最近は、女性と男性のありかたがずいぶんと変わってきました。
男女雇用均等法が、制定されて間もなくは、まだまだ偏見やこだわりがあったものですが
今では育児参加しているサラリーマンお父さんもそう珍しくはありません。

しかし・・です。それを男女ともに世間も受け入れられるのは、まぁせいぜい30代くらいまでの間ではないでしょうか。(もちろん何にでも例外はありますが・・)

しのぶさん(仮名)50半ば。喫茶店や麻雀店を複数経営しているというだけあって、話しぶりもはっきりしていますし、その勝気そうな性格は、まっすぐに眼を見据えて話すその姿勢に現れています。個人的には、私、こういうタイプの女性すきですよ(そりゃーそーだ。気の強いところなんて、自分とそっくりだもんね。←カゲの声)

・・・・・その、しのぶさんが、ぽつりぽつりと話はじめました。
「夫と二日前に離婚しました。」
ふんふん。そういう話は、仕事上、めずらしくはありません。それで??
「原因は、とりたててないんです。じつは、結婚以来25年間、夫は、定職に就いていません。無職です。あえて仕事というなら、わたしのアッシー君(。。ちょっと古いかな。。)をしてもらっていました。
私がこういう性格ですから、ささいな喧嘩はしょっちゅうありました。この、のーなしの{ウドの大木}とか、役立たずとか罵ったこともあります。でも、夫もわがままで、私が仕事にかまけていて
お客さんと話をしていたら、ぷいと不貞腐れて横を向いてしまうことなんて珍しくもありません。客商売ですから、これではほんとに困るんです」
そうでしょうね。しのぶさんの言うことも、判るような気がします。

じつは、このふたり、25年前に、不倫同士がお互いの相手と離婚して再婚した夫婦でした。
お互いに子供もいます。3年前から、しのぶさんの連れ子の長女とその夫。ふたりの子供と
二世帯住居をたてて同居しています。
しのぶさんは、長女の夫に、彼は義理の娘に、いろいろ言いたいことがあったのでしょう・・しかし、それを口にせずかまんしてきました。それが同居のルールとしのぶさんは考えていたそうです。「自分も好きなことしてたのに、いまさら、娘の孫への教育がどうたらなんて言えません・・と
しのぶさんは寂しく笑います。
そして、夫はそういうしのぶさんに対しても、はがゆい思いをしていたらしいのです。
自分に向かっては、きついことをぽんぽん言うくせに、娘にはなぜ何も言えないと、詰め寄られて、それも喧嘩の種でした。

直接的には今月に入って、事業がはかばかしくなく、手形が落ちる落ちないという事態になって
しのぶさんもいらいらしていました。そこにもってきて、また、夫のぐちぐちがはじまって
しのぶさんは・・・ぱぁ~~んと、はじけてしまったのです。
別れる、別れないになって、じゃあ出て行く。おう出て行けという、なかば売り言葉に買い言葉で
夫はそのまま出て行ってしまいました。
離婚届をもったままで・・(もちろん、記名捺印済みのものです)
そして、その日のうちに、役所に提出してきたらしいのです。

現実に夫が家をでて2日。しのぶさんはふかーい後悔にみまわれました。
ああは言ったものの、やはり淋しい。それに、彼に行くところなどないはずだから、どうしているか心配でたまらなくなったのです。

その、厳しい瞳いっぱいに溜めた涙を時折、ハンカチで拭いながら、夫がいまどこにいるか
知りたい。そして、話をしたい・・やりなおす話がしたいといいます。

この調査は誰にもいえません。もちろん娘夫婦にも言えるはずがありません。
そんな、みじめなこといえません・・というのがしのぶさんの口癖です。

そして、翌日、しのぶさんの協力もあって、彼の居場所は判明しました。N係長が、眉根にしわを寄せて「Aさん・・こやつ前の奥さんのところにいますよ。昨夜は泊まっています。」
と、資料を見せてくれます。
わが社の行動調査で逃れられるはずがないことは、判っていましたが、こうも簡単に割れるなんて・・しかも、しかも、情報として、渡していただけの前妻のところにいるなんて・・。

前妻は美容師です。小さいながら、お店ももっています。なんと、彼は、その日午前中、しのぶさんと逢って、お茶飲んで、パチンコして、しのぶさんを駅まで送って、そのまま前妻のところに
帰っていたのです・・・・・・・・こ、こんなことって・・・
いくら不倫ではじまったとはいえ、しのぶさんとの結婚生活は25年です。しかも、その間、しのぶさんの商才で自分は定職にもつかず、毎日パチンコ生活を送っていながら、喧嘩して飛び出した先が前妻宅だなんて・・しのぶさんになんといえばよいのか・・。。。

しかし、伝えないわけにはいきません。仕事先であることは判っていましたが、さっき携帯を鳴らしてみました。心待ちにしていのでしょう。すぐに出ました。
「ご主人は、前の奥さんのところにいます。昨夜は泊まったらしいです」
私はできるだけ、事務的に感情を込めずに一気に話ました・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
長い沈黙がありまた・・

「そうですか。それじゃあ、帰ってくれなんて言えません。みじめです。」
と、低い声が返ってきました。私はそれにはなにも言えませんでした。
ただ「もう少し、様子は見てみましょう。一晩だけでは、断定はできません。」というのが精一杯でした。
「はい・・ありがとうございました。よろしくお願いします。。」
昨日とは打って変わった、細い声でした。
しかし、しのぶさんはこのまま、今日も仕事を続けるでしょう。私生活になにがあっても、それを
外には見せないで、仕事を続けるでしょう。それが彼女の25年の誇りではないかと、私は思います。

それにしても・・・この夫の25年はいったいなんだったのでしょうか・・
後悔と安寧の年月だとしたら、それはあまりに卑怯です。
失ったもの、得たもの、それはどちらも同じです。男には女を幸せにする要件があり、女には男に託する決心がいるものです。
しのぶさんの決心を、25年たってこうも簡単に踏みにじった夫に彼女はどう対処するでしょうか。。
調査はもうしばらく続きます。この間に、しのぶさんが、どう結論をだすか・・それは今、しのぶさん自身にもわからないことではないかと思います。。。
[PR]

by sala729 | 2005-04-09 15:03

<< 宴の夜    Tキャラは邪悪自縛霊? >>