それにしても、なんなんでしょう?。この季節の移り気なこと・・・。春まっしぐらと思っていたのに
突然の心変わりのように、雪や霙が降り注ぎ、見栄を張って季節の先取りしたつもりの、洋服が恨めしく、こんなことなら・・・なんて後悔してしまうのも、この頃ですね。

山室さん(39才・仮名)は、ショッピングセンターのフードコーナーに、まだ生後間もない三女を
抱いて現れました。長女は15才で次女は13才。離れてはいるものの、抱き方にはなにか余裕が感じられます。
「あ、待って。」
座った途端、彼女の携帯が騒がしく鳴って、彼女はまずそれを取ります。

「うん。うん。そ、でも、150じゃだめかもよ。うん。160があればそれにして。」
・・・・聞くは、なしにですが、どうも子供服のサイズの話らしいですね。。。。

「すみません。主人からで、長女の服で可愛いのがあったからって、電話なんです。」
「あら、いいお父さんじゃないですか。」
「そーですね。子供には優しいです。上二人は、前の主人の子で、この子だけが今の主人との間にできた子なんです。」

・・・・・・ならばなおさら、よくできたご主人では??・・・・・

「私たち結婚して一年七ヶ月なんです。その間に夫は四回転職しました。・・・・・・・

うーん。こんな時代ですから、転職云々は云う気もありませんが、新婚で、連れ子もいて、
しかも、また次が生まれるというのに、四回も転職できるでしょうか??


・・結婚当時は、中学の先生してました。でも、臨時で、結婚の時からあと一ヶ月というは決まっていたらしいです。その次は、お鍋の販売。リフォーム営業。害虫駆除。・・・そして今は
5種類もの仕事を掛け持ちアルバイトしています。
まず、市の不登校児童育成学校のアルバイト。テニススクールのコーチが週に二回。
無認可保育園の保父さんを週に二回。家庭教師を週に二回。自動車学校の指導員を週に二回。・・・」指折り数える山室さんすら、混乱しています。

そしてとにかく、その夫が浮気をしていると言うのです。
しかも、相手は複数と、妻は断言します。

「学校辞めてから、ずっと私の給料で生活してましたけど、私も出産を機に仕事辞めました。
今は、彼のお母さんの年金と、私の退職金食潰して生活しています。」


・・・・・・・そんな生活の中で、彼は長女に洋服を買うって・・どーいうこと??・・・・・・

「彼は、お金のことなんてなにも考えていません。これだけ働いていてなにが不足だと
怒ります。でも、わたし、彼のお給料がいくらなのか、お小遣いがいくらなのか、全く知りません。彼は、一円も家庭には入れないんですから・・。」

さすがにしっかりと涙は見せません。まっすぐに前を見て、淡々と話ます。

「夫の携帯には20以上女性の名前が登録されていて、夫はその人らと遊んでいます。」
「新婚なのに?」
「はい。関係ないそうです。夫はそういいました。」

冷静というのか、感情がないというのか、淡々と話す山室さんに、私は頷くばかりです。

「私は、子供二人つれて、父や母の反対押し切って、夫と結婚しました。夫は子供も、分け隔てなく可愛がってくれ、仕事も数だけは、人並以上です。私に帰る家はもうありません。でも
このまま夫といることができるかどうか、自分に自信がないのです。」

5才年下という夫は、童顔で優しいかんじがします。
この、顔と行動がアンバランスなことを知っているのは、妻だけなのでしょう。

・・・・すみません。時間です・・またあとで・・・・


・・・・・ただいま、帰りました。続けます・・・


もう、退路がないという山室さん。なにより、思春期の二人の娘の反応が怖いとおののく山室さん。娘に自分がどう映るのか。夫がどう見えるのか・・・。
「この子がいなかったら、とっくに離婚していますけど、この子は可愛いんです。なにより可愛い。あの人に逢わなかったら、この子がいないと思ったら、あの人のことも許せるような気もするんです。」
山室さんは初めて、にっこりと微笑んでくれました。

子は鎹とは、けだし名言です。
子供のために・・・そういう名目で自分の気持ちをすりかえる女性がいることは否定しませんが
こうして、ほんとの「鎹」になることもあるのです。
山室さんは続けます。
「生活は苦しいけど、子育てには余裕がありますね。上のふたりの時のほうが、よっぽど、一杯一杯でしたわ。歳ですかねぇ。」
淋しいカゲはつきまとうものの、心なしか悲壮感は、薄れているようです。


まるで大学生のような、掛け持ちアルバイトの彼は、調査対象としてはなかなか難しいですが
こーいうものこそ、わが社の得意中の得意(^^)
経済的にも崖っぷちに追い込まれた山室さんですが、それでも、母としての思いを賭けてやろう
と決心した勇気を、後押ししなくてどーします。

胸に抱いた娘を抱えながら、何度も振り返る山室さんの決心になんとか応えてあげたいと
思いながら、電車の待ち時間オーバーに、取るものもとりあえず、駅に向かった私でしたが、
・・・・・・・やっぱり、というか、そーだよねと納得するか・・・・・
電車は見事に私の鼻先を掠めるように、私をホームに置き去りにして、去っていってしまいました。。。
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by sala729 | 2006-03-29 14:04 | Comments(5)

ソメイヨシノも彼岸桜も一斉に咲き誇り、例年のこととはいえ、春は一度にどっと押し寄せてきましたねぇ。
昨日などは、朝通った大通りの桜の蕾が、夕方見たら花開いて、それも「どピンク」の、まるで造花色(^^;)
タクシーの運転手さんが教えてくれましたけど、これは外来種で、小手鞠に似た花びらで、艶やかって言えば、確かに艶やかなんですけど・・・たぶんこの色は受け入れられないと思います・・・(だって、桜のあの淡い色づきこそが、桜の桜たる所以ですもの。その中にあってあの、
毒々しいまでのピンクは・・異質です。受け入れられませんっ(きっぱり・・)


春休みに入っていますから、交通機関も高速道路もかなり混んでいます。
特に高速道路は「季節ドライバー」が跳梁跋扈しておりますので、危ないったらありゃしない・・(
ブツブツ・・)
え?・・季節ドライバーって??
ほら、サンデードライバーって言葉があるでしょ?
日曜日にしか運転しない人に捧げる敬称(?)
だから・・・季節ドライバーは、盆正月やGWみたいなまとまったお休みにしかハンドル
握らない人たちに捧げる敬称(?)です。
特徴??・・・・そうですね。
まず「流れ」がわからない。乗れない。これに尽きます。
高速追い越し車線がなんの為にあるのかが判らない。左と平行して走るなら、左に入りなさいっ。
いくら左走行とはいえ、60キロはないでしょう・・(絶句)
あっ!・・・路肩に止めてドア開けるなんて・・・自分だけで死ねっ!!
一車線トンネルの中で、左にフラフラ、右にヨタヨタ・・・(おいおい・・・汗)
料金所で、やおらバッグを取り出し、財布や小銭入れを開けたり閉めたり、あげく万札紙幣で
おつりを受け取ると、またもや大小財布を取り出して・・・ええいっ!。いーかげんにしろっ。

渋滞信号が青に変わって、車が走り出したというのに、隣の気を取られて発進遅れ・・・しかも
まだ黄色になってないっ・・・ちゅうに走るのを諦めて停まっちゃう、自己中安全運転者。
車線変更できなくて、おどおど警戒しっぱなし。優しくパッシングしてあげてるのに、気付かず
タイミング図れず、じゃ行くわよとアクセル踏んだ途端、寄せてくるコンタクト不能ドライバー・・・


あぁぁ・・・数え上げればきりがない・・・・自己嫌悪坂をまっ逆さま・・・・。。。。



そして、交通公共機関も同じです。
でも、それでもこちらの方は、なんだか楽しみがあることも、あるんですよね。たまーにね・・それが・・・(^^)

昨日も帰りの新幹線に乗り込んで、ふと、隣を見ると、背の高い男性が自分の荷物を荷物棚に上げていました。仕立てのよさそうなグレーのジャケットを窓辺のフックにかけて、正面に座りなおした横顔は、端正で彫りが深く、ビジネスバックから取り出したのは「ウィークーリーニューヨーク」(もちろん英語版です。)
長い指で、ページを捲るさまも、見とれるほどに素敵です。

・・・・・・・世の男性が、若くて綺麗な女性と新幹線で隣あったら「やった!」と、心密かにガッツポーズ取るように、女性だって、隣がかっこいい男性だと、嬉しいものです。ねぇ、女性諸氏・・

