして、そのことを、さやさんが知っているのかどうか・・も。
槙原さんは、さやさんのこと信じていますから、彼女を付け狙うストーカーじゃないかと思っています。そして、そのストーカーが逆恨みで、槙原さんに嫌がらせしていると思っています。

それならそれで、さやさんに、ストーカーの存在を教えてやらなければ・・と、使命感に燃えています。


「東京によく行かれるようですが、モテますでしょ?」・・私だって、仕事と思えば、お世辞のひとつぐらい言うことはあります。。。。すると、彼は身を乗り出してきて

「そーながです。言うちゃなんやけど、ボク、よーもてるんですがよ。一緒に行った友達もびっくりするがです。みんな、爽やかねぇ、言い寄りますんや。
「爽やかじゃねぇとか、イケメンやねぇ・・・言うね。笑。彼女もそう言うて話しかけて来よりました。
ま、ボクも努力はしとりますよ。ほら、この歯、これはデンタル美容で、綺麗にしてもろうちょります。そいから、毎日5キロのロードは、欠かしたことがありませんけに。ほら、」と、
半袖シャツから見える腕を更に捲り上げて、力瘤を作って見せます。

そして、やにわに立ち上がると、 ばっ と、Tシャツの裾を捲り上げると
「ほら。どーですやろ。腹筋も、なかなかのもんですやろ?」と、白い歯を見せて、にっこりと
笑います・・・・(沈・・沈)
・・・・(本心から叫びたかった・・・です)

超自己愛男の、槙原さんと別れ、自宅に向かう私の携帯がブルブルとなります。
知らない電話番号なので不審に思いながらも、出ると・・・

「あ、Aさん、すんません。じつはうちの嫁が、どーしてもご挨拶したいと言いよりますんや。」と、
奥様と電話を代わります。

「槙原の家内です。このたびは、よろしくお願いいたします。」
落ち着いた声です。
こちらこそ・・・とお答えしながら、こんな夫婦もあるのだなと・・今更ながら、世間の広いことを
実感しました。。。。
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by sala729 | 2006-08-23 11:07 | Comments(1)

この頃になると、夏休みもカウントダウンに入り、もうとっくにその恩恵から遠ざかっている身には、ひそかに「ざまぁみろ~」・・なぁんて・・(し、失礼しました)

そんなことを思いながら、新潮文庫を手に取りましたら、「あなたの好きな作家は誰ですか?」というキャンペーンが垣間見えました。
そーだなぁ・・と、思いを巡らせると、なにしろ、今日の今まで、同性、同世代の中で「本すき」と言われれば、ベスト10までは遠く及ばないにせよ、ベスト1000くらいには、かろうじて入るかもしれないなんて、だいそれた自負を持っている身ですから、次から次へと、作品と作家が浮かんできます。

「ん~ん。そんなの無理。ひとりなんて選べないっ!」と、誰に言うともなくつぶやきながら
手にとったのが「沈まぬ太陽」・・・知る人ぞ知る、山崎豊子さんの大作ですね。
この山崎豊子さんの作品は、どれも骨太で、リアルで、直情的なので大好きなのですが、この本が単行本で並んだときに、第1ページ目が、アフリカで、象を撃つ描写から始まっていたのです。それが、どうも心にひっかかって、大好きな作家なのに、なんとなく買いそびれていたのですが、あのホリモン氏が、拘留中に読破して涙したというのを漏れ聞いて、それでは・・と、改めて手に取った時には、文庫本5冊に収まっていました。

余談ですが、山崎豊子さんの作品の中で忘れられないのが「続・白い巨搭」
これは、下巻の半分ほどまで行ったときから陣痛が始まり、このままではしばらく読めなくなると、あわてて陣痛の中、読破した思い出があります(笑)

「華麗なる一族」「ぼんち」「暖簾」「二つの祖国」「大地の子」
読めば読むほど、その見識の高さと広さに感嘆し、師の井上靖氏とは、違う意味での壮大なスケールの物語を作り上げていく、豪腕にひたすら尊敬を覚えておりました。



