最初にお電話聞いた時には、よくある話でした。

中林里美さんは、所謂「未婚の母」です。生後8ヶ月という男の子は、本当に目も覚めるばかりの美男子です。里美さんがこの子をどれほど愛しているか、それはそのすべての動作から判ります。

子供の父親は、城下広樹といい、バツイチで14才と7才の子供がいるということは、初めから判っていました。もっとも、子供は前妻が引き取り、彼はきままな一人暮らし・・・・・なのだそうです。

彼と知り合ったの当時、里美さんはあるストーカーに悩まされていました。
当時付き合っていた男の暴力と過剰な嫉妬に、別れを告げたときからそれは始まりました。
毎日のようにつきまとい、職場にいやがらせの電話を入れ、マンション前での待ち伏せ。
里美さんはノイローゼ寸前でした。

そんな、自分の現状を話しても、現実的に前男の執拗な行為を目にすると、誰もがびびって里美さんの前から姿を消すか、へらへらと笑いながら何もなかったふりをするかのどちらかでした。
そんなときに知り合った城下は、「まかせとき」と、微笑むと、その場で前男に連絡をとり、話をつけに行くと言いました。
それは、前男のことを知らないからだと思った里美さんは、あわててそれを止め、二人はそのまま彼女のマンションに向かいました。
しかし、城下はそこでも、話をつけると言い、前男に電話しはじめました。

それから10数分後、前男から城下に電話が入りました。
「出てこいやぁ!。えぇぇ、えーかっこ言うてんやないぞぉ。出てこんかいやぁぁ。」
傍にいる者にも充分に聞こえるような大声で前男は喚き散らします。
「おぉ。行ったるわ。そこで待っとれや。」
城下は静かに言うと、止める里美さんを制して、出て行きました。


里美さんがベランダに飛び出して、下を覗き込むと、マンションの周囲を30人近くの男たちが取り囲んで、その中に対峙する二つの影が見えました。
何をどう話ているのかもちろん聞こえるはずもありませんが、里美さんは感動しました。
自分のために、ここまでしてくれる男性を前に、里美さんの恋心が燃え上がってもそれは不思議ではありません。
この日は、同じマンション内の住人が警察に連絡して、事なきを得ました。


そしてその日から、二人は「恋人」と呼ばれる関係になりました。


妊娠が判った時、城下は「堕してくれ」と言いましたが、里美さんはどうしてもこの子を産みたいと切望しました。たとえ、城下と結婚できなくても、自分ひとりでこの子は育てるからと、言い張り
子供を授けてくれた神様に感謝しました。


あれほど、堕してくれと言った城下も、日に日に大きくなるお腹を、いつしか目尻を下げています。もともとが優しい人なのです。
育児休暇をとって実家に帰った里美さんのもとに通う城下は、夫であり父親でした。
もちろん、里美さんの両親にも挨拶は済ませています。

・・・・でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

でも、城下は里美さんと入籍しょうとはしないし、子供の認知も、届出用紙を渡しているにもかかわらず、提出しょうとはしません。
里美さんは言います。
「私は、彼の都合が悪いなら、入籍しょうとは思いません。子供だけ認知してくれたらそれでいいんです。産むなと言ったのに産んだのは私ですし、体を張って助けてくれた彼に感謝こそすれ
彼の望まないことをしょうとは思いません。・・・・・でも、急にこなくなってもう二ヶ月です。連絡もとれません。これでは、この子に私、なんと言えばいいんでしょう。」
里美さんは決して泣いてはいません。
途方に暮れているのです。自分の置かれた状況が理解できなくて、彼にそれを説明して欲しいだけなのです。


城下のことを、よくある「無責任なやり逃げ男」(・・・はしたない言葉で、お恥ずかしいですわ。)
(^^;)と、決め付けることは簡単です。
でも、自分の窮地を体を張って助けてくれた現実を目の前にしている里美さんに、それを告げてはあまりに酷・・・というものです。

父親に酷似しているという男の子は、私の目には父親よりはずっとずっとハンサムに見えます。
でも、里美さんにはこの子が「城下」に見えるのかもしれません。
「私は一人でこの子を育てます。養育費も要りません。今までも、経済的援助は一切受けていません。でも、認知だけはして欲しいのです。
父親が誰か判らない・・・この子にそんな思いだけはさせたくないのです。」


里美さんはもしかしたら、城下のもうひとつの顔を知っているのかもしれません。
でも、里美さんに見せている顔があまりに格好がよすぎて、素敵すぎたから、見ないふりしているのかもしれません。

このハンサムな男の子が、自分の父親を知り、その人を尊敬するかどうかは、母親にかかっているでしょう。
里美さんなら、それができる・・・と、私は信じたいのですが・・・・・。
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by sala729 | 2007-07-14 11:38

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