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「夫は31才で私は46才です」という声が消え入りそうに聞こえたのは、由美子さんの声が
小さかったからだけではないと思います。
ファミレスの一隅でお会いした由美子さんは子供さんの学校行事の帰りとかで、素ッピンにTシャツとジーンズという軽装が良く似合い、失礼な表現ながら、年齢よりもずっと若く見えました。

結婚して10年、子供は小学生が二人。ということは、夫は若い父親だったのでしょうね。

グラスのアイスティーを両手で包むように抱き込んで、両手が水滴で濡れそぼっても、拭きもせず濡れるに任せています。
きっと誰にも言えず、ただただ忍耐の日々を過ごしていたのだなぁと、聞き役に徹していますが、私の中の醒めた感性は・・・それは承知だったはず・・・と、囁く自分の声が聞こえている
ことも事実です。

二人は、いわゆる合コンで、出会いました。
農家の長男とはいえ、夫は全国に支社のある機械メーカーのサラリーマンでしたし、もちろん
由美子さんは、当時未婚でした。
お互いに「サバ」を読んでいた、本当の歳を知ったのは、交際半年目。そしてその時には
もう長男が由美子さんのお腹にいました。

もちろん夫の両親、親族はこぞって大反対。
理由は・・・そう、「年齢差」です。
・・・・・愛があれば歳の差なんて(・・ふるっ^^;)・・・というのは、まだまだ「歌やドラマの世界」
です。
由美子さん達のような、出遭いと結果は、やはり「女に騙されている」と、夫側の人たちは
思いこみ、反対する・・・というのが現実のパターンとしては普通です。
現実はドラマほど、甘美でもロマンチストでもありません。

しかし、こんな「できちやった婚」を、周囲に非難され、危惧されることは、これは当然予測
されたことですね。
社会に出て10年目。そんなことも、予測できないというほど若くなく、社会人として、それぐらいのことは理解していなければならない「年齢」ではなかったかと、私の中の冷徹なもうひとつ声が囁くのです(^^;)

夫の両親と同じ敷地に、別棟を建てて、同居が始りました。
両親とは、仲良し・・・とは言えないまでも、なんとかそつなく生活をこなしていた由美子さんですが、あるとき夫の出張が、やたらと多くなったことに気がつきました。
週に2.3回もあるのです。しかも、泊まり出張。
と、いうことは、殆ど「自宅で寝ない」と、いうことですよ。・・・そう言うと「そうなんですよね」と、
由美子さんはぼんやりと答えます。
失礼ながら、こんなに覇気もなく、闘志も感じられず、才気の匂いもない(失礼)、性格なのに
よくも、周囲を押し切って結婚したものだと・・・妙な感心をしてしまいました。。

こっそり携帯を見ると、水商売らしい女性からのメールが恋々と続いています。
でも、それも夫に気づかれたのか、翌日には全てのメールが消去されていたそうです。

「主人は、浮気してるでしょうか?」

しょうか?って、あなた、この状況を見て「してない」って誰が言えます?
それとも、「してない」と、言って欲しいの??

なぜ、現実逃避をしょうとするのでしょう・・。今がすぎれば、何もなかったかのように、
「オールクリア」されて、元の生活がそのまま戻ると思っているのでしょうか?
ほんとうに???

「オールクリア」したいと思っているのは事実でしょうが、「される」ことはない・・・これくらいのことは心の片隅では思っているはずです。
そうでないと、相談になんて来ません。ただじっと亀が甲羅の中に首をすくめているように、ひたすら嵐の過ぎ去るのを待っています。そして現実にそういう人もいます。
でも、「されない」かもしれないと、ちょっとでも思っているからこそ、不安で相談電話を取るのです。

聞けば、夫と由美子さんは生活費はそれぞれ別会計なのだそうです。
つまり、夫は世間の夫族より、かなり多い額の小遣いを自由にしてるらしいのです。
結婚後の由美子さんはパートタイマーの収入しかないと言うのに・・・
「子供さんもいるのに、それじゃキツイでしょ。彼にお小遣い制にしてもらったら?」と言うと
「いえ、それは聞いてもらえません。始めからの約束だからって。それに、義母たちも、主人のこと、若いうちから結婚して、可哀想だ、可哀想だって言うんです。せめて小遣いくらいはって・・」

・・・・・・オイオイ・・それとこれは別でしょう・・・・
結婚を決めたのは、夫も同じ意志だっただけで、若くして父になったのも、夫の選択。
それを、庇う母親も「アホ」なら、そう言われて、黙って唯々諾々と、従う嫁も嫁と、私は思いますよ。
言外に「私が年上だから」という言葉を匂わせる由美子さんの伏目の顔を見ていると
「そんなことは初めっから判っていたでしょ!」と、どやしつけたくなる自分を抑えて、話を進めます。

結局、お金もないと、ローンを申し込むことになったのですが、申込書にすべてを記入して
審査結果を待つばかりになりました。
予算はないけど、どうしてもしたい・・ということになれば、時間を短縮して実行するしかありません。

・・・・・・待つこと3分・・・・・

「申し訳ありません。西岡さま(由美子さんです)は、今回ご利用になれません」との電話が届きました。

あらら・・・・というこは・・・・(--)
由美子さんの夫は、それなりの会社にずっと勤めていますので、それでも全額ローンが
通らないということは、他所での借り入れがかなりあると、想像できます。
もちろん、由美子さんの知らない「借り入れ」です。

そのことを由美子さんに告げると
「いいえ。そんなこと、そんなことありません。主人は、そんな借金を・・」
言葉が途中で止まったということは、なにか心当たりに気づいたのでしょう。
でも、もう問い詰めません。ここからは、由美子さんの決心です。

子供が待っているので・・・と、先を急ぐ由美子さんの背中に、10年前のパワーを、今ひとたび・・・と、願わずにはいられませんでした。

by sala729 | 2006-06-20 07:05

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