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暦は7月に入りましたが、まさしく「梅雨」真っ只中で、近日は大雨の
被害や警報が絶えないようです。

例年のこととはいえ、四季のある日本という美しい響きの裏側には、こうした
過酷な現実があると思い知らされるのはこんな時でしょうか。

そして端境期であるせいか、訃報もよく目に付くと感じるのもこの頃です。

もっとも、自分が年を重ねてきた分、友人・知人の数も当然増えてきて、
同じように有名人や芸能人さんたちのことも、今の若い人たちよりは断然沢山
知っています。
(もちろん今最盛のAKBのメンバーの名前だの、ジャニーズの新グループ
だのと言われれば、名前の一人も浮かんできませんが、総数で言えば生きている
時間の長い分、絶対的に私の方が有利です。笑)


そんな時に耳にしたのが、ザ・ピーナッツの伊藤ユミさんの訃報でした。

私が子供時代に彼女らは大スターで、毎週日曜日、伝説の「しゃぼん玉
ホリデー」で、歌ったり、死にかけのお父さん役のハナ肇さんを相手に
「おとっつぁん」なんて、今どきの子供たちが聞いたら、どこの国の言葉?
なんて言葉を駆使してミニコントらしきものを演じていました。

それから、映画「モスラ」で、妖精を演じてモスラを呼ぶ歌を歌っている姿は
子供だった私達から見ても、可愛らしく愛らしいものでした。


そうした彼女たちが引退し、それっきり表舞台には一切出ず、次に話題になった
のは、沢田研二さんとの結婚のニュースでした。
そして出産。離婚と少しづつ消息といえば、それらしいものを漏れ聞きながら
先日の訃報だったのですが、このニュースは全国的に流れました。

NHKも流していました。モスラやシャボン玉ホリデーの、シーンも幾度となく
流されました。必ず「ザ・ピーナッツの伊藤エミさん、71才が亡くなりました。」
と、ご丁寧に氏名・年齢を附帯して・・。

名前はともかく、すでに引退して長い時間がすぎ、それまで自らの意志で
全く表舞台には出ないという姿勢を貫いてきた人に、年齢までそう何度も
繰り返し喚起することは必要でしようか?

引退の理由を詳しくは知りませんが、今の自分たちのイメージをこのまま
売り続けることが難しくなってきたのか、嫌になってきたのか・・・それが
すべてではないにしても、理由の一端であったことは確かだと思います。


そういう美意識で一線を退いた方の、年月を経ての消息に「年齢」は必要で
しょうか?
彼女らはそういう現実を晒すことを厭ったからこそ、引退を決めたのでは
ないでしょうか?

彼女らに、若き頃の自分を重ねて、「いい時代だった」と思い返すことに
年齢は必要ですか?
それはそれで、ほんわりと温かい思い出に浸ることができるのは、どこかに
不可思議で、はっきりしたものがないからこそ、できることではないかと
私は思っています。


「年は関係ないでしょ。」と、そういう方こそ、本当は年を無視できない。
今まで自分が生きてきた統計の中で、私の脳はそう訴えています(笑)

「うっそぉ。若く見える。」そう言われて喜んだり、嬉しかったりするのは
本人だけで、それも生きているうちだけです(笑)


よくご葬儀でも、生前写真を飾っていますが、芸能人でもない限り殆どの
人たちは、亡くなった時代に近い厳かで真面目なものを使っていますよね。

あれはなぜ、若く華やかで美しかった時代のものではダメなんでしょう?

人生の最期に、自分が一番美しかった時代であったの、輝いていた時代で
あったりした頃の写真でお別れしたいと望むことは、慎むべきなのでしょうか?


私事ではありますが、私は自分の葬儀(家族だけで見送って欲しいと希望
していますが)には、この写真ともう10年以上前に決めています。
夫が亡くなった時に、私のときの写真を決めました。大きく引き伸ばして
そのまま祭壇に飾れる大きさにしています。
もちろん夫と一緒に映っていますので、考えようによっては夫は二度葬儀の
祭壇に飾られることになります。

しかし、今はそれと家人と一緒のものも飾って欲しいと思っていますので
そろそろそれも用意しておこうかな・・なんて思っています。

自分にとって時間の流れは必要でしたし、それに助けられたことは何度も
ありました。
でも、自分が終わりのときに、誰彼構わず「OO才。OO才」と、連呼されたくは
ありません。



特に、華やかな世界で夢やあこがれを私達に振りまいてくれた彼女たちの、
最期の矜持を、せめてどこかのマスコミは守ってあげられなかったかと
へそ曲りの私は思います。


私のようにモスラを呼び続けた妖精のイメージのままで、そして家人の中では
「恋のフーガ」のままで、彼女は逝ってしまいました。


今の時代は、どうでもいいことばかりを執拗に開け広げ、知らないといけない
ことを権力側に擦り寄っていく報道機関ばかりが目に付いて、私たちの
目は知らず知らずに、白内障に罹っているのかも・・・。

by sala729 | 2012-07-05 12:53

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