河野真知子さん(58才)は、地方の団体職員として定年まであと一年を残すだけになりました。
三人の子供さんもそれぞれに独立して、同じ敷地内に二世帯同居の別棟をたてて、長男夫婦と
暮らしています。

夫の和成氏は、素封家の農家の跡取り息子で、自身もひとりで切り盛りするとはいえ自営で仕事をしています。
この和成氏の、趣味が「旅行」。それも「一人旅」というやつです。
国内外を問わず、三日お休みすれば機上の人という日々で、ギャンブルもせず、酒・煙草もたしなまず、趣味らしいものが他には何もない、和成氏の唯一の楽しみが、一人旅なのです。

ま、経済的に困るわけでもなく、まだ元気に和成氏の母親の面倒を見る必要があるでもなく、真知子さんはこの夫の趣味を、邪魔にしたり、止めたりする気持ちは全くありませんでした。


ところが、先月の初め、和成氏がいつものようにふらりと、旅立った後で、急に母親の具合が悪くなって緊急に知らせなくてはならない事態が発生しました。
真知子さんは、大慌てで携帯を鳴らしますが、つながりません。
思い余って、彼の机をかき回しましたが、なにも出てきません。
本棚の日記帳をパラパラとめくっていくと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

0月某日
小川のほとりで、抹茶を飲む。
こんな経験は初めてだ。落ち着いた気持ちになる。一緒にいると今まで知っていたことが、また
新しい発見のような気がしてくる。

○月某日
Hにいく。何度きても落ち着かない。
相手も同じようだ。もう少し、時間があればいいと思うが、自分も午後からの時間はとれない。
今度は、もう少し朝早くでようか。

○月某日
やはり、一緒に行くのは無理だという。
本当はどうしても行きたいが、これ以上勧めても、苦しいだけだろう。残念だ。



真知子さんの頭に血が駆け上がり、沸騰した脳内がぐらぐらと音をたてているような気がしました。母親の病気など、もう吹っ飛んで、ノートをめくる指だけが生き物のように動いていました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どれくらいの時間がたったのか、
ふと我に返ったのは、まだまだあかるかった窓の外の日がすっかりおちて、ノートの字がかすんで読めなくなったからでした。

遡ってみればもう二年くらいの間は、この関係が続いているようです。
無趣味の無骨者としか思っていなかった夫がこんなことをしていた。
しかも、35年も共にしている自分にさえ、こんな心遣いをしてくれたことは一度もない。
仕事と、農作業と育児と家事と、嫁姑との気苦労と、今でこそ経済的に安定し穏やかな日々をすごしているけれども、それはすべてこの35年の苦労の成果だと真知子さんは思っていました。
その私を裏切りとおしていた夫・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私に一度としてかけなかった優しい言葉をこの女にかけているのかと思うと、真知子さんの中に
今までにない猛烈な「怒り」がこみあげてきました。




幸いなことに母親の急病は、たいしたこともなく、和成氏に連絡を入れることもなく終わったのですが、真知子さんの憎悪は、日増しに膨らんでいくばかりです。
そして、相談にこられました。

調査の結果、和成氏の相手は、中川富子(64才)。和成氏より2才年上の人妻でした。
未婚とはいえ成人した子供二人と夫の四人暮らしです。
本当に平凡な主婦で、早朝、近くの鶏卵会社に「卵の仕分け」パートに行き、その後和成氏と
待ち合わせ、ドライブしたり、農協の朝市を覗いたりしています。
もちろん、そんなときの和成氏は、車の中でじっと待っていて彼女が買い物を終えたら、一緒に帰るという・・・・まぁ、傍目には「普通の夫婦」に見えることでしょう。


この報告に真知子さんは激怒しました。(何回もの激怒ですから、今に血管が切れないかと
心配です・・・)
もう黙っていられないと、和成氏を責めました。
「私がこの家で何年我慢してきたと思ってるのよ!。私が一生懸命働いているときにあんな女と
浮気してたなんて、絶対に許さないからねっ。あんたもあの女も!!」
隣の部屋の、姑がオロオロと止めに入りますが、真知子さんの怒りは収まりそうにありません。

「女のことは全部判ってるんだから、女の旦那に全部、ぶちまけてやる。女の家もメチャメチャにしてやるからねっ!!」

心に溜まりきった鬱憤を、思い切り和成氏に投げつけて、少し落ち着いた真知子さんに、彼が
言いました。

「判った。オレが悪かった。もう女とは別れる。・・・オレの全財産はお前にやる。だから、女の家にだけは行かんといてくれ。女の亭主は、働きのないやつなんや。こんなことがばれたら、
オレの全財産取られてしまうが。その前にお前に全部やる。」

河野家は、二人で働いていますから別会計なのです。
彼の財産は、別収入も多く、家作からも定期的に入っています。推定でも何億・・・・だと思いますと、真知子さんは軽く言います。

「お金ではないのです。主人が困る顔が見たいのです。」
真知子さんは、さっそく弁護士に相談して、彼の財産目録と、税金のかからない相続方法を検討することになりました。
もちろん、離婚する気はありません。できるなら、真知子さんも、夫婦でいたいのです。

「ねぇ、Aさん。今まで彼らが、何処に行ったか。何をしてたか。何を買ったか。どっちがお金払ったかわかりますか?。」
真知子さんの突然の問いかけに
「なんで知りたいんです?過去のことは証明のしょうがないんですよ。」と受けると

「いいえ。それで女からお金を取ろうなんて思っているわけじゃないんです。何時、何処で、女と逢って、どうしてたが判ったら、私も同じことしてやりたいんです。
いいえ。浮気するわけじゃありませんよ(笑)。主人つれて同じ所に行って、同じもの食べて、同じようにして、前にもここ来たみたいやねぇって、ネチネチ言ってやりたいんです。」
「??」
「子供っぽいと思われるかもしれませんけど、そうやってジワジワ苛めてやりたいんです。
私って、意地悪でしょ?」と、真知子さんは、今までにない笑いを浮かべています。

・・・・・・・なかなか可愛いじゃありませんか。
確かに、合理的ではないし、法的にはなんの意味もないことでしょうが、真知子さんの気持ちは
よく判ります。

そう・・・なんだかんだ言っても、夫の気持ちが別の女にあることが悔しいのです。
夫を愛しているのでしょう。

世の浮気夫の皆々様
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お金だけで済むと
思ったら大間違いですよ。
心のケアをしていないと、女の人はとんでもない報復手段を用意していますよ。
ご用心、ご用心・・・・

私も、もちろん個人的には全面協力したいと思っておりますわ(^^)(^^)(^^)
[PR]

by sala729 | 2007-07-07 11:35

<< 親不孝な男たち    人間の進化と廃退・・・(なんて... >>