私も負けずにバックから本を取り出して・・(私は活字中毒症ですから、常に本は携帯しています)・・・・・・・・と、なんと、こんなときに限って・・・
取り出したのは「いなかのせんきょ」(藤谷治・著)。
そりゃあ、この本私、読みたかったですよ。捜してました。先週、やっと見つけて嬉しかったですよ。田舎の町長選挙のドタバタがテーマですから、面白くないはずがない・・・・・・・・・・・・・でも、
でも、今はもっと別の本でありたかった・・・
隣は、英字の雑誌で、かたや「いなかのせんきょ」ですもの・・・(^^;)


それでも活字の誘惑には勝てず、そのまま本を開いて視線を下に落としていると、隣のビジネスマン氏がなにやらごそごそと動いているのが気配で判ります。
視線は本に置いたまま、五感を澄ませると(そんなことする必要なんてなーんにもないのですけれどもね。苦笑)彼が靴を脱いで、長い脚を折りたたむように、膝を曲げ足先を前のシートに押し付けるようにしているのが見えました。

脚が長いと大変だぁ・・・なんて思いながら、見るとはなしにそのつま先に辿り着いた私の視線が
行き過ぎて、 えっ と、戻って、静止・・・しました。


うっそぉ・・・なにやら時代遅れの女子大生言葉が、おもわず口から漏れそうになるのを、踏みとどまって、じっと・・・凝視してしまいました・・・・彼の足先。

グレーのスーツに合わせた、明るいグレーの靴下の指の一本、一本が、それぞれの方向に向いて嬉しげに(?)飛び跳ねているではありませんか・・・(^^;)(^^;)(^^;)
そうです。そうなんです。彼は、彼は・・・ 五本指ソックス を履いていたのです。
しかも、右の薬指の先にはちょこんと肌色の指先が見えているではありませんか・・・。


私の中の「薔薇色の思い」は、その瞬間にすーっと退いていくのが判りました。音をたてて
思いの熱さがひいていくのです。。。
ええ・・心変わりの早さと、態度の冷たさは、誰にも負けません(って、自慢するようなことでは
なかったかも・・・)


賛否両論あるでしょうが、私はあの「五本指ソックス」だめです。
生理的に受け付けません。もちろん自分も履きませんが、誰かが履いているのを見るのも
厭です。
あれは通気性があっていいよ。あれ履いた足と、水虫の普通靴下の足、どっち選ぶ?と、
選択を迫られたら、ちょっと考えるでしょうが、それでも水虫を選んじゃうんじゃないかなって
思うぐらい、あの五本指ソックスには好意をもてません。

あれで損したとか、ひどい目に遭ったとかいうことはもちろんありません。
ただ、ただ、生理的に受け付けないのです。
みなさんにも、あるでしょ?。。そーいうものの、ひとつやふたつ・・・。


私の、新幹線のささやかなときめきは、こうして無残な形で消えてゆきました。
下車間際に、バックを抱え直し、視線を上げてみたら彼と眼が会いました。どちらともなく、軽く会釈して席を立ちましたが、あれほど素敵に見えた横顔が、なんとも平凡な「おじさん顔」にしか
見えず、伏せた英字雑誌が、一ページも進んでいないことに気がつくと、なんだか笑い出したくなって、早々にデッキに向かった私でした。

ほんとに、春の日は、こんなのんびりした、ぼんやりした、勘違いが多いですわね・・

あぁぁあぁぁ・・・・あの、五本指ソックス、発明したのは誰かしら?
間違いなく、「男の価値」を下げるわねと、決め付けているのは、私だけでしょうか???
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by sala729 | 2006-03-28 11:31 | Comments(5)

夕暮れのダム湖は、春の光のなかに静かに佇んでいました(右の写真です)
有名な、ダム湖なのに、知名度ばかりが先行して、訪れる人はないようです。陽が落ちてしまうと、ライトアップされ黒い山肌に紫色の灯りが怪しげになまめいて、こちらの世界と、あちらの世界の出入り口ではないかと思えるような、そんな不思議な空間が広がります。

5年前に、向崎康彦(25才・仮名)は、そのダム湖を望む森林公園で、妻のゆいな(24才・仮名)と結ばれました。若い二人は、周囲の声を振り払って、結婚、出産と突き進みました。
こんな子供の少ない時代の次男である康彦は、望まれて、ゆいなの家の婿養子となり、ゆいなの、実家の川魚の養魚の仕事を手伝うはずでした。そのために、結婚してすぐに住んだ、町で
一番しゃれた、マンション風の町営住宅も出て、ゆいなの実家近くに転居し、地元の信用金庫も辞したとたん、ゆいなの父から

「今年は、台風でよーけ被害がでちょろう。オレらで、じゅーぶん事が足り取るがよ。」と、かるーく、後継を拒否され、かといって、帰る職場もなく、やむ得ず地元の小さな建設会社の作業員になったのでした。

それでも、根が真面目な、康彦は、ゆいなの手弁当で毎日、現場に向かい、残業を重ね、ゆいなと、二人の子供を大切に思ってきました。

ゆいなは、二人の子持ちとはいえ、まだ若く、上戸彩に似ていると言われる、綺麗な横顔を意識しており、康彦自身も、それを密かに自慢にしていたと言います。
そんな、ゆいなを、楽しみの少ない、このあたりの男たちがほうっておくはずもなく、もともと
そういう噂の多い、女性ではありました。

しかも、一人娘で、死ぬの生きると大騒ぎして結婚した相手を養子に迎えているのです。彼女には、我慢というものがだんだんに欠如していったようでした。
まず一番に手を出したのが、隣の高校生。
一年になったばかりの、16才です。その子の部屋にこもったまま、出ないという噂が立ち、
それは康彦より先に、彼の母親の耳に入りました。

ゆいなを追求すると、あっさりと事実を認め「もう、せんけん。」と、不貞腐れて横を向くと、
みんなが可愛いと賞賛する、横顔が康彦の目の前に迫り、それ以上はなにも言えなくなるのでした。

そんなことがあって舌の根も乾かぬうちに、今度嵌ったのが、お定まりの「出会い系サイト」。
ここで知り合った、槙原信吾は、38才ですが、身長は183センチ。製薬会社のSEです。
車はワーゲン。いつも、仕立てのよいスーツを着て、仕事柄、遊ぶことが多いので、女性の扱いも慣れています。
わがままで遊び好きの、ゆいなが、信吾に夢中になるのに時間はかかりませんでした。

まず子供ふたりを、近所の親戚に預けて、昼となく、夜となく、ゆいなは信吾に逢いに出かけました。もうこうなれば、康彦が帰ろうが、帰るまいがそんなことは、お構いなしです。
自分の気持ちのまま・・・行動します。

一応は、業務用スーパーに行くとか、市内まで行かんと子供服のいいのがないからとか、
理由は言いますが、親子四人で、毎日業務用スーパーに行く人がいるでしょうか?(苦笑)

それでも、康彦は、ゆいなを信じていました。いえ、もしかしたら、信じていたかったのかもしれません。出かけるゆいなから、携帯で
「子供らは、まさよちゃん(親戚)にあずけちょるから、帰りに連れてきてや。うちは、業務用スーパー行ってくるけん。」と、連絡が入ります。
すると、康彦さんは、残業を終えて、その親戚に寄って、子供二人をつれて自宅に帰るのです。
そして、ご飯を作り、お風呂を済ませ、二人を寝かしつけて、自分も眠りに入る頃、ゆいなは帰ってくるのです。

後で判ったことですが、ゆいなは、この親戚に、康彦が暴力ふるってお金を使うんで、自分はスナックにアルバイトに行くと言って子供を預けていました。だから、康彦が子供を迎えに行くと
親戚のまさよさんは冷たい目で彼を見ていたのです。

いくらなんでも、これはバレます。(苦笑)
双方の両親、兄弟、そして相手の男である信吾も呼んで、話し合いが行われました。
そこで、信吾には妻子があることも、康彦は知りました。
信吾は、みなの前で、ゆいなと別れますと、宣言しましたが、その夜すぐに、ゆいなを呼び出すと
「あの場ではああいったけど、長男が卒園したら、オレはすぐに離婚する」と、囁いたそうです。

そして翌日、ゆいなは康彦に向かって
「あんたの顔なんてみとーないっ。お金もなんもいらんから出て行って!」と、ヒステリックに叫びました。「ほんまにもぉ。埃くさいし、どろどろで汚いがよ。」と、作業服の康彦を手のひらで
ひらひらと追い払うような仕草です。

