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気の弱い男というのを「女の腐ったような・・」と、よく表現しますが、これは明らかに性差別的表現と怒りはするものの、だからと言って「男の腐ったような・・」と、言い換えると、なんだかその人が少しマシに思えてくるのですから、やはり、非難を轟々と浴びようとも、あえてこんな表現をつかわないといけないことはあるのだな・・と、感じることが多いのは、この職業のせいでしょうか。



2年前に30年以上連れ添った妻を亡くし、池垣さんが淋しかったというのは判ります。
田舎から出てきて歯を食いしばってきた30年であったのでしょう。気付いたときはもう末期癌だった奥さんは、入院して一ヶ月もたたぬまに、あっけなくお亡くなりになったのです。

そのあと、30歳をすぎた未婚の息子二人と暮らしていましたが、なんとも味気なく、淋しくてしょうがない。
それで、近くの同郷の工務店の会長に、その淋しさを切々と訴えました。
会長はオン年81歳。一代で築いたという、社員2名の工務店は息子に譲ったものの、まだまだ矍鑠たるもので、現場指揮は取る、打ち上げでは浴びるほど酒を飲む、社長の息子を処かまわず怒鳴りつけるといった、ホンネをいえば、「少々困った元気すぎるご老人」ではあります・・(溜息)


その江田会長の提案で、池垣さんは中国女性専門の結婚相談所に入会しました。
江田会長いわく、もう若くない、まじめだけが取りえの池垣さんでは、今の日本の女はよう扱わん・・・と。
しかも、二人の大こぶ付きなのだから、そんな日本の女がいるはずがないと。。。


半年後、池垣さんは玉青という44才の中国女性と結婚しました。
玉青は、一度日本の男性と結婚していたこともあり、日本語も堪能で、なにより年相応の落ち着きがありました。はじめは・・・・・。


玉青が嫁に来て半年がすぎて・・・
彼女は中国に残してきた子供を引き取りたいと、池垣さんに訴え、呼び寄せました。
19才の息子は、日本にくるとアリメクリェーターになりたいと、専門学校に通います。
その授業料を稼ぎたいと玉青は仕事にでるようになりました。
24時間スーパーで働いているからと、深夜に帰るようになり、そのうち帰らなくなり、里帰りすると言っては、二週間も音信不通になる・・・・

これでは、いくら鈍感な池垣さんとはいえ、おかしいとは思いますよねぇ。
自分に隠れて浮気をしているのか。それとも、風俗の仕事をしているのか。。。
疑い始めたら、あれもこれもと不審の種は出てきます。
池垣さんは、不審で一杯になり、江田会長に相談しました。

そしてその結果、調査をするということになったのです。



まずは玉青が池垣さんのところに帰る日を狙って素行をしないとなりません。
これがやっかいでした。
玉青は毎晩自宅に帰るわけではないのです。
しかも、狭い住宅地の奥まったところにある自宅は、張り込みにも、とても不利な地形です。


そんなこんなのなか、やっと玉青の仕事先が判りました。
バスと私鉄を乗り継いで6番目の駅を出てすぐの、中国マッサージ店・・・
マッサージとは名ばかりの、立派な(?)風俗店です。
女の子は、彼女を入れて4人。玉青はその中でも、もちろん最年長です。


その報告をした時の池垣さんは飛び上がらんばかりに喜びました。離婚を覚悟の池垣さんは少しでも自分に有利な情報が欲しいのです。
そして「こうなったら、徹底的にやってくださいよ。その店のことや、お客、ぜんぶ調べてくださいや。」
池垣さんはやる気です。もともと、自分でもバタバタと動く方ではありました。
玉青の留守に彼女のスーツケースを開けてみたり、携帯を覗いたり、パスポートを調べたと・・。
私のところにも、何度、電話がかかってきたことでしょう・・。


そこで、調査は継続することになりました。
もちろん、料金は発生しますから、その旨はお伝えしています。

その二日後の日曜日
けだるい午後のことでした。
池垣さんからの携帯呼び出しが響きます。


「あ、池垣です。あのな、ワシがいろいろ相談し取る会長がちょっと電話代われと言うんで代わりますわ。」と、突然の申し出。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・急に変わられたって話すことはないですよ。依頼者以外とはお話できないんですから・・・と、いう暇もありません。


おいこらっ!
な、なんだこりゃあ・・・開口一番・・おいこらとは・・・(苦笑)

「おまえなぁ、興信所ならちゃんと報告せんかいっ。あの嫁はどーなっとんぢゃあ。」
あきらかに江田会長は酔っ払っています。
しかも、ぐびぐびと、飲み続ける音までが鮮明に聞こえてきます。