で、話は戻りますが、「沈まぬ太陽」を一気に読み終えて、思ったことは・・ 損した・・
ええ、本当に後悔しました。初頭のシーンに抵抗があったとはいえ、この本を、あのホリエモンの後塵を拝して読み終えるなんて・・・(悔しい・・)
そんな、後悔で一杯でした。

「損した」のは、時間です。読むチャンスはいくらもあったのに、初頭のシーンに、妙に拘って今までその機会を放棄したことが、今更ながら悔やまれてなりません。

主人公の生き方は、正直ですけど不器用です。純粋ですけど、無用心です。そして、誠実ですけど、頑固です。
こんなサラリーマンが、いたことの事実と、こんな会社があることの事実が、そら怖ろしくなるような読後感があります。
これは事実を基に、小説として構築していると断ってはいるものの、誰が読んでも、どこの誰と判る描写ですし、実名の登場人物も多々おります。

他の作品、例えば「二つの祖国」にしてもそうですが、綿密な調査と細かな資料。そして、その中枢の方への、切り込んでいく協力と情報の確かさは・・・「さすが・・」と唸るばかりです。


私の人生観を支える本の一番が、替わることはないのですが、この本は間違いなく「会社と仕事感」を考えさせるテーマを突きつけます。
人として生きることと、会社人として生きることの、矛盾も悲哀も、勇気も絶望も、この本は味わわせてくれます。

 もっと早く読んでいればよかったなぁ・・・と、またしみじみと思いながら、今日のブログを閉じることにします・・・。
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by sala729 | 2006-08-19 11:50 | Comments(5)

台風は、九州を駆け上らずに、まった~りと、ゆった~りと、北上しているようですね。
やっと今日から休暇を取って、家族旅行に・・と、計画していたN係長は、なんの因果か、誰の6怨念か、行く手を阻まれて、今頃どーしているのやら??(^^)

ぼんりと曇り空を見ていると、おとといお逢いした里村さんの、邪気のない笑顔が思い出されます。

Uターンラッシュで、小さな駅はごった返していました。
手荷物と、おみやげ袋を両手に抱えて、右往左往の人たちに混じって、ポシェットだけの里村さんと、書類バックの私は、なんだか周囲から、浮いて見えたのは気のせいではないでしょう。

30才という里村さんと駅のはずれの喫茶店で向かい合ったものの、ちいさくて狭い店内で、背中合わせの席では、赤ちゃんが泣き喚いていました。


出会い系サイトで知り合った、同じ30才の男性と会いたいと言うのです。
でもそのサイトは、入会金やプロフィールの紹介こそ、無料ですが、相手のメール見るのに
250円。返信するのにさらに250円かかるというシロモノなのです。
ここを通して、交信していたのでは、たまったものではありません。


なんども、逢うことを計画しましたが、そのたびに、いろいろな理由をつけて実現しませんでした。
よくあるパターンです。でも、ここの悪質なところは、その料金体制にあります。
見るのに250円。返信に250円。これって・・(--;)ヒドィ・・・・。
里村さんは見る間に200万以上のお金をつぎ込んでしまいました。
そりゃあ、そーでしょう。多いときは一日10回以上返事が来たそうですから・・・。

メル友とはいえ、擬似恋愛ですから、相手から来れば、返したくなるのが「人情」というものです。そして、いつしか二人は、二人だけの世界に嵌っていくのです・・・・。


彼は医者だと言います。里村自身もナースですから、話はよく合ったのでしょうね。
メールを何個か見せてもらいましたけど
「りこ(里村さんのHN)。これだけは毎日言っておきたかった。
好きだよ。誰よりも。。。。」
こ、これで250円・・・・うーーん。いいしょーばいですわよ(笑)

「ボクだけのりこが、ボクのこと信じてくれないなんて哀しいよ。
今度の約束は、なにがあっても果たすからね。
りこのことはボクが守ってあげる。だから行きたいところはどこ?」