康彦は、実家に帰りました。

さぁ、それで怒ったのは「母」と「兄」でした。
あんな女は許せんっ!と、乗り気でない康彦を説き伏せ、証拠を取ることを無理やり納得させ
ました。母は、涙を抑えられません。

「あの女はですね、おにーちゃん助けてって、オレに何度も電話してくるがです。康彦が怒ちょるとか、口きいてくれんとか、泣くがですよ。オレはそのたび、こいつ(康彦)を叱りつけとったがです。そいでも、こいつ(康彦)もなにも言わんがですよ。アホが・・」
兄は、相談員に話続けます。隣で、無口な康彦は、ぱさぱさに乾いた茶髪を指でかきあげて俯いています。
どちらかというと、男性としては小柄で、日焼けが貼りついた顔は、作業着の埃に似合っていますが、これも、もとを糾せば、ゆいなのわがままからきたことではないですか?。
それに、男の作業着というのは、そう悪いものではないです。(これ、私見ですが。。^^)


でも、康彦はまだ、ゆいなを愛しています。
調査費用は、母が出しました。康彦にお金がなかったことも、もちろんですが、康彦自身が、
心のどこかで、真実を避けているのです。
今は調査期間の真っ最中ですが、ゆいなからはよくメールが入るそうです。
「車、修理してるがよ。どこそこまで送ってって。」
「あした、まさよちゃんに頼めんがよ。子供、見よって。」
「携帯のお金、払えんがよ。もってきて。」
「義母さんに子供に電話せんでって言うといて。うざいがよ。」

まぁ、なんと・・・と、思えるようなものが、次々と入ってきます。
康彦はそのメールをこっそりと、読み返しては、ゆいなのために、いろいろと動いています。


兄や母との話の区切りを見計らって、彼はベランダに出ました。ここは、かっては彼とゆいなも住んでいた町営マンションです。彼らは二階でした。兄夫婦は三階に住んでいます。
ベランダの手摺に身を任せて、煙草に火をつけると、ゆっくりとくゆらせながら、彼は独り言のように、そっとつぶやきました。
「証拠とって、どうするかはほんとはまだ決めちょらん。許すかもしれんとも思うちょる。じゃけど
、やっぱり本当のことは、知りたいがよ。」

真っ暗な闇の正面に、妖しい紫色の光をちりばめて、ダムの水門が浮かび上がってきます。
あの上には、たしか芝で刈り込んだ、名前の入った小さな公園があって、春には土筆が
生えてたよなぁ・・・。形のいびつな、ゆいなの握り飯が、妙に旨くて、「料理は下手糞じゃなぁ」って、からかったら、思いっきり膨れてたけど、あれも可愛かったな・・。
康彦は、そんなことを思い出しながら、指の間に挟んだ煙草の灰がコンクリートの床に落ちていくのをみつめていました。


・・・・・・・・今日は、ちょっと自分(私)から離して書いてみました(^^;)・・・・・・・・おそまつ。
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by sala729 | 2006-03-25 11:13 | Comments(6)

なんと、振り返ってみれば月曜日から「更新」が途絶えたままだったなんて・・(絶句)
先週末から、なんかへんだなって思っていたのですが、春分の日が終わった頃から、はっきり
と、風邪の症状が現れてきました。
私のモットーは「医者嫌い、薬要らずで、現役死。」ですから(^^;)、まず病気をしないという
ことに、絶対の自信を持っていました。風邪すらもひかない・・と、自他共に認めておりました。
それが崩れたのが昨年末のあの全国的な、インフルエンザ旋風で、さすがにこの洗礼には
抗いきれず、何年ぶりかで、病院を訪れたのですが、これが呼び水になったのか、それとも
物理的条件が整ったのか(早い話が、歳ですね。←カゲの声)、半年もしない間に、またまた
風邪をひいてしまうなんて・・。(自信があっただけに、ちょっとショックです。)

それでも、仕事は、次々とやってきて、そしてお休みなんて言葉は、私の辞書にはなく(笑)
Oリーダーの配慮と応援でなんとか切り抜け、まだ半分ぼんやりした頭で、ブログを開いて
この、ブランクに改めて、びっくり・・という有様なのです(^^)

さて、私には、愚痴と弱音は一番似合わないと信じている人間ですから、ブログショックもこの
ぐらいにして、今週の「警告」から、お話させてください。


ゆきえさん(40才・仮名)は、離婚して12年。今年高校に進学する息子さんがいます。
瀬戸内海に浮かぶ、小さな島で、役所の出先機関の事務員をして堅実に暮らしていた、ゆきえさんに変化が訪れたのは、去年の秋のことでした。

携帯電話に「幸せの懸賞に参加しませんか?」というメールが突然届いてきたことから、それは始まりました。
あなたのプロフィールを、ここに教えてください。抽選で一等賞金50万。二等20万が当たります!・・・こんなフレーズに乗せられて、ゆきえさんはつい、打ち込んでしまったのです。

そして翌日には、「ご登録ありがとうございます。あなたに素敵な出会いのチャンスが与えられました。」と返信があり、ある出会いサイトを紹介されました。

サイトの危険性は、誰もが知っていることですが、不幸にもゆきえさんにはその認識が甘かったようです。

そこで知り合った、速水拓哉(名前からして胡散臭いでしょ。笑)は、市立病院の内科医で34才。もちろん未婚で身長187センチ。乗ってる車はポルシェ。趣味は宝石のデザインとインテリアデザイン。母とふたり暮らしという・・・まぁ、よくも言ったり(笑)というプロフィールです。
しかも、送られてきた写真は、やや茶髪のたしかに「いい男」です。(これが本人ならば・・ね)

二ヵ月後、ふたりは会う約束をします。
そして、その一日前に、彼は「過労で倒れた。救急車で運ばれて、入院しなくといけない」とメールを送ってきました。あらあら・・(苦笑)

そして、二回目の約束。それも前日、退院した彼が再び体調を崩し、母も入院することになったとの連絡。(体の弱い母子だこと・・・冷笑)

三回目は、会う約束の一日前に「どうしても君に逢いたくなったから今から行く」とメールが届いてその後「行く途中で犬を避けようとして電柱に激突。車は大破して、僕も腰椎骨折と、粉砕骨折で救急車で・・(救急車の好きな方だこと。で、じゃ、これは誰がメールしてるの?。救急車から
本人が??爆)

次は、退院して帰ると、母が自宅で倒れていた・・・・・・


と、まあ、延々とこういうことが続いて、ゆきえさんが、彼に逢うことはできません。でも、彼は
「逢ってもいないゆきえさんにプロポーズ」をし、彼の母はなんとサイトを通して彼女に「拓哉をお願いします。あの子を幸せにできるのはあなたしかいない」と、メールを送ってくるのです。

この「サイト」の悪質なところは、メールを送るたびに@300円というお金がかかることです。
いくら彼に聞いても「アドレスは逢ったときにしょうよ」というばかり。
そこで、ゆきえさんもせっせとサイトを通して、彼にメールを送り続けます。

前払いポイント制になっていますから、ポイントがなくなれば購入しないと、彼とコンタクトはとれません。ほんとに、やらしいですけど、上手いしょーばいです。

ゆきえさんはこの間にもう100万以上のお金をつぎ込んでいます。
でも、彼女は言います
「彼のほうが、私の何倍も返信メールくれますから、彼のほうがお金はたくさん使っています。」

んな、ことないでしょ??・・・サイト管理者か、それに雇われた「サクラ」が返信していれば
そんなことなにも気になることじゃない。しかも、彼の返信はいつも4行か5行で、下に空ボックスがあります。
「これは何?」ってお聞きすると
「ここにも、もうひとつのメッセージが入ってて、でもここを開くにはやっぱり300円かかるんです。」・・・・ってオイオイ・・・。

「彼に逢いたいんです。お母様は膵臓癌で余命二ヶ月と聞きました。お母様にも逢いたいんです。」化粧気のない顔を私にむけてゆきえさんは訴えます。
「でも、失礼ながらこの場合は、彼は架空の人物である可能性のほうが高いのですよ。いただいた情報で、該当者がないということでもいいのですか?」

ゆきえさんが持参した、彼のデータは、自宅も勤務先の明記もなく、当てにならない氏名と生年月日。車のナンバーくらいが手かがりです。
もちろん、調べることはできます。でも、すべてに該当なし(この場合はそうなるでしょう)という
こともあることは、お話しておかなければなりません。

