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ホテルが高台にあるので、移動はすべてタクシーということになるのですが
台湾のタクシー料金はとてもお安いのと、運転手さんのマナーがいいので
安心・安全です。

ドアボーイさんに行く先を告げると、タクシー運転手さんに伝えてくれて
その都度なにか小さなメモを控えています。
あとで判ったのですが、客の乗ったタクシーのナンバーをすべて控えているらしく
忘れ物や何かのアクシデントに備えるためだそうで、「痒いところに手が届く
ような・・」という言葉を思い出しました。


まずは予約時間より少し早めに出て、判子屋さんに向かいます。
今回の旅の二大目的のひとつ、チビの「落款」つくりの為です。
お絵描教室で楽しく学ばせていただいて、チビはお絵描きが大好きです。
作品は「青いザリガニ」とか「七色のカミキリムシ」とか、
「おーうちの子天才!」か「もしかしら、変人?」かの、紙一重という
ところなのですが、そこは身びいきというもの、その作品群とこれからの
作品に落款のひとつもあればよいかと・・(笑)


ついでに私もこの際ですから、自分の物を作っておけば役に立つかなと
思ったことを娘に言ったのが運のつき。
「私も欲しい」と言い出し、家人も「じゃオレも。」と。
その上、息子までが「オレも実印に名前入りが欲しい。」と皆がそれぞれ
欲しがる始末に相成りまして、結局5個作ろうかということになったのです。


ガイドブックに紹介された店は間口は狭いのですが奥行きは広い。でも、鍵が
かかっていて誰もいない様子。
帰ろうかなと思っているとガラスのドアの傍らに白いブザーがあり、その下に
「ご用の方は押してください。」と、私にきっちり読める日本語で書かれて
います。

もちろん押しました。
しばらくすると奥から、浅黒いを通り越したような肌に黒い長い髪を
大きなウェーブで腰まで垂らして、印象的にはミクロネシア系かなと思われる
女性がめんどくさそうな仕草で出てきました。

「判子。スタンプ。落款作りたい。」家人が手近な単語を並べます。

「おー。落款ね。それならこれが一番安い。」と、ガラスケースの四角の石を
取り出します。
「これに彫るね。」
「おいくらですか?」
「これは7000元。」

・・・・・・・・・・・・・・7000元。と、言うことは21000円。五個で105000円。
(小学校3年当時の資格とはいえ、私、一応珠算二級です。簡単な計算はこの年に
なっても、出来ます。はい。)
・・・・・・・・・・ば、バカな・・おみやげ印鑑に105000円。んな、ばかな・・
それに、この店員さんかマダムが判らんけど女性の態度はなんか大きい。
顧客となんか思ってないんじゃないの。・・・そう思ったら、私の反応は早いです。

家人は、子供が絵を習っていて、それに落款を・・・なんとか、かんとか、くどくどと
説明していますがそれを無視して

「じゃ、いりません。そんなお高いもの、子供にはいりません。」と、
はっきりお断りすると、かの女性も両手を広げて
「それなら仕方ないわね。」と、言った動作で踵を返しました。

店を出ると家人が
「ほら、お休みしてたところだったから機嫌悪かったのかもね。」などと
言いますが、商売には商売のやり様というものがあります。
ああいう態度は、私は嫌いです。
断る理由にお高いのはもちろんですが、あの態度も同じくらいの割合で
占めていることを、私の語学力では彼女に伝えられないでしょうね。

なんだかんだで、予約時間が近づいているので早々に青葉に向かいました。

大きな通りから一本入ったところですが、そう目立った店構えというわけでは
ありません。

それでも中に入ると、チャイナ服の綺麗なおねーさんが予約を聞いてくれ
すぐに席に案内してくれました。

青葉は、思ったよりも大衆的で広い店内にコーナー席が両側に。真ん中はテーブル
席がしっかり並んでいます。
入ったときは、ほぼ満席。

座るとすぐに、金城武に似たハンサムなウェイターさんがお茶を入れてくれ
家人は迷うことなく台湾ビールを・・・
メニューは写真入りですからなかなか親切。
コースとも思ったのですが、ここはアラカルトに挑戦。

まずは名物カラスミ。これは外せません。
そして蟹おこわ。しじみ。エビのチリソース。台湾卵焼き。あと・・
忘れました(笑)
正直、しじみは癖があって私はパスですが、家人は「やめられん」とばかり
食べ続けておりました。

カラスミはとてもお安いので、これでもかっ!というほどの量がありました。
日本のものに比べて、少しウェットかなとは思いますが、これも家人いわく
「なんぼでも酒が飲める」という、私には天敵のようなお品です。

蟹おこわは台湾名物のようで、後日行く欣葉でも、名物料理になっていました。
おこわは粒々感が残ってはいるのですが、少し糊感もあって、日本で言うところの
「おこわ」とはちよっと違います。
癖はあるけど、受け入れられます。ただ、蟹は小ぶりなので食べるのに四苦八苦
しましたが・・笑。

エビチリも、もちろん美味しかったですが、卵焼きが秀逸。
切り干し大根の煮物が入った卵焼きは、懐かしくて優しい味がします。

私達はここまででギブアップ。
サービスに「緑豆のぜんざい」がついてるよと、金城クンが言うのですか゛
「ごめんなさい。私、豆は好きじゃないのよ。」と、笑顔でお断り。
すると、彼はいたずらっぽい笑みを浮かべて親指を立てたかと思うと、
しばらくして、小さなカップを私の目の前に・・

いらないって言ったのに・・という言葉を飲み込んで、とりあえず
一口。・・む・・また一口。むむっ。・・・そして一口
・・・・・んんん、んまぃ。・・・・美味しいじゃん。

確かに豆の味はするのですが、それが青臭くない。
コシアンの緑版みたいな・・。
「美味しいっ。」と伝えると、彼は素敵な笑顔で親指立てて応えてくれました。

この青葉の接客はとてもすばらしいです。
接客係りはみんなきびきびと笑顔ですし、係り同士がすれ違いざま、栓抜きを
さっと交換する姿は、美しくさえあります。
そして、いつもテーブルに目を注いでいて、コップのお茶が減ろうものなら
笑顔ですっと寄ってきて、軽やかに注いでくれます。

接客していて言葉が判らなくなると、すっと言葉の判る他の係りを呼んできて
お客を不快にさせたり、不安にさせたりはしません。

十分に堪能して帰る私達に、卵焼きが残っているからと、お持ち帰りを薦めて
くれる動作もきれいです。
折角のご親切でしたが、どうせ持ち帰っても、ホテルで私たちはこれ以上は
食べられません。丁寧にお断りしました。
「あぁ~Rの口と胃袋が欲しいよねぇ。」と、言い交わしながら青葉を
後にしました。

お腹が一杯なのでしばらく歩くことにして街中をぶらぶらしていると
一軒の判子屋さんが・・・
青葉の前に、いやな思いをしたリベンジにと、私はその店のドアを叩いて
いました。

by sala729 | 2012-11-22 14:24

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