うーーーん・・・これでは、返信しますよね。そして、250×2と、言うことになるのですよね。
上手くできてます。

今ここでこれを読んでいらしたら、「んな、バカな・・」と思うかもしれませんが、ちょっと想像してみてください。

今まで、ずっと仕事に明け暮れて、異性とデートもしたことのない女性が、メル友とはいえこんな甘い言葉をかけられたら、半信半疑でも、もしかしたら・・・と、甘い想像の世界に嵌ってしまうことも、ありえる・・・・とは思いませんか?
大柄で、ぷよんと幼児的イメージの里村さんは、今まで男性と交際したことはないと言います。
でも、まわりの後輩たちは、次々と結婚したり、彼と遊びに行ったり・・・・そんな姿をずっと見てきたと言います。


そんな自分のメル友が、医者で、デートには自分の車で自宅まで迎えに来てくれるなんて・・・と、思ったら、そんな想像だけで明日への仕事の意欲も湧いてくるでしょう。



でも、彼女は、ハッと我に帰りました。
彼という存在がいるのかいないのか?
いるなら、本当の彼とはどんな人なのか?

これを確かめたら、きっと諦められると彼女は言います。
偽者かもしれない。架空の人かもしれない・・・・彼女はそれも判っています。
でも、くすぶり続ける自分の恋心に、決着を付けるには、冷徹な真実しかないのです。

里村さんは、この名前の人がいるのかいないのか。
実在するのかしないのか・・・それが判ればいいんです。

自分では幕を引けない「初心な恋心」。。。
これを誰が笑えるでしょうか???

感極まって、狭い座席で号泣し、涙と洟でぐちゃぐちゃに濡れた顔を、ガーゼのハンカチで
拭き取りながら、「逢いたいんです」と、繰り返す里村さんに、ほんとうのことを教えてあげるのは、心が痛いです。

ごめんなさい。
もう一度、私はあなたを泣かせると思います。
でも、今度こそ、これが最期になりますよーに・・・(合掌)
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by sala729 | 2006-08-18 15:39 | Comments(6)

朝から、小泉首相の「靖国参拝」でマスコミは右往左往しているようですね。
これだけ、事前にマスコミや世間の衆目を集めていたことですから、実際にそれが行われるとしたら、こういう騒ぎも、むぺなるかな・・とは思いますが、それにしてもこんな「お祭り騒ぎ」でいいのかな?と、心の片隅でチラッと思うのは私だけなのでしょうか?

本来、今日の日は、かの大戦で亡くなられた、あまたの英霊を尊び、敬い、慰霊する「日」では
なかったでしょうか?
それが、合祀がどうのこうのとか、中国がなんだかんだとか、「慰霊」とは遠いところでの議論百出で、英霊の殆どを占めているだろうと思われる、いわゆる「亡くなられた兵隊さん」や、その「ご家族」にとって、この騒ぎは迷惑以外のなにものでもないのでは・・・・と、私のような一般世人は
思ったりするのですが・・・。


こんな朝は、私もちょっと、私の周りの鬼籍に入った人たちを身近に思い出したりしました。

わが故郷には、お盆のお墓参りには、白い紙製の足の長い「灯篭」がどの墓にも祀られます。
これには、○○家と、自家の姓と、先祖代々と書いて、お墓の前に並べるか、吊るすかします。
ですから、この時期の墓地はどこもかしこも、その白い足長の灯篭がゆらゆらと、ゆらめいています。
私たちは、生まれたときからこの光景を目にしていますから、なんともありませんが、他所から
来た方には、どうも異様に移るらしく「こ、こわい」と、よく言われます(^^;)

確かに、日暮れて、濃いグレーに染まった夏の夜の墓地に、ひらひらと白い紙が一斉になびいている風景は、「妖気」を、感じる方は感じるかもしれません。

でも、壮観なんですよ。もし、興味がおありの方は、一度見にいらっしゃいませんか?
ご案内させていただきます~(笑)