「判ってます。友達にも言われました。でも、知りたいんです。」

そこまで思い詰めているのなら、「いない」という、不存在証明を示してあげることが、彼女のためなのかもしれません。
そこで、調査にかかる費用をご提示しました。

「・・・・・・お、お金がありません。。。」

確かに、ないことの証明は、あることの証明より格段に難しいです。でも、できる限りのことは
してあげたいと、Oリーダーと連絡を取りながら、できる限りのラインまででお話をしました。

長い、長い、沈黙の時間がすぎて、突然、ゆきえさんはハラハラと涙をこぼし
「実は、二ヶ月前に、振込み詐欺にあって、250万取られて、まだ催促電話が続いて、とうとう職場にもおれなくなって辞めちゃったんです。息子も高校なんですけど、そのお金もなくて・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これはよくあることです。
「出会い系」サイトを利用すると、情報が、いろいろなところに流れます。その影響で、振込み詐欺からのコンタクトが何度も何度も・・と、いうことは、通常のパターンです。

それにしても・・あまりに世間知らずな・・・(溜息)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 怒 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私の中に、ふつふつと怒りがこみ上げてきました。
もちろん、出会い系サイトには当然ですが、この、ゆきえさんにもですっ!・・・・・・・

世間知らずもいいでしょう。彼を信じてもいいでしょう。夢を見たいなら、見ればいいでしょう・・・
そして、騙すほうが悪いに決まっています。

 でもっ!・・・

でも、それでも母としての責任の最低限は守らなければならないでしょう。
親の事情で離婚して、子供は引き取ったものの、自分が出会いサイトでお金を使い、その関連で使い果たし、あげく「高校進学のお金がないですって?」

これは、調査料金云々、以前の問題です。こんな「無責任な母親」を、私は許せません。
こういうと、自称心優しい人の誰かは「母親だって女性だもの。そういう気持ちも判るわ。決して
無責任じゃないと思うわ」と、眉をひそめるのですが、私はここではっきりと「断言」します。

母親は、女性ではないです。・・・少なくとも、子供がひとり立ちするまでは、母親であることが
なにより優先します。自分の都合で、離婚して、そしてまた自分の都合で、学校いかせられないなんて・・・(怒)

いいですっ。鬼と言われようと、冷血漢と言われようと・・・。

風邪でぼんやりした頭の隅々にまで熱い血潮が流れ込んで、私の「怒」は、ますますその
温度を上げていくようでした。・・・・・


今日は、おとなしくしていよう・・・・と、ちょっとだけ思った私ですが、この心根がいつまで
継続できるやら・・・・(笑)
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by sala729 | 2006-03-24 12:18 | Comments(3)

月曜日の朝は大変です。日曜日の仕事の処理から、先週の予定の遣り残し部分のフォローと
午前中は、なにやかやとデスクワークが続きます。
でもこれも、出社していればこそ・・で、早朝から出ていることもありますので、そういうときは、
当然出先からの応対になってしまいます。
申し訳ないとは思うのですが、それはご容赦いただいています。そしてそんな情報が交錯する中で、必然的にメモを取る習慣ができ、なんとか仕事は進んで行く・・と、いった有様なのが
週初めの私の行動パターンです。(^^;)

さて・・そう言えば、あずみさん(29才・仮名)への報告書の仕上がりが少し遅れているようです。

あずみさんは結婚3年。夫は5歳年下です。
都心に近いK県で知り合った二人は、半年目にあずみさんのご両親の大反対を振り切って結婚しました。
反対の理由は、いろいろありました。
まず、あずみさんがお父様の会社を継ぐべく立場で「婿養子」を望まれていたこと。あずみさんには兄がいますが、兄は全くの畑違いの仕事に就いており、食品の海外輸入の会社を経営するお父様は、あずみさんに婿を取って会社を譲りたいと願っていました。

夫はその会社に出入りする、宅配ドライバーだったのです。
父の会社にはなんの興味もなさそうでした。それでも父は、譲歩して「養子」に入ってくれるなら
と望みました。
彼は承知しましたが、いざ結婚ということになったとき「じつは、自分は田舎のおばあちゃんと養子縁組している。結婚したら、二人で田舎に帰ることになっている。」と、告白してきました。
惚れた弱みのあずみさんは、それを受け入れましたが、納得できないのは父です。

「そんなだまし討ちみたいな結婚があるかぁ~。」と激怒し「宅配ドライバーなんかと、結婚はさせんっ!」と、態度が硬化しました。

しかし、そーなると、ますます燃え上がるのが「恋の炎」というやつです。(笑)

あずみさんと、彼は駆け落ち同然に入籍し、祖母の居住地のここにやってきたのです。
祖母の家は手を入れているとはいえ、背後まで迫った山、目の前にくねくねと続くわき道。
自宅の敷き坪はかなりの広さがありますが、車が乗り入れできません。
なにしろ。くねくね道からさらに入る道は殆ど、田圃のあぜ道状態。タンポポやつくしは、
楽しめそうですが、車は入りそうにありません。
下の親戚のおばちゃんは、この都会から来た嫁を可愛がってなにかと世話を焼いてくれますが
それでも、下に行くにはたっぷり10分はかかります。

夫が出勤した後は、そんな、陸の孤島におきざりです。
幸か不幸か、あずみさんには子供ができませんでした。その寂しさを紛らわせるために、飼いはじめた犬が、彼女のたったひとつの慰めだったのです。

そんなとき、夫が浮気をしました。
初めて見つけたとき「もうしない。女とは別れる」
そう言った夫を信じていました。でも・・・・それでも心の隅にひっかかる何かがあったのでしょう。

「何もないことを信じたい」
そう言って、調査が始まりました。たった三日だけの調査。それで彼女は自分の心に片をつけようと思っていたのでしょうね。
でも、これも幸か不幸か、その調査日の第一日目・・・夫は初めての外泊をしました。女の家で・・・。

電話でお知らせすると、しばし彼女は声を失っていました。
離婚は考えていない。というより、今更帰れない。と言い張っていた、あずみさんの醒めた視線が蘇ります。
「ねぇ。一度だけ、お父様に電話してみたら?」
私の方から、言って見ました。
「ダメです。来るときに言われました。なにがあっても帰るなって。取引先や、会社の人たちからなんで宅急便のおにーちゃんに・・って言われて嫁に出したんだから、今更、おめおめダメでしたなんて、言えるかって叱られます。」
「お父様の反対押し切ったのは事実だもの。それは言われてもしょうがないわよ。でもね。子供のことを心配しない親はいない。あなたから求める救いの手を払いのけるなんてことはないわよ。だって、お兄様がこの家を見に来られたのでしょう?」

そう、ここに来て半年後、あずみさんのお兄様がひょっこり訪ねてこられたそうです。
建築関係のお仕事のお兄様は、「こりゃひでーところに建ってるなぁ。」と、笑いながら帰ったそうですが、それはお父様の耳にも入っているはずです。
お父様が命じたのではないにしても、その気持ちを推し量ったお兄様の行動であったと私は思いました。
あずみさんは何も言わず、電話を切りました。


そして、昨日・・
「Aさん、父に電話しました。」と、あずみさんの声。
「そお。うん。それで?」
「父が、お前のしたいようにすればいいって。やり直すのも、帰ってくるのも。なんでもバックアップしてやるって。」
「そぉ。よかったじゃない?。ね、言ったとおりでしょ。子供のこと心配してない親はいないのよ。」
「そーですね。だから、報告書、早くしてください。彼とすぐにでも話し合いたいんです。」


・・・・ぎ、ぎょっ・・・・・・そ、そーよね。早く欲しいわよね・・・・・・(N係長の困った顔がよぎります)


報告書は、みなさんが思われるより時間がかかるのです。
まず、膨大な量の写真や、メモ。資料。
これらを整理して、事実確認します。地理や、情報の「裏どり」も必要です。
そして、製本します。

依頼者さんは往々にして、すぐにできると思っていらっしゃいますから、結果がでたら「今か。今か」という思いです。
もちろん、最初の時に、そのタイムラグについてはお話していますが、結果が出れば、一刻も早く欲しいのは、人の常です。

そして、それを調査に伝えると、どの調査でもそれは同じですから、必然的にN係長を困らせる
結果となるのです。(^^;)

しかし、それも承知の上で、今週も私のお願いから始まるようです。
「あの件とあの件と、あの件、よろしくお願いしまーす~」と、今から出るという間際に言い残して部屋を出ることにしましょう。いつものように・・・(苦笑)
あの、N係長の困った顔を正視しなくてすむように・・・・(笑)
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by sala729 | 2006-03-20 10:57 | Comments(8)

