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もう二月も後半になると、町全体が卒業とか入学とかで、華やいだり、厳粛ムード
だったりしていますが、昨日我が娘も、フォーマルウェアを調えました。

これは、当然嫁入り仕度であってしかるべきなので、中途半端な親としては、
「忘れてた・・」ってことで、ずっと心に残っていたことではあるのですが・・(笑)


そういえば・・・と、遠い昔を思い出すと、私達が嫁入りするときは、
座布団が20枚とか30枚。和ダンスにはしつけをしたままの着物をぎっしりと
収め、嫁入り家具は同居、別居に係わらず、夫の実家に一旦いれて、ご近所さんが
無遠慮に、抽斗まであけて嫁入り仕度の検閲をする・・・なんてことがまだまだ
残っていた時代でした。

今話せば、大笑いされるかもしれませんが、新車にリボンをかけてディラーさんが
届けにきたのを見たこともあります。

今、その座布団は箱に収められたまま、日の目を見ることもなく、桐の箪笥を台代わりに
ずっと定位置に置かれたままです。
着物のしつけも切られることもなく、陰干しもしてないのに、色あせも染みもないのは
さすがに日本の技術と思います。



こんな時代の嫁入りをした身には、娘の嫁入りのなんと簡素で、合理的で、
健全なこと・・と、思っておりましたが、それでもこんな時代でも、それなりに
義理家族との付き合いや、対応に悩んだり迷ったりはあるようです。


昨日買い物前に、娘とちびギャングを連れていつものモーニングサービスを
食べ終わった頃、首をかしげながら言うには
先日、婿殿の実家に遊びに行ったところ義父母と一緒に、ご飯を食べに出る
ことになったとか。

あちらのお父さんは、外食がお好きでないとかで、家ご飯が多かったのですが
最近は、お母さんの発案で、みんなで外でご飯・・という回数が増えてきたようなのです。
この前も美味しかったよ~なんて聞くと、以前みんなのご飯のあと、自分が食べるものが
ないと、零していた頃が遠い昔のようです。


「よかったじゃない。美味しいものが食べられて。」と、私も不謹慎なことを言います。
「そうなんだけどね・・・」と、珍しく口ごもる娘。
「なに?」
「お義母さんが、ちびを生簀見に連れて行った時、お義父さんが、私たちにね、
こうやって外に食べに行くのは好きじゃないって言うのよ。お婆ちゃんもつれて来たいけど
もう年だし、何かあったら心配だって。」

私は、お代わりしたコーヒーをすすりながら
「それは、あなた達に否定して欲しいのよ。外でご飯食べようってお義母さんが
提案したら、あなた達に、いや家でって、言って欲しいのよ。」
「な、なんで??。あの家は、どっちかと言うと、お父さん亭主関白だよ。それなら
自分で言うと思うけど。」

・・・・・・まだまだ、考えが浅いな。未熟者めがっ!!(笑)


「なら、どうしてお義母さんのいない時に、わざわざ言うの?。自分で言うなら
みんながいるとき、言うでしょ。お義父さんは、お義母さんに遠慮してるのよ。
どこの家でもそうだけど、自分の母親と妻との間に入った、男は無力なものよ。
いくら普段えらそーなこと言ったって、昔は母親が強くて、妻から愚痴聞かされ
今は立場が逆転して、母親から愚痴を聞かされるものよ。あなたが思ってるより
お義父さん、おうちの中で権力ないと思うよ。(笑)」

「ふーん。そんなもん。」

そんなもんよ・・・(未熟っ!)