さて、お盆ということで、ここはひとつ、特別に私のお話を・・・

プライベートはなるべく明かさないようにしているのですが、こんな日にはなんとなく、お話したくなるんですよねぇ(・・・もともとおしゃべりだもんね←カゲの声)

私の伴侶は、もう数年前に他界しております。
そうなんです。私は「あわれな寡婦」と、自称しているのですが、多くは「最強のミボーじん」と
噂されているようです(苦笑)

私たちは、当時で言えば「ニューファミリー」(・・ふるっ)。平たい言えば、単なる遊び好き夫婦(笑)で、ことあるごとに、あちこちにでかけておりました。
二人とも、車が大好きですから、日本国中あらゆるところに行きました。車で走ったことのない
都道府県はありませんっ。(・・ってそんなことが自慢になる??)

そんな彼がなにより好きだったのが「東京」と「海」・・・これもまたベター・・でしょ。

本社には出張で何度も行くのですが、たまたまあるとき、折角だから、東京湾に骨を散骨してあげよっかな・・・・なんて思ったのです。
そこで、東京にいる、「ばばコンのわが息子」も、呼び出して、お台場で待ち合わせました。
そして、二人で、海に向かって、やおらポシェットから取り出した、「骨」を、空と海に向かって
撒き散らそうと思って取り出したとたん・・・・

 ぎゃわ~ ぎゅぎゅぎゅ 
ん??・・・んん?? な、なんだこのギャオスみたな声は・・・・・・と、思った目の前に、白いものが、ぬうっと現れました。そして、私の手にもった、ビニール袋をめがけて突進してくるのです。
「なに??なになに??」

・・・・・ユリカモメ・・・ゆりかもめって・・・「鳥」だったのぉぉ???

そうなんです。お台場で群れ飛んでいる白い大きな鳥は「ユリカモメ」だったんです。
(ユリカモメって、モノレールの名前だとばっかり・・・)

そのユリカモメが、私の袋をめがけて突進してくるわけは、となりの女の子を見て、判りました。
その子も、小さな自分のポシェットからパンを取り出して、ちぎる間もなく、ユリカモメの襲撃を
受けているのです。

そーなんですよ。このお台場のユリカモメは、ここにくる人たちが、手に手にパン屑をもって彼らに投げ与えているうちに、動物園のチンパンジーよろしく、ポシェットから物を取り出すと、反射的に「おねだり」にくるようなのです。

でも、彼らにしては「おねだり」でしょうけれど、近寄ればかなり大きな図体に、鳥族特有の見るからに堅くて大きな嘴をこちらにむけて突進してくるのです。
・・・・・・・それは、怖い・・・ですよ。
ほんとに、ヒチコックの「鳥」そのままの光景です。
女の子は、ぎゃーっと泣き出すし、私も、「美しい思い出を蘇らせながら、散骨する自分の姿」
をイメージしたことなど、すっかり忘れ
「こんなところにはいれないわよっ」とばかり、そそくさとそこを後にしました。

そして、今日のように暑い中、お台場の中央プロムナードを通って、ベンチで一休みしながら
ふと見ると・・・・ポシェットの口が開いているではありませんか・・・・
「あらら・・・」とばかり中を見ると、戻したはずのビニール袋の骨がありません。

「あら、どこかに落としちゃった・・」
ものを落とす・・・というのは自慢じゃありませんが、私の「特技」です(^^)
「落としたって、骨を?」
「うん。お財布はある。骨だけみたいね。・・でも、あっついし、もういいか(笑)」

「んな訳いかんでしょうがぁぁ・・。骨だよ。骨。誰かが拾って、届け出たら大変なことになるよ。
もおぉぉ。人騒がせなんでから。」と、息子。
「だって暑いし、ビニールに入ってるのはかけらだし、判んないんじゃない?」
この暑さの中、引返すなんて、考えたくもありません(**)