この仕事は日々、出来事がめまぐるしく右往左往するのが常とはいえ、昨日はたいへんな一日でした。(ふぅ・・・・)

まず、三日前に夫の家出のご相談を受けた、松宮さん(62才・仮名)への連絡が途絶えたことから一日が始まりました。
前日に、お友達とお昼を一緒するから、その前に逢いたいとの連絡で、ホテルのロビーで、お話をして、別れ際に「ひとりで家にいると寂しいの。だからどこか温泉でも行ってこようかと思うんだけど、Aさん、いいところ知りません?」

ひとつ上の夫が家を出たのが三日前。「ひとりで旅に出たい。しばらくひとりにしておいてくれ。」と、鉛筆書きの手紙一枚残したままでした。
5年前に、胃癌の手術を受け、やっと区切りの5年が過ぎたばかりの時でした。
夫は、病に倒れてから、仕事はやめており、長男と長女はそれぞれ結婚して、ふたりだけの成生活がずっと続いていました。

夫は、松宮さんを「みえさん」と名前で呼び、ジャズと洋画が大好きという、おシャレな方です。お写真見ましたが、長身のロマンスグレーで、なかなかに素敵な方です。
でも、夫は一人で旅をしたことは一度もなく、これまではすべて松宮さんがツアーを申し込んで
二人で参加していました。

家出の原因がどうのこうのというより、松宮さんは夫が本当に一人で行っているのか、それとも同伴者がいるのかどうかが知りたいというのです。
「私は、夫が好きなんです。これからも夫とふたりで生きていきたいと思っているんです。でも、
過去に二回、夫は浮気をしています。そのたび、遊びはできないと、私を選んでくれました。
でも、もしも今回もそうなら、私もう自信がないんです。」

広いお屋敷でぽつんとひとり・・・それは、とても寂しい時間には違いありません。たったひとりでいると、眠れないと仰る気持ちもよく判ります。そして、だんだんに彼女は心を閉ざしていくように
なっていくのでしょう・・。


その夫が昨日の真夜中に帰ったことが判りました。
でも、自宅に松宮さんはおりません。携帯を鳴らしてみましたが、切られています。
何度かけても切られたままです。私がお教えした、温泉旅館に問い合わせて見ましたが
その名前の方の宿泊はありませんと言うのです。
不安が、序々に広がります。

お昼前に、調査班から連絡が入りました。
「対象者が、練馬ナンバーの車の女性と一緒に自宅を出て、中央病院に来ました。個室に入りましたが、その部屋の名前、松宮みえさんになってます。」

 えぇぇ~っ それって、それって依頼者ですよぉ~

基本的には、調査班は依頼者の名前は知りません。依頼者の守秘という観点から、そうしていますが、今回は仕方ありません。その方が依頼者であると、調査班に告げます。

・・・・・・でも、これってどーいうことぉ???・・・・・・・・・・

病院・・個室・・昨夜の不在・・・連絡不可・・・・うーん、(**)

まさか、まさか・・・「自殺未遂」・・・・・・・いやいや、そんなはずないっ!!

「松宮さん、Aちゃんと一緒に温泉行きたかったんじゃないの?。ひとりじゃ寂しいよね。」と、
私の不安を更に煽るOリーダー。
「思い余っちゃったんですかねぇ・・」と、Rさんまで・・・(くっ・・泣)


そんなこんなの不安要素が膨らみきった頃、次の電話が入りました。

「Aさん、家出の里村君(24才・仮名)の血液型はなんでしたか?」と、H氏からの問い合わせです。
「依頼者にお聞きしてみますけど、なにかあったんですか?」
「それがですね。自分たち、里村の件で、××県警に来てるんですが、先週の日曜日、身元不明の自殺が二体出てるんです。一人は割れましたが、もうひとりが人相風体、脚の傷まで
里村君と一緒なんです。それで血液型の確認をとっていただきたいと・・」

・・・ えぇぇえぇぇ・・・ま、またぁ・・・なんて日なのぉぉ・・・(呪)

依頼者のお母様に電話を入れます。
嘘を言うわけはいきませんので、なるだけ簡潔に、冷静にお話をします。
「すぐに確認して、折り返しご連絡はいれますので」と、繰り返して、お聞きした血液型を、H氏に
伝えます。すると・・・
「それは、いつごろ確認したものですか?。ときたま、把握しているものと違うということはあるんです。そこのところ、申し訳ありませんが、念押ししてもらえませんか?。それから、ご両親の血液型もです。DNA鑑定のこともありますので。」

無理は百も承知で、お聞きしなければならないことは、この仕事しているとよくあります。
でも、これは誰でもない、私が確かめなければならないことなのです。
意を決して、再びお母様に電話を入れます。


・・・・・・・「いや、血液型は違います。そうですか。病院での検査なら間違いありませんね。よかったです。」
ほっとしたH氏の声を聞いて、安心したのは私のほうです。。。
すぐにお母様に連絡します。・・・・・声を聞かなくても、大きな安心が伝わってきます。



・・・・・・・・・・・・・・・ふぅぅ・・・この仕事、こんな風に命にかかわることが重なることがあります。
ギリギリのすれすれの、感情が「家出」に繋がるわけですから、こういう結果がないとは言い切れません。
でも、それでも、こうして続くと、私は疫病神?・・・と、自問してしまうのです・・・・。



翌朝(つまり、今朝のことて゜す)

見慣れない番号で私の携帯が鳴ります。
「松宮です。」
蚊の鳴くような声でした。
「松宮さん・・どうなさったのです?。ずっと連絡とれなくて・・。病院ですよね?」
「あぁ、知ってらしたんですね。私、お友達と食事して、帰るとき、転んで脚折っちゃったんです。
で、救急車で・・・それで娘に知らせて、きてもらったんですけど、そしたら、主人も家に帰っていて・・。」
・・・・じつは、夫は自宅に帰る前に、あるところに寄っています。でも、さすがに今は言うべきでないと、私も思います。
「そうですか。ご主人が帰られたことは把握していました。それでご連絡したかったんですけど、なかなかつかなくて・・。でも、よかったです。声がお聞きできて・・」
「ええ。主人が病院の床に手をついて、自分が勝手なことしたばっかりに、こんなことになって
悪かった。許してくれって言うんです。だから、私、もう許すことにしました。調査、もうやめてくださっていいです。」
声は小さいですが、松宮さんははっきりと言いました。
「判りました。では、そうさせていただきます。」


安心して、電話を切って、Oリーダーに、経過を報告。
よかった。よかったと、言い合っているさなか、また電話です。
「松宮です。Aさん、今までの調査については、聞かせていただけますか?」
「もちろんです。奥様が全快されたら、ご報告に参ります。」

電話を切って・・・その日のことを考えてみました。
家出旅行から帰った、夫の行動を松宮さんが知ったら、それでも、彼女は「夫を許す」と、言うのだろうか・・・
いいゃ、それは考えまいっ。それは、あのご夫婦の結論なのだから・・・。。。。


ともあれ、なんとか「疫病神」の、職責を免れて、ほっと一息の土曜日の昼でした。。。
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by sala729 | 2006-03-18 13:18 | Comments(6)

今日の始まりは、いつもとはちょっと違います。
このブログの愛読者「てるブー」様から、先日、興味深いご質問を受けまして、その答えをブログ上でしてもよいでしょうかとお聞きしましたところ、ご快諾いただきましたので、本日はそれから・・・(^^)

まずご質問ですが・・・
「私は以前、調査されたことがあります。主人と結婚するときで、調査が始まった途端すぐに判りました。だって聞き込みされた近所の人や会社の人からすぐに電話があったし、写真撮影されたときも気がつきました。依頼したのは当然姑だろうことも判りました。無事に結婚できたからいいけど、ちょっと気分悪かったです。というわけで調査がバレる可能性ってホントにないのかなぁって思うのですけど・・」と、いうものでした。

結論を先に申しますが、それは ありませんっ!