「でも、それ言ったらお義母さん、可哀想だよ。毎日、仕事して、ご飯作って
せめて、Rたちが行った時くらいは、外ご飯で、楽させてあげたらいいんじゃない?」と
家人。

それはそうです。その通り。
男は、簡単に「家でメシ食う」と、言いますが、用意をし、片付けをするのは妻です。
毎日、家メシを望むら、半分は自分が負担すべきだと私も思います。
時間が有り余って、お料理が好きで好きでという、女性ならともかく、大半の
働く女にとって、毎日の炊事はきれいごとではありません。

手抜き、足抜き料理の名人を自負する私も、毎日それが勤めとなったら、手抜きだけ
では賄いきれないと思います。
もっとも、私の場合は、趣味で炊事やっておりますので、気に入らない時や、やり
たくない時は、しません。

よそ様のお家ながら、婿殿のご実家の父上は、趣味が「海釣り」と、公言しておられ
毎週のように、片道何時間もかけて、一人で釣りに出かけられ、それなりの
釣果は挙げられているのですが、自分でさばけません。料理できません。
そのくせ、○○の時期は今じゃないとか、このイカは旨くないとか言われたら
絶対に、料理上手になろうとは思わないであろうということは、容易に推測できます。


そんな、お義母さんの、束の間のやすらぎ時間である、外ご飯を、どうして
娘たちから「やめましょう」なんて言えるでしょうか?




「で、あなたはなんて答えたの?」
「いや、二人で顔見合わせて、なんて言おうかって思ってたら、お義母さんが
帰ってきたのよ。」


いつの時代でも、ありますよね。嫁姑関係。
私達が最後の世代かと思っていましたが、子供等の時代にも、やっぱり存在する
のです。

私はずるいようですが、今はお義母さんの気持ちも、お義父さんの気持ちも判ります。
なぜなら、かっては私も嫁であった時期もあり、今はそういうことを一切を脱ぎ捨てて
生きているからです。




私は、夫の死で自分も死に、今の私は新しく生き返った自分だと思っています。
ゾンビと呼ばれることもありますが・・(笑)


こんな私とて、舅や姑の無理無体に、黙って我慢した時期もありました。
夫に気持ちを訴えて、代理戦争けしかけたこともありました。
いらぬ遠慮や、気をまわしたこともありました。自分でそうしておきながら、
悔しさや理不尽に、荒ぶる気持ちを奥歯を噛み締めてこらえたこともあります。

でも、夫の死で私は生まれ変わり、すべての義理張り事を、ご遠慮する生活に
入りました。
仕事上と言われれば、やむ得ませんが、プライベートでは冠婚葬祭すべての参加は
ご遠慮しています。


もちろん、悼む気持ちも、祝う気持ちもありますから、参加する者(私が出ません
ので、息子が行きます)に、それを託するということはありますが、まずは
ご遠慮させていただいてます。
いま、ともに暮らす家人にもそのことは伝えていますので、ごく平凡な市井人の
家人としては、ご母堂の時には、できれば参列して欲しいと言いますが、それは
お断りしています。

多少心苦しくはありますが、それは私なりの、亡夫へのけじめでもあります。
夫なきあと、すべてお断りしておいて、家人のところのは・・ということが
私にはできません。

つまらない意地や、余計な見栄かもしれませんが、それをしては亡夫への
私の思いが立ちません。

そして、そんな生まれ変わった私と暮らすことを選んだ家人には、そこを判って
貰わなければ、私との生活は成り立ちません。



話がそれてしまいましたが、ともかく婿殿のご両親のどちらのお気持ちも
判る以上、娘には深入りするなとしか言いようがありません。
これは、婿殿がお義父さんに言うべきなのです。


自分の母親がいままで、どんな思いをしてきたか。
そして、お義父さんが自分の母親をそれだけ大切に思っているように、
自分も自分の母親が大切であること。だから、その母親の意向を叶えて
あげたいことを、お義父さんに伝えるべきなのです。


すると、またまた家人が一言・・・
「言いたいことは判るけど、あの二人がそんな会話するか?あの二人、絶対
二語以上の会話はしないよ。」と、断言するのです。

そして、娘も大きくうなづき
「そう。そのとおり。」


そーだったわね。あなたは、そんな男のところに嫁いだのだったわね。
しばらく、忘れかけていた悔しさが、一瞬甦ったような、そんな気持ちにさせられた
ひと時でした。

by sala729 | 2011-02-21 15:03

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