「お話は依頼者さんとしかしないことになっています。あなた様にお話する必要はありません。」
こういうときは、私って。。。ほんとに慇懃無礼を絵に描いたようになるらしく、相手の気持ちを逆なでするのが天才的にうまいのだそうです・・・←それってほめてるかぁぁ???(苦笑)


「なんやとぉ。こらあっ!お前、ワシを誰やとおもうとんぢゃ。アホ抜かせ。ワシャな、池垣のこと
よーしっとんぢゃ。相談も受け取る、そいできいとんじゃ。言わんかいっ。アホボケ!!」
「あなた様が依頼者をどうご存知なのかは、わたくしには判りません。とんでもない中国女性と結婚をすすめたのが、会長さんということは伺っておりますが。」

「なんやとぉ。ワシが紹介した言うかい。あのクソ嫁を。オマエナァ、言うてええことがあるんどぉ
。」
「あら、そーですか。私は依頼者さんからは、会長が結婚勧めてくれたとお聞きしてましたけど。」
「うぐっ・・す、すすめたんちゃうわい。池垣が嫁さん死んで可哀想やったからやのぉ・・・ええいっ。うるさいわい。ええかぁ。わしの目誤魔化そう思うても無駄やで。わしゃ池垣とは違うぞ。
お前らみたいな、ドアホアには騙されんぞぉ。」

「そんなに大きなお声でなくても聞こえます。会長さんおいくつですか?81才?
そんな大きな声でお話してたら、お体に触りますよ。普通の声で私、聞こえますから。」

「うるひゃいわい。お前、わしのことアホにしとんやろ。このくそボケ、舐め取ったらあかんぞぉ。
おなごのくせに、このぼけが!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まぁ、なんと品の悪い「会長さん」ですこと。
それにまぁ、昼間からお酒飲んでのこの口の汚さ、言葉の下品さ・・・・今まで誰も注意する
人がいなかったのかしら?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、いうあきれた思いを閉じ込めはしたものの、江田会長の罵詈雑言は続きます。



「いいかげんにしてくれませんかっ。依頼者さんならともかく、なんのつながりもないあなたから
、アホだのバカだのと言われる筋合いはありません。黙って聞いているつもりはありませんけど
いいかげんなしてくださらないのなら、テープとってますから(嘘ですが・・笑)セクハラで訴えますよっ。」

なんやとぉ!!おぉ。やれるもんなら
やってみいや。おどれなんぞなんも怖ないわ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、そりゃそうでしょ。怖くはないですよね。さんざんこれだけのこと言ってるんですもの(笑)

「そうですね。池垣さんと代わってくださいませんか?あなたとお話しても無駄です。」

「くっそぉ、気ぃのつおい女子やのぉ。お前、年なんぼぢゃ?」
「お答えする必要ありません。」
「なんでや?お前、興信所やろ?興信所なら依頼者に自分のことぜーんぶさらけ出すのが筋っちゅうもんやないか?わしゃそうしてきたで。今までずーっとな。」

「そーですか。私はそんなことしてきたことありませんし、第一、あなたは私の依頼者さんじゃありませんし。」

「ほんまに気の強い女やな。お前、離婚して何年や?亭主は何しとったんや?」・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?????????????????????????

「お前、子供が三人おるやろ?男が二人と女がひとり。どや?あたっとるやろ?わしゃこれでも
占い30年やっとんぢゃ。」


「そうですか。残念ですけど、全部はずれてますね。もう一度、お勉強しなおす必要があるみたいですね。でも、お時間がもう足りないかもしれませんね?」

「うわっはは~~はっきり言うのぉ。おもろい女や。」

「お褒めにあずかって光栄ですが、わたくしは会長さんとお話する気はないのです。池垣さんと
代わっていただけませんか?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こんな会話が2時間近く
続きました・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
江田会長の横で、池垣さんがハラハラしながらあちこちしている様子が目に浮かぶようです。
(笑)(笑)(笑)




でも、結局は、池垣さんは次の調査を断ってきました。
自分はやりたいけど、会長がそこまでしてどうする?と、言うのだと。

もうとっく50も越えた池垣さんが、自分の妻のことを自分のお金で、自分の意志で調査しているのに、とやかく口を挟む、81才にも困りものですが、自分のことを自分で決められない50男にも、愛想は尽きます。

それにしても、このコンビ・・・今までもこんな調子でやりすごしてきたのでしょうね。
これでよく、今まで生活してこられたものだと、妙に感心してしまいました。。。

by sala729 | 2009-01-27 12:42

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