「いーよ。ここで待ってて。俺が行って来るから。」
息子は私を説得することは、簡単に諦めたよーです。

そして30分ほどして、汗びっしょりになって帰ってきました。手にはビニール袋を持って・・・(^^)

「ほら、誰も拾わんかったじゃん。」と言った私に・・・
(よく言うよ・・それでも、嫁かよ・・)と、つぶやいた声が、地獄耳の私に届いたことを、息子は知らない・・・ようです(笑)

「そーね。そんな嫁は、もらわんことやね。」と、微笑み返してやったら
 ぎくり とした顔で、私を見つめ返した息子の表情に、まだまだ「親の権威」を密に感じて、ほくそえみました・・とさ(笑)



去年の夏も、みんなでグアムに行くときに、散骨~と、言いましたら、
「それだけはやめてくれ。入国管理でひっかかったら大変なことになる」と、みなで止められました・・・・(沈)
・・・・そんな大騒動・・大好きなのにぃぃ・・・(爆・爆・爆)

え??
いつも「骨」が手元にあるのかって???
・・・ええ・あるんですよ。それが・・・(笑)
いつも、Oリーダーに「いいかげんお墓に入れてあげなよぉ」って言われるんですけど、ずっと
手元においてきたんです。ちなみに、ご供養は、三千院でお願いしていますよ。(これも彼の好きだった場所です。←乙女チックでしょ。笑)
こーなったら、中途半端に納骨なんてできませんわよ。
前に書いた、墓石屋のおじさんに、「本型」墓石を作ってもらったら、そのとき入れてあげよっかな・・・なーんて思っています。

こんな私・・嫁として彼の実家と上手くいかないのはとーぜんですわ(笑)


・・・・はぁぁああ・・・私生活、暴露しちゃった~・・
ま、お盆の「閑話」と、言うことで・・・・・・・・おそまつ。(合掌)
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by sala729 | 2006-08-15 11:51 | Comments(4)

豪雨の仕返しのような「極悪な晴天」が続いていますよねぇ(苦笑)

私は先月末の、鬼の霍乱の最期の仕上げとばかりに「脊椎のMRIを・・」と、最初の病院に行ったのですが、そこでも「脳美人」(?)と、宣言されていい気持ちで帰りましたが「NO美人」ってこともありえる??・・・などと考えをめぐらせていると、なんだか闘志がむらむらと湧いてくる
不思議な「私」に、もう完全復活を感じましたね(謎・・)(--)

それにしても、夏・・とはいえ、毎日、毎日苛酷な陽気が続いていますよねぇ。
8月は、お盆や高校野球、それにこの酷暑があるためか、平常よりは相談電話の数も少ないです。先月の家出が全件ほぼ片付いて、この暑さの中で「わが夫は・・」「わが子は・・」という思いの人たちがひとりでも減ったという事実に、小さな満足を覚えています。(^^)


そんな中で、かかってきたのが、松原さん(24才・仮名)の電話でした。
先月の終わりに一度かけてきて、二度目の電話でした。

夫(22才・仮名)が浮気をして、相手の女性の婚約者が怒鳴り込んできた。夫もその男に殴られたようだ。夫の両親とも話し合い、私は離婚の意志を固めているが、相手の女をそのままにはしたくない。でも、夫もその男も、女のことは何一つ教えてくれない・・・・・

と、いう摩訶不思議なものでした(女の名前も言わないで、婚約者の男は乗り込んできたの??)


松原さんは8ヶ月のまりあちゃんを抱いてやってきました。
化粧気のない顔は、まだ幼くまりあちゃんを抱く姿がぎこちなく感じましたが、話を聞くとなかなかにしっかりした事を言います。

「主人とは別れます。女は最初、電話ですみませんって言ってたんですけど、段々図々しくなって、どこに証拠があるん?なんでもだしてみいや・・って開き直るんです。私も最初は、謝ってるならいいかなって思ったんです。でも、そんな風に開き直るなら、それならこっちにも考えがあるって思って・・・」
外見に似合わずしっかりした口調です。

