人気ブログランキング | 話題のタグを見る
長くて短い2月もあと一日限りです。
日々「意地と強気と向う意気」で、すごす私にだって、多少のスランプもストレスも「バイオリズム」の通りです(・・って、ホントはこういう類、まったく信じておりません。と、いうか、いいことしか採用しないという、身勝手占いです。笑)。

それでも、一夜明ければ、やなことはぜーんぶ忘れて次のこと考えているというのが、私の良いところでもあり、悪しきところでもありと、表裏一体・・と、言うところですな・・(って・・^^;)


そんな月末の押し迫った金曜日に鳴った一本の相談電話。

双葉さん(45才・仮名)は、田舎の長男の嫁になって23年。長男も次男も成人を迎えました。
舅、姑はもちろんのこと96才という大姑や、行かず後家の51才の夫の姉、三軒先の幼馴染に嫁いだ夫の妹も始終出入りしているという、まさに「ワイドショー嫁地獄」のような生活を続けていました。
そしてまた、お決まりのように、姑との仲は最悪。(苦笑)
介護ヘルパーの双葉さんが、バタバタと帰宅して、夕餉の支度をしていると、姑がすーっと近寄ってきて、切り離したばかりの大根のしっぽをごみ箱からつまみあげたかと思うと、だまってそれを味噌汁の中に「ぽちゃん」と、落とし込むのだそうです。(・・・・うーん、おそるべし・・)

炒め物を作れば「油っこい」と、お酢をボタボタふりかけて、それから食べる。
ちょっと味付けが薄いと、「こりゃ食えん」と、お醤油をドボドボ・・濃いかな・・と、思うと、ざるにあげて水道水をジャバジャバかけてから食べる・・(・・・・り、立派かも・・)

洗濯干して、雨が降ろうと地面に落ちようと、一切おかまいなし。洗濯機は「すかん」と、触れもしない。掃除機の音は、頭が痛いと訴え、箒を使うと、埃がたつと・・・・四六時中、こんな調子なのだそうです。

「ま、それに、姉や妹が傍にいるから、話が余計大きくなりますわな。」

話の内容は、暗くて深刻なのですが、それを話している双葉さん自身は、そう深刻そうな顔も
せず、他人事のように、平然と言い放ちます。

「それでこの家、買うたんです。」
「は?」
話の突然の展開についていけず、間の抜けた声を出して、私は双葉さんを見ました。

「主人には、いくら言っても、判ってもらえんしね。自分でなんとかせんといかんと、思って
私だけ、家を出ることにしたんよ。そいで、知り合いの不動産屋さんに家捜してって、そのときは
借家をね。そしたら、家賃払うくらいなら、買うたほうが得って言われて、ここ、買うたんよ。」

ああ・・なるほどね。
双葉さんとお逢いしたのは、彼女の買った、正真正銘彼女の家だったのです。
築10年とはいえ、前の持ち主も一度も住んだことがなく、しかも家具付き。どっしりとしたローボードや、ソファなどもそのまま双葉さんいわく「ぶっこみ」で、購入したそうです。

私は、双葉さんに好感を持ちました。
世に「嫁姑戦争」は、数ありますが、夫に頼らず、自分の手で自分の住居を構え、徹底抗戦に
備えるなんて・・・お嫁さんがわからしたら「痛快!」じゃありませんか?
(え?・・・夫からしたら、こ、こわいって??・・・・そりゃーそーでしょうね。笑)


しかし、ここを購入してから間もなく、姑は妹夫婦と同居することになりました。
それは、96才の大姑が、双葉さんを見かねて、夫と姑を一喝。(ま、大姑からみたら、姑だって、嫁だもんね。・・・こーいうの、因果応報って言うのでしょうかね?)

母親を妹夫婦が見るからと、頭を下げてきた夫を受け入れないほど心の狭い双葉さんではありません。
でも、そーするとこの「家」が、いらなくなります。
もしもの時を思って、購入したので、手放したくはない。(そーですよ。いつまた、もしも・・があるかもしれませんもの)
そこで、借家にしたところ、すぐに借り手がつきました。母子の三人家族だそうです。


契約も決まり、転居日も決まり、この家ごと買った家具を、夫の家に運びこむ日が近づいてきて
双葉さんは、ずっと気がかりだったことに、向き合うことにしました。

それが「盗聴器探査」です。
気のせいかもしれない。でも、ここで、電話をすると「ジージー」と音がする。
携帯の音が切れるような気がする。・・・・双葉さんはずっと思ってきました。
この家のことは、もちろん夫も知ってます。来たこともあります。夫が・・・と、思わないこともないそうです。
でも、こうして、現実に人様に貸すようになって、そんなものが付いていたのでは、借主に申し訳がたちません。
そこで、いい機会だから、調べて欲しい・・と、言うのです。

その上、自宅も一緒に調べて欲しいと双葉さんは言います。
妹の家に行くと言った、姑のしおらしい「素直さ」が、不気味と言うのです。
なにかしてあるに違いない・・・双葉さんは心密かにそう思っています。

そして、もしも、見つかったら、もちろん彼女は帰りません。
この家も貸しません。違約金を払ってでも「ここに住む」と、決心しているそうです。

「男はねぇ。みんなずるいし、アホなんよ。嫁がオカンと上手くやれるはずなんかないやろって、どーして判らんのやろねぇ。自分のばーちゃんとオカン見とろーに(笑)」
豪快に笑う、双葉さんは、ちょっと素敵です。
日焼けした横顔と、節の高い太めの指が、双葉さんの旺盛な生活力を誇示しているみたいです。

奥様・・・こーやって、旦那様の喉元に「匕首」突きつけるような、嫁姑の解決策(って言うのかな・・)も、あるのです。夢、夢、ご安心なされませんよーに・・・(ドロン・謎)

by sala729 | 2006-02-27 14:32

<< 妻の値段    54才の決断 >>