いい女とは・・どういう女性を指すのでしょうか・・・。
この仕事をしていると、様々な夫婦の形。親子の形。男と女の形に触れていきます。何例かは、ここでもあげていますが、そのどれもが同じようであり、そのどれもがひとつひとつ違ったものなのです。百には百の、千には千の男と女がいて、その形は二人が組み合わさることで、より複雑になっていったり、また、単純に解決したりと・・始って終わってみなければその形は見えません。

そんな中で、先日ここでもお話した、しのぶさんのこと、覚えておいでですか?
不倫同士で再婚して、25年。それが夫婦喧嘩の末、夫が前の妻のもとに戻っていたというケースでした。
しのぶさんは、いわゆる「やり手」です。水商売とはいえ、何軒かの店を切り盛りして、地元でも
ちょっと有名な「やり手ママ」と知られているそうです。
でも、そうだからこそ、誰にも心が打ち明けられません。
稼ぎのない、愛想の悪い夫に出て行けと宣告して、出て行かれて、今更「さみしいと帰って欲しい」とは言えないのです。
そして、夫はしのぶさんの呼び出しに、嬉々として応じ、ドライブに行ったりしているのです。
その日、夫から「ふたりでもう一度やり直すか。神戸に行こうか。」と言われて、有頂天になったと言います。でも、その日も夫は、前妻のところに帰って行きました(夫はしのぶさんが、彼が
前妻のところにいることを知っているとは判っていません)

しのぶさんは言います「私は25年前、あの女から夫を取りました。当時12歳の彼の娘から電話で、くそばばぁと罵られました。それはしょうがない。でも、ここでまた、夫が私のもとに帰ったら、私はまたあの女から、夫を取ることになるんですよね。2回も・・」
エルメスのバッグから、取り出したハンカチをそっと目頭に当てています。

しのぶさんは、そのまま話を続けます。
私は、やり手と言われたこともありますが、ほんとは馬鹿なんじゃと思います(苦笑)
前の夫も、やっぱり浮気してました。でも、籍も抜かず、ぐたぐだしているうちに女に子供ができました。私にもあの人ができて、やっと籍を綺麗にして、それぞれの生活をはじめて、少しして
前夫の女が、私に泣きついてきました。主人が仕事せず、お金が一円もないのです。ミルクも買えなくて・・と、私の膝元に泣き崩れました。
ほっとけなかった・・ですね。
その場でお金をあけで、子供の七五三から、入学までずっと面倒みました。
彼女も店で働かせて、甲斐性のない前夫とは離婚させて、再婚させて親元に返してやりましたよ。

しのぶさんは寂しげに笑いますが、私はその涙で汚れた派手目の化粧の顔を美しいと思いました。前夫の妻子になかなかこれだけのことを出来る女はそうはいません。
でも、こうして片肌脱いで世話をしてあげる強さと、寂しさを打ち明けられない弱さを、一緒に心に棲まわせているのが、しのぶさんという女性なのです。

私は、こういう女性を「いい女」と、言うのだなと思います。
強くて、人間くさくて、繊細で、女としても、人間としても多面体をもった素敵な人ではありませんか。

しのぶさんは「私は、主人とやり直すつもりで、一緒に神戸に行きます。そして、前の人がなにも言ってこないなら、私は主人をもう一度奪います。でも、前の人が、返してくれと言ってきたら・・・その時は・・返します」と、涙をたたえた瞳をあげて言いきりました。
それが、しのぶさんの決心なのでしょう。私は、黙ってうなずくしかありませんでした。

「でも、ね。Aさん。こんなえらそーなこと言っても、私Aさんの前で素の自分見せてしまったから
また、心が動くかもしれない。その時は、力になってくださいね。」

(もちろんですとも・・)・・・私は言葉には出さずに、深くうなずきました。
しのぶさんの明日が、どうなるかはまだ判りません。でも、彼女はきっと自分の道を見つけられるに違いないと思います。
そして、それにもしも、私の力が必要なら、もちろん喜んでお貸しします。
いつでも。。。
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by sala729 | 2005-04-16 23:05

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