「じゃ、二人の証拠を取ってるわけじゃないのね?」
「ええ。でも、主人の親を交えて話をしてるのは全部テープに採ってますし、婚約者という人からの電話も全部録音しています。
それに、主人も、証明書書いてますし。」
「証明書?」
「ええ。浮気しましたっていう証明書です。」

「で、女性にも慰謝料を請求したいと思っているわけですね?」
「はい。弁護士の先生に聞いたら、全額は無理でもできるって言うので。私としても、開き直った女と主人が許せないのです。それに婚約者という人も、最初は主人を殴っておいて、うちにも乗り込んできて、騒がせたくせに、今になって、もうボクの言うことなんて聞いてくれませんよなんて、情けないこと言い出すし・・・」

そういい捨てる松原さんは、最初の印象よりずいぶん大人に見えました。

「ええ。女性のこと調べることはできますよ。あなたが求めるなら、慰謝料の請求もされたらいいですよ。確たる証拠とはいえませんが、弁護士先生が仰るならやってみたほうがいいですね。」

片手でまりあちゃんをあやしながら、うなづく松原さんは、しっかりとした若い母親に見えました。


ところが、では調査に・・という段になって・・・
「あのう、母に相談したいのですが・・・」と、言い出します。
まぁ、若いですから、それもむべなるかなと、その場で携帯を取り出す松原さんを見ていました。
慣れた手つきは、実家だからこそ・・でしょう。。。

埼玉だというお母さんはすぐに出られたようです。はっきりと早口でしゃべる方らしく、殆どの声が洩れ聞こえてきます。
だんだんに、松原さんが寡黙になっていきます。。。。

「すみません。電話変わってくれませんか?」
松原さんの申し出に、私は携帯をそっと受け取って耳に当てました。
・・・・・・そして、当てるやいなや飛び込んできたのは、甲高い早口の言葉の洪水でした。。。。

「私は人を育成している仕事をしています。人を見る目には自信があります。だから最初から
この結婚には反対だったんです。それがこんなことになってしまって。。。お金の問題ではないんです。シロかクロか・・勝つか負けるか・・それしかないんです。」

そんなにまくし立てたって・・・と、思いながらじっと相手の言葉を聴きます。

「お嬢さんは、大変しっかりしています。同世代の子と比べたら、段違いです。対処もきちん
と、してらっしるし・・」
「そりゃあ全部、わたしが教えたんですもの。私の言うとおりにしなさいと言ってるんです。
ええ。一から十まで・・・私の指示です。この子はずっとそうでした。これからも、そうてすよ。
自分でしろといっても、こうして私に電話をかけてくるのは、私に金出せってことでしょ。そーに
決まってます。娘の損得勘定ですわよね。」

・・・・・・・・・・・・・・・うーん・・しかし、ここまで言うか?ってぐらい言ってますよね。このおかーさん・・・。

「私だってここまでくるには、それこそ人に言われぬ苦労してきました。今は言いませんけどね(ええ・私も聞きたくないです・・苦笑)。その私が言うことですから、娘は聞きますよ。あんな奴はダメですよ。でもね。これほんとに裁判で勝てます?
万に一つの負け・・だってあるでしょ?」

「わたくしたちは、占い師ではありません。物事には絶対というものはありません。可能性が高いか低いかということだと思います。それなら、非常に高いといえますけど。万に一つや、十万にひとつのことをと言われたら、判りませんとしかお答えのしょうがないです。正直にお話するなら、そうとしかいえないと思いますけど。」

「ふんふん。そーね。でも、万が一があったら困るのよ。そんなお金があるなら、まりあとのこれからの生活に使わないと、あの子もひとりの母なんですから。」

・・・なにを判った風な・・・と、口をついて出そうな言葉を、すれすれで飲み込んで・・
「お母様の仰ることは判ります。お嬢さんがこれからまりあちゃんと生きていかなくてはならないのも事実です。でも、それはもう判りきった事実です。そのためのお金が最優先なら、これからもそうしてください。でも、すべてを捨てて、後悔の中でこれからの何十年お嬢さんが生きていくのと、シロクロはっきりさせて新しい自分を見つけていくことが、今は一番必要なことだと私は思います。そうして、自分の足場を確保してから、子供と一緒に二人の生活設計が立てられるのだとおもいます。
まりあちゃんのママはお嬢さんですが、お嬢さんのママは、お母さんしかありません。いま、お嬢さんがなにをしたいか、それに添ってなにができるか・・・それが大事だとおもいます 」