順序を追ってお話しますね。。

結婚調査は、みなさんが思っていらっしゃるより、かなりの数あります。
そんな時代遅れな・・と、思っていらっしゃる方も多々あるかとは思いますが、年々その内容には変化が訪れています。

10年をひとつの区切りとして見るならば、それまでは所謂「お家柄」が、調査の中心でした。
ご本人のこと、ご両親のこと。性格や評判・・と、言ったところですね。
かつては、こういうことは「問い合わせ」とか「うち聞き」とか言われ、双方のご両親や親族の方が、相手方の実家近くで、ご近所や、菩提寺、などに問い合わせていたものでしたが、それが年々できなくなりました。

ひとつには、檀家という制度が、有名無実となったこと。近所付き合いに「個人のプライバシー」が入り込んで、かつてのようにむやみに隣に上がり込んだり、おかずのお裾分けをしたりする
習慣が消えていったことなどがあげられ、親戚のおじさんやおばさんが「問い合わせ」に
行っても、「さあ?」とか「よーわからん」とかいうことが多くなったということが挙げられます。

そして、それはますますそのガードを固くして
「触らぬ隣に祟りなし」ではあるまいに、隣近所の噂は、見ず知らずの人には口外しない・・という風潮になっていきます。
「なにもなくても言わない。何か問題があれば絶対に言わない。あの人が言ったと、あとで
バレたらそれが恐ろしい・・」と、言われるようになりました。

更に、現在は・・・
まず、親が相手の住所どころか名前も知らず、勤め先も知らない。ふたりの出会いは、携帯サイト。お互いにに本名でない名前を呼び合っている。そんなところから始まる結婚調査もあります。
一度の面識もないのに、チャットで意気投合して相手のもとに行く聞かない娘を心配した調査もあります。また、借金の問題も大きいです。サラ金、闇金、この世は「怪しい金だらけ」です。


そうした、調査の変化は大きいのですが、終始変わらぬことが 秘密は守られる 
いうことです。


結婚調査の多くは「結婚する為」に行うのです。
調査をしたことが原因で、結婚に支障がでたり、わだかまりが残ったり、きまずい想いが溜まったりしたら、調査の意味はなくなります。
ですから、私は、結婚調査にみえる方には、開口一番
「相手さまに判るような調査はいたしません」と、お話することにしています。
それはどういうものかと、ここで問われて、あれやこれやは、すみません。内部事情もあるので
これ以上は、公開できませんが、わが社では、一貫してそういう姿勢です。

てるブー様
付け加えるなら、その調査会社は、私たちは「会社」とは認めません。
本人の問い合わせが、本人に抜けるだけならともかく、素行までバレバレなんて、それは
もう「シロートさんの世界」です(ごめんなさい・・^^)

うちの報告書見て、まずどの方も開口一番「なんで、こんなふうにはっきり撮れるんです?」と、仰います。中には「はっはは~大口明けて欠伸してるわ。馬鹿みたいですね。うちの亭主」と、涙ながらに笑い飛ばす奥様もいらっしゃいます。

写真撮影は「技術」です。付け焼刃では、こうはいきません。

それが、当の本人のあなたに判っているなんて・・・それは、プロではありませんね。
(ねぇ、中村様。中村様もそう思いますわよねぇ??)

それがバレて、お姑さんに対して、てるブーさんが、いやな気持ちを持たれたことは、よく
判ります。でも、それは、お姑さんの責任ではなくて、その、怪しげな調査会社のせいですね。



でも、てるブー様・・・どんな調査をするか、どーしてももっと聞きたいと仰るのなら、
非公開コメントで、お知らせください(企業秘密ですが、こっそりお教え・・・・しょっかな~
ふふふ)

と、まあ、今日のお話はこんなところですが、皆様もご質問があればどんどんどーぞ(^^)
公開が憚られるようなら、その旨お知らせくだされば、そっとお教えいたします(@@)


花冷えの昨日までとは打って変わった「春うらら」。昼下がりのこんな時間は、
音もなく過ぎて・・・・・・あ、電話が鳴っています。
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by sala729 | 2006-03-17 16:19 | Comments(4)

春の雪が一夜にして降り積もった「花冷え」の朝、中村さん(49才・仮名)からのご相談で、ご自宅に伺いました。
南の国とはいえ、山間部には雪も積もれば、スキー場もあるのです。中村さんのお宅はその
スキー場のさらに高地にあり、
「Oリーダー、チェーン規制って出てますよ。」
「ホントだね。」
のんびりと会話を続けながら、それでも怯むこともなく車は走り続けます。

「道がジュルジュルですね。」
「そーだね。ほらっ。下見てよ。真っ白だよ。」
「ホントですねぇ。ずいぶんと標高、高いみたいですね。」

会話ののんびり度は変わりませんが、国道とは名ばかりの対面車線の両側は、真っ白に雪が積もり、中央部も融けかけたシャーベット状になっています。
ちらほらとチェーン着けようと路肩に車を止めている人たちもいます。

「そーだ。この車、チェーン積んでるんだよね。」
「ええ。積んでますよ。」
「そか。じゃAちゃん付けてよ。」
「へ??。じょーだん言わないでください。誰がチェーン付けていようとも、車から降りない私が
付けれるはずないでしょ?」
「そーだよね。オレもやだ。」
「じゃ、このまま行くしかありませんね。」
「そーだね。」

無謀というか「命知らず」のこの上司と部下は、こうして途中一度上り坂をずるずると下がる
車を後ろから押していただくという地元のカップルの温情のおかげで、なんとか中村さんのお宅に辿り着くことができたのでした。


「いやぁ、大変でしたでしょ。」
日焼けした顔を綻ばせて迎え入れてくれた中村さんと奥さんに案内されて敷地内に二棟ある
奥の方の建物に入ると、ひんやりとした冷気とじっとりした湿気がまとわり付いてくるような
そんないやーな気配がします。

「ここなんですよ。」
奥さんが引き戸を開けると、キッチンになっています。
こげ茶の板張りで、ちょっと時代遅れかなと思えるシステムキッチンが右手に左手には食器棚と冷蔵庫が並んでいます。
「綺麗じゃないですか?」
「いーえ。床は張り直したんです。他所で。もう腐ってボロボロになって踏めなかったもんですから。」奥さんは、とんでもないとばかりに顔をしかめて説明を繰り返します。

「ほら、ここも見てください」
案内されて入った、長男さんのお部屋。18才らしく、オーディオやゲーム機が散乱しています。
白っぽい板の壁と白い天井が、しっとり濡れているようなかんじはしますが、取り立てておかしなかんじはしません。
「真ん中歩いてみてください。」
言われて中央まで行くと・・ぎぎぃ~ぎぎ、ぎ 

な、なんなの? なんなの?・・・・・・も、もしかして、重量オーバーとか??(^^;)

「ね、真ん中ギシギシ言うとるでしょ。」
(あーよかった。みんなギシギシ言うんだ・・・と、ひそかに胸を撫で下ろして・・・)
「ほんとですね。これはひどい。」

落ち着いて居間に通されてから、一連の流れをお聞きすることにしました。


中村さんがこの家のリフォームに取り掛かったのは二年前。
亡きお母様が屋根の葺き替えをしていので、築80年のこの家屋もまだまだと思っていました。
そこに訪れたのが、日東ハウジングの山田という営業マンでした。

長男さんが、卒業したあとのことも考えたら、住みやすいようにと考えたと中村さんは言います。
そして、リフォームを決めたのです。

最初の見積もりは300万。
それが、中途追加や、手直しが、嵩んで、結局は750万、かかってしまいました。そして、ローンと現金でそれを支払ったそうです。
これが高いか安いかは、それぞれの判断だと思います。
ただ、家を建てた方ならお判りと思いますが、見積もり以上の金額になることは、珍しくない・・というよりごく普通のことです。
「一生一度のことだから」と、グレードを上げたり、予定外のところも・・ということは、よくあること・・・ではあるので゛す(ただ、2.5倍というのは、個人的には・・うーんと考え込んでしまいますが・・)

でも、問題はこれではなかったのです。
このリフォーム、住宅金融公庫の「リフォーム融資」の対象になっており、後日800万近いお金が振り込まれました。
はじめのローンと現金は、ひとまず・・ということで払い込み、この公庫のお金で賄う予定でした。
ところが、この手続きをすると言って、山田が通帳とキャッシュカードを持って、全額引き出してしまったのです。その上、あろうことか、預けてあった中村さんの身分証明書を使って、サラ金にまで手を出していました。

そう、中村さんはリフォーム代金、そっくりそのまま二重払いしていたのです。。。。
日東ハウジングにも行ったそうです。
怪しげな社長がひとりいて
「山田とは連絡がとれん。」と、相手にしてくれなかったそうです。
もちろん、警察にも相談しました。
「そんな大切なもの、預けるあんたが悪い」と、言われたそうです・・(怒・・これが公僕の言うセリフでしょうか?)