「ええ。そーですよ。だから私は、あの子が自分で調査でもなんでもするなら、すればいいんです。でも、それでお金に困って泣きついてきても、それは知らんと言ってるんです。」


・・・・・それはそうでしょう。お母さんの言い分は間違ってはいません。
でも、そう言い寄られて、「いいわよ。それでもやる」と、いえる娘は何人いるでしょう?
というより、真面目であればあるほど、言えないと思います。
自分の力量が判らなかったり、親に甘やかされた子ほど、こういう場合「いいよ。それでもやる」と言います。
本当に、自分や世間をそれなりに知っている子は、そり厳しさがわかるだけに安易に「やる」とは
いえないのです。
だって、最期の頼みの綱なのですから・・親は・・・なににしても。


「私も基本的には自分の力でやるべきだとは思っています」と、電話を切りましたが、松原さんは迷っていました。
人見知りをしないまりあちゃんもさすがにぐずっています。

「ごめんなさい。今日は決められません。明日までには必ずお返事します」
そういう、松原さんは入ってきたときそのままの、幼い顔になっていました。



親は、つくづく難しいものだと、溜息をつきながら、まりあちゃんの残していった、ティッシュ遊びの残骸を片付けながら、今夜もあの母子はまた電話で言い合うのだろうなと思うと、松原さんが
ちょっと可哀想になりました。。。

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by sala729 | 2006-08-11 12:55 | Comments(2)

何度目の電話だったことでしょう。。
杉村さん(69才・仮名)から、電話が入ったとき、正直またか・・とは、思いました。

杉村さんの息子の、義明さん(43才・仮名)が、家出したのはちょうど一年前です。
お父さんが亡くなって、母ひとり子ひとりの生活になってから三年目のことです。
一度の結婚歴もなく、ただ仕事場と自宅を往復するだけの息子を、不甲斐なく思いながらも、
小さなつつましい幸せを、杉村さんは感じていました。

その、義明さんが「仕事に行く」と言ったまま、会社にも行かず、自宅にも帰らず・・・となって一年です。。。
そもそもは、家出して一ヶ月頃に、最初のお電話がありました。お話もしました。
でも、混乱と錯乱の中にいた杉村さんには、調査に踏み切る理解力がなかったようです。

そして月日は流れて・・・
その間にも何度もお電話はいただきました。でも、それでも踏み切れず・・かといって諦めきれず・・・・と、何度かかかってはていました。

「おねーさん(私のことを彼女はそう呼ぶのです。笑)。うちゃね、もうほんまにどーしたらええんか判らんのよ。拝み屋のねーさんも毎日家に来るんやけど、あぁぁ、生きちょりますよと、言うだけやし・・・」

 拝み屋 ・・・・こんな時代に・・と、思われる方も多いかと思いますが、相談者の中にはこういう類の方たちに、すがる人は多いです。
ええ・・若い方の中にでも・・・です。
「藁をも掴む」という気持ちであろうことは、充分理解できますが、こういう人たちのご宣託だけを
信じてしまったら、私たちの調査はできません。

「拝み屋のねーさんが、山の方におると言うから、山を。川の淵を歩いとるというから、川を。」と
急かされても、なんの根拠もなしに、右往左往するわけにはいきません。
第一、毎朝訪れては、生年月日を聞き「ぉおお、今朝も生きちょるよ。元気で歩っきょるわ。」と
言われて、本気で受け止められるか?!・・・と、思うでしょ?

でも、それが思うんですよ。
そういわれただけで、その日は、やれやれと一安心・・・するらしいのです。(^^;;)



・・・いつも、すみません。やっと続き・・です(^^;)

確かに、こんな時代に・・と、思われるでしょう。
なんて非科学的なと哂われるでしょう・・・。
でも、こういうなんの根拠もなく、裏づけのないことでも、すがって頼りたい・・というのが、肉親に家出された人の心の奥底なのです。

しかも、杉村さんの場合は、夫に先ただれ、息子と二人だけの生活を生きる糧にしていた老婦人です。
こういうものに、すがることは、ある種当然といえるかもしれません。

人の心は弱いものです。そしてその弱さは、一番大切なものをなくしたときその弱さは露呈します。
占いや、拝み屋さんというのは、そういう心のケアだと思えば、それはそれで存在感も認められるのですが、あまたの場合、調査の邪魔をします(苦笑)
根拠のない「お託宣」で、相談者さんを迷わせたり、私たちを走らせたりするのです。
(私たちは根拠がないと思いつつ、あまりに依頼者さんが信じ込んでいるような場合は、まず
状況確認には走りますので、じつは、これは大変な労力なのです。)


今回の杉村さんの場合も、たぶんこのケースに嵌ってくるのではないかと思われます。

そんな危惧の中、H氏とE調査員が二人で、杉村さん宅を訪問しました。
調査の観点から、もう一度詳しいお話をおききするためです。

「そんとき、拝み屋のねーさんも一緒でもええんかのぉ?」
・・・ほら、きたっ(笑)
「いいですよ。杉村さんさえ、構わなければうちはかまいませんよ。」
話がまとまらないかもしれないとは思いつつ、杉村さんを安心させてあげるには、そのほうがいいかも・・という思いもありました。


そして夕方のことです。。
H氏からは、訪問が終わった旨の連絡は受けていました。
そしてすぐに、私の携帯がなりました。
「おねーさん、いま帰っちゃったよ。二人とも若いねぇ。」と、杉村さん。
「ええ。若いですけど、この調査の責任者です。家出はもう数え切れないくらい発見してますから、安心して任せてくださいね。」

「ほー。責任者かいね。どっちが??」
「うーん。。いい男の方です。」
「どっちもいい男じゃがぁ。あっははは。」

杉村さんは上機嫌です。

「拝み屋のねーさんものぉ、いい男じゃねぇ、言うとったよ。」
「どっちがですか?」
つい、興味本位で聞いてしまいました。

「えー男のほうじゃ。あっはっはは」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん、んん・・・?????ど、どっちだ???

「それって左ききのほうですか?」(ちなみにH氏は左ききです。)
「そんなん見とりゃーせんよ。ようけ字、書いとったほうじゃのぉ。拝み屋のねーさんもそう言うとった。」

・・・・・・・・・・納得・・・当然H氏が記録していたと思いました。・・・・・



そして翌日、たまたまH氏とE調査員のふたりが揃って、わが支社に来ました。
そのときに、杉村さんの話をしましたら
「ええ。拝み屋のばーさんって言うからどんな人かと思ったら、いい人でしたよ。杉村さんの記憶のあやふやなところは、フォローしてくれるし、ややこしいこと言いませんしね。」と、H氏は
好意的でした。

そして、杉村さんと拝み屋さんの「いい男定義」の話をして、どちらです?って聞いたらメモ取ってた方って仰ってました。と、言うと

「あ、それEです。自分、昨日はメモ全然取ってませんよ。そっか・・あいつ(E調査員)、ばーさんにはモテモテなんすねぇ」と、H氏。

・・・・・・********・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そーなんだ・・・そーだったのだと、H氏の言葉を噛み締めながら、短く刈り込んだ頭に、律儀なネクタイを締めたE調査員の顔を思い浮かべました。

やっぱり、「真面目な外見」というのは、年配者には、なにより必要なのだなぁと、今更ながら
思ったものでした。
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by sala729 | 2006-08-09 11:56 | Comments(4)