山田はじつは、この近在の出身らしいのです。実家のお母さんのこともいろいろ話をしていたそうです。
そんな身の上話でこの善良なご夫婦を騙したのです。

そうこうしているうちに、ローンの支払いはやってくる。公庫の支払いもある。サラ金からの取立て電話もしつこい・・・と、思い余って相談電話をかけてこられたのです。

正直言って、これだけのリフォームなら750万と言われたら、それくらいかなと納得するかもしれないと思います。
でも、二重取りは明らかに犯罪ですし、サラ金に至っては、言うまでもないことです。

日東ハウジングは、現在も営業しているかどうかは判りません。山田の行方も知れません。
でも、なんとか探してあげなくては、あんまりではありませんか・・・。

毎日かかるサラ金からの電話の対処をひとまず、お教えして(ゴメンナサイ・・これはここでは言えません。企業ヒミツ・・というやつです。^^;)調査をお預かりしました。

並んで丁寧に頭を下げられる山田さんご夫婦に見送られながら、シャーベットの道を下る私の足元のおぼつかなさ・・・(笑)

しかし下りの雪道は怖いです。ずるずるとセンターに寄る車を止める術がない・・・。
上り坂の時に、センターを越えてきたトラックにビビリ
「このまま突っ込んできたら、崖から落ちるよね。」
「そしたら、遺体の回収困難ですよね。」
「春まで待つんじゃないの?」
なんて会話が思い出されます・・・・。。。。。

でも、失礼ながら総額2000万近くかけて(お母様のした屋根葺きも含めて)リフォームするぐらいなら、もっと街に出てきたほうがよかったのに・・・と、思うのは、帰るべき故郷を持たない者だから思うことなのでしょうか・・・・すみません。余計なことでした(深謝)
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by sala729 | 2006-03-16 17:47 | Comments(2)

その調査の始まりは、年の瀬も押し迫った頃でした。
日曜日にかかってきた電話で、お逢いすると坂崎さん(35才・仮名)は、スポーツ刈りにダウンジャケットといういでたちで、一見大学生にも見えそうな雰囲気の方でした。

坂崎さんは、ある外郭団体の中間管理職なのだそうです。
その団体は、公務員さんの天下り団体で、当然そこの理事さん達の半分は、お役所の役職を定年退職、または早期退職された方ばかりで、構成されています。
トップの理事長さんは現在72才。今期をもってご勇退されるそうで翌4月には理事長選挙が
予定されています。

その理事のナンバー2の方は、この団体のたたき上げで、諸事に精通しており「切れ者」という
印象を与えておりましたが、そういう経歴の方に往々にしてよくある「倣岸」なタイプの方だったらしいです。
仮に中西氏としておきましょう。この中西氏には20年来の愛人が降りました。その愛人畑中は
事務畑で30年近く勤務していますが、中西氏の威光をいいことに、勝手し放題。
人事に口は出すわ、融資先の斡旋はするわ、自分の上司、同僚、部下の悪口、中傷言いたい放題・・なのだそうです。

もちろん、事務職といってもベテランですし、そういう立場の女性ですから、お茶汲み、ごみだし、コピー取りは当然一切しません。
残業も拒否(第一、彼女に残業命じる上司がおりません)
そのくせ、社内行事に自分が呼ばれないと、必ずあとで報復人事を考えているという「トンデモナイ事務員」なのです。

そして、皆はこの畑中の「中傷」を恐れ、彼女のご機嫌を伺いながら、日々すごしているという
テレビドラマのような話なのです。
当然、職場はくらーく澱んでいます。それは
三人並んだ制服姿の女性の中で、笑顔を見せているのは畑中だけで、他のふたりは視線が
下がっていることでも判ります。


こんな職場に耐えられないと、坂崎さんは言います。
「ましてや、来期から中西さんがトップに立つたら、畑中さんの態度は、ますます手がつけられなくなります。」

そーでしょうね。。。

「で、どーしたいと?」
坂崎さんの顔を覗き込むと、彼は決心したように深呼吸して続けます。

「このふたりの不倫の現場を撮っていただきたいんです。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・上司と部下の不倫現場を部下が撮りたいと・・・・・・・・・・・・。


私たちは警察でも、正義の味方でもありません。言うならば「依頼者さんの味方」です。
こうしたいと言うことを、どうやれば叶えられるかを考えるのが私の仕事です。
でも、だからと言って、なんでもかんでもそのまま受け入れられるかと言えば、そうではありません。やはり、ご事情はお聞きし、最低限違法でないこと。公序良俗に反しないものといった
選択や分別は必要かと思っております。


「それは、あなたのご要望ですか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・坂崎さんは黙っています・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しばらくの沈黙が流れました・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「いや、ホントのこと言います。」半分照れたような、迷ったような表情を押し隠して、続けます。
「これは、私の上司の命令です。その上司の名前は言えません。もちろん、私などが手の届かない立場の人です。でも、私もそうしていただくと、自分の職場が変わるのではないかと期待しています。今の職場は本当に、どこやらのアホ国と一緒で、いつも畑中の顔色みて仕事してるんです。課長も、次長も僕も、みんなもです。こんな環境でずっと仕事はできません。ましてや
これからずーっと続くかと思ったら・・・・上司の案に・・・乗りました。」
その目は真剣でした。


当然、お受けいたしました。(^^)

そして結果は、充分満足いただける写真を添えて、依頼者さんへの気配りも十二分に果たして
報告書は作成され、それを坂崎さんにお手渡ししたのが2月のはじめでした。

そして、その後の第一報が入ったのが一週間前です。

「Aさん、Aさん。坂崎です。先日はありがとうございました。例のあれ、コピーして全役員に配布しました。もちろん理事長にもです。そしたら、彼(中西氏・・坂崎さんは決して名前は言いません)逆上して、役員室で大暴れしまして、警備員が取り押さえる騒ぎになりました。」

切迫したように言いますが、どこかに「揶揄」がこめられているようなそんな響きが感じられます。

「それで、もう一度念押ししたいのですけど、嵌められた!オレを嵌めたヤツを絶対探し出してやるって彼は叫んでいるんです。そちらに問い合わせがくるかもしれません。」と、今度は妙に
情けない声です。

「それは大丈夫です。依頼者さんのお名前は、私を含めてごく一部しか知りません。お問い合わせには、私がでます。もちろん秘密は守ります。そんなご心配は無用です。」
「わかりました。ありがとうございます。」

坂崎さんは、依頼者の身元が中西氏にバレることを何よりも畏れています。
それは、調査開始からなんども何度も、お念仏のように唱えていました。


そして昨日のこと。。。
また、坂崎さんからです。。。。

「Aさん。彼は辞職しました。暴れたあと理事長に呼ばれたみたいです。懲戒免職よりも
退職にしたほうがと言われて、退職届書いたらしいんですけど、やっぱり怒りは凄まじいらしくて
離婚もしてますしね。まわりに、議員の力使っても、ヤクザの力使っても、オレのこと調べた奴ら、捜してやるって息巻いているようです。大丈夫ですかね?」

「大丈夫ですよ。だって、前の時だって、あれ以降なんのお問い合わせも入っていませんよ。
それに、議員さんだって、なんの肩書きもないただのおじさんのお願いは、聞かれないでしょうね。ほっほほ~」

「そ、そーですよね。いやぁすみません。くどくどと。・・・でもね。Aさん、あれからうちの職場
明るくなりましたよ。ホントに。よかったです。ありがとうございました。」
「いえいえ。で、彼女の方はもう退職したんですか?」

「いや、それが、彼女はまだ来てます。辞めるような気配はないですよ。彼女の旦那さんもこのこと知ったらしいんですけど、離婚もしませんし、なにもなかったような顔してきてます。
さすがに、偉そうにはしてませんけどね。」坂崎さんの語尾は笑いの中に消えたようです。


うーん。さすがに「女はつよし!」

中西氏は、地位も家庭も自分の権威も失い、畑中さんは何事もなかったかのように、日々を
送っている・・・でも、これが日本の現実ですよ。
不倫の現実なんです。・・・・・女性は強い。
男は・・・・・ しっかりしてよっ!!

そう背中を叩きたくなるような「顛末」でした。
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by sala729 | 2006-03-15 12:57 | Comments(6)

さすがに高速道路にはもう雪はありません。それでも、ガードレールを越えた山肌や、木々の間には黒く凍った雪の残滓がこびりついて、それが一層寂寥感を誘います。
夕方にE調査員の運転で支社を出て一時間。車は山脈を横断しょうとしていました。山間の夕暮れ時は、一瞬にして暗くなります。

そして、まだそんな時だというのに、周りに車の影はなく、私たちの乗った車だけが、果てしない道をただ黙々と走り続けている・・そんな思いに囚われるような時間が過ぎていきます。

高速を降りて、日本海に面した国道9号せんに入ると、寂寥感はさらに募ります。
いつからの空家からわからぬ二階家が山がわに黒いシルエットを見せているかと思うと、海側はただ真っ黒な闇。その闇だたまに途切れると、看板が風にパタパタと煽られる廃屋のドライブイン。
「ねぇ、これじゃあ私たちが拉致されても判らないわよね。」
「ホントっすよね。Aさんはもう楽しんだからいいでしょうけど、オレっちは、まだまだ未練が一杯ですよ。拉致されたら、オレ死んじまいますよぉ。」と、情けない声で言い募ります。

・・・・Aさんはもう楽しんだかって・・なによ?それ??・・・・どーいうこと?と、突っ込みたい気持ちを抑えて「そうね。今私たちが拉致されても、たぶん明日から、みんな何事もなかったかのように、おはよーなんて、暮らしてるわよ。」と、微笑んでみせました。(←やなかんじ)

「げーっ。それは寂しいっすよ。30年たって帰ってきてだーれも出迎えてこなかったらやだなぁ。」
「それより、30年たって帰れるかどうかもわかんないじゃない?」
「あ・そーか。そーですよね。Aさんは無理ですよね。でも、オレっちは、まだまだ大丈夫ですよ。」と、にっこり微笑むではありませんか?

・・・・・・Aさんは無理ですってぇ??・・・・・それはどーいうこと?
自分は若いから、間に合うけど、私は30年が間に合わないと言うのぉ??
爽やかなE調査員の笑顔が、妙に白々しく見えたのは、私の心の歪みでしょーか。。。(^^;)

そんな心の冷たい会話を続けながら(笑)目的場所に到着したのはお約束の30分前です。


ひとりで待ち合わせ場所で待っていると、携帯が鳴ります。
「あのう、お約束している佐田ですけど・・今日とても遅くなるんです。いいですか?」
遠慮がちの声ですが、私は一瞬黙りました。

もちろん、いつもなら変更はなんの躊躇もなく「はい。よろしいですよ」と、お応えしているのですが、実はこの地は先月から今月にかけて、連続で4回。騙されています。
しかも、一番多かった手口が約束の場所で待っていると、電話がかかってきて、あと二時間待ってと言われ、そして二時間になる少し前にまた電話がかかって、あと二時間と、寸伸ばしに
するとい悪質な手口です。

「よろしいですよ。ただ、連絡先確認のため、ご住所と、もう一度携帯番号をお教えくださいますか?」
今度は相手が息を呑んでいます。
「じ、じゃいいです。今から行きます。今から行きますから。」

あれあれ・・ますますおかしいじゃん。。。

「では、連絡先番号を?」
「090-××××-○○○○-◇◇◇◇」
「あら?あなた昼間お聞きした番号と違いますよ。」
「あ、あれ、あれは・・・あれは、親の親の番号です。」
しどろもどろです。

「と、ともかく行きます。行きますから。」

 そっ。来ると言うなら待ちましょう。

20分ほどしてでしょうか。情報どおり、髪を肩までたらした20代後半のおどおどとした女性が現れました。
それが佐田さんとはすぐに判りました。

「彼の行動が知りたいのですよね?」
佐田さんは黙って頷きます。
「彼のお勤め先は?」
「し、知りません。」
「では、ご住所は?」
「○○市△△町」
「番地は?」
「し、知りません・・」
交際二年というのに、こんなことがあるでしょうか?

情報をいただけないと、お見積もりはだせませんと言うと、佐田さんは考え考え、彼の勤務先を言いました。

そして、お見積もりを出すと、彼女は返事もせずただ食い入るように見つめています。
しばらくそうしたままでいると、「できません。お金がありません」と蚊の泣くような声で言います。
くどくどと言い訳も言っているようですが、はっきりと聞き届けられません。

「ごめんなさい。もう少し大きな声で言ってくれません?聞き取れなくて」と、言うと
「こんなところで話すのいやなんです。」彼女は顔を上げて言います。
「でも、ここを指定したのはあなたよ。」
そういうと俯いてしまいます。

でも、できないと言う以上、お話が続くはずもなく「では」と、広げた書類をバックに戻しかけると
「あのう、これいただけませんか?」と、見積もり書を手前に引き寄せようとしています。
「ごめんなさい。これはお渡しできないんです。」微笑んで、取り戻そうとすると意外に強い力で引き戻し「じゃ、お金払います。払いますからこれください。」

・・・たしかに見積書が必要という方はたまにいます。メモのシュレッダーも、目の前でしてくれと
いう方もおりました。
でも、お金払うからくださいと言われたのは初めてです。

「いえ、あの、お金がどうのこうのではないんです。仕事ですから、規則どおりこれは持ち帰ります。」

もう、「佐田さんは、おかしい・危険警報」が、私の中ではとっくに発令中です。


そこで、もうひとおし・・(笑)

「佐田さんお仕事は?」
何事もなかったかのように聞いてみました。
「あ、あの、あの歯科衛生士です。」
「そーなんですか?でも、歯医者さんの匂いがしないですね。」と、水を向けると、彼女、やににわに腕を鼻先に寄せてクンクンと臭いをかいで「ホントですね。」と一言。

「あの、それ、ほんとにいたただきたんです。いただけませんか?」
彼女はなかなか席をた立たず、なおも哀願してきます。

「調査しないのなら必要ないんじゃありませんか?」
ことさらに冷たく言ったわけではありませんが(いんや。すごーく冷たく言ったはず・・と、周りが頷いているのはなぜ??)

彼女は上目遣いに私を見るばかりです。

「ところで、佐田さん。あなたお勤め先はO市でしたよね。でも、お昼の相談電話はG市からかかってきてましたけど??」
「そ、それは、実家が・・・G市なんです。」
「あら、じゃお昼休みに実家に帰ってかけていらしたんですね?」

佐田さんは不安げにうんうんと頷きます。

「そーなんですか?往復2時間もかかろうかという実家に、お昼休みに帰って、わざわざ電話をねぇ・・・」
「いゃ、それは、その実家でなくて、O市の・・・」

フリーダイヤルとられたことがある方ならご存知でしょうが、フリーダイヤルで繋がったとき、相手の電話番号は言いませんが、その地域は「O、」とか「G」とかテープが流れます。
当然、佐田さんのお昼の電話には「G」というアナウンスが流れています。


いくら相談者は、はじめてでドキドキしているとはいえ、この態度は明らかにおかしいです。
先月中ごろからこれで通算4回。こういう騙されかたをしています。

私たちは、ご相談があれば、お話をお伺いに参ります。それがまず第一スタンスです。
みなさん、疑心暗鬼だったり、心がボロボロだったりで、お電話で立ち入りる処は限られます。
しかし、それでも、まずお話をお聞きすることの準備をいたします。

しかし、なかにはこのスタンスを利用して「騙そう」とする者がいることも事実です。
単にいたずらのこともあります。
それから、同業者の悪質ないたずらのこともあります。
零細業者の「探り」や「ねたみ」のこともあります。

単なるいたずらはともかく、同業の情けない「さま」には、怒りを通り越して、笑いだ゛したくなることもあります。
それにしても、よくもまあ、こんなに遠くにセッティングしたものだわと、E調査員と感心しながら
さらに闇の増した国道を高速に向かって走りながら
「あら?あれ、なんか光ったわよ。」
「えぇぇ!!。な、なんすか??」
「あ、墓石。ほら、山じゃなくてなんでこんな海辺にお墓がたくさんあるのよ。それにほら、上が
ピカピカ光ってる。」

「見えませんよ。オレっちは、そーいう霊感なんにもないっすから。」
妙に強がっているE調査員を覗き込みながら
「あーら。霊に逢いたかったら、事務所にひとりでいればいつでも会えるわよ。いつも、女の人が
廊下歩いてるじゃないの?」と、ささやくと
ブルブルと胴震いして

「や、やめてくださいよっ。オレ。。帰ったら事務所寄らんといかんのですよ。今からだったら、今からだっら、零時すぎるじゃないですか?!」
「あらそ。ちょーどいいじゃない。ご対面できるわよ。」

それから帰社まで、E調査員は私と一言も口をきいてはくれませんでした。

そして私は、もちろんその日泊まりのホテルまで送ってもらうと、優しく微笑んで、事務所に帰る
E調査員を優しく見送りました。

その夜のことを、わたしはしりません・・・・。
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by sala729 | 2006-03-13 15:34 | Comments(5)